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『会計力』が事業を育てる - 会計土木®の現場から

第21回 経営を考えてどうするのか?

2009年12月14日
考えること、について

 会計数字は経営を考える材料です。問題は「考えてからどうするか」ということです。
考えてばかりでは、経営の結果は出ません。行動しない限り経営というものの結果は出ないのです。

結果が出ない「考え」は時間の無駄というものです。考えたことが新しい理論の発見に繋がる場合でも、医学や工学系では実験という行動が繰り返し行なわれて「実証」されます。

経営の分野では実験をすることはできませんから、経営に携わる人が考えてばかりで、実行されないなら結局なにも生まないことになります。

経営は実験ができないところがミソです。

ですからなにも考えないで無謀なことを「実行」することは、なにも実行しないことと同様に、決してよい結果を生みません。

結局、会計数字の意味は、「実行可能でしかも無謀でない行動の幅を知る」ための手がかりになるということに尽きます。


行動すること、について

会計数字をもとにして、行動の幅を知ると進むべき道や打つべき手が見えてきます。

このあと更にその行動をシャープにするにはどのようにすればよいのでしょうか。

そのためには「決断」が必要です。日本人は、なかなか自分で決断できないといわれます。
この理由は、集団で物事をするのは得意、なことと裏腹の関係にあります。

自分ひとりになったときに決める機会に乏しいからです。

上司が決めてくれるため、厳しい決断をする機会や訓練がなかったのです。

事業をする人は決断の連続です。自分で決断した結果を自分ひとりが負う。これができないと事業はできません。

決断も訓練や実験ができないため、普通は無謀な決断をするか、なにも決断しないまま、時間が経つのを待つだけ、かのいずれかになります。

しかしこのとき会計数字という手がかりがあれば、会計を手がかりにしない人に比べて、決断はし易くなってきます。


決断すること、について

決断とは文字が示しますように、断ることを決める、と読めます。

自分がしなければならないことは、自分自身がよく知っているのに、どうでもよいことが次々と押し寄せてきます。それらの大部分は断ることでしょう。

会計数字が頭に入っていると、断った後に静かな瞬間が訪れ、体がどうすればよいかを示してくれます。

第22回 事業の発展段階と「考えること、行動すること、決断すること」

2009年12月15日
事業の発展段階に応じて

 会計数字を基にして、考えて、行動して、決断することを述べてきましたが、これらのことは、事業の発展段階に応じて、
    考えること
    行動すること
    決断すること                    
              も内容が変化してきます。



初期の段階では

なんといっても売上を作ること、に尽きます。

売上さえあれば、なにも問題はありません。このことは事業をする場合に永遠に必須のことなのですが、特に初期にはとても重要なことです。

売上を作るために
         考え、
        行動し、
  決断するのです。

会計数字は資金(現金の場合が多い)の出入りを、自分の手で記録することです。
これによって、資金の出入りの波や、一月のうちでどの週がどれくらいの資金残があるのかが分かれば充分でしょう。

そして、資金の記録を見ながら、あなたはもっと売上が欲しいなー、と全身で思うでしょう。不十分な売上しかできないことを悔しいとも思うでしょう。

それでいいのです。この悔しさを絶対忘れてはなりません。誰も助けられません。自分で道を切り開いて行くしかありません。

ココで大事なことは、資金の記録(これも立派な会計記録です)をあなたが残さなければ、売上不足も認識できないし、悔しい気持ちも瞬間だけで、残りません。

結局その気持ちに火をつけてエネルギーにすることはできません。
資金の記録を残せない人は事業を継続できないかもしれません。こんなことくらい自分で出来る根性がなければ、あとの見通しは暗いです。

繰り返しますが、
この段階で中心になるのは「行動」です。行動して、結果を見て、更に売上を上げるにはどうすればいいのか、やり方を変えてみるとか、考えることは幾らでも出てきますが、考えの中にいつまでもいてはなりません。

考えのなかには答えはないからです。答えは、考えの外にあります。行動してしか結果は作れないのです。

ここで考えの中に入るだけでなく、書物を読むことで正解を見つけようとする場合もあります。

書物を読むことを否定はしませんが、読書だけでは絶対に売上は作れません。自分の体で経験を積んで自信をつけなければなりません。

というか自信がつくまで経験を重ねるしかないのです。本はその誘引でしかありません。そもそも書物に書いてあることは普遍的なことか、逆にその本の著者の極めて稀な体験や考え方しか書かれていません。

