税務会計 フォアユー パートナーズ Do-ing

腰高時代:事業の展開と縮小

第11回 Q:経営している会社には欠損金があります。今後の相続税も気になっています。事業承継税制があると知りました。この税制を使えばいいのでしょうか?

2019年2月19日

A:まず考え方としまして次の二つの必要の有無をまずチェックされることが順序と思います。

 

 1、承継することがハッキリしているので経営面からこの制度を考える必要がある。

 2、相続税の納税予想額が多額であるから事前に手を打つ必要がある。

 

1と2が両方とも必要であってはじめてこの制度のことに関心を持たれたら良いのではないでしょうか。

別の言い方をしますと1と2のどちらか一つしか必要がない場合はこの制度は関係はないのです。

 

<1が該当するが2は該当しない場合>・・・承継したいが株式の価額は低い・・・

貴方の場合は、経営されておられる会社に欠損金があるようですから、失礼ながらこのパターンになるように思われます。

 

後継者がないので困っておられる経営者が多い中で、あなたは幸せな方と思います。

 

相続税のこともご心配のようですが、欠損金があるため、株式には財産価値がない(または少ない)場合でも他に財産があれば相続税が多額になる場合もあります。

 

このようなケースでは事業承継税制よりも相続税対策にストレートに取り組まれるのが正解ではないでしょうか。

 

事業承継税制には「一般措置」と「特例措置」の2コースがあり、都道府県知事への認定申請をはじめ税務署への担保の提供など役所との接点が必須で厄介なものです。

 

さらに特例コースは全株式が対象で100%の減免が可能である反面、平成35年までに「特例承継計画の提出」と平成39年までの贈与と相続に限られているなどのうえ「税理士等の所見の記載」も必要です。

 

簡単な制度ではありません。新聞などにはこの制度の利用を勧めてビジネスチャンスにしようと見える記事が多いですが、よくご自分の足もとを見ましょう。

 

 

事業承継税制は経営されておられる会社に利益が累積していて株式評価額が非常に高い場合に検討されるものです。しかし株式の評価額が高くても、承継を断念される場合はこの制度は当てはまりません。

要するに<2は該当するが1は該当しない場合>になります。

第12回 Q:では株価は低いけれど、税金の負担を少なくしながら承継をする場合にはどうすれば良いのですか?

2019年2月20日

A:次の順序で進まれたら良いと思います。

 

、正確な株式評価を知ること・・・これが曖昧では最初からボタンの掛け違いが起こります。決算書で欠損金があっても次の点に落とし穴があるかもしれません。

   ・以前に景気が良かった期間がある・・・決算書の貸借対照表の「純資産の部合計」を見ましょ

    う。ここが黒字である場合があります。黒字ということは過去の利益の蓄積があるのです。

   ・過去の欠損金で利益に充当した場合は株価評価で加算されます。

    この場合、評価が高くなります。

   ・過去の税務調査で修正申告したり更正された場合のキズが決算書で修正再表示されていない場

    合、株価が上にぶれます。法人税申告書別表5(1)を見れば判明します。

   ・会社所有の土地があるばあい、しかも昔購入されその後値上がりしている場合、貸借対照表

    には取得価額で計上されますから今の時価との乖離があります。

     この乖離が原因で株価が上がることが考えられます。

   ・「営業権」の評価額が税務の株式評価の際に計上される場合があります。

 

このようなことから株式評価は必ず専門家である税理士さんにしてもらうことが大事です。世間ではタダで評価をしてくれる場合がありますが、必ず税理士にお金を払って(ということは間違っていたら責任を取ってもらうことを意味します)確かな評価額を入手しましょう。

 

、その次に考えられるコース

後継者に暦年贈与をします。110万円までが非課税です。

 110万円を一株の評価額で割った株数までが無税の範囲です。例えば一株の評価額が1万円としま

 すと110株までの贈与であれば基礎控除内ですから法律上は申告も不要です

 

