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納税者と税理士の紛争事例から学ぶ

第13回 アメリカ国籍の相続人が会計士に相続税の申告を依頼して、財産評価などに誤りがあったケース(その3)

2019年4月2日

以上の結果、依頼者側の請求要素である下記3点のうち

 1・相続税額

 2・延滞税・加算税

 3・弁護士費用

1の相続税額の部分を損害賠償に加えることは退けられ、2と3が損害賠償額になりました。

1の相続税額の請求額が2億3000万円であったので賠償額は大きく下がる結果になりました。

 

要約すれば

本税については損害賠償の対象ではないが加算税、延滞税は会計事務所の誤った行為と因果関係が

 あるので会計事務所は債務不履行・不法行為責任を負うとされました。

・財産評価の過大という誤りは遺言書の存在で実害なし。

・国籍の誤りはそのために債務控除ができないところを債務控除したので増差税額が出ましたが税額 

 の会計事務所への負担はなく、それを原因とする加算税、延滞税の部分につき賠償が命じられまし

 た。

 

 なお会計士は仕事をしたのは部下であるから自分に賠償責任はないと主張したが、会計事務所の経営者である以上、補助者に仕事をさせても責任は免れないとした。当然のことと思われます。

 

このケースから学ぶこと

1、事前と事後の区別

 相続が開始する前の事前相談や相続税試算などの予測計算業務と、相続開始後の予測計算と本番の申告と3段階があります。それぞれ毎に請求額を契約において明確にすることと先の段階の結果は資料の集積や変更によって、上書きされることを念のため記しておくことが重要と思います。

 

 しかも遺言がある場合と遺言がなく、遺産分割協議が相続税の申告期限までに整う場合と分割が無理なばあいのように状況の進展に沿って契約内容をフレキシブルに変えていくことが必要でしよう。

 

 例えば、預金の口座が10口あると初めに通帳を示されたが、その後「これもありました」、と徐々に出てきて20口になった場合には「試算」の結果は大きく変わることになります。

 

 そのうえ名義が被相続人でないモノや、他人名義のものが被相続人の預金と考えられる場合もあるから被相続人の預金口座が決まるまでには時間が必要になります。

 

 さらに相続開始前3年間の口座出入の推移や、相続開始日前後の預金の動きによっては相続財産に変動が出る場合が多々あります。

 このように「流動的」であることを前提にした契約にしておかないと、変動後の税額の変化で相続人が不利をこうむる場合には損害賠償に繋がるおそれがあります。

 

海外との人の行き来

 日本から外国へ行って外国の居住者に該当する人が日本の土地を日本の大手不動産会社に売却した場合で、言葉や皮膚の色などの外観が全く日本人であるが非居住者であった場合、その不動産会社に(国内源泉所得ゆえ)20%の源泉徴収義務ありとの課税につき、争いがありました。

 

 このように、どこの居住者かの確認だけではなく、相続税法では国籍も確認しないといけない時代になりました。税負担の差は大きいものがあります。

 

参考 tains Z999-0145

第14回 ハワイのコンドミニアムなどが相続税の申告書に洩れていた原因は依頼者、税理士のどちらにあるのか

2019年4月3日

 相続税の申告の際、ハワイにある財産が申告されていないことが国税局の税務調査で明らかになり、依頼者は追加税額を追徴されただけではなく、これ等の財産を仮装隠蔽したとして重加算税をかけられたケースです。

 

 相続税の申告においては重加算税が課されますと偶者の税額軽減の規定(配偶者の納税負担が少なくとも半分になる特例)が使えないため、大幅な追加納税になります。

 

 依頼者は納付した追加分の相続税額+重加算税+過少申告加算税+延滞税の額+税理士報酬額の合計額を損害賠償として請求した。金額にして約1億2000万円であった。

 

(結 果)

 依頼者に海外資産を隠す意図があったこと(過失相殺)を認め、賠償額は7,423万円にて控訴審で結着した。損害の原因は重加算税分4503万円と配偶者税額軽減を受けられなかった部分の金額6101万円の合計1億0605万円から依頼者の過失を3割認めて減額しました。

