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会計と税の見かた、考え方ーむつかしい時代を乗切るために

第41回 悪化する環境を乗り越える・・・倒産類似企業にならないために4

2018年4月19日

 運転資金の借入金のターニングポイント(方針変更点)は次のように考えます。

 

損益計算書の利益+減価償却費+(受取勘定残高の期間減少額)+(支払勘定残高の期間増加額)+(在庫の期間減少額)-既存の借入金返済元金)<新規借入返済元金になる時は、新規借入をストップする時機です。

 

*損益計算書の利益と書きましたが赤字(損失)の場合はマイナスで計算します。期間減少額と増加額もマイナスの場合はマイナス

 で計算します。減価償却費と借入返済元金はマイナス(負数)はありませんから常に正数です。

*受取勘定残高とは貸借対照表の受取手形、売掛金、未収入金の残高の計を指します。

*支払勘定残高とは貸借対照表の支払手形、買掛金、未払金の残高の計を指します。

*期間減少額の期間とは月でも半年でも年でも良いです。照応して月なら損益計算書の利益や減価償却費も月で把握します。借入返

 済元金も月額によります。同様に半年なら半年、1年なら年額を用います。

 

例:卍商事(謎 深志社長)のデータは次のようです。すべて1年間で単位は万円です。

 

損益計算書 利益100  減価償却費300 受取勘定の期間減少額400 支払勘定の期間増加額500  在庫減少額ー600(期末在庫は前期より600増加していましたので「減少額」からはマイナスします) 既存の借入返済元金月額50万円、なので年額600の返済があります。この返済額には設備資金の借入返済元金も加えます。なぜなら資金が流出することに変わりはありませんから。

 

計算結果:100+300+400+500ー600=700・・・この金額が営業キャッシュフロー(営業の資金余裕)と考えます。投資活動はないとの前提ですので700が卍商事のフリーキャッシュフローでもあります。

 

700フリーキャッシュ-600借入返済の金額=100・・・運転資金を新規に借り入れるならば年間返済額100の枠内にとどめるべきでしょう。

 

ポイント:借入を考える場合は設備資金の借入金は別枠で考えますが、運転資金の借入枠を考える時には設備資金の借入返済額を加える点です。優先すべき基本は、設備資金の借入であること、運転資金のための借入は設備資金の返済を考慮した残りの枠で安全にと考えることです。

第42回 悪化する環境を乗り越える・・・倒産類似企業にならないために5

2018年4月20日

「会計事務所は引っ込んでおれ、(建物も含め)大きいところが信用できる、という言葉を4月17日号でご紹介しましたが、これまでと違って、これからは大きく変わりそうです。大きいところがアブナイことになると最近の本では書かれています。

3大アブナイところは

 ・銀行

 ・百貨店

 ・地方自治体  らしいです。

 

 理由など詳しいことは書籍を読まなくてもNetを探せば話題に事欠かないでしょう。そして自分で考えれば納得がゆく結論になると思います。私たちは、これまでの考え方ではとらえきれない大きな曲がり角にいることに自覚と、権威や巨大なモノから発せられる情報が?では、と懐疑的にみることが重要です。さもないと曖昧で意味不明な日本語という言葉を操って、本音と建て前を使い分けることが横行する中で、事実を確認しなければ道を誤ります。最近のTVの報道でも、言った、言ってない、会った、知らない、など真っ向から相反するコメントが飛び交っています。

 

こんな時、役に立つのは下の二つと思います。

 、行動を見ればワカル Actions speak louder than mouths(行動は口より雄弁である)

 、裏ずけのある数字を読み解く、そして(自分のアタマで)考える

 

ともあれ、このうちの2に非常に役立つのが次の指標です。

 

自己資本比率と債務超過

 

TSRの指標では倒産企業の自己資本比率が(平均で)▲9.3%であり生存企業は53.5%が30%以上であることと、倒産企業の63.2%が債務超過であると報じています。

 

