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第41回 Q:資産の断捨離は単に各資産を処分すると考えて良いのですか?

2020年3月23日

ヒント:そのお考えは一面ではその通りですが、違う部分もあります。

 

説明:お家やお部屋の不要なものを処分してスッキリさせるイメージをお持ちのようですが、違う部分はこれらの「資産」はお部屋のモノと違って経営や事業に参加している資本を構成していますから、やたら処分すればスッキリする面だけでなく、経営の稼働資本の面も見なくてはなりません。いたずらに処分しすぎますと資本を棄損してしまいかねません。処分損が大きくなり損失が生じて足を引っ張るのです。稼働しているとは遊休資産ではなく、それなりに利益を生むために役立っている面を見落とさないことです。

 

処分=捨てることですが、何らかの理由で現在の経営に参加しているモノに対して「捨てる」との考えを先に立たせるのではなく、有効に役立っているか、いないかとの判断が重要です。

 

判断には以下のような軸があります。計数で結果が出ますから是非このシミュレーションをしましょう。心情に振り回されず冷静にそれぞれで個別判断を行います。その上で総合的な判断が必要です。その意味で部屋の不要物の処分と違います。

 

1<資産自体の優越度の判定>「有効に役立っているか」の点を、機械を例にしてみましょう。機械が役立っていないとすればその理由の中に、同じ役目をする新型の機械が出現した、今の機械の製造能力に比べて新型機械は出来上がりまでの速度、出来栄え、作業効率が優っていることがハッキリした場合は取替の時期と判断できます。優っている点が数字に反映される必要があります。ストップウォッチで計れば比較できます。これをしないで飛びつけば、自社の利益に役立たないばかりか納入業者から「甘いヤツ」と内心で見下され、挙句は同じような提案が相次いで来かねません。

 

2<購入手段による損得>現在の機械に代えて新型機械を購入するには膨大な資金が必要です。リースにするか、銀行借入で購入するか、預金を取崩して購入するか、それぞれの比較検討が必要です。リースには利息とリース契約を解約できないリスクがあります。借入には利息が発生し担保も要求されるでしょう。預金を解約することは安定資金の不足に繋がります。付随して発生する利息やリスク、得べかりし利息収入がなくなることなどはキャッシュフローに影響します。どの手段を取れば税金(法人税と消費税)が幾ら有利(または不利)になるかも比較計算します。

 

3<原価削減に役立つか>この機械が会社の主力製品の製造に使われているのか、補助製品を少ロットだけ生産するための機械であるのかによって判断は異なります。原価計算の結果、新型機械を導入したが主力製品の原価削減にはさほど役立たないことにもなりかねません。

 

4<取替コスト並びに生産停止による逸失利益の算定>機械を取り換えるに際し現機械の除却コストも見なけれななりません。加えて連続生産は取り換え期間中は停止となりますから、あらかじめの作りだめが効くか、倉庫などのキャパシテイの有無、端境期まで待つことによる増加コスト、生産停止の逸失利益なども考慮しなければ正しい結論が出ません。

 

結局、以上の1~4の結果によって「確かに良い機械であるが、資金の調達に無理があるだけでなく原価削減にさほど役立たない」のか「好い機械で、資金面にも無理が出ないだけでなく、工数も減少し原価削減にも貢献する」などの「近未来ストーリー」が出来上がりますからこのストーリーにブレがないかを必ず複数人で議論します。複数人には現場の新参、中堅、現場責任者、部門長、経理課員、が入ることで視野も広くなります。

 

結論はシンプルです。下のどれかになります。

 ・取り換える&今の機械を市場で処分できるか

 ・今の機械で行く

 ・今の機械に加修して続ける

 

機械を例にとって述べましたが、資産の断捨離をするには、どの資産に関しても上記のような比較検討が欠かせません。大は工場の移転から工具の購入に至るまで慎重さが必要です。

 

<次回予告>

時価や事業を取り巻く要因や近々の予想も考慮して断捨離を進める例を見ます。

第42回 問:資産の中味の断捨離の目的はなにですか?

