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しなやかな会社づくりー企業家と経理

第161回 危機は向こうからやってくる         異なるタイプの経営者の事例

2018年1月24日

事例4

 

 兄弟で経営しています。兄が社長をしています。兄は積極的なタイプです。いわゆるノリが良いと言いましょうか、先日も銀行に頼まれて実績作りとかで、保証協会の保証付きで借入をしました。売上も横ばいですが悪くはなく、その上、融資が実行されましたので資金も豊富で、兄貴はこの際一気に支店を増やして知名度を上げたいと言います。

 私は弟で、慎重な性格です。兄は、今あるお金は全部使えるものと思っているようなので、心配です。支店を増やすだけでなくゴルフの会員権とクルマも買換え、会員制の別荘の使用権も取得したい、と言っています。

 意見すると、お前は慎重すぎる、とたしなめます。どうしたら好いでしょうか。

 

 

ヒント:

1、銀行から融資が実行された今こそ、貴社の預金勘定の総額のうち、いくらの金額を常時キープしなければならないか、いくら以内であれば投資に回しても良いのかの線引をすることです。

 

2、その数字を出されてから、お兄さんとお話しされて、積極的に使う金額の内容について、お互いに合意できるかです。性格の違いがありますが、お互いの意見をよく「聞き合い」ましょう。

 

、目的と目標をしっかり話し合いましょう。貴社の事業の目的と、そこに行く指標である目標以外の資金の投入は無駄以外の何物でもありません。目標とは利益を生むことにつながるかどうかで判断します。利益がなければ会社は存在できません

 

4、無駄な支出を戒める反面、必要な部分への支出は十分にカバーされていますか。従業員さんの給与、賞与の体系、間接人件費の手当は十分なのでしょうか。

 

5、今のわが国の消費は「見栄」「人の目」「目の前、今だけ」が支配する消費文化です。無駄金を使うほどツケは後から必ず回ってきます。このことを銘記してください。

第162回 危機は向こうからやってくる       異なるタイプの経営者の事例 2

2018年1月25日

 ノリが良い人は世間には大勢いらっしゃいます。しかしお兄さんの場合は、事業の目的や将来イメージ、別の表現をさせていただきますと「事業のグランドデザイン」をお持ちになっておられないようにお見受けします。

 

 なぜかなら、ゴルフの会員権、クルマ、別荘は事業に必要なのでしょうか。ゴルフの会員権は単にプレーするだけなら、今どきは必要ではありませんが、ビジネス上の信用を得るためにはメンバーになっておくことも必要な場合もあるかもしれません。

 

 問題は「自分のために」そのようなものが欲しいのか、事業のために有益だから購入しようとされるのか、ここをハッキリさせることが大事です。

 

 ご兄弟でお話しされる点はこの点につきます。必ず他の人を入れないで二人だけで本音の話をしましよう。事業をどうしたいかイメージができないまま混沌の中に居る経営者は多いです。そのようなときに、もっともらしい理由をつけて「必要である」と結論ずける場合が多いですが、本当は核心の問題である事業の焦点が定まらないために、別のモノで気を紛らわすことがあります。

 

 都合の悪いことに、貴社には今は銀行からの資金が流入していますから気が大きくなっています。これだけでも」「アブナイ経営者」の資格が十分あります。浪費してあとあとにツケが廻らないように、よく話し合ってください。必要ならケンカもすることです。お兄さんに気づいてもらいましよう。

 

キープする資金の線引は次回にお話しします。

第163回 危機は向こうからやってくる         異なるタイプの経営者の例3 資金の必要額

2018年1月26日

 ①まず貴社損益計算書の「販売費・一般管理費の合計額ー減価償却費+借入返済元金+支払利息」=Aを計算してみましょう。

この算式①の意味は、会社の売上があるないに関係なく空気を吸うように生存のためには必ず必要な金額なのです。

 

 損益計算書の一番上の「売上高」と次の「売上原価」は一対になっていて、売上がなければ売上原価も発生しません。逆に売上高が2倍になれば、売上原価も2倍になります。

 

 もちろん売上高は多いに越したことはありませんが、ここでの考え方は、売れたら入金があるので、そのお金で仕入である売上原価の支払いをすればよい、との考え方です。

 

 実際には入金の速度が関係します。売りの回収日数が売れてから30日であり、支払いも同じ日数であれば入金即出金ですから、売上高ー売上原価(仕入)の差額である粗利益の額だけ貴社の金庫はお金が増えることになります。

 

 これはまれですがウリの入金が20日でカイの支払いが30日の場合は粗利益の額以上に「時間差」の分だけ資金は増加します。

逆にウリの入金が40日でカイの支払が20日なら、時間差の分だけ金庫の資金は早く減ってゆきます。

 

 今の段階で時間差を持ち出しますと複雑になるので、これ以上は触れません。資金の入り、出の時間差が資金量に影響することだけはご認識ください。

 