貴方の事業に合うようには書かれていません。
結局は、本を読むのは悪くないのですが、それ以上に経験を積むことが大切です。

そして単純なことに気がつくでしょう。売上が上がらないのは、サボっているから、ということにです。
努力が足りないのです。自分が気づかないうちにサボりぐせが付いていませんか。

サボっていると思う人は、この辺で「この事業は本当に自分がやりたいことだったのか?」自問自答してください。Noなら早くココで引くことです。さぼりながら誤魔化しながら行っても、貴方は競争に負けます。必ず。戦争に負けるのです。

というか、言い方を変えると、してはならない戦争を始めたようなものです。見切りが大事です。別の道を探してください。



事業をスタートした時に既に退路は断たれています。前へ進まないと、競争の場から、消えてゆくしかないのです。

頭をフル回転して、死んでもいいとの気迫でゆくしかありません。上手くいった人はみんなそのようにして乗り越えてきました。

経営は、実験できないからこそこの道しかありません。きわめてシンプルな真理です。

初期の段階では、経営や資金の関係はそれほど複雑ではありませんから、日々の資金の出入りの記録をして、たまにそれ注意深く読むことで、ヒントやアイデアが貴方の頭に湧いてくるでしょう

なぜなら、その結果は貴方一人が作った結果なのですから、その原因も貴方が一番良く知っておられます。



次の段階ではどのように会計数字と向き合うか

では事業がなんとか形になってきた、顧客も固まった、商品には自信がある、一人ではアレもこれもできないのでスタッフも採用した、このようないわば第2段階ではどうすればよいのでしょうか。

事業の次のイメージを作ることです。
そのイメージを実現するにはどうすればいいのか?をハッキリさせましょう。

この段階で「規模」を求めるひとが結構多いです。私はその順序はオカシイと考えています。

次の段階でまず作るべき状況は、引き合いや注文、顧客が「多すぎてお断りしなければならないような」状況を作ることです。

規模を考えるのはそのあとです。
そして事業を見る目も少し距離を置いて冷静に見るようにしたらよいと思います。

よい意味で、少し肩の力を抜くのです。勿論アタマのなかは事業のことを考えています。寝てる間も。

第23回 第三段階の会社はどうするのか

2009年12月18日
歴史を刻んだ会社の場合

 初期やその次の段階の会社ではなく、そこそこ年数が経った会社の場合にはどう考えて対処するのでしょうか。

実はこの段階の会社が一番数が多いのです。
昭和45年の大阪万博の頃をスタートにして日本経済は大きく成長しました。

このころに創業した会社はそれから40年近く経ちます。当時の創業社長も70歳前後になられ、確実に交替の時期に入っています。

抱えている問題も次のような点が共通します。

1、後継問題
2、主力商品はいつまで世の中に通用するか、
3、人材の劣化
4、財務体質の経年化

とくに4の問題が他の問題と切り離されてしまいがちです。財務の問題はワカリニクイため他の問題と並行して対処することを普通はされないのです。

結局、財務の問題が切り離された結果、本当の問題解決ができない場合が多いです。

財務の問題がワカリニクイのは確かですが、中小企業の場合には顧問の会計事務所が、あたかも社内の人間のように、問題点を積極的に指摘したり説明することによって、上記1〜3と連動するようにできます。

現実にはどこの会計事務所も過去の決算と申告書作成が主力になってしまい、なかなかこのようなお手伝いができないようです。
 




もう一つの目を

ともあれこの段階の経営者は、初期やその次の段階と違って「もう一つ別の目」を持つ必要があります。

それはご自分の経営する会社に対する「医者の目」です。

どうしてこんな状態(症状)が出てくるのか?それはなぜか?どうすれば回復して地力がつくのか?
ココを考えるのです。

例としては、粗利益率が年々下ってきている、という場合を考えてみます。

原因を知らなくてはなりません。そのためには商品群別の粗利益を求めましょう。そしてどの商品群が右肩下がりなのか。粗利益が上昇している商品群はないのか?どれrを切りどれを育てるのか?