2020年3月24日

ヒント:目的は現在の経営の立ち位置を見極めることです。

 

説明:流れが速い今の時代は速度を意識しなければなりません。それとともに不要なものが資産の中に滞留していないかを常に見直すことが重要です。

 

 そのために法人では決算書の貸借対照表を使います。個人事業の場合は所得税申告書の「資産負債調」を使用すれば便利です。この欄に記入することは青色申告特別控除65万円を適用するためですが、65万円控除を使わない場合でも「資産負債調」欄を生かしてご自分で中味の金額を埋めることで自作の貸借対照表は作成できます。

 

 その内容をざっと見てみましょう。いくらあっても困らないのが現預金です。これが一番上に来ます。その後は営業の循環に従って現金になる前の段階である売掛金です。売掛金はやがて回収されて現金になります。売掛金の次は在庫です。在庫から売掛金になるには深い河を渡る必要があります。売らないと在庫は売掛金になれません。

 

 ココが重要な点です。在庫が売掛金になれば時間が経てば現預金になります。このため現預金と売掛金を一緒に括って在庫の金額と比較することで在庫が過大かそうでないかが分かります。業種にもよりますが売掛金より在庫が多い場合は過大在庫を疑ってみてもおかしくありません。

 

売掛金の断捨離:売掛金の個別明細をみて残高に何か月分が残っているかをチェックします。

 ある得意先への1か月の売上が200万円であれば、売掛金勘定の残高が200万円であれば優秀です。400万円であれば2ケ月分が残っていることになります。

 契約によって支払い時期は決められていますが通常は2ケ月までが正常です。それを超えますと滞留の気配が出てきます。どのような事情でこの気配が出るのか事実を確かめる必要があります。長期の滞留先は訪問して面談し督促が必要です。取れない場合は税法上も認められる方法である内容証明を送って債権放棄します。最後の手段です。

 何もしないで滞留している売掛金を放っておくと、ここに名目利益が生じます。人間のカラダでいえばガンの原因になるフリーラジカルと同じです。名目利益も利益ですから当然課税されます。将来に現金として回収できない名目利益に課税されれば、税金として生き血を吸い取られるのです。こうしてキャッシュフローへの影響がボデイブローのように効いてきて致命傷になりかねません。

 

資産の断捨離をする目的は、名目利益を発生させないためでもあるのです。

 

<次回予告>

資産で大きな位置を占める在庫についてみてゆきます。

第43回 問:在庫の断捨離をする手順を教えて下さい

2020年3月25日

ヒント:在庫は目に見えて手で触れて数を数えることができます。この言葉にすべてのヒントがあります。

 

説明:決算書の貸借対照表の在庫には勘定科目で製品、商品、半製品、仕掛品、原材料、貯蔵品などが掲記されています。この分類は製造業の場合です。非製造業の場合は「商品」が在庫であると考えても問題ありません。

 

手順を述べます。

 貸借対照表の商品勘定の金額がが幾らであるかは一旦脇に置いて下さい。そして在庫品がある場所に行き、ご自分の手で「一定の日」の在庫商品に触れて数量を確認します。一定の日は月末が良いでしょう。決算末が月末でも月次決算を〆日である20日でされている場合は20日を「一定の日」とします。

 

 一定の日に、商品ごとの数量を把握します。小規模でない場合は数人で確認しなければなりません。二つ折りの付箋を貼ってゆくことも方法です。半分を切り離して個数を集計します。

 

 一定の日に委託倉庫会社からレポートがくる場合は実際の数量と照合できます。コンピュータで売上・仕入と連動しているシステムではアウトプットから在庫データが出力されます。このデータは仕入=在庫増と捉え、売上=在庫減と取られて前月繰越額に増減した結果です。

 

 これは実際在庫とは異なります。なぜかといいますと出入荷の数量間違いや盗難(横流しを含む)で数が減ることがあります。その上「陳腐化」といって正常品で販売できないほど劣化したものが出てきます。そのほか減耗してゆく性質のものもあります。

 

 ですから計算上の増減と実際にある在庫とは乖離があります。手で触れて数を確認することで「乖離」の実際を確かめることができます。在庫は計算上の増減結果より増えることはありません。陳腐化や減耗などの自然減と人間の手による盗難などで減少するのです。

 

 こうして確認した数量に仕入単価を乗じます。この答えの総計が棚卸資産の決算書表示額です。

乖離の分が決算書の表示額に反映されているのかがポイントです。

 

 この減少が大きくなっているのにコンピュータの算出した金額で貸借対照表に計上することを何年もしていますとここに大きな「名目利益」が発生します。そして生き血を抜かれます。

 

 実際に棚卸商品に当たって調べることを実地棚卸と言いますが、これさえしていない会社が中小企業には多いのです。決算書の在庫数字は会計事務所が出した数字のままの場合が多いです。会計事務所が倉庫に入ることは少ないのが私の見聞きした実情です。

