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『会計力』が事業を育てる - 会計土木®の現場から

第26回 次にすること−経営者の役割、組織、そして会計の役目

2010年1月7日
 次のステップのために。


立ち止まって見直しがおわったら、何時までも立ち止まっていてはいけません。次の挑戦が必要です。

この頃になれば、事業の中に数人の人材が育ってくる時期です。と同時に顧客との間でいろんな問題が出てきます。



1、何が経営者の栄養か

人間が食物を摂って生命を維持するように、力が湧いて来るものがなければ挑戦力はなえてゆきます。

経営者の栄養とは、摩擦・緊張・対立であると思うことです。

事業の内外を問わず、経営にはこの3つの波が三点セットのように日々、繰り返し寄せてきます。

海に泳ぎに行けばわかりますが、プールと違って本物の波が心地よいです。自分が魚になったようでしかも波によって身が(体の筋肉が)締まるのがわかります。

経営者は海で泳ぐ時と同じように、事業の上で寄せてくるこれらの波があなたを育ててくれると思い、決して逃げることなく、波と親しむくらいの気持ちになりましょう。

経営を強くし、競争に打ち勝とうとすればするほど、貴方が強気に出て、不退転の決意で進もうとするほど二つのものが貴方に押し寄せてきます。

一つは上に書いた三つの波です。
もう一つは孤独の感情です。

前者に関しましては先ほどその対応の心構えを述べましたが、後者には、人間に関しての一種の割り切りをしてスッパリと複雑な感情の世界に入らないようにしましょう。

複雑な感情の世界の対処法の書物や研修が溢れるほどありますが、見えない世界でもありキリがありません。経営者として成果を挙げるのが貴方の目的ですから、違う世界には入る必要はありません。

人間は自己を守るためには、平気で他人を裏切るもの、と覚悟することです。
いい例えとして、会社の中のTOPが下の地位の者を見抜くのに3年かかるが、下の者は3日で上を見抜く、と言う話です。

これは私の経験からくる独自の解釈ですが、
下から上に来る情報は本当のことが少なく、偽りや曲げられたものが多いところ、一々上のものはそれを検証する時間も機会もない。下のものは上に対し自由に言い訳したり,仲間同士で 組んで、はぐらかしたり、同僚のせいにしたりして自分の身を守れますから、正体を見抜かれるまで3年かかるのです。
 TOPは一人のため常にすべてを一身にてうけるのと、身を隠せないから、3日で露見してしまうのです。


このような境遇の中で、売上を確保し、利益をあげ

売り上げなければ利益なし、
利益なければ会社なし、

の厳しい世界を乗り越えてゆくかなくてはなりません。

経営者は何が真実の情報かワカラナイと思うことがあるかもしれません。





2、私は3つのモノが経営者を応援してくれると考えています。

それは、会計の数字
     法律
     そして動物、できたら犬
がいいでしょう。

その理由は簡単です。数字は正直です。但し人間が記録し公表しますから操作は可能ですが、仕組である内部統制を上手く作り、外部の会計事務所や税務署の目を通して真実が見えてきます。

会計事務所は、会社のために「応援する外部の目」の役目ですが、会計事務所の能力にバラツキがあり、当り外れがあります。これは根の深い問題で、資格取得の道が多岐に別れていて能力・業務品質のレベルが一定ではない欠点があります。

税務署はPUBLICの立場から、調査します。税務署を嫌わないで「違った目で見てくれる」と思って税務調査に対応すれば、得るところが大きい場合があります。


法律は筋道を示します。法律は読んで字のとおり、さんずい偏に去ると言う字から「流れ去る」の意味で、法律に沿っておれば問題の発生を未然に防ぐことができ、問題が発生しても解決が早いです。

動物とくには人間のしもべとして世にいます。モノは言えないけれど人間の感情をまっすぐに受けとめてくれます。人間に裏切られるのが宿命の、経営者は癒されます。





3、経営者がしてはならないこと

それは事業体の中に「貴族」を作ってしまうことです。

国であれ、軍隊であれ、組織が崩壊してゆくのはその組織内に「貴族」がいて、能力がないところへ特権が与えられるだけでなく、権限のみ行使することから、全体が機能しなくなるのです。