まず自己資本比率とは:自己資本/総資産で示されます。自己資本の反対は他人資本です。貸借対照表の負債並びに純資産の部は、別の表現では負債→他人資本であり、純資産→自己資本と表現できます。

 

従いまして他人資本+自己資本=負債+純資産=総資産となります。

 

:負債50、純資産50なら自己資本比率は自己資本(純資産)50/総資産100となり、自己資本比率は50%です。この比率がマイナス▲とは自己資本がマイナスなのです。100の総資本のうち、負債(借入金もここに入ります)が109.3%であるということです。資本が無になることを通り越して、負債に押しつぶされた状態なのです。

第43回 悪化する環境を乗り越える・・・倒産予備企業にならないために6

2018年4月23日

 債務超過とはどのようなことを言うのでしょうか。漢字に答えがあります。

債務が××を超過しているのです。××がわかりますと債務超過が理解できます。

 

 ××とは資産です。資産より負債の方が多いことを言います。

仮に資産が100ある会社を例にとります。債務の方が多いのですから資産の100以上の債務があるのです。債務の額を120とします。

20が債務の超過額です。

 

 資産ー負債=純資産でした。数字を当てはめますと資産100ー負債120=▲20ですね。

この▲20は純資産の「食い込み額」を示します。別意の表現では自己資本がゼロを通り越してマイナス20なのです。

 

 TSRのデータでは倒産企業の自己資本比率が▲9.3%と説明されていました。上記の例よりマシですが、資産より負債が多いのは同じです。

 

 このことを現実に即して説明しますと、資産の部には

・現金

・売掛金

・在庫

・固定資産などがあります。この合計が100です。

 

負債の部には

・買掛金

・未払金

・借入金があり、その合計が120です。

 

 資産の部の固定資産を処分してお金に換え、在庫も現金化し、売掛金を回収しましたら手許の現金と合わせて100にしかなりません。

 

 借入金などは120あります。100では返せない債権者が出ます。債権者は勘弁してくれません。結局、破産するしか出口はないのです。

 

 事が起こったら破産ですが、資金が繋がっている間は表面化しません。このような表面化しないけれども、内実は破産している会社が多いのです。増えています。

 

 こうならないように借入金には注意しなければなりません。私たちは、上場会社の有価証券報告書を見ることができます。結構無借金の会社が多いです。

 

その原因は収益力の違いです。別の表現で言いますと借金の絶えない会社は、粗利益が少ないのです。

第44回 悪化する環境を乗り越える・・・倒産予備企業にならないために7

2018年4月24日

 債務超過は何が原因なのでしょうか。借入金を減少させる方針への 「借入金のターニングポイント」(4月19日分で解説)に気づかないまま、あるいは引き返せないまま進んでしまったためです。

 

 経営者がターニングポイントに気づかれることが理想ですが、普通は経営者は前へ進むことに思いが行きますから、このことに気づくことは困難です。会社の経理担当のかたが進言されるのが良いのですが「下手なことを言えば自分の身が危ない」のでそのような話はしません。会計事務所がいうのが一般的ですが、最近は会計事務所も競争がし烈になって言うべきことを言えば解約になる、との気風ですから、結局誰も本当に役に立つことは言わないのです。

 

これが日本の社会の底にある、本当の空気ですから「行き着くところまで行かないと」気が付きません。

 

 話を元に戻します。

TSRの倒産企業に特有な指標の内、残っているのが下の三つです。

・経常利益率

・当座比率 

・総資産の減少

 

経常利益率:分子に損益計算書の経常利益/分母に売上高がきます。

 

 倒産企業は▲2.8%とのことですから、いわゆる赤字なのです。大事なことは、赤字の原因を突き止めることです。そのためには損益計算書を遡って粗利益と販売費一般管理費の関係を分析することです。粗利益が少ないことに気が付かれる場合が多いです。

 

当座比率:当座資産を分子にして、分母には流動負債が来ます。

 