 

 在庫の断捨離は以下を確認することです。

・実際の数量を把握すること

・商品の状態に応じた単価で評価額を算定すること

・あるべき数に足りない商品の後付け調査をして乖離の生じた原因を掴むこと

 

 その結果、貸借対照表の計上額を正しい金額に改めることで在庫勘定の断捨離が完了します。

不良商品はその理由を税務調査の際に説明できる資料を残して大ナタを振るって断捨離されることが必要です。

 

<次回予告>

 その他の勘定科目についてみてゆきます。とくに仮払金、前渡金、立替金などの雑勘定によろしくないものがゴミのように溜っている場合があります。

第44回 問:資産の断捨離・雑勘定の中味を洗い出す

2020年3月26日

ヒント:雑勘定とは仮払金、前渡金、立替金などをいいます。これらは資産の部の流動資産の区分に入れられるのですが、この中味は中々の曲者です。といいますのは「雑勘定」は未決算勘定とも言われ存在しない(残高がない)のがBestなのです。にもかかわらず残高が残ってしまうことがあります。前渡金がその典型です。この科目の残高があるのは不自然ではありません。ところが立替金になってくると「どうして立替える必要があったの?」との疑問が出てきます。不要なのに意図的に作り上げた印象が残るため支払相手と会社との関係をよく見なければなりません。仮払金は決算で精算できなかった理由が気になります。本来経費にするものを仮払金においたままでは資産が増え利益が出ます。利益を出すために仮払金を精算しなかったりすることが考えられます。

 

説明とくに仮払金勘定にはその会社の経理の質が現れます。決算までの毎月毎日の実務で、経理部門がよくわからない内容があると仮払金に「とりあえず、しておく」癖がある会社では毎月それが積み重なって結構な金額になってしまいます。挙句の果ては決算で解明することもできなくて次期繰越で済ませておくような会社もあります。

 

 毎月ごとに精算できない理由の大きなものが当事者から資料が出てこない場合です。当事者の多くは社長の場合が多いです。営業マンでも多忙なため出張経費の整理が追い付かないのでそのまま仮払金としてしまうことも良くあります。

 

 このような場合は社長の姿勢を見習って精算が遅いだけでなく、経理部門に、営業マンに精算をきちっとさせる力がない場合も多いようです。結局「経理軽視」の社風が定着してしまうのです。

 

 そんな会社の仮払金の残高は、本来であれば費用になるものが資産に計上されているので、課税されなくても良いのに課税されます。生き血を抜かれるのです。それ以上に残念なことは、未精算があることでスピードが出ません。行動の足を引っ張ってしまうのです。

 

雑勘定は無いのがBestとの気概で大鉈を振るうことです。

 

<次回予告>

 固定資産についてみてゆきます。補助簿である固定資産台帳に計上されていても個々の固定資産と突き合わせて行けば「帳簿にあるのに実体はない」ことがあります。なぜでしょうか。

第45回 問:固定資産の断捨離の線引きはどこでしますか?

2020年3月27日

ヒント:固定資産は目に見えて、手でも触れることができます。実在の確認は、それがあるところへ行けば容易です。問題は(在庫と同じように)会計帳簿の方に「ないものが計上されている」ことです。

 

 またこれの逆に実在するのに会計帳簿に上げられていない場合もあります。「有姿除却」というキーワードがあり、実在するが機能していないという理由で帳簿からwrite offするケースもあります。いずれにしろ、面倒がらずに個別に確認することです。

 

説明:ヒントに述べましたように、実在=会計帳簿記載 が基本です。現地でこの基本の形に添ってみてゆくと、次のような過不足が生じている場合があります。

 

1、実在<会計帳簿 

 このばあい。これは資産の過大表示です。除却したのに、会計帳簿に処分した事実を帳簿に計上し忘れたことが考えられます。処分した手続きはしていないのに現物がないのは、穿ってみれば誰かが持ち出した可能性は否定できません。このようなことにならないように半期と決算期には実在の確認が必要です。

 

2、実在>会計帳簿

 先に述べました有姿除却で会計帳簿では消されたものの、有姿ですから工場の隅にでも実在しているのです。残している場合は除却済であることを示す標識があれば便利です。除却したら、サッサと処分したほうが良いのは言うまでもありません。

 ほかにこのケースでは借りモノが現場にある場合があります。よそからの借りものですからそれを示す標識を付ければ確認のさいに間違うことはないでしょう。

 

