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納税者と税理士の紛争事例から学ぶ

第1回 結構多い過大申告・・・申告後でも変更できます。

2019年3月14日

 平成30年分の所得税・贈与税の申告も3月15日(明日!)までです。

 

 イロイロなお問合せで、目だつのが経費(修繕費が目立ちます)や医療費の計上洩れが申告書を提出してから見つかったというケースです。

 

 また減価償却費の計算を間違っておられる場合もありました。

平成19年4月1日以降に固定資産を取得された場合で定額法の計算では取得価額に0.9を掛けないでいきなり償却率を乗じるようにルールが改められているのですが、これまでの減価償却費の計算方法を踏襲され1割少ない減価償却費で申告されている場合などが一例です。この場合、費用の過少計上になっていますから、正しい減価償却費を計上すれば税金が減ることになります。

 

 明日までなら、申告された申告を訂正することができます。あとから出されたの申告書を正規の申告と扱ってくれます。

 

 明日に間に合わない場合はどうなるのでしょうか。

5年前までの申告内容を訂正できます。これを更正の請求といいます。

平成25年分の所得税の更正の請求は明日までです。といいますのは平成25年分の確定申告期限は平成26年3月15日ですから5年後である今年の3月15日までになります。

 

 なので26年から29年の間の申告が過大であった場合はまだ時期的に余裕があります。

なお申告義務がない還付申告書の更正の請求は3月15日日ではなく4月10日までです。事業や不動産所得のかたと違って、給与所得の方は申告義務がありませんが、医療費控除を受けるために平成25年分の還付申告書を平成26年3月15日に提出された場合、今年の4月10日が期限になります。

 

 最後になりますが、平成22年までは当初の申告で所得税法の条項を適用した申告をしていない場合は更正の請求ができなかったのですが、下記は当初申告で該当する条項を適用していなくても、いきなり更正の請求をすることができるように改められています。

 

給与所得者の特定支出の特例

保証債務を履行するために資産を譲渡した場合の特例(譲渡がなかったことにできます)

・雑損失の繰越控除(災害や盗難、横領での損害が該当します)

・純損失の繰越控除(事業などで大きな損失が出た場合に該当する場合があります)

・変動所得及び臨時所得があった場合(不動産賃貸の預り保証金の敷引きが該当する場合が結構あります)

第2回 税の問題で一番大事なコトとは、、

2019年3月15日

税金の問題は、事実をそのまま見ることができなければ正確な答えが出ません。

 

情報が多い世の中ですから私たちの頭には刷り込みが深く入っています。刷り込みが入っていない人はいませんが、物事に対処するとき、一旦その刷り込みから離れて物事をありのままに見ることが必要です。

 

税理士の仕事は依頼者が持っている刷り込みや先入観に気づき、対話の中からその部分を除いて事実を見ることに努めます。

 

誰から聞いたとか、お友達がこう言っていた、こうしたら税金が安くなった、雑誌で見た、息子が言っていたなどが出てきます。

 

その人の税金に関する事実を確かなものにする(認定するといいます)ための、この過程で一番厄介なのが「刷り込み」からくる思い込みです。

 

事実を積み上げることをしないで答えを早く求める傾向があります。

そのため私の見るところは、相談者の表面と本音は大きく違う、外見で礼儀正しそうな人が課税の問題になると人格が変わって(底がみえて)違う人物に豹変されるのです。

 

相談の初めから最後段階には請求書を出し、入金されるまで人格がコロコロ変わるのです。非常に興味深いです。根底にあるのは

   ・人の目が気になる

   ・他人と比べて優遇されてないと腹の虫がおさまらない

   ・国は間違いをしない。

   ・有名なもの、規模が大きいもの、ブランド価値があるものは中身も素晴らしい

このような「感情」が支配していますから、最初は事実を示す書類のみを相手にし、それで補えない部分を質問させていただくように順序を決めています。

 