 当座資産とは、現預金、売掛金、売買目的有価証券(投資等の部に区分されるものは除きます)など換金性の高い資産を指します。在庫は当座資産に含みません。

 

 当座比率は100%が普通ですが、TSRの倒産企業は53.0%しかありません。換金性のある資産で流動負債のおおよそ半分しか払えないことを示しています。お金が本当にないのです。

 

 当座資産に在庫を加えた値が「流動資産」です。

分子に流動資産/分母に流動負債をもってきた値を流動比率といいます。この比率は150以上が普通ですが、分子に在庫が入っているため、アブナイ会社でも150位はゆきます。過剰在庫が入っているためです。

 

そこで在庫を外して計算したのが当座比率です。過剰在庫を持っている実態が剥がされたのです。

第45回 悪化する環境を乗り越える・・・倒産予備企業にならないために8

2018年4月25日

 TSRのレポートには、最後に「倒産企業は総資産が10%減少している」とあります。

反面、生存企業は4.2%総資産が増加していると書かれています。

 

 これまでの、良くないパターンでは、在庫や固定資産がいつまでも貸借対照表に残っていることは「鈍重」である、在庫や固定資産が減少することが活性化してゆく道であると書いてきました。総資産が減少することが倒産企業の特徴であるのは、これまでの叙述内容と逆ではないかとの疑問が生じると思います。

 

 ここで気をつけなければならないのは、

総資産が10%減少した企業=倒産企業であるということです。

 

 一方、貸借対照表をスリム化してゆく企業は、倒産企業ではありません。

人体で例えますと、肥満体で血液の循環が良くない、糖尿の症状も出ている、血圧(ケツ圧も)が高い、しかしパワーはある、このような人がぜい肉を絞り、原料の結果、筋肉質になった場合はもっと本来のパワーを出すことができるのに比べ、倒産企業のばあいは、

・まず資金がない

・在庫も売り払った。

・設備も老朽化して古いために、帳簿の残高もスクラップ価額(残存価額)に近い。

 

このような状態の場合は、人体に例えますと活力が抜けてゆく状態です。確かに総資産は減少の傾向になります。

 

 ですから同じように資産が減少しても、余力がある状態で活性化のために余分な資産を減少する努力をしている会社と、倒産企業とを一緒にして良いものではありません。

 

増減する資産の種類で良し悪しが決まります。あくまでもアウトラインですが、〇×△で分けてみましょう。

 

・現金の減少は血液が減少するのと同じです:×

・売掛金は売上が増加することと並行するなら:〇

 売上が減少するのに売掛金が増えるのは、不良(滞留)債権が増えている可能性があります:×

・在庫が右肩上がりで、売上も増えているなら:〇

 売上が減少しているのに在庫が増える場合は、売れ残り品が溜っているかもしれません:×

・固定資産が増えることは、設備投資の結果です。勢いがある一方、陳腐化した設備が整理できていないかもしれませんので、どち 

 らともいえません:△

 固定資産が減少する場合は、設備投資ができてないか、あるいは逆に、技術の進歩に沿って旧設備を改廃したことも考えられます

 ので、どちらともいえません:△

第46回 悪化する環境を乗り越える・・・倒産予備企業にならないために9 まとめ・その㈠

2018年4月26日

 前回まででTSRの倒産指標を用いた説明は終了しました。

 

まとめに入りましょう。

 

ポイント1<資金>

あるか、ないかしかありません。逆立ちしても資金が出てこないのでは、事業もそこまでです。資金だけでなく、命も、生きるか、死ぬか、行動も、するか、しないか、時間もあるか、ないか、二つに一つです。浮かれた人が多い今どき、資金一つに集中して勝負時に儲け損ないをしないように、資金の獲得に集中しましょう。

 

ポイント2<貸借対照表と組織>

・コンパクトな貸借対照表が鈍重の逆であると申し上げてきました。コンパクトな貸借対照表になるには、組織もコンパクトであることが大事です。複雑な組織のもとで整理されない日常業務からはコミュニケーションのズレが起こり、コンパクトな貸借対照表もひいては損益計算書もできません。