 最後に大きな問題があります。固定資産の性能が劣化しているのを専門的に評価することができる人材(社内に居なければ外部顧問として委託することが望ましい)の手で時代に後れていないかを評価することが今どきは重要です。いつまでも同じところにとどまることが流れに取り残されることになります。

 

 土地も固定資産です。地価が下がるなかで適宜に処分することが必要な場合もあります。土地が値上がりする時代でないとの認識が要ると考えます。

 土地は勿論のこと、借入金で不動産を購入することは(先行きの予想利回り-購入ための借入利息)÷購入価額(投下資本)=ROI:投下資本利益率 がプラスであっても購入価額自体が下がってゆくのですから将来には必ず処分損が発生しますので大きなリスクを負うことになります。

 

<次回予告>

 資産の部の締めくくりとして投資勘定や繰延資産を見てゆきます。投資勘定では「時価」を常に見ることと、投機による利益(例:売買差益)と保有する利益(例:配当収入)を比較しながら運用することが資本の回転を良くするには必須です。

 投機は見えない大きな動きによって制御されていますが、配当はその会社の配当方針だけで確定するため配当率がある程度分かります。海外の会社には法外な配当を継続する会社もあり、型にはまった横並びの日本企業と違うポートフォリオが見込めます

第46回 投資や繰延資産勘定の整理の際に気を付けることは何ですか?

2020年3月30日

ヒント:投資勘定の典型は投資有価証券です。投資は実際の時価と貸借対照表への記載金額に開差があるのが特徴です。このため常に時価を見ておかないと誤った整理をしかねません。繰延資産は「支出したことが後の事業年度にも効果が及ぶ」性格のもののため暫くは貸借対照表に計上を許されているものです。このため貸借対照表に計上されていてもキャッシュを生むパワーはありませんから、できればあっさりと費用に振替えて断捨離してしまうのが好ましいのです。

 

説明:最初に説明が必要なのは「有価証券」についてです。貸借対照表には「有価証券」が記載される場所は2か所あります。一つは「流動資産の部」で、その他は「固定資産」の中の「投資その他の資産」(以下、投資とします)のところです。

 

この二つの掲記されるところが異なるのは性格が違うからです流動資産に計上されるのは、常に売買する目的で保有する株式や1年以内に満期になる社債などです。トレーデイングを常時する部門がある会社を想定していますから中小企業ではごく少ないです。期末には時価を記載します

 

「投資」に記載される有価証券は法人税法の定めで取得価額で記載されています。実際の時価と開差が出るのがこの「投資」勘定にある株式などです。この中には市場価格があるもののほか市場価格がない株式なども含まれています。

 

したがって義理で出資した中小会社の株式や義理で応じた少人数私募債などもあります。株主ですから決算書を入手(または謄写)することはできますから決算書を見て評価を変更することが必要です。あくまでも断捨離のためですから一々評価替えする必要はありません。(評価損益を計上することは税法では原則できません)。たまには内容が良い会社に成長していて大きな価格になるものもあります。いずれにしろ時価の把握は必須です。

 

ここで大事なことは自然に膨れ上がったこの「投資」科目の中で、実際に機能していないものを分類して整理することです。

投資」には、投資有価証券、子会社株式、長期前払費用、生命保険掛金、出資金、保証金、ゴルフ会員権などが取得価額で計上されています。

 

これらが機能しているかいないかを区分するには、キャッシュが生まれるのか否か、で見るとよいでしょう。つぶれそうなゴルフ場の会員権は整理されるものです(但し売却しないと損金には計上できませんので「ないもの」として見ることです)。

 

また取引していない信用金庫への出資金も整理対象です。

 

<次回予告>

負債の部も見てゆきます。粉飾の典型は「資産の過大計上と「負債の過少計上」ですが、逆粉飾(早く言えば脱税)の場合は逆に「資産の過少計上」と「負債の過大計上」です。そのほか「隠れ負債」にも注意が必要です。

第47回 負債の部を見直してみる。金銭債務で注意する点は

2020年3月31日

ヒント:負債の部に分類されるものには支払手形、買掛金、未払金、未払費用、前受金、預り金、預り保証金、引当金などがあります。いずれも過少計上又は過大計上の有無が注意点です。断捨離の立場からは過大計上が整理対象になります。

 

説明:上に挙げた負債の部の科目は、引当金以外はすべて金銭債務ですから評価額などの問題は少なく、整理は簡単です。要は、売掛金のように通常の営業循環のサイクルから外れていないかを見ます。

