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『会計力』が事業を育てる - 会計土木®の現場から

第36回 資金と付加価値

2010年7月8日
 社長が日々の取引を数字の面からみてゆかれると、売上高と原価の関係が気になってくると思います。


簡単にいえばこの差が付加価値です。粗利益と言い換えることもできます。

但しお断りしておきますが、ワカリヤスクするために、細かい点は脇において説明させていただきます。在庫の増減、仕掛中の制作物などは付加価値に大きく影響しますが省いています。


売上が記録されますと、このコスト(Cost)はいくらっだのか、大きな売り上げの場合には特にひも付きにして、その原価を把握してください。

仕入付随費用や外注費など売上に連動するコストも加算します。


そして差額がどれくらいあるか見るのです。差額が大きいほど利益の幅が大きいのですが、年々この幅が下がってきています。

その理由は
  1、競争が激しいので叩かれて売値が伸びない
  2、仕入や製作費用は足下を見られて下げられない。
  3、難しい工程を外注にしているのでその部分で利益が食われる。

                                          などと思います。


次に商品群に分けて上記の作業をしてみましょう。


高い付加価値を得ている商品グループと、その逆があります。

その理由をよーく考えるとともに、商品群の幅がありすぎて(何でもやりすぎて)粗利益率が落ちてきていませんか。


勝負する場所(ドメインといいます。または戦略領域と申しましょうか)を思い切って狭めることが集中力を増すことに繋がります。

粗利が下がってきているのに、そこから支払う費用(expense,固定費ともいいます)はそう減少するものではありません.


間接人件費も含めますと、人に関する費用は粗利益の60%くらいになってきています。


ここで何を考えるべきか、、

守ってばかりでますと、徐々に右肩下がりで粗利は下がり、費用はどちらかといえば横ばいか少し上がってくる。まさに前門の虎、後門の狼です。



わが社の勝負するべき場所で「挑戦」するしかありません。

危険を伴う意思決定をすることができるのは経営者しかいません。

責任も社長一人で取る覚悟が必要でしょう。それが社長の役割です。


 このように、
資金の動きを日々見ておられると、じりじり後退していってるか、攻めにいってるか資金の増減の動きとともに、利益率の動きもそのことの裏付けを示してくれることがわかります。


不退転の決心をして前に進みましょう。
 CostやExpenseのことは決心してから考えたほうがいいでしょう。なぜなら出るお金のことを先に考えると、考えが小さくなります。

第37回 意思決定と税金・改正法人税・IFRS

2010年7月9日
 意思決定の話が出ましたので、ここで意思決定と税金のことに触れておきます。

同時に、最近の法人税法の改正や国際会計基準IFRSについても、みなさんの会社にとって関係があるのかないのかを判断されるために、最小限ですが私の考えを書かせていただきます。


1、誤りのない意思決定をするには、できるだけ計数を使って物事を数量化してゆくことです。分らないのは人の心ですがこれ以外はある程度まで数量化は可能です。


例えば、家を建てようか、今のままでゆこうか、というばあいを想定してみます。
初めに、コストはいくら掛かるの?
いま我が家にはいくらのお金があるの?
不足分は、銀行から借りれるのか、借りれない場合はどうするの?

これらがはっきりすれば、建てるか建てないかは決められます。とくに重要な点は「どのサイズの家を建てようとするのか」がハッキリしないとコストも決まらず、決めごとは進みません。

どうしたいかの青写真が決まることが要点です。



こうすることによって、感情に左右されず冷静な判断ができます。


道をどう選択するかは数字で決まるということを認識しましょう。


税金についても、誰でも払いたくはないのですが、可能な限り節減して数字が固まれば、後は払いかただけですから、経営者としてはすぐに頭を切り替えて明日のことに頭と体を向けなくてはなりません。



事業の経営は戦争に似たところもありますが、異なる点は、利益をあげて継続することが大切である点です。事業を継続してゆくなかで意思決定するべきことはどんどんでてきます。