 

ポイント3<粗利益が少ない、粗利益率も低い>

・粗利益率が低いことにより、十分な開発費や試験研究費もでません。給与も十分な額が払えないため、人員不足で余裕がなくなり、その先にあるのはシエアを失うだけです。シエアを失わないために売値を下げる、そして更に粗利益は下がる悪循環に入ります。ムラの「常識」に追随することは危険なのです。その意味で唯我独尊が事業をする人が取るべきお立場でしょう。

 

ポイント4<低い生産性と給与>

・給与に関する、いろいろな報道や政府などの公表データに捉われてすぎますと「常識的な給与」に落ち着いてしまいます。経営計画を立てられる時にも、この「常識」が働きますから長い目で見ますと(国際的な視野からはも)低賃金企業になってしまいます。人間はお金だけではない、というものの、たとえ志が高くても給与が低いままですと集まる人材には上限があります。そこが事業の上限になります。

第47回 悪化する環境を乗り越える<最終回>・・・倒産予備企業にならないために10 まとめ・その㈡

2018年4月27日

 前兆や危険信号が財務上で出ている場合にそれを感じ取って、適切な手を打たれることで生き返ることができます。目の前だけをみて、会計を軽視される経営者があまりにも多いと私は感じています。

 

 財務を軽視することは、目の前だけ、常に上辺だけ、分かったつもり、とても器用ですが、しかし深く考えもしない、それが社会の風潮ですから仕方がないのかもしれませんが、世間の中小企業が落ち込んでゆくなかで生き残ろうと考えておられる経営者のかたは、どうか会計数値が示している危険信号を読み取ってほしいと思います。

 

 顧問の会計事務所さんは、それなりに警告を発しておられると思いますが、聞く耳を持たない人が多いです。放っておいて最後に銀行に泣きつくことで、しのぐことができれば良いのですが、そんな時代は過去のものになるかもしれません。

 

 本音と建て前を使い分けてうまく泳ぐことができれば良いのですが、それよりも会計の数値を「本音と建前で」誤魔化さないで我が社の実際の姿を見ることが一番重要です。

 

 これからは廃業してゆく会社は増加する一方と予測されます。

後継者が不在で廃業される場合は、それも自然のことかなと思います。創業後の若く力のある時期から徐々に力をつけられ、社会の役に立ってこられて「役割を終えて」の廃業は流れとして受け止められますが、まだ若い経営者でありながら打つ手を誤って資金不足に陥られての廃業は残念です。

 

 人も、世の中も、我々が住むこの国も底を見ることが重要です。そうすれば勝ち抜くヒントは見えてきます。しょうもない「常識」の枠にはまってしまわないように、注意が必要です。

 

 その意味では集会や勉強会への参加は、良く選択して参加されないと「すぐ役立つ、ええ話や情報」をもとめてトクを取りに集まって来ている(本当は自信のない怖がり屋さん)が多いのです。来ている人たちの顔をよく見れば気づかれるでしょう。情報や知恵を取って、やがて人を踏み台にしようとしする人達ですから注意が必要です。

 

 自信と実績がある人は、そのような会には来ません。情報あさりはみっともないです。会合でやたら前に立ちたい目立ちたがり屋さんも激増しています。それらの人々が発する浅薄な「常識」には、ロクなものがないと思って間違いではありません。

 

 孤独のなかで、自己の内心の「底」をしっかり見て不退転の意思決定をされ、付和雷同しないで、誰が何と言おうと決然と命をかけて進んでください。どうせ、いずれは死ぬのですから。

 

<お知らせ>

「会計と税の見かた、考え方ーむつかしい時代を乗り切るためにー」のタイトルで続けてきましたが、本日で完了とさせていただきます。お読みいただいてありがとうございました。

 

 なお明日からの連休の間は充電させていただき、次回は5月7日から新しい内容で始めます。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

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