当然のように考えるほどに、次々と疑問が湧いてきます。

人間でも40年も経てば内臓などが劣化してくることは避けられません。会社も同様で貸借対照表や損益計算書を読むと劣化し、回復不能ではないのか、と思われる箇所や、このままでは手遅れになってししまう、としか言いようがない点がどんどん出てきます。

普通は経営者は会計の専門家ではありませんから湧いてくる疑問はそう多くないかもしれません。

このような時にこそ、会計事務所にも協力してもらって強力に問題を絞り込む必要があります。




問題点を外さないこと

・考えること
・行動すること
・決断すること
 
の三つを初期の会社の場合には必須であると説明させていただきましたが、初期をすでに過ぎた会社の場合には、この段階では何よりも

考えること、言い方を変えますと問題の発生する原因を外さないで、シッカリ捕らえることです。
医者の目で問題を見つけたあとは、経営者として、手術をしなければなりません。

行動を早まって、間違ったところを手術しては命取りになります。

事業を人間に例えて、経営者は医師の目で(距離を置いて、冷静に)患部を見つけましょうと書いてきましたが、もう一つ重要な点があります。



長い目で見ると問題の重要度が違ってくる

人間と違って事業の場合には寿命があるようで無いという点です。短くもあり、もって行きようによっては長くもなります。

日本は世界で一番企業の寿命が長い国なのです。ある統計(雑誌 クルー8月号)の記事によりますと、世界で創業200年以上の会社は5,586社で、国別では、日本:3146社、ドイツ:837社、オランダ:222社、フランス196社で、中国、米国、ロシア、韓国は見当りません。範囲を創業100年以上の会社に広げますと日本では5万社あり、殆どが従業員300人未満の中小企業で、上場企業はないようです。

この統計が示す意味は深いものがあると思います。ファンドやM&A や株価に関係なく、地味でもしっかり経営して世の中に長く役立つ会社も多いということです。

このことはともかく、100年もたせるにはどうすればよいか、とのなが〜い視点に立てば何が一番重要な問題なのか、が見えてくるのです。

第24回 長い目で見るとは

2009年12月26日
 長い目でみること

長い目でみるとは、別の言い方をしますと、自分一代で完璧な事業体を作ろうと思わないことです。

年齢がそこそこになりますと、経営者の性格によってはもう少し上を、とおもいながら現実との開きにあせりがちになります。

また息子さんなどに継承するためにも、もう少し中味をよくしたいと思われるのは人情です。

そこは考え方を変えて、
  100年で少しづつ進化すればよい、という考え方です。この背景には、世襲による継承が困難になってきている現実があります。

能力的なものや、環境等で息子さんが経営者に不向きな場合があります。
無理をしますと、会社も本人も不幸です。継承するためには、身内や親戚ではなくても適材を抜擢してバトンを渡すことも必要でしょう。

他人は信用できないから身内で、との選択された場合は、事業が何時終了してもよいように運営されることです。


現状から脱皮しながら強い事業体を作るには、

  かたつむり そろそろ のぼれ エベレスト  

          の句のように、先も見、目の前も見ながらすすむことです。

スペインの建築家、アントニオ ガウデイ の息の長い仕事ぶりが手本になります。とともに焦りも消えてゆきます。

このような考え方に立つて必要なことは何でしょうか?
整理してみましょう。

・事業の重要な問題に意識を向ける。

・不要な同情心をもてば運を捨てることになります。戦争と同様に非情なまでに利益を追求しなければなりません。戦場で敵に同情したばかりに、逆襲され命を落としたり、武器を奪われたりして、そのことが何倍もなって味方に苦労をかけるのと同じことをしていませんか。

・営利を求めることは人気稼業ではありません。非難されるかもしれませんが事業のためには、人からどのように言われても、辛抱しましょう

・したがって、意味のない値引、過剰サービス、は厳禁です。競争相手につけ込まれることになります。それをしたければNPOでして下さい。営利企業に徹してください。

・日本人に顕著なお涙頂戴の心性は不要です。

・財務を堅実にするために、会計土木をシッカリ構築する。


財務危機に陥らないように

一旦
赤字が出ても、会計土木が構築され、財務がシッカリしておれば、押し返すことができます。そこが堅固な会社は、中途半端に押されっぱなしでずるずると後退してゆくことはありません。

それどころか、一旦上昇気流に乗れば、伸びが大きいです。

財務から経営を見る目は、適性やセンスがいります。努力以外の要素です。会計学を勉強しなかった社長でも、どんどん「会計から経営を見る目」が備わってゆかれます。

不適な人は、幾ら勉強されても余り伸びません。学べば学ぶほど戦略性に欠け平凡なことしか頭に浮かばないようになって行きます。

不適と思う場合は、会計事務所に支援を要請することです。しかし経営者として基本だけは身につける必要があります。

すくなくとも
 自社の決算書を見られて、

    「強弱の勢いを機先において審らかにし、成敗の機を呼吸において決す」
                       (楠正成で有名な千早城跡の登り口に掲げられている 朱 瞬水の言葉)            
                  