全員が均等の機会を与えられ、努力した結果が公正に評価されることが大事な点です。中小企業の社長の息子さんなどは、人一倍の努力と勉強をされ、人の話を好く聞くタイプの人が、誰から見ても
納得され承継もうまく行ってます。

逆に不勉強、感情的、遊び好き、酒飲み、の4拍子揃ったうえ、生意気なばあいには「貴族」に該当します。人間はよほどのショックがない限り、自己の軌道は修正しませんから、そのような「貴族」的経営者を持つ事業体の先行きは暗いです。


貴族経営者がいる事業体の場合、もう一つの弱点があります。貴族以外の従業員はやる気をなくしますから、もし貴族経営者が病気などで第一線に立てない場合、他の従業員が運営できないので、その組織はイッキに崩壊です。

経営者は貴族を作らず、誰でも交替できる様に公平に教育することが必須です。
仮に裏切られても、想定内のこととして、気にしないで忍耐強く教育しつづけましょう。さもないと事業はモチません。人が重要なのです。



4、会計の役目

一人の人間は欲と見栄のかたまりですが、それが組織になると、
  ・不正
  ・面従腹背
が起こりがちです。

この傾向は会計数字にもハッキリ出てきます。数字を鵜呑みにしないことです。現象は預金、現金、売掛金(未収入金)、支払勘定(買掛金、未払金)、在庫などに出てきます。

「信頼できる会計事務所」に検証してもらうことです。

会計数字を正確に維持する努力、いいかえれば会計土木をシッカリ構築する努力は、いい組織、風通しのよい組織を作るためにも必須なのです。

繰り返しますが、そのことは、永い経営すなわち100年経営の道にも通じます。

第27回 コラム:鳥の目・犬の目  新選組、近藤 勇と土方歳三

2010年1月30日
 
人間が少なくとも二人以上になりますと組織を考えなければなりません。

この観点から、近藤勇と土方歳三の特徴と役割をみてみましょう。


土方は隊の規律や規則にうるさく、「士道にそむくまじきこと」などのルール破りをした隊士や幹部を切腹させた酷薄な人物と伝えられています。

一方、近藤は懐が広く、全てに鷹揚で切腹をさせようとする処分を決めるときに、何とかならないのか(助けてやれないのかの意味)と言ったりしたようです。


組織では、近藤のような人だけであれば、そこは人間ですから、要領をカマしてずるをする人間が出てきて、あっという間に組織全体が染まってしまい、その組織は役立たずになるでしょう。

逆に、土方のようなタイプがトップであれば、一々細かい点を追及されて、組織に属するメンバーは息が詰まってしまうことになり、萎縮して力を出せないことになります。


ところがNO1が近藤のように鷹揚型で、補佐役が厳しい場合は、規律が緩まないために、あの激動の時代のなかで実績を残せたと考えられます。


土方は自分が嫌われ者になることを承知で、武州日野の同郷で、天然理心流の同門でもある近藤のためにその役に徹したようです。近藤が慶応3年に下総の流山で官軍に捕まって以来、土方の宇都宮から会津、五稜郭までの動きのなかでは少し違った人物像が読みとれます。有名な洋装の写真(函館で撮影したようです)の人相はゆったりしています。当時、彼は函館政府の陸軍奉行並でした。



肝心なことは、意識して組織(会社)のために悪役になれる人材が重要なのです。実例でも、甘い二代目社長のために古くからいる専務や部長が泥をかぶったため、強い会社に成長した事例はよく見ます。

なかなかこのような人物は見つけにくいし、今どきは希少価値ですが、陰と陽、プラスとマイナスが合って初めてうまく行くように思います。


土方のような人物がいることで、一番の恩恵を受けるのは社長なのです。さもないと社長が近藤と土方を一人二役ですれば、結局、社長がガミガミカリカリして従業員との間に溝ができてしまい、その組織は面従腹背という恐ろしい組織風土になってゆきます。

