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『会計力』が事業を育てる - 会計土木®の現場から

第1回 はじめに:「会計力」と「会計土木」についての説明をさせていただきます。

2009年4月3日
 1、「会計力」や「会計土木」は全く新しい言葉です。

 これらの言葉は、いままで使われていませんでしたが、このブログの基本になる言葉ですので、説明させていただくところから始めたいと思います。

 会計力とは内面を表現する力です。
会計土木は会計力という表現力を支える根っこの構造を指します。

 その事業の中味がどのような実体があるのか、その実体はどんな構造で支えられているのか、とても大事な点です。

 現代は、ものすごい速さで世の中のシステムが変わってきています。この変化の中でも変わらず重要なものの一つが、会計力と会計土木です。

 つい最近までは、中味より上辺が第一、地味で地に足が着くことより、かっこよく上手くやったほうが勝ち、という風潮が支配的でした。そのような見せ掛けの成功は、中味の耐性がないために瓦解しやすいのです。
 今こそ重要なのは、少々の揺さぶりがあっても崩壊しない仕組です。

 会計力、会計土木はこの仕組に相当します。それも剛構造ではなく柔構造で、圧力を「柳に風〜」と受け流せる仕組です。
 
 まとめ
 どのような事業体であろうとも、大会社、中小企業、公企業、NPOにいたるまで、数字で結果が見える事業体に共通して必要なのです。



2、では、会計力と会計土木の中味は何か?

 簡潔に以下のように説明できます。
 
会計力:なるべく早く、その事業の成果をワカリヤスク表示できるパワーです。
 
 月次は勿論、できれば日次に、その事業の結果を表示し、リーダー(一般的には経営者をいいます)が、方針や作戦、仕掛けをタイムリーに変更し、進退、選択と集中を誤りなくできるように、データを表示する、その速さと正確性の両方が揃っていなければなりません。
 早いが不正確、正確だが遅い、のはバランスが取れていません。

会計土木:(1)データが系統的に集められ、データエントリーのあと会計ソフトで処理されること。
       (2)内容に関し、角度を変えて別の者やチームが監査して確認できる体制であること。
       (3)税法や会社法、契約法の見地から、法律的適合性をもっていること。

(1)が最低限の水準です。(2)(3)は外部の専門家の手助けを得れば難しいことではありません。

 まとめ 
 自社で最少限を確保し、外部専門家を有効に使うことがキーです。この考え方は、今後も繰り返し出てきます。今時、何もかもできる人材は集まりにくくなるばかりです。また集めてもHigh Costになります。
 
 私のところでも、情報系、社会保険労務関係、法律系は外部専門家のお力を借りて、すごく有効に運営できています。
 
 まして会計関係は、内部牽制のためにも何でもかんでも内部にためずに、外部にも力点を逸らせることが自然です。監査用語でSegregation of Dutyといいますが、業務を写真の三脚のように分離して安定を図るのです。
 
 分離する業務は「承認」「記録」「保管」の三業務です。現代のコンピュータ社会では、少し意味合いが違ってきます。プログラムの変更を誰が管理するかがキーになります。しかし基本は同じです。
 
 このことは。これから詳しくご説明させていただきます。

第2回 会計土木は「裏づけ」を取る仕組です。

2009年4月13日
 なぜ「裏づけ」をとるのでしょうか。

1、膨大な情報量は本当に必要ですか?

 この問いの答えはハッキリしています。情報も量より質ですから、本当に必要な情報、正確な情報、事実を伝える情報が必要です。

 目の前の情報を鵜呑みにしないで、自分の手で確認できる範囲であればそれをしたうえ、少し距離を置いて自分の頭で角度を変えて考えてみることも大切です。

 私どもの仕事では、会計であれ、税務であれ、いろいろな経済現象を会計基準や税法にあてはめて適正な処理を心がけます。このような場合に、判断次第で結論が分かれる場合があります。
このときに裏づけを取ることは必須です。
 まず事実はどうなのか、つぎに条文や会計基準にどう係るのか、結論を導きだすためには、戒めることは
  ・上滑りで物事を見ていないか。
  ・税法の理解が自分の思い込みに陥っていないか。条文に当たって趣旨どおりに判断している
   か、会計は基準書を確認して背景も把握できたか。

                                           この二点が大切です。



2、経営の裏づけとは何でしょう?