 

 海外資産について申告が必要であると言った、聞いていないの水掛け論になっています。

双方の言い分を詳しく見てみましょう。

 

依頼者:税理士は初めから海外資産は国が違うから申告しなくてよい、といった。税務調査の直後にも「依頼者として海外資産のことを調べましょうか」と税理士に申し出たが「その必要はない。わかったらそれから考えましょう」との返事であったのでそのままにした。

 これは誤った指示である。この言葉から税理士の側に隠蔽の意図がある。こちらは税法のことは分からないのであるから、きっちり必要なものは必要と指示するべきである。

 

税理士:全ての資産に関する資料の提出を求めたのに応じず、秘匿した。よって与えられた資料の範囲内で相続税申告書を作成した。相続人である依頼者は、海外資産の存在を知りながらこちらにそのことを伝えなかった。

 伝えてくれれば申告に反映させた。海外資産の申告漏れが生じたのは税理士に依頼者が伝えなかったのが原因である。当方との契約をやめて新たに依頼した別の会計事務所から修正申告を提出しているが、ここへは海外資産を計上していることは、自ら海外資産を隠していたことを証明している。

 

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参考 tins Z999-0131,Z999-0134

第15回 ハワイのコンドミニアムが相続税の申告書に洩れていた原因は依頼者、税理士のどちらにあるのかのケース

2019年4月4日

 このケースでは、追加税額6101万円、重加算税4503万円で重加算税が課されなければ損害額も大きく減少しました。重加算税が課される根拠は「隠す意図」があると認定された結果です。

 

 問題は依頼者が税理士に隠したのか、税理士が依頼者に隠すことを勧めたのか、見て見ぬふりをしたのかです。記録を読めば、少なくとも税理士から隠すことは勧めていないようです。これをしますと税理法の懲戒処分がこの税理士には待っています。

 

 秘匿を勧めてはいないけれど、依頼者からハワイの資産の存在の申出がなかった、が税理士の立場で、税理士から強く問い詰められればハワイの資産のことを申告した、というのが依頼者の立場のようです。

 

 野球のフライを外野手同士が譲り合って真ん中に落ちてヒットになった話を連想してしますが、この一歩を踏み込まなかったことが何千万円の損害賠償の争いになっています。

 

結局のところ責任はどちらにあるのでしょうか。

 

結果は下記のような理由で、双方に責任があるとの結論です。

1、税理士が強く海外資産のことを調べる態度を持たなかった点を「落ち度」と指摘しています

 

 ・税理士も正しい申告をするためには依頼者からの資料で漫然と仕事をするべきではなく、疑わし

  い場合には追加の資料を強く求めることをして充分な資料を得るべであり、それをしていないこと

  は注意義務違反である。税理士が問いただせば資料が出てきた。税理士がまず聞くべきであるのに

  しなかった。

 ・税理士が「全ての資料を依頼者に求めた」との反論は、その事実を証する証拠はないので、認めな

  い。

 ・重加算税が課せられたことと税理士の相当の注意義務には因果関係がある。

 

2、他方依頼者にも下記の理由で過失があると認定しました。

 

 ・依頼者はハワイに資産があることを亡夫から聞いて知っていたのであるから、税理士に積極的にそ

  の事実を伝えることを怠った。

 ・依頼者にはハワイの財産を隠す意思が認められる。税理士にはこの原因はない。税理士はハワイ 

  財産が記載されていない相続税申告書を依頼者の面前で説明して捺印させている。

  依頼者側に秘匿の意志がある。

 

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参考 tains Z999-0131,Z999-0134

第16回 ハワイのコンドミニアムが相続税申告書に洩れていた原因は依頼者、税理士のどちらにあるのかのケース

2019年4月5日

このケースから学ぶ事柄

 

解説の中では大きくは取り上げられていませんでしたが、以下のことが印象に残りました。

 

・税理士解約、交代

税務調査が始まって海外資産について調べが始まってから、依頼者はこの税理士を断り、他の会計事務所に依頼し、途中からその会計事務所が立ち合いをしています。

 

