来年からの大変動の兆しがいくつも出てきています。制度にほころびが目立って来ました。
一番信じられるのは自分です。周りに振り回されないで行動し対処しないとつまずきます。
シンプルに向かうための二つの関門を想定します。
1,会社清算前 整理手続
2,相続税申告前 整理手続
あらましの説明
身の回りで「それは本当になくてはならないものか」との問いを自分にしてみたばあい、不要なものに気づくことが多いです。
そのなかでも大きな仕組みで、これまでそれがあることを当たり前にしてきたものが案外気づきにくいものです。
その1:役目を終えた「会社」
どうしても会社の形態でなければなりませんか?会社であるため複式簿記の会計が必要になります。税理士や会計士への顧問料の支払いも生じます。
一旦、会社の形式をやめても困ることがないか、考えてみましょう。
不要な会社は淘汰される流れです。今は会社の解散・清算をするかたが多くなっています。会社のまま残しておいてさほど役にも立たず利益も生まないケースが多いです。
日本経済が上向いていた1970年 大阪万博から55年経ちます。事業を法人にするのはそのころのトレンドです。
今はどうですか?人口減少、教育の劣化から採用人材の質に問題があります。まして零細企業に人材が来る確率は低いです。
平成18年を境に採用人材の質が悪くなっています。私が運営していた会計事務所でもそのことは顕著でした。一緒に仕事をできるレベルではありませんでした。いまはもっと状態は過酷でしょう。
その2:銀行借入金
一つの考えとして、今仮に相続が起こったとします。資産がどれくらいあるか調べなくてはなりません。当たり前のように銀行に約束通り返済してきましたが、その借金はあなたの資産で返済可能かもしれません。
税制を初めドンドン複雑になってゆくばかりですが、その流れに同調しないで立ち止まってみましょう。
次回に続く
Newsの犬式部と猫納言の対話のように見通しは良くありません。
確実な変化が来ています。予兆から先行きを認識し、行動に移すためには「予見」をしっかり持つことです。ここが無いと行動の踏み込みにパワーが出せません。全く違う方向へ流されるように日々を送ることになりかねません。
予見に取り入れる、これまでと違う点
・<固定資産重視ではない>
不動産やモノが重要で流動金融資産(株式投資含む)は2番手でよい=ハズレ
→すぐ自由に使える金融資産が一番。モノや不動産は最小限に。
・<安易な借入金が身の破滅>
借入できるのも地力のうち。借金して高級品・高級車で身を飾る=ハズレ
→どうしても必要なものを得るための借入金は、返済の計算が成立てばとも
かく、計算が立たない借金は先々苦のタネに。
・<スキルや技能・技術なければ困難に>
学ぶなら、人がうらやむ有名校・名門校=ハズレ
→なりたい自分になるための必須のスキル、技術が学べる場へ進みましょう。
人口減で我が国の大学は間もなく定員不足で崩壊。そうならないために生き
残るため広告しまくり、もはや商売になっています。
その卒業証書ではメシは食えません。
背景の説明
・<格差を生む税制と似非有閑階級の出現>
贈与税が非課税になる特例に住宅取得等資金贈与の非課税特例2500万円、教育資金贈与の非課税特例1500万円、結婚・子育て資金贈与の非課税特例1000万円があります。私の先輩税理士は「ドラ息子、ドラ娘育成税制」と呼んでましたがこの税制と金融緩和の効果で、手っ取り早く欲しいものが手に入るようになっています。
幸せいっぱいで、辛抱という言葉が無縁な人々が似非有閑階級になってゆきます。しかし資金も、資金を勝ち取る気概も底が浅いためこれからの大変動で却って崩壊が早い層になるでしょう。
貧しい時代は生活することに必死で、その中で鍛えられました。豊かな時代に育って欲しいものはすぐ買えるようになり、その上に見栄と欲望がメデイアであおられ薄っぺらな、上辺だけ、見てくれだけを求める時代ですが、この次には自力で稼げないうえ特別な他より秀でた技能がない層に経済の変化が影響してきます。良い学校を出て大きな会社に勤めるその先はウリモノを持たないと難局が続きます。
破産が増えています。裁判所のお世話にならない実質破産や買いたたかれるM&Aという形で事業は消滅してゆきます。あるいは外国資本が入って支配します。
つい最近までは貴族政治家はヘタレの世襲でも、市井の人々は賢くしたたかでした。しかしその後の世代は、教育の劣化の影響が出てきます。
この傾向には負のエネルギーがありますから止まりません。早く事業を見切った方が傷が浅い、会社は解散・清算したほうが残るものが多い、と申し上げる根拠はここにあります。
来年で、敗戦から80年。敗戦後の占領政策の毒が敗戦から3世代目の今の30歳未満世代に顕れてきます。