 ご自分の事業の本当の姿を知るには、会計力の助けが必要です。そして会計力は会計土木によって支えられます。
 
 時々、決算書に全く触れない企業の評価を目にしますが、核心を衝くためには、会計の数字なくしてどこまで真実が把握できているか気になります。膨大な情報量だけでは、同じところを回っているだけで真実に迫れていないかもしれないのです。
 
 現実に経営のすべての権限を持っておられる中小企業の経営者のかたが、自社の会計数字をないがしろにしていては、自社の真相も、欠陥も把握できず、その結果舵取りを誤る例があります。
 
 というよりも、巨大な会社はともかく、中小企業の場合で会社が上手く行かない殆どの原因がここにあります。


3、カチンとくる時代だからこそ。

 
これからは二極化の時代です。漂う会社としっかりとした基礎がある会社に分かれます。後者は少なくなってゆきます。漂うことがない会社とはどのような会社でしょうか。

 扱う商品が常に最新の高水準であり、従業員の訓練ができていること、社内体制がぐらつかないこと。目的と目標がハッキリしていて、どこに行けばいいかが分かる会社です。極めて少ないのが実情です。上記の条件が維持されているかは、会計を見れば分かります。

 費用の出方をみれば一目瞭然です。材料の吟味、研究予算の多寡、研修費の内容、それに内部統制と透明度の徹底さです。別の表現をするなら、ここには経営者の考え方がハッキリ出てくるのです。勿論、資金も必要です。その資金に、余裕があるか逼迫しているか、これも経営者次第です。貧乏な会社は急に貧乏になったのではありません。人相がその人の平素の行き方に大きく関連するように、会社の資金状態も、経営者の考え方次第です。

 この点を、指摘させていただくと大概の経営者はカチンと来られるようです。しかし命と名誉の次に大事な資金が不足して、どうして思うような経営ができますか。資金が行き詰まれば、名誉もなくなり、場合によっては命にも影響します。

 これほど資金や会計は重要なことなのです。そしてもっと怖いことは、経営者自身の鏡であることです。


4、かたちのあるものはいずれなくなるから、こそ。
  
 いまどきビルを建てた、購入したといって自慢される中小企業の経営者がやはりおられます。
資金を最大限に有効に使うには、少し考え方の軸がぶれているように思われることがあります。余剰資金があれば、一番よい使い道はどのような順序なのでしょうか。
 
 私は以下の順序と思います。
  1、顧客のために、より好い商品製品をつくるために研究・改良する費用に使う<核心のコスト>
  2、1を間接的に支える設備や情報インフラへの投資<基礎のコスト>
  3、従業員のモチベーションをあげ生活の不安がないようにする給与等<人的関連コスト>
  4、リスク軽減費用(訴訟、特許侵害、税務、労働問題)<防衛費用>

 ビルを建てる費用は、貸しビル会社を除けば、上記をまず充分にしてからのことです。
現実には、1〜4をすれば、ビルを建てる費用は出てきません。ビル建設は経営者の自己満足から来ています。軸がぶれているのではないですか、とはこのことです。

会計土木は上記の4番目の費用です。順序は4番目ですが必須です。
 

第3回 事業を経営する人にとって、会計が役立つこと。

2009年5月1日
 ロマンッチックな見方をすれば、経営の本質は探検そのものです。


 
探検を続けるには、何が必要でしょうか?


1、過去を悔やまず、肯定し、とらわれないで次の手を考え、着手すること

 探検には、常に危険が隣り合わせです。このときに、過去のことにこだわっていたら、今そのときが

危険な真っ只中です。探検を続けるには過去にはこだわらないことです。ところが人間は、「過去にこ

だわるな」といわれて「ハイ、分かりました」とそのときに思っても、次々と思い浮かんでくるものです。

 これは自然なことです。しかしこれでは探検はできません。同じところをクルクル回ることにな

り、探検どころではありません。



 大事なことは過去をキチンと整理することです。会計の機能は、キチンと整然且つ明瞭に、過去を

整理して記録してくれます。会計は、日々の取引を二つの要素に分解して記録します。こうしておけ

ば、必要な時には、二つの要素のどちらからでも振り返ることができます。

 この機能に安心して心を委ねて、モヤモヤしたことは流れ去るようにすることが可能です。会計記

録はこのような役割をしてくれるのに、それに気付かない人が多いのです。


 
 経営者として、ご自分が探検してこられた日々が、会計記録をひも解くことでスグよみがえります。

なんといってもご自分のしてこられたことですから、書かれてある数字が、不思議に過去の現実に導

いてくれるのです。

 一日を終えて「今日もよくやった」との感慨で、湯船につかるような気持ちでその日その日の取引記

録を書けば、その瞬間にその日のことは忘却し、明日からではなく、その瞬間から始まる「未来」へ頭

を切り換えましょう。会計記録が湯船の役割をしてくれます。夜はよく寝れるようになります。

 
このとき注意する点を一つだけ申し上げます、
 
 情緒的な「言葉」は不要です。数字と最小限の注釈(会計では小書<こがき>といいます)以外は

不要です。


2、たまには「経営者の一日」、を思い浮かべましょう。

 たまには会計帳簿を見返してみましょう。 

 但し、このとき、大事な点があります。
 そこの主人公は、貴方であって貴方ではありません。自分を客観視します。

さもないと回顧録ではなく後悔録になってしまします。「或る経営者」と徹底して突き放して見ます。

   
    ・「あの人は」あの商品をあんな値段で安売りしてしまっていた!

