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『会計力』が事業を育てる - 会計土木®の現場から

第6回 実践篇

2009年7月6日
 1、仕事の区分は出来ていますか

 会計土木には経営者、経理課長、会計事務所は必須と申しましたが、このなかで経営者と経理課長の関係が特に大切です。

 信頼できる経理課長は簡単に見つかりません。長い時間をかけて育てないと、初めから知識+経験+人物が揃った人は居ません。

 特に大事なのは人物です。知識と経験が揃った人は多いですが、肝心の人物を重視しましょう。経験は時間が解決してくれます。知識と人物はSETになっていると考えられます。

 経理の知識はコツコツと日々少しの時間でも忍耐強く勉強を継続することで身につきます。幾ら人柄が良くても、基本を学ぶことがイヤという人は、経理課長候補には疑問です。継続する努力が必要なのでその資質があることが重要です。

 努力もしないでスグ結果を求める人は向いていないかもしれません。

 経営者と経理課長との間では仕事の分担をしましょう。

いくつかのの質問をさせていただきます。
  貴社では
   ・預金通帳は誰が管理していますか?
   ・その印鑑は誰は保管していますか?
   ・手形帳・小切手帳の保管はどなたですか?
   ・実印はどこにありますか?

また
  ・支払の承認(決定)は誰がしますか?
  ・会計帳簿への記入はだれた担当ですか?

一度、社内の事実をしらべて見てください。案外な弱点があるかもしれません。

次回に一緒に考えましょう。

第7回 実践篇:仕事の分担はどうして必要なのでしょうか?

2009年7月11日
1、錯覚と思い込みを廃して、組織内にバランスを取るために必要なのです。

 会社といってもそこは人間が主人公ですから、「権力」が存在します。この権力なるものは誰もが内心欲しいと思うものですが、反面では危険な面があります。またこれ(権力)は社内でも、部門でも、課や係でも、要するに人間が一人以上で構成される集団で生まれるものです。

 一人にそれが集中しますと、必ずその組織の中では反動が起こります。権力者の周囲の人たちが権力を持つ人に対して「面従腹背」になってゆきます。社長が、部長が、課長が、係長が、本当のことを聞けず、本当のことを書いた報告書が見れないように(現場を現認した場合はそうではありません)なります。

 同時に、権力をもつ人は「自分が何でも出来る権限があると」錯覚してゆきます。
このようにして思い込みと錯覚が支配して、業績が上がらない、風が吹いたらスグこける、出来る人間が辞めてゆく集団になってゆきます。



2、経理においては更に重大です。

 自分がどんなことでも出来ると錯覚して、周囲の人たちも面従腹背、見てみない振りをする、このことが重なりますと、ちょっとした出来心でアブナイ習慣ができ、周りは見てみない空気ですから、初めは目立ちません。しかし段々と悪い習慣は肥大化し、大胆になり大きな傷を会社に与えることになります。


3、内部牽制

 仕事が自然に相互チェックできるようになっておれば、そこに内部牽制の力が働いて「自分が何でも出来る」との錯覚が生まれにくくなります
 そして一人ひとりに「役割」が与えられますから、見てみない振りも面従腹背も、少しだけかもしれませんが、しにくくなります。


ですから、結論としまして、
 組織内の風通しが良くなり、思い込みが減り、バランスよく仕事が進むことで、みんなに善い状態になります。

 余程の我ままなTopは内心「やりにくいなー」と思われると思いますが、組織も人間としても成長するには避けて通れない道であると思いますので乗り越える必要があります。
 
  乗り越えることで、事故を防ぎ、人のパワーを何倍にも引き上げる可能性があります。



次回は更に具体的な点に入ります。


 

第8回 仕事の配置

2009年8月1日

 1、陣を敷くということ

 一人以上の人間が集まって、集団で物事を達成しようとする時(事業、戦い、スポーツなど)には、最小限の人数で、最大の効果を得ることが必要です。

 多すぎたら各人の動きは悪くなります。逆に少なすぎたら一人ひとりへの負担が重くなって全体の動きや効率は悪くなります。
 人件費の多い少ないを言っているのではありません。数字で表される費用の額は、配置の結果にすぎません。

 何人をどの機能に配置するか、古い言い方ですが「陣を敷く」場合の最小単位は3人からです。
この3人は相容れない仕事をするために必要な要素なのです。

 製造や販売の場合には、3つのうちの一要素に多くの人員を配置して、競争に負けないようにしなければなりません。その結果、数十人あるいは数百人の人数を擁する集団になりますが、機能としては「最少限」の3がもっとも無駄がないことが真理ですから、この真理に立ち返って人員が肥大化していないかを検討する必要があります。


 2、三人はどんな役割を分担するのか?