人件費を幾ら払っても、給与を上げても成果には繋がらないことになります。

第28回 コラム:枝道・わき道  江戸の裁判

2010年2月27日
 江戸の裁判


 先日、鳩山総理が最近購入された本のリストに入っていた大著「逝きし世の面影」の著者である渡

辺京二氏の「江戸という幻景」(弦書房刊)という本の江戸時代の「法と裁判」のところを読んでいます

とオモシロイ記述がありました。


 裁判の数は享保三年で47,731件ですからかなりの数です。評定所という役所で双方が言い分を

主張し1年くらいかけて争うのですが、裁判官に相当する奉行は衡平を図るため言い分を十分に聞き

だそうとします。


 争いより調停のような感じですが、話が決着して捺印が済んだら「双方に一汁三菜の夕食が出た」

と書かれてあります。(239頁)

 この当時の日本人は争ってもその中に和やかさがあったようです。キリスト教に由来する審判とは

文化の違いがあるようです。


 私は、この文化はまだわが国で色濃く残っているように思います。

それが残っているのは税金についての税務署と納税者の「争い」です。双方が言い分を遠慮なく伝え

合うところがあり、よほどのことがない限り裁判にはゆきません。ある程度納得した状態で決着しま

す。裁判になるのは、よほどの例外事案です。

 決着しても税務署では食事は出ませんが、お茶は出ます。話が長引くとお代わりも淹れてくれま

す。このお茶を飲みながら、やはり日本だなーと思います。




 

第29回 事業継続は世界共通の問題!

2010年6月26日
 世界がフラット化すると、世界という容れもののなかで分業が進みますから、少しでもコストの安いと

ころを求めて急速な資本移動が行われます。

 このため中小企業はもとより、巨大企業においても興亡のサイクルが早くなってきています。今ま

での路線を踏襲しているだけでは危ういのです。

 製造業でもEMSにより、製造は外国の製造を専門にしている、いわば受託生産専業企業へ任せ、

商品コンセプトのみを自社で練る傾向になってきています。


 こんな中で、事業が継続してゆくためには次の5つの関門を通過しなければなりません。

1資金、 2売上獲得、 3後継者の育成、 4商品・技術開発 5会社内部の問題

 そしてこれらの諸問題に共通するのは、今のわが社の状態はどうなっているのか、を知る計数の把握です。


 これからはこの計数「でわが社の諸問題がどこに隠れているかがわかるためのコツを、分りやすく

説明させていただきます。

第30回 事業継続の5つの関門について

2010年6月28日
 上記の1〜5に関しまして、少し補足します。

重要なこれらの5要素にはいくつかのキーないし前提があります。簡単に記しますと、


1、資金:のキーワードは仕訳日記帳を読むことを習慣にすることです。経理オンチでは経営はできません。

2、売上獲得:のキーワードは売り上げの質と量が大切です。

3、後継者の育成:大事なことは、世襲を前提にしない、ことです。

4、商品・技術開発:進歩に有限はないので、かなり先を見なければなりません。

5、会社内部の問題:人間の善と悪の二面を見据えて懐疑的であらねばなりません。お人よしでは負けます。


上記を縦糸とすれば、横糸はは計数の把握、つまり会計土木の構築です。

さらに加えれば、「身の丈にあった国際性」を持つことです。世界がフラット化して、企業の大小に係わらず、日本の中だけでは、大きな伸びは期待しにくくなってきました。

 筆者の身近な企業を見てみましても、売上・仕入または外注のどちらかを海外と取引している企業は強いです。日本という箱の中だけでは、利益の底は浅いのです。

 このことは、ビジネスの相手を日本人だけにしてゆくのではなく、外国の人と交渉ごとなどをして行くことがアタリマエになってきました。相手はあの手この手できますから、単純にはゆきません。裏の表くらいまで読んで、すました顔で泰然と動じない態度も必要でしょう。

 戦史や軍事の事跡研究などを通じて、交渉のコツを身につけておくことも役立ちます。人間の競争の世界は、すべて闘いですから、しぶとさと強靭な精神力が必須です。

 私は孫子に関する書物を一冊は読まれることをお勧めします。米国のビジネススクールの教科書売り場では、英訳された孫子本が並んでいます。日本ではこのようなことはありません。だからこそ強くお勧めします。

知らないところで差がつきます。

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