 <ヒント>贈与税の税率は110万円控除後の金額が200万円までは10%ですから少しオーバーして贈

  与されて申告と納税をされることをお勧めします。このことで株を贈与した履歴の証拠を得られ

  ます。先々の相続税の申告の際に流れが分かりやすいです。なお贈与税の申告書には税理士先生の

  作成された「株式評価計算明細書」を添付しましょう。この添付に堪えないような怪しげな評価明

  細書は避けないと禍根を残します。お金を払わないで評価をしてもらった場合はだれも責任を取っ

  てくれません。

   どこにコストをかければ税務当局との紛争の抑止になるのかよくお考え下さい。

第13回 Q:引き続き教えて下さい。110万円コースのほかに贈与のコースはありませんか?

2019年2月21日

A:相続時精算課税があります。

 

去る2月12日のブログで「ことばの意味」で記しましたので詳しいことは省きますが重要なことは110万円コースと併用はできません。2500万円を超える贈与の場合は超える金額の20%を納税しておき、文字通り相続が起こった時に精算するものです。

 

適用するには贈与側と受贈側の両方に一定の年齢制限があるほか、受贈者があなたの推定相続人または直系卑属でないと適用されません。後継者が赤の他人の場合はこの制度は使えません。

 

また経営されておられる会社には欠損金が出ているとのことですが、業容が右肩下がりであるなら、何も今この制度を使う理由はありません。

 

この制度の良いところは「将来確実に時価が値上がりする場合に、将来より値段が安い今のうちに贈与しておいて、将来の値上り益に対する課税を避けることができる点にあります。

 

土地、ゴールド、株式で将来に値上がりを見込めるものは少ないでしょう。

現実には値下がりしますと悲惨です。

 

例えば上場株式で8000万円の相場価額であるものが将来は1億円になると思って贈与しますと

  (8000万円ー5000万円)×0.2=600万円が納税額になります。

相続が発生した場合に8000万円と「そのほかの相続財産」を合算して相続税の計算をしますから合算対象は相続の時の見込み株式時価1億円ではなく8000万円の課税で済みますからウマく次世代に引き渡せたことになります。

 

しかし逆にこの株式が相続の時に大暴落して2000万円に下がった時でも2000万円ではなく8000万円が合算されます。

 

結果論ですが、何もしなければ2000万円が課税の対象であるのが高いものについたことになります。

 

さて土地、ゴールド、上場株に比べてあなたが経営される会社の株式はまだ「先読み」がしやすいかもしれません。よく考えられることです。

 

先行きどうしても右肩下がりの傾向が否定できないなら、110万円コースが良いでしょう。株価が下がれば下がるほど110万円の枠内で贈与できる株数が増えますから加速度的に贈与が進みます。

 

<注意点>

・相続時精算課税は一旦この制度を選択しますと撤回はできません。

・2500万円の特別控除は「贈与者ごと・受贈者ごと」に適用されます。110万円の基礎控除が受贈者ごとであり5人に贈与した場合110万円×5人=550万円の控除ができました。

 相続時精算課税では贈与者1人で2500万円です。父→長男、父→次男、祖父→長男 祖父→次男の組合せで可能です。

 

計算例:長男のばあい

     父から (3000万円ー2500万円)×0.2=100万円

    祖父から (3000万円ー2500万円)×0.2=100万円

                     計  200万円の納税

第14回 Q:会社を畳むか継続するか霧の中の場合、他の方法や気を付ける点はありませんか?