この記事は長い間、中小企業を経営されてこられたかたがたに税務と会計の分野でお役に立つために書いています。
会社の閉じ方が第一番に来るのではないでしょうか。「閉じ方」の意味には代替わりも含まれます。また会社の解散・清算に至る場合もあります。
1,手順
<会社ないし事業>
①会社の余力、成長可能性、主要商品群の人気度を見ましょう。
②資産負債の中身をチェックする。
③固定資産の劣化度を見る。
10年先を見ましょう。今は良くても10年先はどうでしょうか。
またこれまで赤字で苦しんでこられた場合は会社を清算したとして、いくらのお金になるのかも試算しましょう。顧問の会計事務所の助けを借りるのも良し、拙著「事業家Q奮闘記」のQ社長のように顧問税理士が頼りにならないと判断し自分の手で会社の決算書を見直すかたもあるでしょう。
<個人>
①資産負債の一覧表を作成します。
②10年先は様相がどう変わっているのか予見できるはずです。
③投資について利回りをチェックしましょう。捨て金になっているものは速やかに
処分するのが得策です。塩漬けの株式は月足の25日移動平均線と今の株価を比較しましょう。証券会社ホームページの「テクニカル」欄の一目均衡表やボリンジャーバンドを補助的に用いて継続して持つか、見切るかの時期を考えましょう。他人を当てにしないで自分で勉強して決断します。自分で見切ることに慣れてくれば、どうすれば良いかが見えてきます。
④不動産は市街地以外は早々と処分します。市街地以外の価格は原則上がらないと私は見ています。
⑤相続税:かかる、かかからないかを自分で①の一覧表を参考に計算してみましょう。その時に拙著「Oh!相続税申告書が自分で作れる」が役立つかもしれません。書店では同じような本が並んでいます。税金の不安や負担する税額に比べて高くない費用です。惜しまずご自分の波長に合った本を手許に置き勉強しましょう。
今回は高齢化が進むわが国で特に注意する点に触れます。それは株式です。上場会社の株式ではありません。非上場の中小企業に株式を持たれている場合の注意点です。
<質問です>
Q1:株主であるあなたはその会社の経営者ですか・・・yes/no
Q:ハイの場合、いつまで事業をされますか・・・決めている/いない
Q:後継者(または後継者候補)はおられますか・・yes/no
Q:株主名簿はありますか・・・・・・yes/no
Q:株券を発行されていますか・・・yes/no
以上は入り口の質問です。
Qに沿って解説します。
<想定される事態>
経営者でいつまで事業をするか決めていないうえ、後継者もいない。そして株主名簿がなくて誰が株主か明らかでないうえ、株券を発行されている場合は最悪です。
どうしてかと言いますと、経営者のあなたに急なことが起こって後継者もいないのでは会社は空中分解しかねません。そのうえ株主が何人もいて連絡も取れない、株券が発行されていると誰が支配的なオーナーかも不明であるため会社の継続・解散などを決めることができません。
<対策と確認するべき資料>
1,株券の所在を確かめる<株券を持っている人がオーナーです>
2,定款の定めを確認する<株券不発行になっていないか>
3,司法書士さんに依頼して株券不発行に変更する手続きを依頼する<会社の成立時期によって適用規定が異なります。大事な点なので専門家に依頼しましょう>。
4,念のため法人税申告書別表2を確認する<株主の分布が分かるかもしれません>
税理士をしていますと相談ごとに備えるため多くの情報を得る必要があります。またZoomでの事例研究も欠かせません。そんな中で注意したい点をご案内します。
1,投資と借入金
昔から銀行さんが勧める節税法ですが借入をテコにする方法があります。利益が蓄積して相続税の株式評価額が高い場合、持株会社を作って銀行から借入し、そのお金で現在の株主から株を買い取る方法です。
問題はその借入金の返済金はどこから出せるかの点をしっかり見極めるとともに完済までの期間、山あり谷ありの長い年月を会社が耐える体力の有無をチェックしておくことです。ツケを後に回せば後の世代から恨まれます。
2,株式投資:信用取引か現物か
信用取引とは証券会社から借入して株式投資することです。利益が出る場では儲けも大きくなりますが逆もあります。私も勉強を兼ねて株式投資しますが現物しかしません。想定外の経済状態になり急落してしまうリスクまで負いません。人間、欲の肥大が苦を呼ぶことは避ける方が賢明かと思います。
投資に際しては株主を調べましょう。四季報や有価証券報告書で分かります。私はアメリカ株には投資しません。これから尚更です。私見ですが下がってゆくでしょう。債務大国ですから。なので日本株しか買いません。日本の会社でも株主は日本人とは限りません。日本の会社と言っても外国資本にM&Aされている場合もあります。外国の経営者も多くなっています。彼らは視野が広く優秀なのだと思います。いろいろ考え方があります。私は日本人の経営する会社が今は好みです。