 会計土木の世界では、「承認」、「保管」、「記録」を別々の人が分担します。一人がこの3つの役目をすることは(オーナーが一人でこの3つをされるのは、オーナーであるから許されるのですが、いずれは事業が伸びてきたら仕事量も増え、自分以外の人に分担してもらうことになります)危険です。

 この3つの機能だけをするために3人を採用することは現実的ではありません。製造や営業の人に兼任してもらえばいいのです。兼任によって組織のなかの血流である資金の流れの断面が見えますから、自覚も生じることになり一石二鳥です。

 オーナー社長の中には、自分以外の人にこの分担をさせることを嫌う傾向がありますが、これからの時代では、そのような方針では3つの J(ジェイ) のうちの地力と実力がつかず、競争力もつきません。オーナーがそれを全てすれば、次の展開を考える時間もエネルギーもなくなり、フラフラになってしまします。

 商売や事業を継続することだけでもムツカシイ時代に入っていますから、この点は重要な点です。

 
 実践篇の1でいくつかの質問をしました。


<いくつかのの質問をさせていただきます。>
  貴社では
   ・預金通帳は誰が管理していますか?
   ・その印鑑は誰は保管していますか?
   ・手形帳・小切手帳の保管はどなたですか?
   ・実印はどこにありますか?

また
  ・支払の承認(決定)は誰がしますか?
  ・会計帳簿への記入はだれた担当ですか

  

次回は、
 もしあなたが事業を経営しておられるとして、上記の質問の回答をいくつか想定して、「陣を敷く」
という考え方を取り入れて、ケーススタデイを試みてみましょう。

  今回の要約:
   ・それは最少限ですか?
   ・一人に権限が集中しすぎていませんか?

   
 

第9回 会計土木:役割の分担

2009年8月22日
1、現実の問題

今回は下記の質問の回答を通じて「仕事の分担」のことを考えて見ましょう。 


<いくつかの質問をさせていただきます。>
  貴社では
   ・預金通帳は誰が管理していますか?
       
      
回答:総務担当者が保管しています。


   ・その印鑑は誰は保管していますか?

     
 回答:社長が保管しています。

   ・手形帳・小切手帳の保管はどなたですか?

    
  回答:総務担当者が金庫にて保管しています。

   ・実印はどこにありますか?

     
 回答:社長の自宅にあります。銀行印は社長が持っています。

また
  ・支払の承認(決定)は誰がしますか?

      
回答:社長がします。

  ・会計帳簿への記入はだれた担当ですか
     
    
 回答:経理担当者が記入します。
     


2、検 討  

 上記の回答が模範的な(というかアタリマエの)回答です。なぜ模範的かといいますと、保管・承認・記録の三要素が「総務担当者」「社長」「経理担当者」の3人で分担されているからです。

 小規模な会社では、上記の総務担当者と経理担当者が同一人でも差支えないでしょう。
しかし社長以外の総務または経理担当者が上の全て(保管・承認・記録)を仕切ることは危険です。

 理由は既にお分かりと思います。事故が起きるのです。その始めには、一人に権限が集まったことで、その一人に「自分に権力がある」との慢心と誤解がまず生じます。

 
そして暫くしてから、ほんの出来心で事故が始まり、だんだん大胆になります。出来心が引き金であることと、大胆化は世界的に共通です。人間に共通の心理なのでしょう。




3、ココに会計事務所の関与があれば、

 一人の人が全ての業務をしている場合でも会計事務所が定期的にチェックをすることにより「抑止力」が生じます。社外の目が入ることにより、いささかの緊張感があるからです。

 「抑止力」に括弧をつけたのは、会計事務所も、そこの担当者もピンからキリまで業務品質がバラバラですから、本当に抑止力になる場合と、案山子(かかし)のような見せ掛けの役目しか出来ない場合に分かれます。

 当所でも、その担当者が案山子であったため私が謝りに言って勘弁してもらった例が二例ありました。ですから会計事務所が入っているからOkとは一概には言えません。

 会計事務所が入る入らないに拘わらず3つの仕事が分離されている体制作りこそ必須要件でしょう。

第10回 会計はどのように経営に役立つのか?

