税務会計 フォアユー パートナーズ Do-ing

『会計力』が事業を育てる - 会計土木®の現場から

第56回 新シリーズ:自己金融入門

2011年5月5日
 自己金融入門−税務を生かし、銀行借入を最少化し、強い財務体質に!(1)


これから新しいシリーズを始めます。

今後景気はますます悪化すると考えられますが、これは世界全体のことで、あなたの事業が悪化することには、直接はつながりません。

どんなときでも個々の事業は経営者のやり方次第で、良くなったり悪くなったりします。
マスコミの風評などに惑わされることなく、目のまえのことを実行され、これからの時代を力強く乗り切ってください。

このシリーズでは、

1、簡潔に要点を記します。
2、テーマ、質問、回答、ヒントの構成にします。
3、ときどきは「お勧め情報」などを載せたコラムを挿入します。

この数カ月、私は、いろいろとこのシリーズの中身につき構想を練ってきました。完成版には至らないまま、時間が過ぎました。

繋ぎのため「鳥の目・犬の目」や「枝道・わき道」などのコラムで凌いできたのですが、この間に東日本対震災が発生しました。


この震災がもたらしたものは現地での直接的な、本当に気の毒としか言いようのない被害だけではなく、あの日以降、それまでの変化のスピードと比べられないほどの速さで物事が変化し始めるのを感じました。


変化が速いので、全体図が出来上ってから書き始めるのではタイムラグが生じるばかりですので、「走りながら、考える」ように、「書きながら、考えを纏める」ことにしました。

この連休中も、ファイナンス、税務、アメリカ経済、などにつきいろいろな情報にあたりました。
これまでと違い、じわじわと、厳しくなります。かじ取りを誤らないように、「目的」からブレないように、このブログをお読みいただく皆さんのお役に立てばなによりです。

第57回 新シリーズ:自己金融入門 2

2011年5月5日
  自己金融入門−税務を生かし、銀行借入を最少化し、強い財務体質に!(2)


Q:お聞きします。

経営にあたって今一番気をつけなければならないことはなにでしょうか?


A:良い質問です。

それは銀行からの不要な融資の勧めです。


ヒント:既に2008年以来、世界は不況に入っています。リーマンブラザース以降ばらまかれた不良金融資産は「兆」できかず「京」の値になります。大きな目で見た景気は回復しないと考えます。


この中で金融機関は貸し出しをしてこそ成り立ちます。メガバンクの有価証券報告書を見れば貸出金勘定の60〜80%が中小企業向けです。

三井住友銀行は貸出金約59兆円のうち34兆円が中小企業向けです。みずほ銀行は貸出金約32兆円のうち23兆円が中小企業向けです。


銀行の収益は貸出金だけではありませんが、やはり主力は貸出金利です。この貸出先の需要が右肩下がりです。良い貸し先が必要ですが、なかなか、、銀行間で取りあいでしょう。貸しても不t料債権になるところなら需要は多いですが、、、。


歴史の比較的長い中小企業経営者はまだ蓄積があります。
タイミング良く、ここへきて相続税法が改正されるので、相続税がキツくなります。


そこで、
・相続税が多額になって大変ですよー
・貴社の株価が高そうですから相続税の負担がタイヘンデスヨー

という呼びかけがされます。
<当所では、万万が一、の時に備えて株価評価と代表者の相続税試算をさせていただきますが、生命保険もあることですから、そんなに「恐れる」ことはありません、と申し上げるケースが多いです>


しかし会計事務所の言うことにはあまり耳をかさず、銀行の言うことを鵜呑みにする人の方が圧倒的に多いので、皆さんは銀行さんの勧めに従われます。

銀行の理屈はただ一つ、

「借入すれば税金が下がる、、」これだけの単純なものです。このためのスキームは前のバブル(平成2年までの)のときのスキームと同じものを銀行はまた持ち出して来ています。

その中身は。借入して賃貸用建物を立てましょう、、、建てたら土地の相続税評価が下がりますよ、、、<ホントの話:入居に不安があります>。持株会社を作って、そこが借入して同族会社の株式を買い取りましょう、、、<ホントの話:バブル後、失われた20年の不況で同族会社の株価は下がっています。その上、持株会社でどんな事業をするのですか、、、カラクリの会社を作っても意味がありません>

時代も、世界経済も、我が国の世代の考え方も、すべて変わったのに、、、上記のようなスキームがまた出てきています。銀行の究極の目的は借入させ利子を取ることです。そのためのトークに「税金」と「怖れ」を埋め込んでいます。

