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腰高時代:事業の展開と縮小

第6回 Q:事業体の再構築の前に、自社の足元を見直し、固めたいのです。見直すポイントや順序についても説明してください。

2019年2月12日

A:あなたの関心の要点は以下のように思われます。

  1、自力で会社がどこまで行けるか

  2、銀行借入金が無くなるのはいつか

  3、従業員の先行きを考えなければ

  4、欠損金があるが税金上で生かせるか

  5、相続税がかかるなら手当をしたい

  6、解散かM&Aも考えている

 

まず第一にされることは

 1、自社の株式の評価を税理士さんに依頼して行いましょう。

   (注意点)

   顧問料を払っているからその枠内で、タダでというセリフはいけません。

   奇特な税理士さんは別としてタダでは気合が入りません。ケチって損をされるのはあなたです。

   月額20万円程度の顧問料を払っておられても、それが3万円であっても株価評価は全く異なる仕事ですから別に費用を払う気

   持を示しましよう。

  

   過去3期の決算書分析や土地がある場合は正確な測量図をはじめ市役所で都市計画道路がかかっていないかなどの確認などの手

   順を踏まないと精度が高い株価評価はできません。

 

 2、株価評価の結果次第である程度、次が見えてきます。

 

   株価が高い場合今後の業績の予測→後継者候補の選定→累積利益を減少させるための手立てと配当方針の見直し→株式贈与

   または相続時精算課税の選択→又は事業承継税制の採用の是非(この場合は株式を分散させないようにします。同時に配当を

   多くすることは配当への課税と更なる株価上昇を招きますので不要です)

 

   株価が低い場合その原因がどこにあるのか税理士さんと共に検討しましょう(同時に決算の仕方次第では隠れた損失がある

   場合、もっと株価が下がることもあります)→借入金完済まで資金が持つのかの検討→欠損金を用いての減税対策

  

 

ことばの意味

  

ア・株式贈与とは年額110万円まで非課税で贈与します。もちろん110万円を超えたら課税されます。110万円控除後の金額が年200万円までは税率は10%です。

 

イ・相続時精算課税とはアとは別のコースです。両方とも選択することはできません。60歳以上の父母、祖父母から推定相続人である子や孫へ2500万円まで贈与時の税金はかかりません。2500万円を超える場合は、超える部分に20%の税率で贈与税がかかります。そしてこの制度の名前通り贈与した人の相続の時に贈与した財産とそのほかの財産を一体にして課税し20%の贈与税を控除して精算します。

第7回 Q:決算を見直す場合のポイントはどこでしょうか

2019年2月13日

A:税法の規定が正しく適用されないで利益が過大に計上されたり、損失が過少にて計上されていないかを見ましょう。

 

あなたは経営者ですから自社の決算のさいに、決算案を最終決定されたはずです。

しかし会計事務所まかせ、経理責任者まかせの場合も多いです。

 

経理はワカランでは済まない時代です。会社が万が一の場合は、全責任はあなたにかかります。自宅などを手放す場合も多くなってきました。みんなが沈む船から逃げてゆくのです。逃げ足が速いのは腰高時代の現実です。

 

昔は従業員さんの中には、最後まで沈む会社にとどまって残務整理をしてくれた従業員さんもいましたが、今どきはそのようなことは望めません。あなた一人が後始末をしなければなりません。

 

今からでも遅くはありませんから、自社の本当の姿を知ることです。

その際の目の付け所は

ア:在庫の過大計上、その他の資産に評価損が計上できるのにしていない、固定資産の減価償却が規則的にされていない

イ:買掛金や未払金の計上が請求された年度ではなく支払った事業年度に一期遅れて計上されている。

ロ:税金債務の計上が支払い年度で計上されているので利益が多く計上されている

ハ:売上の計上を原則である引渡しした事業年度ではなく受注時や取り置きした事業年度で計上し、仕入れは購入事業年度ではなく、支払い時に計上しているため過大な粗利益が計上されている。

 

もしこのようなことが起こっていた場合その原因はどこにあるのかも考えましょう。

世間は100%貴方が指示したと見ます。利益を出さないと金融機関ににらまれるなどの言葉を経理担当が聞いていて忖度したのでしょう。

 

なお欠損金は青色申告法人であれば「資本金の額」が1億円までなら10年間繰越して損金に算入できます。

 

ことばの意味

資本金の額とは決算書の資本金のことです。法人税では「資本金等の額」という言葉もありますが似て非なるものです。後者は出資された金額に合併や会社分割、減資、資本払い戻しなどを加減算した金額です。

第8回 Q:計画的に資金が不足しないような体質になりたいです。キーはどこにありますか?

2019年2月14日

A:急には体質改善はできません。人間と同じで習慣になっている良くない部分を改めなければなりません。

良くない部分とは人間と違って「ハイ分かりました。今日から改めます」と言葉で口に出しても2週間も経てば元に戻ります。

 

ましてビジネスですから相手があります。こちらの思うようには動いてくれません。こちらの思うところを見抜かれたら逆の攻勢をかけられます。

 

「早く支払ってください」というこちらの姿勢に対し相手は、逆に逆にかかってきます。あれやこれやの理由をつけて支払いを延ばそうとします。早く払うことに同意したなら今度は交換条件で値引きを要求するでしょう。

 

このように体質改善のためにはすべての要素に相手の思惑がからみます。

このために必要なのが集中して行使できる力(チカラ)です。

 

商品力、政治力、余裕資金など他に気づかれないで自社にある強みを駆使しなければなりません。

そして目標は「高速回転」が資金の余裕を生みます。

 

