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木村所長に聞く

第 50 号「これからの時代・お得な会計事務所・税制」

   これからの時代をどのようにお考えですか?

木村: 大変な競争の時代になると思います。

 今までは、大きな組織に帰属しておれば組織に守られたようなところがあったわけですが、もうそんな時代は過去のことになったのではないでしょうか。大会社、官庁につとめている方はこれから大変かもしれませんが、中小企業してるひとや商売してきた人はいつも自分だけが頼りでこられたので意識の上ではこの人達が一番先頭におられるのではないでしょうか。兎に角、差がつくのではないでしょうか。

 問題は何に向かって努力をすればいいかわかりにくいところにある点です。この意味でも事業をしている方は、目標は「我が社が儲けること」と明快です。時代の流れが大きく変わり、企業も社長の人生観で行き方が変わってきています。非公開で堅実な経営をしていたいという社長や公開したいという社長、いずれでもお手伝いできる体制をつくっています。

 また、第一線を退きたいと考えておられる社長の場合、「終わりの始まりをいつから始めるか」が問題です。25 年前、私がよちよち歩きで事務所を始めたとき、第一線で活躍されていた社長さんが、今もうそこそこの御年になっておられます。その頃から未熟者の若い私をかわいがっていただき感謝してきました。 これからはその恩返しもしなければと思います。

   今の関心は何ですか。

木村: 関与先が銀行に頼らず 直接金融ができるように徐々に体質改善する道 を研究しています。昨年社債の講習会をしましたがあれは入り口です。今後は自己資本比率経営利益率が従来に増して重視されます。資金繰りでなるべく銀行にばかり頼らず、社長や会社の魅力で資金を集められる少人数私募債や匿名組合などの方法を考えています。 又、事業計画が重視されるようになってきました。先ほどの話と関連しますが経営者の世代交代期に入ってきており、若手の経営者や起業家志望者対象ゼミの中身を考えています。 昨年第一期生を出しました。これも、これからです。

 また国際間での人の行き来が結構あり、日本での税金と外国での税金が二重課税となりバッティングする問題が生じてきております。これは所得税、法人税、相続贈与税に起こっています。外国の税制につき、ある程度の知識が求められます。銀行の話が出ましたのでついでに申し添えますと、銀行の遺言信託、あれもいいですがそこへ行く前に会計事務所でも相談して欲しいと思います。

   毎日、どんな生活ですか?

木村: 毎朝 6 時に起きて 8 時半まで勉強です。それから食事してモノレールと御堂筋線で出勤し、他の先生や所員からの報告を聞いて打ち合わせし、資料を読み得意先を廻り 6 時半の地下鉄で帰ります。7 時半に夕食、その後、犬と散歩してから 11 時半まで勉強です。土曜日に御電話いただいた方は御存知ですが、他に用がなければ土曜日も同じ時間にきます。土曜はかきいれどきで、お得意様に生じている問題につき担当者を通じて答えを出す準備や調べものもがはかどります。

 英語の練習も細々としています。聞き取れないので一人旅でのアメリカでは不自由します。行くたびに勉強になりますがもう少し話せたら収穫も多いのにと考え、亀の歩みで練習しています。これこそ独断ですが、これからはアメリカ型の社会になるように思います。でも、そのなかでどれだけ 日本の良いところ を大切にしていくかだと思います。日本人であることから逃れられないわけですから、むこうに無いものをはっきり打ち出すと共に、アメリカ化していく社会で生き残る術を知ろうとしてきました。

 このごろ段々と英米人の考え方、闘争の仕方が分かってきました。あっちのケンカの仕方は「間接戦略」と言われるもので、目標へ直接接近するだけでなく(これをやれば反発力を強化させてしまうので)ボクシングでいえばパンチよりもボディーブローをくらわせて、徐々に相手のバランスを崩させて抵抗力を弱める戦略をとってくるのです。「アングロサクソンは真綿で首をしめてくる」とよく言われるのはこのことです。太平洋戦争でも、日本は軍艦以上に輸送船団が多く沈められましたし、後方基地や工業地帯をたたいてきました。逆に、日本は、相手陣地や戦艦への直接戦略で、最後は体当たり攻撃や銃剣突撃、そして玉砕です。経営も日本は抜け目なく目の前の売り上げ中心、利益中心で、長い目で見た研究開発・監査・内部統制・法律への配慮など間接的なところはなおざりにされ、横並びで市場の奪い合いをしています。逆にあっちは、監査や法制税制など企業のインフラを堅くして活性化させるように仕組まれています。

 これからは中小企業もこの 間接分野への目くばり が企業の値打ちを決める時代がが来ていると思います。中小企業の経営者は頭脳もカンも良い人が多いのですが「間接戦略」のところで良い参謀に恵まれてないところが多いため、社長の良い処が出したくても出せないのです。今の時代こそ、この間接戦略を担当する役目を担うものとして 会計事務所を活用 してほしいと思います。その理由は後述します。 監査なども国の土壌が違うのでうまくいくかどうか疑問に思っています。一人一人の自己責任が明確でないと機能しないかもしれません。

   大切な点ですね。もう少しお話いただけませんか。

木村: 向こうの制度で感心する点は、「エージェント」の利用ということです。

 代理人という概念は日本の法律でももちろんありますが、英米法は非常にうまくできていて、disclosed agent と non-disclosed agent に岐れ、後者が活用されています。つまり誰の代理人かハッキリしないで動き、背後で首謀者が指示を出すのです。間接戦略と non-disclosed agent がひっつくと、企業はもちろん国でも自由にされかねません。戦後、日本が二度と立ち上げれないように骨抜きにしようとアメリカは戦後の日本にも「間接戦略」をしかけてきました。日本を二流の国にしてアメリカに刃向かえないようにすることです。 賢い日本人のアタマをダメにすることです。