2009年9月5日
 1、悪い兆候を知る。

 会社の数字が見えてくると、経営者は経営が順調に行っているか、そうでないかを、事前に「兆候」の段階で察知しなければなりません。

 さもないと、打つ手が後手後手になります。悪い兆候には次のようなものがあります。

  ・月次の数字(試算表)が遅くなる。
  ・経理処理が日々されていない。
  ・支払の前に、資金の準備ができていない。

  ・付加価値率が傾向的に下落してくる。
  ・売掛金のAgingをしたら、滞留しているものが増えてきた。
  ・営業循環過程から外れた債権が増えてきた。
  ・損益分岐点を割込んできた。
  ・労働分配率が上がってきた。
  ・純資産の部の数値が右肩下がりの傾向が改まらない。

 
 上記の初めの3つは数値以前の「現象」です。これすら不十分なのが中小企業の実態です。
その理由は、経営者の先見性のなさと不勉強にあります。

 いままでは、そんな状態でも経営できました。銀行の資金が引っ張れたら会計などしなくてもやって来れました。せいぜい税金の申告のときに予想以上の利益が出ているのを知って、あわてて会計事務所の「知恵」を借りるか、銀行に融資のお願いをすれば、その場は乗り越えられました。
そして、喉元過ぎれば熱さを忘れる、の例えのような行動パターンの繰り返しで会計の次元は上がりません。

 これからは全く違う時代になるのを知ろうともせず、旧態依然の姿勢では行き詰まりは目に見えています。


 次の6つの全て該当するなら、その会社を船に例えれば、舵が効かなくなり機関のパワーが落ちてきて、漂流状態になりやがては岩礁にぶち当たって難破の運命が待っています。
 
 そうならないためには経営者は上記の青文字の用語は正確にその意味を知ってほしいものです。
自社の決算書をもとに半日もあれば(良い説明をしてくれるプロが横につけば)、経営者ならワカルようになります。ご自分がしてこられたことが数字で表されているだけですから、カラダでワカルのです。でもなかなか社長さんはその努力すらされません。

 そしてこれからどんどん破滅への道を歩んでゆかれます。目先の視点しかもてない人が多いのです。


2、自社の位置を知る。

 会社は両極化してゆきます。規模の大小でなく貧乏会社か金持ち会社のどちらかにです。
貧乏会社になれば、たちまち舞台から退場です。

 金持ち会社とはどんな会社でしょうか。それは長続きする会社です。あるデータによりますと世界で創業200年以上の会社は世界411ヶ国のなかで5,586社あります。このうち半分以上が日本にあり、ヨーロッパ(ドイツ・フランス・オランダ)に1255社、残りがその他の国です。

 このうち日本の200年以上継続している会社は殆どが従業員300人未満の中小企業で上場会社はありません。これらの会社は従業員も異動が少なく(人を大事にして)安定経営をしています。

 上場会社は、日本の風土に合わないと私は考えています。
アングロサクソンの肉食獣の戦いを「市場」でした結果、そのゲームのやり方(狩猟民族特有の罠を仕掛ける点が特徴)が合わなくなってきています。資本主義の終焉といわれる所以です。

 今は最終段階で、行き詰まった会社をターゲットにして、生き残りをかけてM&Aをしています。元々日本には「従業員を会社ごと売りに出す」ようなメンタリティはないのですが、風土の違う思想に毒され、本来の野性味も忘れ去り、マスコミの支配のもと、きょろきょろと右や左と回りばかり見て自己独自の方針ももてないようになってしまいました。ムラの中で変ったことをできないのと同じです。

 これらの会社では誤った(日本に合わない。英米のコンサルタント会社がもってきた)成果主義人事の結果「雇用の大崩壊」が起ころうとしています。

 大企業への就職志向は根強いですが、これは徳川時代に刷り込まれた特殊な意識であって、本来の日本人(その前は倭寇などでアジアを海賊として荒らしまわったところに日本人の原点があると私は考えます。起業の精神もそこに由来します)の意識構造とは異なるものです。
 
 しかしいつのまにか、権威にかしずく、お上に弱い、寄らば大樹の意識構造になってしまいました。
逆に、アメリカには結構、中小企業を立ち上げる面白い、冒険心に富んだ起業家が出てくる風土があります。自分の息子をアントレプレナー(企業家)にしたいと言う親は多いのです。

 ともあれ雇用が崩壊する過程から、新たに事業を立ち上げる人たちが参入しますから、中小企業のマーケットも今まで以上に競争が熾烈になります。

 会計や会計土木で基礎をつくろうとしない中小企業は翻弄され遠心分離機で二極分化されます。

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