従来の税理士は病気であったところ悪化していましたので任に堪えられないとして「できることは協力します」とのFaxを依頼者に送りました。

 

その前に依頼者(被相続人の配偶者、女性)から「もう顔も見たくない。今後会わない」と言われたと税理士の家族は陳述しています。ところが当の依頼者は、そんなことを言っていない。降りるとのFaxが来てびっくりしたと述べています。

 

ところが、依頼者は「税理士が放り出したので海外資産に関して調査官に説明できなかった、非は税理士にある、自分には責任はない」と主張しました。

 

税理士を変えたことは間違いありませんから、これまでの税理士の海外財産に対する不満が、税務調査で表面化したものと思われます。

 

・ものの言いかた

依頼者は税務調査が入りますと感情的になりがちですので丁寧な、しかも穏やかなものの言い方をする必要があります。私なども依頼者からは聞くに耐えない言葉を掛けられたことは何回もあります。「そのような言い方をなさるものではありませんョ」と電話での会話で、相手が録音をしていることを知った上で、いさめたことも何度もあります。

 

乱暴なものの言い方は不利になるばかりです。

 

・税理士死亡

この税理士は、裁判が始まってから病気が悪化し亡くなられました。裁判を継承したのは税理士の相続人(妻、娘、息子)です。

この辺から双方に感情的なやりとりが見えはじめます。言った言わないなど。

 

死人に口なしの不利な状態もあったのではないでしょうか。

 

以上をまとめますと

・証拠がなければ事実は存在しない口で言ったことは残らない。犬の遠吠えにならないように。

 このケースでは必要な資料を求めるには必ず紙で示し受領サインをもらうことが有効でした。

 

・「海外に資産はありませんか」の一行も必要でしょう。

 

・申告までの打合せをした場合は、メモ程度でも良いですから要約を紙に記録し、控えにサインをも 

 らうのが良いでしょう。状況や与件が変わった場合はなお重要です。

 

・調査の中途で海外資産について調査官に質問され、依頼者が税理士にどうしたら良いか聞いた場面で

 税理士が「分かったら分かった時点で考えましょう」と答えています。一旦申告したら、その後の調

 査では調べるだけ調べていただいて、何か出てきたらその時点で考えるとの「業界の慣習」?

 がありますが、このことが言えるのは調べるべきを税理士として十分に手を尽くした後に言え

 ることではないでしょうか。調べるべきを充分に調べることをしなければ注意義務違反、債務不履行

 になると考えなければなりません。

 

・死んでも訴訟が追っかけてくる。家族に禍根のタネを残さないように注意義務の完全な履行が求めら

 れます。

 

参考 tains Z999-0131,Z999-0134

第17回 ハワイのコンドミニアムとハワイ預金が相続税の申告で洩れていたケースの問題点 (続)

2019年4月8日

 損害賠償額の中味は4月3日号のように「重加算税4,503万円」+「配偶者に対する相続税額軽減条項の適用を受けられなかったことによる追徴税額6,101万円=1億0605万円でした。ここに依頼者の過失相殺3割を乗じて7423万円の賠償になりました。

 

 税理士は税務専門家として適正な申告をする義務があるところ、踏み込んで海外資産(ハワイのコンドミニアムとハワイ預金、以下同じ)の資料の提出を求めるべきを、その任務を怠り国内資産の資料のみで相続税の申告をした注意義務違反がある、という理由です。

 

率直な疑問があります。順次詰めて行きましょう。

 

・依頼者側は海外資産の存在を知っていたのに税理士に積極的に資料を開示しなかったとの理由で過失相殺3割、税理士の責任7割はオカシイのでは?

 

・税理士側の、提供された資料によって申告するので良い、との姿勢は一般的な注意義務の水準であると思います。しかし税理士は税務調査官ではありませんので調査権はありません。このような調査義務を超えた義務を課すことは、委任契約の範囲を超えているのではないでしょうか?

 

依頼者の税金を税理士が賠償として肩代わりする義務があるのか?