第二段階での対話が正念場です。最近は日本語が通じない(くだけた表現を心がけてもです)かたも増えてきました。

 

中には税理士を頭から信用していない人も多いです。それなら相談に来るなョと思います。

こちらの答の表面部分だけを持って他の税理士さんに聞きに行かれる人もあります。問題はその人が他の税理士にどんな話かた、聞き方をされてるかです。

 

間違った聞き方では間違った答えしか還ってきません。原因は質問を発した人にあります。

自分の知識や経験からならまだいいのですが、根底から刷り込みが消えないのです。知識も一部分だけで偏った場合もあり、経験は偏見に繋がります。

 

自分の期待する答えに合ったものにしか耳を傾けません。

このような決めつけが支配することから税のモンダイが出てきます。

 

税金の判断は、決めつけからの隔離をすることから始まります。

第3回 相続税申告:預金、生命保険契約のリストの記載もれ

2019年3月18日

依頼者と税理士の間に無用なトラブルが生じないように紛争の実例をもとに考えてみましょう。

 

依頼者:相続税の申告を税理士に依頼した際、預金や生命保険金契約が記載されたリストを税理士に渡したのに、申告に反映されなかった。税理士に落ち度がある。

 

税理士:そのようなリストを受領した記憶はない。質問して示された資料に沿って相続税の申告をした。

 

申告につき、税務調査があり、調査官に申告洩れを指摘された結果、追徴税と重加算税の負担を余儀なくされた。

 

問題点

・リストの授受があったか、否か。

・リストには正確に預金や生保契約が記載されていたか

・税理士はリストとは別に、預金や生保契約の確認をしたか

 

事 実

・税理士は初回に依頼者宅を訪れた際、相続税申告に必要な書類のを記載したメモを手渡した。このメモには預金通帳・残高、生命保険と記載されてあった。その後の訪問で預金通帳の写しの交付を受けた。

 税理士は通帳にて入金を確認したところ、相続開始後に生保会社から生命保険金の振込があることを知り、依頼者に支払通知書の提示を求め、提示を受けた。

 

・さらに税理士は、被相続人のほかの資産から保険掛金が支払われている場合は名義にかかわらず相続財産に含まれると説明した。

 

・また税理士は他に支払通知書があれば通帳と突合せをする必要があること、生命保険契約の権利(注:被保険者が被相続人でないばあいの保険で、まだ保険事故が起こっていないもの)については契約内容が分かる資料が必要であると説明したが、これらの資料は出されなかった。

                        参考 Z999-0160                    

次回に続く

第4回 相続税申告:預金、生命保険契約リストの記載洩れ 2

2019年3月19日

このケースのその他の事情と裁判所の下した判断

 

 

依頼のきっかけ:依頼者の銀行が税理士を紹介した。依頼者は、この銀行の勧めで台帳を作成していたがこれを税理士に提示した、していないも争点になっている。

 

依頼者の損害賠償の内容:税務調査の結果、税務署に追徴された重加算税、過少申告加算税、延滞税、弁護士費用の合計額が損害額であるとして税理士に請求した。

 

(仮装隠蔽ゆえに重加算税が課された原因は税理士がしっかり調べなかったからであるとの依頼者の考えが読み取れる)

 

 

裁判所の事実認定と判断

・依頼者は預金通帳の一部分しか税理士に開示していなかった。開示されなかった通帳には多額の生命保険金が保険会社から振り込まれていた。

 

・税理士は開示された預金通帳で生保金の入金を確認し相続税申告書に計上した。また調べた財産を財産目録として整理し、依頼者に確認を受けるため提供している。

 

・依頼者はこの財産目録をもとに、誰がどの財産を相続するかを協議し、遺産分割協議書を作成した。

 

・税理士は上記遺産分割協議書を前提に相続税申告書を作成した。

 