高速とは利益を生む速度が高速という意味です。

早い回収速度、早い在庫回転、マーケットへの早い仕掛けなど多岐にわたる一方、利益を生む速度を上げるために原価や管理費の支払は高速にしません。現状通りか、低速化です。そうでないと利益を生む速度アップに逆行してしまいます。

 

さらに金融機関との約束も支援機関などの支援を受けて金利や保証の条件を少しでも良くする努力をしましょう。

そして「自己金融」のサイクルをつくりましょう。

 

自己金融とは資金の自社内での回転で余裕資金を作る構造です。

売上の回収速度を上げ支払いは現状維持または徐々に遅くします。

 

この状態で新規売り上げが獲得できますと資金の回転が良くなってきます。

一つひとつの商品について売り先、仕入れ先のマトリックスを作って見直しを焦らないで進めます。

第9回 Q:改めて事業再編について対価の支払を中心に説明してください。

2019年2月15日

A:事業の再編成の方法は以下の7種が代表的なものです

 

・会社分割

・事業譲渡

・株式譲渡

・合併

・株式交換

・株式移転

・現物分配

 

これら以外に事業の再編成ではないのですが後継者不在のため事業を閉じざるを得ない場合、海外の資本に良い内容の技術のある会社が買い叩かれる傾向があるとの記事も見ます。

 

このようなことにならないように次の2種が考えられます。

1、MBO Manegement Buy Out: Manegementとは役員のことです。代表者が会社を手放す前に役員がその会社の株式を代表者から買い取って自立する方法です。

2、EBO Employee Buy Out:Employeeとは従業員です。従業員が資金を調達して自立します。

 

これらの難点は

・資金の調達

・社内の人間関係に亀裂が入らないような統率力が必要です。

 

金融機関の理解を得るための内部の事実表明の手続きの(デユーデリジエンス)に基づいて行うことが最低限必要でしょう。

またこれまでは同僚であった人たちと支配、被支配の関係になりますから、協力関係を得るための十二分なコミュニケ―ションが欠かせません。

 

対価の支払いを中心に説明します。

 

・会社分割(対価は株式の交付です)

会社の一つの部門を切り分けてその子に属する資産と負債のみを引き受ける会社(分割承継法人)に移転します。移転した資産・負債の対価を譲渡した会社が受け取って直ちに株主に交付される形に対し、株主に交付されないで譲渡した会社に残すタイプを分社型分割として区別します。

 

・事業譲渡(買い手は買取のための現預金が必要です)

譲渡したい資産負債のみを譲渡する点は分割と似ていますが譲渡代金は株式ではなく現預金が宛てられます。またこの現預金は譲渡先の法人で受け入れます。

 

・株式譲渡:(譲渡代金は原則は現預金です。買い手の自己株式やその他の資産があてられることもあります)

株主が会社の株を買収先に譲渡します。会社丸ごとの譲渡で部門や資産の切り分けはしません。ある意味ではシンプルです

 

・合併(対価は買い手が売り手に買手の新株があてがわれます)

会社ごとの、人間に例えますと結婚と同じです。資産・負債は包括的に移転します。吸収合併と新設合併があり、吸収合併の場合は吸収する会社が新株を発行して被合併会社に取得させ、直ちにその株主に交付します。

 

・株式交換(対価は親会社の株式です)

完全子会社になる法人がその発行株式の全部を親会社になる法人に取得させます。子会社の株主は代わりに親会社の株式を取得します。

 

・株式移転:(対価は買手の株式です)

株式交換の別型で、完全子法人になる法人の全部の株式を新たに設立した法人に取得させる形です。複数の会社を完全子法人とする買収に使用されます。

第10回 Q:イロイロな再編の方法に共通する注意点はどのような点でしょうか。

2019年2月18日

A:注意点は次のような点です。

 

①特許権や免許、認許可などを有する会社の再編には事業譲渡は不適です。引継ぎができませんので譲り受けた会社が再申請、再取得しなければなりません。会社まるごとの継承がされるばあいはこのような再取得は不要です。

 

②事業譲渡の場合法人税や消費税の課税:引継資産の時価と原価(帳簿価額)との差に法人税がかかります。また消費税の課税取引になりますので課税されます。事業譲渡ではない合併や分割は会社の組織ごとの包括承継ですから個々の取引ではありませんので、消費税の課税対象外になります。

 

③従業員の継続:事業譲渡は個別の同意が必須ですが、会社丸ごとの合体の場合は労働者側との事前協議が必要になります。ここは重要です

 

欠損金がある場合:合併や分割の場合で、支配関係(50%超の株式所有関係を言います)が生じてから5年超経過している場合は被合併法人や分割法人の抱える欠損金を合併法人や分割承継法人に引継ぐことができます。

 

⑤残った会社:事業譲渡や会社分割で資産・負債を移転してガランドウになった会社は清算され消滅します。これからは再編と消滅のテンポが速くなると思います。

 

現物分配と株式分配の方法:

どちらも法人税法には規定されています。株式分配は平成29年の改正で導入されました。

現物分配とは残余財産の全部を時価で分配することです。この原則とは別に100%グループ内で簿価による譲渡になって課税の繰延がされる方法もあります。不動産を簿価で譲渡するのに可能と説明されていますが、株式分配と共に稀ですので割愛します。

 

ポイント

対価の支払に現金が必要なのか株式の交付で済ませるかの違いです。拡大してゆく場合と縮小してゆく場合によって

多種の方法のどれが適切かは十分な時間をかけての準備が必要です。

 

原理は類型的ですから、名前ほど難しいものではなく、ビジネスをする入れ物の単位で考えますとワカリヤスイです。

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