 今仮に貴社の預金勘定に3000万円あるとします。①のAが500万円としますと、半年間は売上がゼロでも会社は維持できることになります。半年間は、といいますか、わずか半年しかとも取れます。半年後の状態を想像して、そこから逆算して何か月を維持できるのかを見定めて維持す資金量を決めます。

 

鍵は売上の予測がしっかりできるか、にかかっています。

第164回 危機は向こうからやってくる         資金の必要額②

2018年1月29日

 時間差による資金の増減は次のような例えが分かり易いでしょう。

あなたは資金という湯がはいったお風呂に入っています。お風呂には給水蛇口から給水されます、他方、底に排水口があり、廃水されてゆきます。

 

 資金の動く速さが速いので、給水パイプからどんどん売上という湯が供給され、同じように速いスピードで底の排水口から資金という湯が出ていくというイメージをもってください。

 

 入金の速度が上回っている場合は、お風呂の湯はあふれますが、入金の速度より、支払いの速度の方が速い場合は、供給されるお湯よりも、出行くお湯の量が多いため、浴槽の水位は下がってゆき、やがては浴槽のあなたは風邪をひきかねません。

 

 このように回収速度>支払速度であれば、資金は枯渇しまん。逆の場合は、たとえ粗利益率が少々高くても、資金の減少は避けられないのです。

 

固定費を見直す、粗利益率を少しでもアップさせることに加えて資金の時間差を検討してみましょう。

第165回 危機は向こうからやってくる        利益がでたが、資金は増えない、そこへ税金の申告が

2018年1月30日

事例 5

 

 顧問の税理士先生の事務所から決算の結果が届きました予想外の利益が計上されています。確かに今期はよく頑張ったので、少しは良い結果だとは思っていましたが、喜びはありません。

 

 それより「利益」の割に資金は横ばいです。ここへ利益が出たからといって多額の法人税がかかってきます。不安がいっぱいです。

 自分のカンだけで経営してきましたが、今回のことで会計の数字を指針にしたいと考えなおしました。どんな点を見直せ場良いのかアドバイスをください。

 

 

ヒント:

 良い点に気づかれました。私が気になる点を列挙しますから、この順番に見てゆきましょう。

 

1、人間の体は実に精妙にできていますから、カラダで感じることは大事です。アタマばっかりや、マニュアルでしか判断できない最近多い人々に比べてあなたは余程まともです。まずご自分のカラダ重視の姿勢を褒めてあげれください。感度をあげてこられたのであなたのカンは鋭く、ピンとくる能力も高いと思います。

 

2、そのあなたが「利益」が出過ぎてオカシイと感じられたのは正しいと思います。「利益」が誤りの可能ありますから、税理士事務所からの決算書の検証を一諸にしてみましょう。

 

3、一方、月次の試算表が会計事務所で作成されているはずなのに、決算が来るまで見られたことがないのは、いささかカンに頼りすぎでしたね。決算が締まるまで結果が分からないのはいけません。この点は改めましょう。

 

4、試算表を会計事務所に丸投げはいただけません。FinTechの進化でデータがとりやすくなっていますから自社で経理の大枠をするようにできないか検討しましょう。

 

5、利益と資金の関係を理解しましょう。同時に法人税や消費税は確実に資金を喰いますが、対策もできます。あなたはカラダで会社の実態を受けとめらていますから、税金の資金に対する影響の理解は早いと思います。

 

 会計や税務は「情報」そのものです。一方、会社の現場は前線です。前線と後方の情報を両方とも自在に生かすことが必要です。片方だけは偏って危険です。

 

では次回から見てゆきましょう。

第166回 危機は向こうからやってくる      利益が出た、資金は増えない、税金が来る・・・五感を生かす

2018年1月31日

 ヒントの順にご説明します。

カラダで考えるといいますか、アタマに偏らないでカンを磨かれることはとても良いことです。では会計の集約である決算書と五感の関係はどうなのでしょうか。

 

 損益計算書の売上高は小規模ならカラダの感覚である程度は分かります。現金商売なら入ったお金の日計とご自分のカンが殆ど一致するでしょう。しかし人数が増えて数人が営業担当者として頑張っている状態では、五感の目、耳、触覚の何れを総動員しても会社全体の売上高は把握できません。

 

 料理屋さんなら大将が店の客の入り具合を目で追っていたら、その日の売上は現金払いであれ、掛けであれ、凡そは分かるのですが、数人で営業をする規模になりますと、その日の「集計」額を確認しないと実際の売上は把握できません。

 

 このことは仕入も同じです。一人が売りも仕入も担当するのは限界が来ますから、仕入れの担当者に任せることになります。あらかじめ仕入れの上限の設定を命じていても、それをオーバーすることは自然です。予想外の仕入れになっていて、結局は在庫が増えることになります。

 

 むしろ視覚が生きるのは在庫量です。目に見えますから量は一目でおおよそを計測できます。売掛金については、TOPがお得意先を廻っていれば相手先との対話や、先方の社内の状態から一目で「異常」な状態か順調かは感覚が教えてくれます。

 