 

相手先から催促がないので、いつまでも残高が残っているモノはたまにはあります。その他の科目も相手が請求を放棄してしまっているのに残高に含まれていることがあります。負債の過大計上をなくしますと収益が生じるので節税のため放っておく会社は多いですが宜しくありません。

 

負債の部に計上しなければならないものを計上しないで利益を出す会社もあります。金融機関に決算書を提出する場合にこの傾向が出ます。

 

このよう操作ができないように負債の計上基準が決められています。

 1、事業年度末までに負債が生じる原因が発生していること

 2、その金額が合理的に算定できること

 3、債務が成立していること

 

以上の3要件です。3番目がややワカリニクイですが、要は債務の成立とは相手側からは債権の成立と同じです債権の成立とは「請求することができる状態」をいいます。例えば3月決算の会社で3月31日に社用車を修理してもらった場合、修理の完成まで4日かかるので月末には未完成の場合は修理が完了してから請求額も決まります。4月の負債であって3月末の負債ではありません。

 

しかし修理が簡単で31日で完了した場合は上記の1と3が該当します。その日には修理代金の概算が分かって4月5日に修理納品書が交付された場合は2も該当しますから、3月末で未払金に計上しなければなりません。これを4月20日〆の請求書が来る4月の未払金としたり、支払った5月の修繕費とするなど先へ先へ計上を遅らせることはいけません。

 

 

<次回予告>

その他の負債の部の中には引当金や保証債務などの厄介な勘定科目があります。これらについて少し詳しく見てゆきます。

第48回 その他の負債の部の見直し

2020年4月1日

ヒント:その他の負債には前受金、預り金、預り保証金などがあります。注意を要するものには引当金、保証債務があります。

 前受金については、すでに商品の引渡しやサービスの提供が終了して「前受け」の役目が終わっているのに、いつまでもこの勘定科目に残高が残ることはありえません。前受金を減少(消滅)させ、収益に計上することが必要ですがウッカリして前受金に残ったままの、お行儀の悪い会社もあります。意図的なら逆粉飾です。

 預り金は役所が相手であり、預り保証金は金額が大きいので不自然な残高が残ることは稀でしょう。

 

説明引当金ですが、法的債務に属するものは負債に計上します。例として、中小企業では少ないですが退職給付引当金があります。これらは「負債性引当金」です。法的債務でなくても工事補償引当金や災害補償引当金などを任意に計上することは会計上は自由です。しかし税法では1円たりとも損金に算入できません。自由に損金算入ができるなら節税のため勝手に引当金を作って利益を圧縮しますから。

 このような引当金を計上するには大きな利益がベースにないとできません。赤字すれすれの会社では計上したらたちまち赤字決算になります。

 

なお、同じ「引当金」でも貸倒引当金は「評価性引当金」なので負債の部に計上されないで売掛金などの期末残高から控除される形式で表示されます。

 

最後に決算書の負債の部には上がらないけれど注意しなければならないものに保証債務があります。他の会社が融資を受ける時にその会社連帯保証人になっている場合があります。借入れた会社が弁済できない時に代位弁済しなればならなくなり偶発債務として大きな負担になります。保証した会社も一気に連鎖倒産することがあります。

 

偶発債務が現実になりそうな場合は「引当金」として貸借対照表に計上するのが本筋です。これをしない場合は「注記」しなければなりません。隠れた保証債務の有無は「注記」を丁寧に読めば把握できます。但しその会社が会計基準を守っていればですが。

 

上記で、会社に保証債務があることが分かった場合には、保証債務が現実になるリスクを測定するために、不動産登記を確認して余力を見ることも重要です。自分ところの借入金のために不動産が全部抵当に入っていたり、譲渡担保や仮登記担保が設定されている場合は、自社の債務で手一杯のところ他人の会社の保証をする能力が疑わしいとの認識もできます。念のために代表者の自宅の担保設定の有無も確認しておくことです。代表者の自宅に住宅ローンの抵当権だけが担保設定されている場合は問題ないと考えます。

 

時代の変わり目です。これまで羽振り良く見せてきた会社や人物の真相を見抜けなければ大波をかぶります。

 

<次回予告>

昭和末期のバブルで痛い目に遭ったのと同じ事がコロナで起ころうとしています。不景気というものではなく世界的な恐慌の可能性もありえます。よそに頼らないで生き抜くにはどうするべきか、考えてみます。

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