 

・重加算税がかかる要件は隠蔽・仮装です。果たして隠蔽、仮装の事実があったのか?

<国税庁の「相続税及び贈与税の重加算税の取扱いについて(事務運営方針)」では隠蔽仮装の例として相続人等(税理士も含まれると考えます)が資産を隠匿した場合が挙げられています>

 

・配偶者の相続税額軽減の適用を受けるには、遺贈された場合は別として、海外財産が配偶者に分割されていなければなりません。所在が明らかでない財産が分割されていることはあり得ません。相続税額軽減を受けられなかったのが損害賠償の理由の一つですが軽減条項の適用を受けられないこの場合は「損害」を与えたと言えないのではないか?

 

・一般には納税する側は税額を少なくしたい気持ちが働くものです。それが自然のところ、税理士はその流れに乗ることはなく積極的に隠匿に協力してはいません。

第18回 ハワイのコンドミニアムとハワイ預金が相続税の申告洩れであったケース:重加算税がキーワード

2019年4月9日

重要な点はこのケースで重加算税が課されている点です。

 

 重加算税は、仮装隠蔽がされた場合に課されることは前に記しましたが、更に詳しく見て行きまししょう。

 

 根拠になるのは国税庁ホームページでも見られる「相続税及び贈与税の重加算税の取扱いについて(事務運営方針)」です。運営方針ですが国税内部組織への通達です。法律ではありませんので納税者に向けて規制するものではありませんが、重加算税の賦課は国税がしますから、この事務運営方針で重加算税が課されるか否かが決まってきます。一旦課されたら不服審査手続きや更には取消訴訟で国と争って勝たなければ処分の取消はされません。

 

 このケースでは税理士も死亡しているからか重加算税について争っていないようです。

仮に重加算税が課されなかった場合、損害額はどのように変わったでしょうか。

 

重加算税が課されなかった場合の損害額

1、配偶者の相続税額の軽減が受けられますから追徴税額6101万円は生じません(遺産の分割がされていない場合は配偶者の相続税額軽減はもともと適用されない、との私の指摘はここでは一旦、脇に置きます)

 

2、重加算税は増えた税額の35%が課されるのに対し、過少申告加算税15%で済みますから逆算しますと1,929万円の税負担で済みます(重加算税額4503万円÷0.35×0.15=1,929万円)

 

 このように損害額は配偶者軽減分6,101万円→ゼロ、重加算税4503万円→1929万円となり、合計で1億0605万円→1929万円で収まります。

 

 国税庁の事務運営方針が示す「不正事実5項目」の(1)から(3)は相続財産の改ざん、偽造、変造、価額圧縮などですから該当しません。該当すると考えられるのは(4)の相続人や税理士らが「課税財産の存在を知りながらそれを申告していないことが推認できる」場合や、(5)の「課税財産が遠隔地にあったこと、を利用してこれを申告しなかったこと」が該当すると考えられます。

 

 重加算税を課した国税局は、依頼者(納税者)と税理士のどちらが主導したかにかかわらず(どちらであっても事実として(4)や(5)に該当するので課したものと考えらえます。

 

 ここで注目すべきは、法人税や消費税などと異なり、相続税の場合に限って不正事実を行なう主語が「相続人又は相続人から遺産の調査、申告等を任せられた者(以下相続人等という)」と一括りにされている点です。ここで「相続人から遺産の調査、申告等を任せられた者」の意味する範囲ですが申告を任せられた者とは税理士しかいません。偽税理士も含まれると考えますが、このケースでは税理士が該当します。

 

 しかし「相続人から遺産の調査を任せられた者」の範囲は広いです。銀行やその他のお仕事も含まれるでしょう。この点は、本当の原因を作ったヒトが隠れている可能性があります。

 

 表に出た依頼者(相続人)と税理士双方の不明瞭さが多額の損害賠償の火種になりましたが、このケースにはもっと別の問題があるかもしれません。穿って言いますと表にでた両者のどちらかが、或いは他の誰かが嘘をついていた可能性は否定できません。

 

参考 tains Z999-0131,0134

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