    ・「あの人は」あんな大事な日に、どうでも良い会合に行って会費を払って時間とお金の浪費を
     していた。

    ・「あの人は」なぜ不用な仕入をしたのか。


 こうしてみてゆくと、そこに数字が具体的に示してくれる「事実」から、「その人」のクセや弱点が浮き

彫りになってきます。有用なArchves:アーカイブなのです。そしてあなたの鏡です。



 言葉が饒舌を通り超えて、無用に過剰生産されるだけで、その後には、むなしさと少しの淋しさが残

るようになってしまった、言葉遊びのこの時代に、最小限の小書きで支えられた会計記録は、それが

細部にまで記録されているだけに、まさに「神は細部におわせり」のたとえのとおり、否応なく自己のし

た事実(すなわち探検の軌道)をみせてくれます。



3、外部の専門家(会計事務所)は、角度を変えて更に深く見せてくれます。

 
 
「あなたの関与先の一日を描いてみましょう」

                                        Describe the day of your customer!

 「関与先の痛みを取り去りましょう」

                                          Eliminate customer's pain.


 ワシントン州米国公認会計士研修所でGerschick先生がこのように語られるのを聞いた時、私は、

自分の依頼者への接し方が、まだまだ表面的であったことを思い知らされました。

 会計を経営者(=探検家)が気付かない角度から、更に問題点を掘り下げることこそが、会計事務

所の役割で、このことによって、即ち視点を変えて見ることで、会計記録は何倍にも有用になるので

す。

第4回 会計土木をする人は誰ですか

2009年6月5日
 それは経理課長です(名称は「課長」でなくても、いわば芯になる人です)

 経営者は、数字のことを、ある程度は押さえてはいてもそれ程勉強しません。それでも経営できる時代でした。これからはそんな時代は代わりつつあります。

 
もしあなたが、その会社にこれからも永く勤めたいと思われているなら、会計土木の実践者になられることを強くお勧めします。

 特別な資本や技術をもたなくても、会計土木の実践者として、会社の経営陣の傍に居て、要所要所の指摘をして、経営者が手を打つポイントを会計数字に基づいて示す存在は必ず「これからも会社に居て、(経営者が)見えないところを教えてくれ、と期待される存在になることができます。

1、いい会社の条件とは
 
 それは規模ではなく、視点の高さです。

 経営者はこんな会社にしたい、と考えます。それに近づけるには時間と資金が必要です。要点に手を打たなくてはなりません。遠回りも出来ません。

 そこで経理課長が、必要なのです。具体的に的を示すことが役目です。
しかし、それだけでは不足です。流れの速い現代では、常に現状からの脱皮が図られなければなりません。

 そのためには外部からより高い次元で、貴方に指摘してくれる顧問的存在も必須です。外部専門家です。


2、経営者+経理課長+外部専門家が機能すること

 このブログは中小企業で、もちろん株式を公開していない会社が対象です。中小企業の経営者は会計にさほど興味はありませんし、他にしなければならないことが多くあります。しかし、どの経営者もしっかり経営したいと思っておられます。

 ここで注意しなければならないことがあります。もし経営者が余りにも数字オンチの場合、自動車に例えますと、4つの車輪の一つが欠けているのに運転した気になってしまわれる経営者があるのです。自動車は前に進んでいません。経営も前進していません。

 同じところを廻っているだけです。それでも銀行がお金を貸してくれたから、事業は続けてこれた。
そんな会社の決算書を10年分横に並べて見ますと、資産・負債の構成は殆ど変りません。
そして経営者も、従業員も歳だけ取ります。基本技術も商品も余り変らないままです。
行き詰まるのは、時間の問題です。

 ここで経理課長が居て、具体的目標に向かって改革の連続をして下さい。別な表現をしますと、弱点補強工事の連続です。

 経理課長が、外部顧問の視点を取り入れて、問題を発見し、改革してゆくことで会社に新しい命が吹き込まれます。
 
あなた次第です。



3、経理課長にとって必要なロマンとは

 数字のなかに物語を見つけることです。会計の仕事は、企業の中では決して華やかな、カッコ良さが第一の現代ではスポットライトを当てられる部署ではありませんが、それらの部署に比べて息が長いのです。