2019年2月22日

A:数点あります。

 

・(株式を分散しないこと)

兄弟のうち相続時精算課税でお兄さんに株式を贈与されるほかに弟さんには110万円コースで同じ会社の株式を贈与される場合には、兄弟がともに株主になります。

 

兄弟は他人の始まりであると考えてこの方法は避けるほうが賢明です。経営責任を兄弟が負うことはできません。お兄さまがトップとして経営責任を負われても弟さんは株主ですから、場合によっては経営責任の追及をし始めて不毛の争になることがあります。

 

兄弟で力を合わせるのは稀でしょう。争いのタネはないに越したことはありません。

 

・(分散している株式を買い戻しておくこと)

これまでにも親戚や従業員さんに株式を分散していたり、もっと古い株式会社では発起人が株式を引き受ける制度でした。発起人は7人必要でしたから名前を借りて(印鑑証明が必要でした)実際の払い込みはしない場合もあったかと思います。このような人達に分散している株式は買い集めておく必要があります。

 

・(Simple is best)

株式を集中しておきますと今後、調子が良くなってきたときに増資をするのも株主割当の方法で税務上の時価の問題も気にしないで増資が可能です。

 

・(会社分割)

さらに業容が良くない部門を会社分割の方法で切り離して清算し、良い部門を伸ばす意思決定もSimpleなら即決できます。株主間の意見調整などをしているとチャンスを逸しかねません。

 「選択と集中」の大原則のもと、一旦決めたら「速きこと風の如し」で動くことが求められます。

一人に株式を集中しておきますとやがて会社をM&Aで更に再編したりすることも可能です。

 

相続税は会社の株式だけにかかるのではありませんから、株式だけに意識を取られますと大局を見誤りかねません。

 

他の資産にも配意が必要です。

気をつけるキーワードだけ列挙します。

 

贈与税の配偶者控除2000万円

民法改正後の配偶者居住権のこと

・遺言書の形式

・遺留分とその侵害

・特別の寄与料

・養子

第15回 Q:事業の先行きを決める場合の簡単な方法があるのでしょうか?

2019年2月25日

A:簡単な方法は、なかなかありません。

 

事業自体が専門性があり、経営も専門性を生かして油断もスキもない中、踏み外さないで利益を出すことは年々困難になってゆきます。

 

熟練の従業員さんは中小企業では減ってゆく一方です。「職人」といえる人が減っています。厳しい訓練を経なければ技術を身につけられなかったのですが、豊かな時代が続いて簡単にマニュアルだけで稼げる時代が長かったから、少数の人以外は育っていないのが現実ではないでしょうか。みんなアマチュアなのです。

 

粗利のパイは小さくなり、人手不足も厳しくなります。

 

こんななか、

ご質問の答えになっていないかと思いますが、先行きを決める時の選択の決め手ご自分の外にあるのではなく内にあると思います。

 

自社の立ち位置や計数や、税制などは内にはありませんから外部に求めなければなりませんが、その先の最終決断は「外を見ないでご自分の内を見られたら」そこには豊かな答えのモトがあるように思います。

 

偉そうなことを書きますが、外を見渡せば嫌なことばかりが目につきます。反面、内にはこれまでに事業で経験されたことや学ばれたこと、特に失敗から学ばれたことが宝の山のように、あるいは豊かな森のように、深い海のように広がっていると思います。それは長い年月をかけて、あなただけに用意されたものなのです。

 

外国に行けば痛感します。日本はやはり貧しい国だなと。国は貧しいし、社会の空気は冷たいです。貧しいゆえの事件が起こっています。しかし一人一人の内側をよく見ればなかなかのものです。

 

皆さん一人一人は優秀なので内側に大きな資源が蓄積されていると思うのです。

でも現実は電車に乗っても、道を歩いていても自動車に乗ってもスマホに夢中で外側ばかりを見ておられます。

 

決断する人はスマホで外ばかり見ていては答えはありません。

世間の逆を行きましょう。みんながキョロキョロ右見て左見ている間に自己の内側を見ることで体からの答が出てくるでしょう。

 

その答えこそが貴方にとって貴重であり最高であり、正解です。

メディアの作った大量生産の情報?ではなく、あなたへのオーダーメイドの答なのです。

 

ヨソの誰が、どんな偉い先生が何を言われようとも、メディアが何を報じようとも、自分のカラダからの答ほど、あなたにピタッと合った答えはないと思います。それが湧いてくるまであまり外を見ないで自己とお話しされますと、誤りのない先行きが示されると思います。

« 前のページ  1 | 2 | 3 | 次のページ »