依頼者が財産リストを税理士に渡した証拠はなく、依頼者の言うことには疑問を差し挟まざるを得ない。このため税理士が十分な調査を怠ったとは認められない。税理士は依頼者から与えられた資料の範囲ないで調査義務を果たしている。

 

・依頼者が税理士に提出しないものを「改めて提出を指示する義務までは(税理士には)ない」

税理士には依頼者が指摘するような財産調査義務違反があったと認めることはできない。

 

依頼者は、高裁に訴えたが結果は変わらず、敗訴した。

 

次号に続く

 

参考 Z999-0160、Z999-0161

第5回 相続税申告:預金、生命保険契約リストの記載洩れ 3

2019年3月20日

高裁でハッキリしたこと

 

相続財産に関する事実は相続人らの支配領域に属する事柄であり、相続財産以関する情報に接することが可能なのであるからみずから調査することが重要である。

 

・相続財産の全容を把握することが困難な場合は、専門家(税理士)に依頼しても、税理士の助言、指導にを受けて(みずから)相続財産の調査をしなければならない。

 

・依頼者の取引銀行が「資産承継プラン」に沿って資産の調査を依頼され「遺言作成サポートサービス報告書」を依頼者に報告されているので、全容は書面化されている。よって(このケースでは)税理士の役目は「相続税の申告書作成に限定されたものであると解するのが相当である」

 

・委任契約は、以上のように解釈できるので、税理士には義務違反はない。

 

資産家のばあいは「相続財産が高額である場合には申告漏れがあったときの延滞税、加算税、重加算税も極めて高額となる可能性が高く、より高度な注意義務が課されるのであり」税理士に「善管注意義務違反があったなどと主張するが、」その主張は採用されないと説いて訴えを退けた。

 

 以上の一連の内容から、依頼をする側も、依頼をされる税理士も、問題が生じないようにするには、どのような点に注意すれば良いのかをこのケースから引き出したいと思います。

 

次号に続く

 

参考 Z999-0161

第6回 相続税申告の争いから学ぶこと

2019年3月22日

ポイントは以下の通りと考えます。

 

1、丸投げはいけない。

結構このタイプの依頼者が多いです。

財産のことや情報を一番知っているのは亡くなられた方の家族である相続人です。高裁がこの点を指摘したのは注目に値します。

 

2、必ず契約書を結びましょう。

契約書にすることでどこまでの範囲で、何をゴールにして、依頼者の方が資料を出すことを約束します。税理士は専門知識を提供することが明確になります。

 

3、中途半端で移り気が起こった場合のブレーキがかかります。

税理士が仕事に着手したのに「よその税理士のほうが税金が安いョ」とか入りいろな刷り込みが依頼者に入ってきます。

 また依頼者も長年の顧問関係がある場合はともかく、このケースのように銀行さんの紹介の場合は、付き合いが浅く不安の中にあるかもしれません。

 急に、キャンセルされることはあります。このような場合に備えて中途解約の場合の違約金の定めは必要です。

 

4、他からの干渉、介入に備える

皆さん情報が多過ぎ「腰高」なので人のうわさやちょっかいに惑わされます。契約が備わり、中途解約の定めがあれば、まともな神経の人は解約はしないものです。いい意味で双方の関係が安定するのです。

 

5、値段に注意

契約を結んでから、高いように思い、あっちこっちの税理士事務所に聞き合わせする人もあります。悪意で「その値段は無茶苦茶ですよー」と吹きこむひともあるでしょう。

 仕事の内容がよくわからない依頼者は価値が分かりませんから価格にのみ敏感です。事前に良く説明し、高いと思う場合は契約しないことです。低い価格に流れない毅然とした態度は税理士にも必要です。

 依頼される場合はまず説明を聞きましょう。ご自分の頭で理解しましょう。税理士も十分に説明しましょう。

 

一番の問題は、契約の段階まで行かないで事前の調べが必要な場合、その執務報酬をどうするかです。

 

次回に続きます。

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