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『会計力』が事業を育てる - 会計土木®の現場から

第16回 コラム:枝道・わき道

2009年10月19日

 枝道・わき道


世界同時不況と会計基準

 景気が回復しつつある、と報道されていますが、私は本当とは思えません。
といいますのは、経済分析家の書かれた本では全世界のGDP総額は5000兆円であるのに対し、怪しい金融資産2京円、加えて水面下にデリバテイブの想定元本が6京円あるといわれています。(朝倉 慶:「大恐慌入門」徳間書店222頁)

 これが次々に破綻してゆけばGDPは飛んでしまいます。

 では銀行や証券、保険会社の決算書ではそのことが反映されていないのでしょうか。デイスクロージャーされていると思う人が多いと思いいますが、
 反映されていません。

 といいますのは上場企業はこれらをSPC(特別目的会社)で保有しています。そして会計基準のなかの「連結財務諸表制度における子会社及び関連会社の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」の三「特別目的会社の取扱い」で、SPCは母体から独立していると認め、連結対象の子会社に該当しないものと推定されています。

 このため連結対象に含められていませんから株価には反映されないのです。これは一種のトバシであり、公認の粉飾決算です。
 
 しかしこのように問題が先送りされても、いずれ決済される時点で一気に表面に出ます。時間の問題です。

 景気が回復したとの報道は、太平洋戦争の大本営発表(負け戦を勝ったかのように報道し国民に事実を伝えないという意味で)と同じです。

 私が株も投資信託も控えるのはこの理由からです。報道を読み違ってはいけません。
 

第17回 中小企業の危機管理   ケース 2 会計データが遅い

2009年10月20日
 ケース 2:月次の会計データが遅い

現象:当社は経理担当者が経理だけでなく、総務も併任しています。社長である私のところにデータ(試算表)が来るのが翌月末のため、実態が分かりません
 記帳代行をしている会計事務所に依頼することはどんなものでしょうか?
なお当社は、市販の会計ソフトを使用しています。

いま何が起こっているのか、状況判断をしてみましょう。

アドバイザーより次の質問をさせていただきます。


  Q1:社長は実態を見るといわれますが、どこを見られるのですか?
  Q2:データが遅くなる原因は、会計の手続きのどこにあると思われますか?
  

経営者の回答
  Q1:売上高、当月の利益、現預金の残高です。
  Q2:任せきりなのでよくわかりません。

会社で何が起きているか
   数字に無頓着な社長が多い中、この社長さんは少なくとも計数がなければ、海図がないなかを
  航海できないように考えておられるのは正しい感覚と思います。
   但し、折角作成された会計データの活用が不十分でもったいないと思います。コーチを会計専
  門家に依頼され、貴社の業務内容と会計データがどうからまって何を示してくれているのか、それ
  こそ眼光紙背に徹するように読むテクニックを会得されると、どんどん面白いように理解できま
  す。
  
    ポイント(1):社長が会計データの価値を認識されると、経理担当者の方も気合が変ってきま
            す。
           不思議なものです。魚心と水心のようなもので、社長がそこまで熱心に試算表を見
           ると、そのひとも、もっと工夫する余地はないのか、という風に風向きが変ればしめ
           たものです。
            経理担当者は別に怠けておられるといっているのではありません。ただ自分の 
           した仕事が会社の中で重要なことなのだということが理解されれば、その人の中に
           変化が出るのです。
            そうでなければ、改良しないで前例踏襲になり、会社自体もこの変化の時代に遅
           れ勝ちです。

    ポイント(2):会計では帳簿組織という言葉があります。一度、取引の発生から納品、請求書の
           発行、回収までの流れに沿った仕組が「組織」としてできているか、遠回りをしたり、
           二重に手間をかけたりしていないか、コンピュータの活用が真に必要なプロセスで
           なされているか、などを検証する必要があります。
            会計事務所と経理担当者が協同してそれを行い、社長はその過程で、素朴な質
           問をして下さい。刺激になります。素人さんの見地からの質問は案外ギョツとする
           のです。
       
    ポイント(3):記帳代行を依頼すべきではありません。それをなさると、上記の(1)(2)の効果は無
            になります。
             そもそも、初めて事業を立ち上げる場合、金銭出納帳は事業主が記帳するべき
            である、というのが私の持論です。それをしないで済ませたり、人任せに(例え奥
            さんでも)した人は、事業の必要な計数の感覚が身につかず、伸びないどころか
            撤退してゆきます。また辛抱して記録する習慣もできないままです。
              記帳代行サービスは無料ではありません。コストを払ってまでして、大きな知
            恵を社長も事務員さんも身につける機会を失うことは二重の損です。
             記帳代行を依頼した所長が陥るのは大概「目の前の資金があれば儲かってい
            る」というとんでもない錯覚です。カラダで資金の流れをつかめないため、断面だ
            けで、つまり目の前のお金の多寡だけで経営を判断してしまうのです。
             こういう社長は、銀行から1000万円借入したとしてそれが預金残高にあれば、
            自社(自分)が稼いだお金と錯覚して、ベンツを買います。
             そして破綻してゆきます。
            記帳代行業者に依頼すべきではありません。

100年経営のために:
  
  税務署があるから会計帳簿をいやいや作成する、という人もおられます。
 せっかくの宝の山の存在に気付いておられないのです。逆さのお考えでもったいないで
 す。根無し草経営になります。とてもこれからの多難な時代に生き残れません。 

第18回 コラム:枝道・わき道    シアトル紀行

2009年11月23日
 シアトルに研修に行ってきました。

10月31日に成田を発ち、11月8日に帰ってきました。

シアトル・タコマ空港に着いたのは土曜日の9時半ころでした。いつも良く似た時間帯に着くのですが、空港に人影は少なく活気がなかったです。シャトルバスの乗り場にも何時ものように人は少なく、季節柄寒々とした空気でした。