このため以下に注意しましょう。

1、法に触れることはしないこと。

2、数字で価値を判断する。

3、物事の全体を上から(鳥の目で)見る。

4、「もしこうでなければどうなるのか」との逆の仮説も立ててシミュレーションしてみる。

事業は価値の創造です。だから不毛の争いほど「創造」の足を引っ張るものはありません。


世の中では争いが増えていますが、あなたの会社は涼しい顔して争いのない無人の野を行くようになってほしいものです。

こちらが涼しい顔をしてても、税金や会計では、相手のルールのほうがコロコロ変わってきて企業はその干渉を受けます。


これは避けられません。


2、ことほど左様に、法人税法では、今年から一定の企業同士はグループ法人とみなされて税金の扱いが強制的に、普通の法人と異なることになりました。


数年前から、法律面と会計基準の世界で組織再編の規定が大きく変わり、その事例が増加しました。最後の仕上げとして法人税のグル―プ法人税制が出てきました。


法律や会計でグループ化が進んだ背景は、アメリカの要請であると私は見ています。

その根拠は、米国通商代表部(Trade Representative)の対日要求書(Submission)の「商法および司法制度改革」の項に見えます。インターネットでだれでも検索できます。日本語で読めます。


アメリカの要求にそってなぜグループ化が進むのか、この答えは誰も書きません。

私の見方は、グループ化しておいて、美味しい企業グループを外国資本が一呑みでそれらの企業群を買収しやすいようにする布石ではないかと考えます。


中小企業はこれらの動きから距離を置かなくてはなりません。

あなたの会社が成長して、中小企業の枠を超えてきたら、銀行系のコンサルタント会社などが
分社と統合をして事業を再構築しませんか、と声をかけてくる場合があるでしょう。

その勧めの裏に何があるのか、どうしてそのことが必要なことなのか、よーく検討しなければなりません。



3、IFRSも、マスコミでは黒船が来た、と言わんばかりに書かれ、書店ではその解説本が平積みになっています。

この制度は連結決算をする会社が対象ですから、殆どの中小企業は関係がないのです。

またこれが出てきた背景は、ものづくりができなくなってしまって、金融や投資でしか活動できなくなってきたアングロサクソンが、従来の利益概念を勝手に拡張して「包括利益」Comprehensive Incomeというシロモノを作りました。

この「利益」は、金融資産を保持しているだけで値上りしたら、この値上がり分も利益に取込むというものです。

物を作って売って、そこから原価(cost)や費用(expense)を差し引いた<本当の>利益だけでなく保有で生まれた差額も「利益」とする強引な利益概念の拡大に見えます。


日本の中小企業は、自己の優れた点のみを強めて事業継続に努力することで生き残ってほしいと思います。

その事業体には優れた点があるのですから、やたらと右顧左眄しないで進みましょう。




「敷島の大和心を人問わば、朝日に匂う山桜花」―本居宣長―の心意気で、

山奥の桜のように迎合しないで自己の特徴を堅持することも必要です。









第38回 事業継続の5つの関門  その2 売上獲得

2010年7月12日
 この部分でのポイントは、質と量の両面から事業にとって必須の要素である「売上」を見ることです。



売上の量ばかりに目がゆきがちです。

では売上の質とは何でしょうか?