 二年前、「プライド」という映画がありました。 津川雅彦さんが東条英機の役になっていた。 あの中で、アメリカのキーナン検事が日本の culture(文化)education(教育)spirit (精神)を骨抜きにするのだと言っていました。(字幕には出ませんでしたが、音声で、はっきりとききとれました。)あれが真実だと思います。そして、今、その通りになってきています。

 一方、中国の知恵もこれからは大切と思います。「三十六計」は、よく読みます。 特に、第十計の「笑裡蔵刀」という考え方が私は好きです。 孫子研究家・武岡淳彦先生の「まんが・兵法三十六計」(集英社)にはこうあります。

=「笑いの裡(うら)に刀を蔵(かく)す」

 とは表面的に友好的で柔弱であるかのように装い、ひそかに戦備を整え、時期が到来したら戦備を整えるのを怠った敵軍の不意をついて打ち破る計略であるとあります。先程の英米流の間接戦略とはまた違った味があります。強者に対し弱者である中小企業の経営には大切な点ではないでしょうか。また、税理士などというマイナーな資格者である我々も、忍んで力をつけておくことが必要と示してくれています。長い興亡の歴史から出た知恵といえます。

   日曜日はどうされてますか?

木村: 日曜日は安息日です。頭の中を空にするために仕事の関係は勿論、専門の本も開けません。昨年夏、働き過ぎ・勉強しすぎ・暴飲暴食で健康を過信していることを医者に注意されてから、きっちり休むこと、運動不足にならないことを守っています。ゴルフの練習や、季節によっては庭仕事などをしています。

   テレビは観ないのですか。

木村: ほどんど観ません。特に観るのは台風の時です。衛星放送の「世界わが心の旅」は時々観ます。それと、今年から始まった葵三代ですか、あの徳川家康の動きや性格に興味があります。 陽性で鷹揚、しかし、鋭敏でしかも情宜に厚い人柄がよくわかり、興味深いです。

 但し、TV はあくまでも TV で、旅行や昔のドラマにしても、自分が実際そこへ行ったり、その時代に生きていないので、自分の身体で芯から感じないです。心の底から満足は湧きません。身体のどこかで虚しさを感じるのです。むしろ自分の現実の行動をドラマとして捉える方が、小さくても真実の感じに思えるのです。これが台風などの情報をとる以外はあまり観ない理由です。

   日常で一番心掛けておられることは何でしょうか。

木村: 月並みですが、それは「感度をあげる」ことだと思っております。感度を上げるとは、「よく観察」することと「心の深いところで強烈に感じること」だと思います。 普段はボーッとしていていいんですが、ここというときに感度が弱まると行動に移せないのです。同じ失敗を繰り返したりするときは感度が弱くなっており、心の深い部分で感じ取れなくなり行動として出てこないことになります。いくら本を読み人の話を聞いても自分に取り込んで、行動に移さないと境遇は何も変わりません。行動しないのであれば読むことも人の話を聞く必要もありません。

 それと、よく考えることも大切にしています。かく言うわたくしも なかなかです。よく感じるということでは一番有効なのはプライドを傷つけられる時が一番「感じさせて」くれます。今迄、何遍も人前でプライドを傷つけられてきましたから、逆に、「なにぬかしやがる」と負けん気が出て努力を継続する体質になったと思います。そういう意味で私は執念深いです。体が続く限り努力を続け、いい仕事をして関与先の皆さんのお役に立ちたいですね。

 逆に、地位のある立派な先生や、大きな会社の経営者ほど悔しい目をして深く「感じる」機会がなく傲慢になるかもしれません。また、コンピューター時代になればなるほど、なんでもコンピューターで済ますのではなく、ここというときはたとえ遠方でも、時間を惜しまず、人と直接会って話したり飲食したりすることがとても大切になると思います。自然のなかで遊ぶことも同様と思います。また、精神的に敗北主義に陥ってはならないということです。マスコミは、記事観てもおわかりの通り、人の不安を煽るためその傾向が強いのでそんなものに影響されないような心構えがたいせつです。

   その秘訣は何でしょうか。

木村: 勉強することです。努力を続けているうちに段々いろんなことが分かってきて苦にならなくなり、始め辛かったのが楽しくなります。そして予定通り行かず追われるように、体を痛めながら暗い気持ちで勉強していたのが、ある時、気が付いたら対象を追っかけていた、というようになります。そうなるとゆとりがでて、私のような、ぼんくらでも、あまり他人の煽動に振り回されなくなってきます。

 心理とお金は決して裏切らないと思います。マスコミ(テレビのコマーシャルも含む)による大衆操作に巻き込まれず、逆に巻き込まれてどんどん 弱気になっていく世の中に引きずられず、ツボにはまった経営をされて、各社の利益を大いに上げてほしいですね。事業する人には大きなチャンスがきているのではないでしょうか。

 人間の幸福について本多静六博士は次のようにおっしゃっています。人間の幸福というものは、現在の生活自体より、むしろ、その生活の動きの方向が、上り坂か、下り坂か、上向きつつあるか、下向きつつあるかによって決定せられるものである。つまりは、現在ある地位の高下によるのではなく、動きつつある方向の如何にあるのである。従って、大金持ちに生まれた人や、すでに大金持ちになった人はすでに坂の頂上にいるので、それより上に向かうのは容易ではなく、ともすれば転げ落ちそうになり、そこにいつも心配が絶えぬが、坂の下や途中にあるものは、それ以下に落ちることもなく、また少しの努力で上に登る一方なのだから、かえって幸福に感ずる機会が多いということになる。(「人生と財産」日本経営合理化協会刊・52 ページ)この通りで、業績のいい会社は慎重に、逆の会社は気張ってほしいです。

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