ホテルのロビーも同様でした。

(そういえば成田の出発ターミナルも人が少なく感じました)

現地の人の話によると、レイオフ(リストラの前段階で再雇用の約束がされる)で収入が減って、二つも三つも仕事を掛け持ちして住宅ローンを返している人が増えてきた、ローンの減額など条件変更の申し出が多くなっている、職場で固定費削減のためスタッフの人数が少なくなって労働強化になっている、一旦リストラされたら次の職場はなかなか見つからない、ローンがきついので住宅を売りに出した人など、などを聞きました。

実際、for sale(それもforclosure sale:抵当流れ)が多いようです。見たところ for rent(賃貸求む)は少ないでした。

街で新築のアパートが目立ちますが、これらはリーマンショックの前に建設されたようで、建物はきれいですがなかはがらんどうで入居者はないようです。

新築のビルもガラガラで、広告求む、の広告は結構目に付きました。

翌日の日曜日の、Nordstrom百貨店にいってみました。1階の化粧品コーナーやブランド物の売り場こそソコソコの人出でしたが、2階から上は人が少なかったです。日本の百貨店と違い、アメリカの百貨店は元々人は少ないのですが、今回はやや少ないかな、というところでした。

ハロウィンの日で街には仮装した人が出ていましたが、髑髏の面をかぶったひとが何人か居たのは社会情勢を反映しているのかも。警官が撃たれたりして治安も悪くなっているのかもしれません。

規模の大きい会社ほどリストラのようですが、等身大で経営しておられる日本料理店などは、客数は変らず不況感は感じませんでした。

中国人が増えていました。バスのなかでも見かけます。お金を持ってきている人が多いという話でした。身なりも良く落ちついています。

不況といっても、印象的なのはアメリカの人は親切で朗らかな点です。日本と少し違うなと思いました。国民性の違いかも。

(参考までに)
研修科目                          <時間は8:30〜16:30までです>

月曜日:会計報告のスキルとプレゼンテーション実習
火曜日:国際会計基準 vs 米国会計基準
水曜日:会計士の職業倫理<午前中のみの半日>
木曜日:スモールビジネスの監査実務
金曜日:国税庁等とのシンポジウム

第19回 会計データがなぜ役に立つのか?

2009年11月28日
 幻想・思い込みを排す

私たちは物事を見る場合、事実よりも自分の思い込みや、風聞で物事を見がちです。

いまどきのような不況で先行き不透明な時代では、特にマスコミなどの情報に頼りきって、その結果否定的な見方をしがちです。

会社を見る場合も、それが社長によって自社を見る場合であれ、社外の人がその会社を見る場合であれ、同じような「誤り」をしがちではないでしょうか。

幻想や思い込みと事実は違います。事実が必ずしも真実とは限りません。

これは一人の人間を判断する場合にいえることですが、このようなワカリニクイ人間の集合体である会社を見る場合にも全く当てはまります。

あの人はこんな人だ、というのが実は事実ではなく思い込みからきたものであるため、時間が経ってから、その見方がその人にとても気の毒であったと思うことはよくありがちです。

会社を見る場合にも、同じことが言えますが、事業が関係するので、間違った見方は命取りになりかねません。

会計で表される「事実」は一応の真実と考えてよいと思います。複式簿記の仕組から一つの取引が二つに分解され、それぞれが鏡のように反映しあうので、その限りではブレはありません。

ただしこの帳簿への記入は人間様が行なうので、意図をもって誇大に利益を計上したり、その逆をする可能性はありますから、懐疑的に会計数字を見ることが大切な点です。

仮に意図を持って操作されていても、どこが操作されたかは見る人が見ればハハーンと推測できます。ですから会計データはないよりもあるほうが数段助かるのです。

会計データがないときに、決め付けることがいかに危険かということとともに、もし会計数字がなければ経営者はなにも見えないことになってしまいます。


第20回 会計の数字は「考える」ための材料

2009年12月11日
危機管理のために

現実と先行きを知る

 数字は世界共通です。そして現実の動きを別の視点から見せてくれます。というか「現実」を見ない、見たくないようなときでも、会計数字はハッキリとその企業体の現実と、「先ゆき」または「運命」に至るまで見せてくれます。

先行きが不透明な現代こそ数字をよく読んで、深く考えることです。そうすればハハーンと納得できる方向性が見えてきて、大事な大事な「行動」が、いとも簡単にできることになります。


思考のサイクル

仮説・推理→数字の分析→裏づけ→検証→判断→方策→実行 を繰り返すなかで事業の病巣が徐々に見えてきて、更に的確な手を打てることになります。

つまり危機管理の次元が上がってきます。こうなると手を打つ手順や道筋まで見えてきます。

上に述べました「思考のサイクル」に沿って物事を考えるのと、そうでないのでは、暫くすると、その事業についての認識において雲泥の差が出てきます。ハッキリ物事をみないで、幻想のままにしておいて、闇夜に鉄砲を撃つような手のうちかたをしてきた場合とでは、結果において差が出るのは当然でしょう。


勝ち負けの判断をハッキリする

財務諸表の会計数字は、ある意味では、「勝敗結果表」でもあります。経営者は自己のオペレーション(作戦の展開)の結果が、勝てたのか、負けたのかをハッキリと自己認識することです。

現実は赤字、つまり負け戦なのに、銀行がうるさいとか適当な理由をつけて、負け戦を勝ち戦に「勝手に結果を変えてしまう」ことなどはしてはなりません。負けは負けと認識し、次回のラウンドでは勝つようにもって行けばいいのです。負け続けても、そのことをシッカリ認識して挽回の作戦を立て、腹を練れば良いのです。

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