何業であれ、自社の方針と合わないお得意先への売上と、自社のコンセプトをよく理解していただいたお得意先への売上は、全く違うということです。

社内の雰囲気や担当者の出すエネルギーも違います。



分りやすい例を考えます。

もしあなたがカラオケスナックを経営され、スタッフが数名いるとしましょう。


あなたのお店の事をよく理解してくれているお客様と、自分勝手で内心好ましくないと思っておられる客様が、同じように5万円支払ってくれる場合を想定します。

おかねに区別はないのですが、スタッフの乗りが違うのです。


スタッフの乗りのよさは、新たに来られた他のお客様にも伝わって、お店全体にエネルギーが満ちてきます。

この逆の場合は、店の空気や波動にもマイナスが出てきます。




数字の上ではその日の売上高5万円でも、質のよい売上高は波及効果があります。


次回は、売上高に原価が連動する製造業について「売上」の量と質を見てゆきます。



第39回 売上の質と量―製造業の場合

2010年7月13日

前回の、サービス業と違って製造業の場合は、

単に顧客との相性からくる波及効果だけではなく、質を求める場合と量を求める場合とで製造設備の

大きさ、製造要員の数、協力工場の範囲のどのいわゆる製造のためのキャパシテイの大きさに大き

な違いがあります。



最近はこのキャパシテイを海外に求める事も常例になりつつあります。


従来のように、作れば売れる、売ればもうかった時代と違い、

生き残りをかけた判断をしなければならない現代では、漫然と量を求めることはキャパシテイへの資

本投下が半端でないため、経営としてはやりにくい方向に行くことになります。


また量を求めることは製造品目も多岐にわたることに繋がりますから、戦線は伸びきることになり、

後方支援の兵站線も同時に伸びきって、薄くなりますから、一点がほころびますと全体がすぐ影響を

うけることになります。



軍事では敵に裏へ回られて背面から攻撃を受けることと同じようなモロさが出てくるのです。

このことが量を求める「中小製造業」のアキレス腱と思われます。


質を求める道は、少品目につき、十二分な研究を重ね競争相手にも価格、品質で負けない形です。


質を求める形態の場合は、

製造設備は多岐に亘らず集中的に投資し、製造要員は少数精鋭でしかも雇用も安定して人の出入

りが少ないし、下請け先もしっかり掴んでいる状態を維持できます。


経営のサイズは小型でも逆八の字型重深陣地(鶴翼の陣:鶴が羽を開いた姿で相手を包み込んで殲滅する)になり、少々のことでは破たんしません。


中小製造業で比較的うまくいっているところはこの形態です。得手に帆をあげて、得意な分野にすべての経営資源(時間さえも)を集中します。


最近のことですが、世界的な超有名企業との取引を恒久的に断ち切った私の関与先があります。

その有名企業は発注量が多いので、受注すれば売上高は大きく伸びるのですが、発注量にバラつ

きがあり、発注量の多いときに受注すれば設備・人員も大量に揃える必要があり、注文が減少すれ

ばたちまちアイドルが発生します。


その上、上代が値崩れすれば付加価値は取れません。その大手を切ることによってその会社はブレが少なくなり、少ない経営資源を集中することができます。

見事な社長の決断と思います。

第40回 売上さえあれば、、、

2010年7月15日
 実際に売上さえあれば、事業はなんとかなるという点があります。


費用はお金を持っている此方が主人公ですから、思うようになります。

思うようにならないのはホント、売上だけです。売上の源泉のお金も相手が持っていますから、払ってくれなければどうしようもありません。


昔からこの点が大きな問題でした。


しかし情報がこれだけ張り巡らされ、集積されますと、売上を得る方法は大きく変わってきました。

電話での勧誘、訪問での売り込み、ポステイング、などははやりません。逆効果になります。

でも今だにこのたぐいの売り込みが多いです。


攻勢をかけられるほうにとっては、相手の立場が見え見えです。ここまで追い詰められているんだなーと思い、そんなところから買わないよー、という気持ちがつのるだけです。


ほんとうに逆効果です。


接待も古くなってきました。何回もクラブやゴルフで接待されればされるだけ、

そんな余裕があるのなら、仕切り値を下げてよ、というところに行きます。


取引データの集積で、相手がどのくらい利益を得ているかは見えるようになってきました。

担当者だけが接待で利益を受けることも、内部統制の強化で無理になってきました。

透明性と合理性が要求されます。



現在は、よいものは自分で捜す、時代です。インターネットをはじめ捜す媒体には事欠きません。

自社の提供するものが、相手に本当に必要とされるか、を謙虚に見直すことがとても必要です。




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