 その息の長い部署で、改革を連続するコツは何でしょうか。

 答えは簡単です。日々の数字はもとより、過去の数字にも、未来の数字のなかにも、その奥にある「人間」が日々行動した、行動してゆく物語として数字を捉えることです。
テーマは人間です。善と悪、正と邪、光と影、鬼と仏が同居する、複雑な生き物が「利益」というものを求めて日々動いた「物語」を扱うのが経理課長の仕事です。
 
 この<善と悪、正と邪、光と影、鬼と仏>の部分がこれから重要なのです。
 

第5回 “見せつける”時代と会計土木

2009年6月13日


1、 現代は見せつける時代、そしてその終わりの始まり。


 敗戦から高度成長期を経て、爛熟期を過ぎ、どう見ても世の中の平均が上がることは最早ない、と分かり始めた現代は、せめて他人と比較して、少しでも上辺や格が上であることを見せつけようとする人が多くなる時代に入りました。

 服、バッグなどから彼、彼女、クルマから犬まで、ブランドものをそろえて、私はアナタと違うのよ!と見栄を張りあっています。訓練不足のまま、欲しいものが簡単に手に入る時代に成長したため、霜がかからないまま、見栄だけを張ることになっています。連れている犬も、昔のような、ありふれた茶や白色の犬と違って名のある洋犬などが多いです。

 ヤキが入っていないので、基本的な技能も知識もなく、全てがうわすべりで体面を保つのが精一杯のようです。そして当然のことながら、しくじったら、自分が至らないとは思わず、必ず相手が悪いという論理しかありません。当然地力はつかず内心はオドオドしてるか、完全に居直っているかどれかのタイプになります。

 相手や周りのせいにする決まり文句は
  「000は人を見る目がない、、、」
  「説明の仕方が悪い、、、」もううんざりです。そんな人をたくさんたくさんみてきました。

 このようにして極限まで、自己肥大化し、そのためには人間も動物も装身具並みに利用して、自分の本当の姿を膨らしつづけることは、ぼちぼち極限にきたように思います。どうして分かるかといいますと、人相と目つきにそれが出るように思うのです。街角や電車の中で顕著です。うんざりして電車の掲示広告に目をやると携帯電話会社の、あの白い犬君の凛々しい姿が目に入って救われます。犬相のほうが上だわと感じます。

 
 たしかにうんざりする時代です。
そんななかで、もし吐く息吸う息のたびに周りからどう見られてるかいつも気にしているとすれば、自己肥大が進むだけです。心から「ありがとう」とも言えず、楽しくないのを装身具で飾って「見せ付けて」偽りばかりのなか喜べない内心が、オモテに出てきます。周りの人々は気付いても言わないだけです。人間は自分の本当の顔は見れないので(鏡は逆にしか映りませんから本当ではないのです)自分だけがわからないのです。そして呼吸するたびに空洞が広がって行きます。

 ちょうどこのような「自己肥大と見せつけ」の様相が極限まできて、そして崩壊してゆく時代に、ひそやかに、そっとこれらと入れ替わるように現れてくるのが次のキーワードです。



2、3つのジェイ:J

 
3つのJとは
   ・地力  ・実力   ・地味  です。
対極は
   −非力 −見せつけ −軽薄  です。


 会計土木を支えるのは3つのJです。

 会計と言うものは、日々の地味な作業の中から徐々に、その組織体の内面を浮かび上がらせてきます。まさに「地味」ですが、「実力」をハッキリみせてくれます。そこには見せつけたりする精神とは全く異質の地力がでてくるのです。
 
 そしてこの3Jがこれからの時代の大事な要素なのです。
にもかかわらず、上辺だけの経営者は必ず会計をないがしろにします。上辺と結果だけを求めるのです。繰り返しますが実質が大事なのです。
 木が育つにも風雪に耐えて根を張らなければなりません。まして事業においては更に何倍もの試練をくぐる必要があります。それに比べたら会計で土木工事をすることは容易です。でもエエカッコをする一部の経営者はそれをしません。そんな人にをたくさんたくさん見てきました。そしてサヨナラを言ってきました。



3、まとめ

前回の最後に
 <善と悪、正と邪、光と影、鬼と仏>のことを書きましたが、これらが縦糸とすれば、3Jは横糸といえます。善と悪、鬼と仏が同居している組織体には、光もあり影もあり、人間がそうであるように全て渾然としています。会計はそれらを見せてくれます。そして全てが実態であり実質であり別の表現をすれば3つのJなのです。

 総論はこれくらいにして、次は、いよいよ実態の世界をみてゆくための会計土木の具体的な適用に入ってゆきましょう。

  
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