 設備の状態がよく手入れが行き届いているかは工場に入れば一目で判断できます。情報系の場合はチェックしてくれるメンテ会社のレポートやログの解析で状態は分かります。

 

 一人でやっておられる商売の場合は、極端に言いますと会計帳簿がなくても先は見えるのです。しかし従業員が複数になり役割分担をするようになりますと、係数が先にきて、五感を動員して会計数字の裏付けをするのです。規模によって数字と五感の順序が入れ替わるのです。

第167回 危機は向こうからやってくる        五感の限界

2018年2月1日

 複数で事業を運営される場合、社内のコミュニケーションが重要になってきます。一人で事業や商売をされておられる場合と、決定的に違う点です。

 

 同じ会社に所属するスタッフであっても、代表者と異なる人格ですから思うように行きません。十分に丁寧に物事を伝えないと誤解が生じます。

 

 人間の心というものは本人が意識される、されないにかかわらず広大無辺なので、誤解が生じた場合には連鎖反応で思いもよらない方向に行ってしまい、距離が出てしまいます。そこへ人間は「言葉」という便利な、しかし厄介なものを使いますから相手の口から出た言葉がその人の本音ではない場合が多いものです。こちらの意図と全く違う受け取り方をされることがあります。言った方もしばらくすると言ったことを忘れていることがままあります。

 

 この結果、口で言うことと、内心で思うことが異なるのが常態です。日本では特にこの開差が大きいように思います。その上、我々は瞬間の思い付きで行動しますから、結局、「口で言うこと」、「内心」、「行動」がバラバラになるのです。この点が言葉を持たない犬などと人間が違うところであり、しかも神経を使わなければならない点です。

 

 しかし、このようにむつかしい存在である「人間」を生かさないと経営はできません。カンに頼って複数の人々と事業をしてゆくには、何が実態なのかが分からなくなることがあります。これが「経営者の孤独」といわれるものでしょう。

 

 「音楽家は人間の言葉を信じない」という意味のことを聞いたことがあります。オーケストラやバンドの指揮者は、演奏中は言葉は関係なく音だけの世界と思いますが、経営では言葉を尽くして話し合い、聞き合わなければ意思疎通はできません。

 

 ではどうすれば良いかということになります。ここで計数が重要な役目を担ってくれます。複数での事業の運営では必ず計数(数字)を報告などのコミュニケ―ションに織り込むことで「曖昧さ」や「ごまかし」」を自然とは排除することができます。

 

 ビジネスのいろいろな場面で100%数字が出てきます。数字がないビジネス会話はあり得ません。これが単純な事実なのです。

カンを大事にされ、感度(カン度)を挙げるとともに、数字を有効に用いて、カンがぶれないようにしたいものです。

第168回 危機は向こうからやってくる         事例5-ヒント2について

2018年2月2日

 決算を税理士事務所に丸投げされておられることは、ヨロシクない、とすでに書きました。しかし決算きが来てしまったので、今期はその現実のもとで対応しましょう。

 

 まずこの決算はあなたの会社の決算ですから、主人公は他でもないあなたです。決算書に表現されていることは、全て「あなたがしたこと」です。従って次のことを行いましょう。

 

1、会計事務所の担当者にしっかり納得がゆくように説明をしてもらいます。納得がゆかないままでは理解したことにはなりません。会計事務所の担当者は期中にあなたの会社に何回来られましたか、きて在庫や設備の実際の置き場を見られましたか。

 

<Noであれば、その担当者は単なる「数字の整理屋さん」でしかありません。社長のカン度とズレるはずです。このずれの部分にこだわりましょう>

 

2、社長のカンと決算数字がズレる原因の最大のものは期末の在庫額です。いわゆる「期末棚卸高」です。期末棚卸高の計算根拠を会計事務所に説明してもらいましょう。

 

<以前書きましたように、期末在庫は数量×単価で決まります。数量をどのような資料から得たのか、聞きましょう。次に単価の根拠を聞きましょう。あらかじめ税務署に期末評価方法の届出がされている場合は、その評価方法によります。届出がされていない場合は法定評価法である最終仕入原価法によります。届出された評価法か、最終仕入原価法以外の評価法は使えません。会計事務所の担当者が、貴社の評価方法を知らなかった、というトンデモナイ担当者もいますから気をつけましょう。>

 

3、その次に売上の計上時期を聞きましょう。あなたの会社が12月末日が期末日の場合、12月末日までに引き渡したものが12月度の売上になります。1月に引き渡したものまでが12月の売上に入っていないか確かめましょう。その場合は過大売上ですから。

 

3、仕入高は12月末までに引き取った分までが12月の仕入高です。利益が出過ぎる場合、12月の仕入れが洩れて未計上の場合があるかもしれません。特に年末ですから事務手続きが遅れることもあります。

 

 これらについて社長であるあなたにワカリヤスク根拠を示して説明してくれてアタリマエです。それを拒む場合や、説明が支離滅裂の場合は会計事務所の所長先生にお越しいただいて事実をクレームとして申し上げましょう。 

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