イヤナもの(税金)からの回避と恐怖の組み合わせは、無知な人や権威に弱いひと、アナタ任せのひとびとを動かすのにとても有効なのです。


これらの借り入れは、経営に本当に必要な借入でしょうか?相続税を一時的に下げるためだけのものです。

「一時的」の意味については難しくなりますので省略します。


そもそも、相続税が高いといいますが、私はそうは思いません。今までの相続税がやや安かったのです。前のバブルの時に相続税が異常にに高くなったので、政府は大幅に控除を引き上げて負担感を少なくしました。そのまま放置されたため安かったのを是正したのであると考えています。


相続税がない国もありますが、小国ならともかく、この日本の経済規模で、もしそうなれば、若者の人生のスタートから、親の資産の有無で大きな差がつきます。

いまでも格差社会なのがもっとそれが拡大します。
富の再配分機能を持つこの種の税は必要でしょう。ただしエグイほど取られることは誰でも嫌です。私も同じです。どこまでがエグくて、どこまでがそうではないかは、人それぞれ背景次第でしょう。


税の仕事をしていますと、巷では確かな知識もなく「相続税は怖いよ、」「相続税で左前になるよー」などと吹聴するオジサンやオバサン、ときには兄ちゃんネーちゃんが多いのです。

そういう本人の面前でその発言の根拠を、私がお聞きしますと、誰それがTVで言ってた、、、などです。風説被害ですね。


私は、銀行借入を否定しているのではありません。相続税対策という名目で中小企業に導入された資金は、その会社の資金運用を撹乱させるのです。自己金融の状態がこれからの生き残りの要件ですから、どんどんそこから遠くなるのです。それゆえ、その話に乗ってはなりませんと申し上げるのです。この部分で銀行とかかわりをもってはいけません。

誤解を避けるために書き添えますが、
本来的な部分で銀行と良好な関係を持つことが経営に必要であることはいうまでもありません。


前のバブル時期に銀行の勧めに従って大きな借入をして賃貸建物を建てたりしたファミリーでいなだに借入金の返済に苦しむところは多いのです。

この人たちは、同じ誤りはしませんが、次世代にはその痛みが継承されていませんから、同じ誤りをしがちなのです。

同じ借入金でも、
運営上の銀行借入金は非上場会社では間接金融しか手段がありませんから、設備投資の際には重要なものです。
設備資金ではなく運転資金については、銀行からの借入を一定の枠内に収められる努力が必須です。

さもないと借入金を返すためだけ、の何の将来の発展も望めない哀れな財務体質になります。


前のバブルのときも同じスキームを今の時代に取り入れても、あの当時ほど利益体質の中小企業が少ないため、命取りになりかねません。


総資本経常利益率が低下したまま浮上しなくなるのです。資金の回転が、あたかも血管にコレステロールがたまった人のように血流が滞ります。心臓と脳に障害が出るように、その企業の資金が逆回りを始め、恐ろしいことが始まるのです。


*続きは次回のメールにて!!

第58回 新シリーズ:自己金融入門

2011年5月10日

 自己金融入門−税務で優位に立ち、銀行借入を最少化して強い財務体質に!(3)

Q:銀行からの借入金には2勝類があることは良くわかりました。このうち好ましくないと言われるタイプの借入金をした場合、その借入金がアトアトたたる、と言うこともわかりました。
 このような借入金を実行した場合、税務署は認めたのですか?


A:税務署は否認しました。それを不服として裁判になった例が多くあります。リーデイングケースの二つを簡単にご紹介します。


ケース1
高齢者が銀行から借入をして土地を買いました。相続税の負担を減らそうとの意図でした。
土地を賃貸すれば評価が下がるので相続税が安くなると思われたのです。

借入金が多いため、利息がその人の経常収入の2倍を超えるほどでした。その土地の賃料収入は銀行に支払う利子の20分の1にしかなりませんでした。無茶なスキームです。

相続税が安くなるなら、との思いが強かったのでしょう。税理士は良くない、とこのような借入を銀行からすることを止めるように助言しましたが、その人は聞き入れず、銀行担当者の言うとおり融資は実行されました。

相続税の申告は否認され、裁判で争いましたが敗訴になりました。

ケース2
もう一つのケースは、銀行借り入れをして7億6千万円のマンションを購入されました。その人は相続評価が低くなると思われたのです。高い利息を払われてました。

やはり相続税の申告は税務署で否認され、裁判所に訴えましたが敗訴でした。


判決で、共通して指摘されたのは、銀行から借入して、土地やマンションを購入するのは租税回避目的のためだけであり、これらの不動産が租税回避金融商品であると認定された点です。