                心境で、自社の数字をご覧になると、次に打つ手が見えてきます。

第25回 重要なことのマトメ

2010年1月7日
 事業の立ち上げから100年までを見てきました。

行動が第一であるものの、行動の基礎になる考え方を少し角度を変えて整理してみましょう。


1、タメが必要

事業を始めて、必要な費用を賄えるようになってきて、その次の段階は、

来客を断わるくらいの状況をつくること、と以前に書きました。
スグ対応して規模を拡張することは戒めなければなりません。

断るくらいの売上を確保できたら、走るだけではなく、一旦は立ち止まって、獲得した売上の質を吟味しましょう。

量的にはOkだからといって、質を吟味しないで勢いに乗って人員増強、売り場面積の拡張などに走るのではなく、足許をみましょう。

売上の全部を現金で回収する場合はともかく、未収金が残る場合には、その顧客の支払サイクルを分類してみることです。一見威勢が好い様でも、いざ支払となるとその顧客の「本性」がチラチラ見てきます。

約束した通りに払うのが普通のところ、徐々にわがままが見えてきます。約束の支払期日に遅れ始める。最悪は内金にして欲しいといい始めたら、貴方はその顧客を切ることを考えなければなりません。

毎月100万円程度を売り上げても、80万円を内入れされますと、残余の20万円は何時入金になるか分からないことになります。

この部分が底ダマリのように未収金として残ってゆきますと資金の流れが滞留していずれ大きな問題になります。いわゆる「勘定合って銭足らず」になります。損益計算では利益が出ているのに手許金が不足するのです。

これが大きくなりますと、その事業は、滞留しているその客に首根っこを押さえられてしまう結果になります。こちらの言うことを聞け、(困るのはアンタとこや)と次々に無理難題を吹きかけ間接的に貴方の事業に干渉することに繋がりかねません。

そのような弱い商売をしてはなりません。未収金が大きくなってしまえば「支配」を許してしまうことになります。

初期の段階で、「兆候」を察知し、そのような顧客にはご遠慮願うことです。



立ち止まって見直す効用はここにあります。もしあなたが当初の小さな成功のままに、規模を拡大するため、銀行の口車に乗って追加融資など受けておられたときに不良顧客の未収が大きな金額になればWパンチです。初期のツマヅキが命取りになる例をたくさん見てきました。

100人が事業を立ち上げて1年たって維持しているのは50人、2年たって維持しているのは10人、
3年たって生き残っているのは3〜5人といわれるのはこのことです。


もっと悪質なケースは取り込み詐欺です。物品販売に特有です。はじめの半年位は現金で支払って「信用」させ、そのあと大量に商品を買いつけ手形で支払う、あるいは内金払いにする、その後手形は不渡りになる、または本店を移転して行方知れずになって未収金は回収できない結果になります。


このように、獲得した売上の「質」をいろんな角度から検討して、いままで獲得した顧客を「ふるい」にかけることは重要なことです。

タメを作ることは断ることを決める、つまり「決断」することですから、一時的には売上の量は下ります。あなたは残念でしょう。しかし考え方を変えれば、質のよい顧客に売り上げて、資金の循環がよくなればジャンプできます。結果よしです。
 タメがあるからこそジャンプできるのです。



2、タメを作る時の考え方

誰でも人間は自己顕示欲、自己重要感があります。自我からくるものですが、事業は思うようにはゆきません。ココは冷静に見て立ち止まる必要があるのですが、大概のひとは後になってから、シマッタと後悔されます。


後悔しないようにしましょう、と言って、ハイ!ワカリマシタ そうします、と簡単には改められないのが人間の悲しいところです。

このように反射的に、口だけでその気になっても改まりませんが、基本の考え方をシッカリもてば比較的容易に、その考え方に沿って行動が修正されるものです。

この際、そノ考え方を次のように持てばいいと思います。
今は見直しの時期であるから、

事業規模を拡大しない。生活できない人が多い中で、自分の事業で三度のご飯が食べられる。成功だ!

・いまの循環でゆけば、銀行の融資話に乗らない限りは、借金は増えない、減る一方だ。借金に追われる人が多い中、ウチは成功だ!

・仕事の幅を広げないで、この分野では誰にも負けないと言う「わが社の専門性」を維持し、慣れない分野や中途半端な仕事しかできない分野に目を向けず、今してる領域を深め、専念すれば必ず成功する、と考えることです。

このように考えると気持ちに余裕が出ます。立ち止まることもできます。
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