生活のための借入には渋い顔をする一方で、税金を回避する目的のためには高額の融資をする銀行の本性が出たケースです。

Q:銀行は事前に税務リスクにつき説明しなかったのでしょうか。

A:しません。結果論ですが借りた人の自己責任になりました。



Q:気をつけなければならないと思います。銀行に上記のようなケースに誘導されないためには、平素から付き合う銀行を良く考えて選択しなければなりませんね。
 どのタイプの銀行と付き合うのが良いと思われますか?
例えば、a:メガバンク、b:地方銀行、c:地元の信用金庫と分類してして。



A:私の実務の経験からですが、、c→b→a の順でしょう。被害はメガバンクが貸付た場合にに多いです。cのタイプの金融機関はそのような貸し出しは、私の知る限りされてないようです。

第59回 コラム:枝道・わき道     会計土木の道具

2011年6月2日
 何事も工事をするには道具が必要です。


会計土木の工事道具は、PCCFの4つです。

 1、P:Permanent file
 2、C:Chart
 3、C:Check list
 4、F:Flow

1、パーマネントファイルとは会社の基軸になる書類や届出書などを纏めておくファイルです。
 例としましては、
    定款、税務署などへの設立届等(法人税、消費税、源泉所得税に係る届出書)、各種契約書、
    重要事項に関する議事録、内部取り決書、退職金規定、給与規程、株主名簿、履歴事項全部 
    証明書(いわゆる商業登記簿謄本です)
 会計も法令の規制を受けますから折に触れ確認することが必要なのです。

2、チヤートとは勘定科目表のことです。現在はコンピューター会計が普通ですから、PCの設定機
 能のところでこれの代用ができます。ただしPCでは微妙な科目の使い方の差がどのようなところ
 から生じたのか、が事務担当者には分かりませんから、分かるように書かれたものがあれば便利 
 なのです。

3、チックリストがあれば、経理担当者は一カ月の仕事が誤りなく完了したことを振り返りながら自己
 確認できます。この積み重ねが、なかなかの学習効果をもたらします。
  チェックリストは経理担当者のレベルに応じて、徐々に中身が簡易なものから、応用編まで引き
 上げられるのでなければ、飽きが来て使われなくなるのが普通です。
  ですから、そうならないためにも、経理担当者のレベルをよく把握してチェックリストの中身を引
 き上げる役目をしてくれる存在が必要です。それは会計事務所の役目です。

4、フローとは「事務フロー」のことです。
 日常の商品とお金の流れが整理されて頭に入ります。新しいスタッフを採用された時などは、会社 
 の業務の流れの理解が早くなります。
  また税務調査の場合にも2のチャートとともに調査官に提示しますと、調査官の理解を得やすくな 
 るだけではなく、その会社の経理水準についての調査官の印象が良くなります。

上記の4つは会計事務所が、お手つだいをさせていただく場合の「会計土木」の道具ですが、もう一つあればなお良いものがあります。
 それは「経営方針書」です。この中に会社の方針や、具体的な力点や、予算がおさめられていますから、この方針に沿って、動いていることが確認できます。
 逆にいえばこの方針書がなければ、進むべき方向が見えにくいので、実は必須の道具でもあります。なかなか作成する経営者は少ないし、作るだけで終わるケースも多いです。作ったからには読み返してボロボロになり、手あかがつくくらい反復するほどでないと、頭だけ→体へまでは行かないものですがそのような人は少ないです。

第60回 自己金融入門

2011年6月2日
 
新シリーズ:自己金融入門

 自己金融入門−税務で優位に立ち、銀行借入を最少化して強い財務体質に!(4)



質問
:ではお聞きしますが、自己金融とは、どういうことですか?


回答:自己金融とは、企業がその活動の中で、自己が必要とする資金を自ら生み出す仕組みです。

考え方・ヒント
 企業(勿論、スモールビジネスすなわち中小企業の意味に限定します。今後もです)が、必要とする全ての資金を自己で賄うことは困難です。
 
設備投資の資金、異常な事態が生じた場合の運営資金などは銀行のお世話になるのは普通です。

しかし、それ以外の資金は、企業努力で賄えるようにします。このことを目標にすれば時間をかければ可能です。当所の関与先で実証されています。


分かりやすく言えば、自己金融とは
 ・一定以上の資金を金融機関に依存しない
 ・金融機関はメガバンクではなく、地元の金融機関と付き合う
 ・借入を返すだけで一年が過ぎてゆくのではなく、持続して成長してゆく

このような意味です。

« 前のページ | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 次のページ »