3,有限会社の会社じまい
会社を閉じるご相談もありますが、もう役目を終えた会社が多いです。したがって費用をかけないで閉じたいと思われるのは分かりますが、株式会社と違って有限会社は手間がかかります。解散の決議→公告2ケ月→清算結了の順序です。費用も安くはありません。これから起業するならともかく、閉鎖するのにこんなに時間もお金もかかるのですか?会社作るときは有限会社の方が簡単だったのに、、と言われます。もうこれからは有限会社は設立できませんが有限会社閉鎖の場合は先のコストも見込んでおく必要があります。
4,会社経営と認知症
中小企業の特に家族経営の場合、株主や経営者が認知症にかかると法律行為はできません。そのうえ株主が分散している場合には認知症リスクも連動して上昇します。
この点については後々少し詳しく触れます。
以上が注意点です。
相続と投資・税理士・固定資産
富裕層ではない普通の生活者が資産の形成に励んでもやがて相続の時期が来ます。今回は人間である以上避けて通れない相続と5つの切り口がかかわるところについて解説を進めてゆきます。
分かりやすくできるだけ専門用語を使わないようにします。必要な場合は*印で文節下に記します。
<投資>と借入金:相続対策
金融機関から相続対策のため借入して賃貸住宅を建てると建物の相続税評価額は自用の場合に比べ下がります。なぜなら借主の存在があるため家主は自由度が下がるからです*1。その分、相続税の評価は減少するとともに、土地の評価も自用に比べ借主の存在が自由さに影を落とし*2評価が下がります。評価が下がるだけでなく借入金が相続税で債務として控除されるため二重に有効であるとして、世間では相続税の節税策として勧められます。
*1:これを借家権と言います。
*2:その土地の評価区分は貸家建付地になります。
ここで良く考えましょう
1,人口減少と供給過多の現実のもと空室をどの程度見込むのかが重要です。銀行がお連れになるハウスメーカーのプランでは空室率5%などのものがあります。これでは将来、空室で悩むうえ賃料の値下げをしても入居者が入らない危険があります。甘い空室率には要注意です。
2,借入金は返済するに連れ元金は減ってゆきます。最初は多額の債務控除ができても時間が経つほどに残債が減るため債務控除される額は減少し相続税の節税効果は減ってゆきます。借主が長生きされ返済が進んだ時期には、老朽化した建物が残るだけです。次世代はだれも継承を嫌がるでしょう。現金なら喜びますが。
土地価格も下がるなら、別に借入金をしなくても相続税は下がります。結局これまで何をしてきたのか、利息を支払った結果しか残りません。
誰が一番儲けたのでしょうか?金利を得た金融機関と建設会社です。相続税が高いので困っているとか根拠のない風説に影響されないで税理士さんに「ウチの相続税どれくらいになりますか?」と聞かれたら良いのです。税理士以外の金融機関や不動産会社などでもこの手の相談は受けていますが自社の利益になるように誘導される懸念があります。中立な存在である税理士への相談が良いでしょう。
<税理士>を選ぶこと
相続の相談ができない税理士先生もいます。相談の前に準備した質問をして相手の力量をチェックしましょう。さもないと相談して不満足な答えでストレスがたまるうえ相談料の請求がきます。税理士にはいくつもの入口があり、得手、不得手があります。かかわりを持つ前に良く考えましょう。*3
*3:ご参考になればと紹介します。私の近刊「Oh!相続税申告書が自分で作れる」の125頁~129頁にこの点につき分かりやすく書かれています。
<固定資産>
上の例のような不要な固定資産である建物を建てて喜ぶ存在があります。
建設会社のほかにもう一つあります。固定資産税をかける市町村です。
市町村にとっては固定資産税は安定した税収源ですが最近は過大評価しているとの訴えが相次いでいます。
景気悪化のもと、先々困らないために投資(借入金)、会社、株主、固定資産、税理士の5つの切り口からの説明のうち初めの借入金と会社に関してポイントを述べます。
<若者の借入金>
一番気の毒なのが若者で借入金を抱えている人たちです。大学に進む時に奨学金の貸与型を借りて卒業後に給与から返済してゆく途中で、就職した会社が合わない、パワハラがあったなどで退職し、家賃など生活費のためにアルバイトをして再就職先を探すケースが多いです。諸物価値上がりのうえに奨学金の返済があるためやむを得ず消費者金融のカードローンで不足分をしのぐことになり、そのうち2つ3つのカードで借入、返済を繰り返すうち多重債務者になってゆきかねません。志望する正社員での就職も見つかれば抜け出せるのですが。
<年配者の会社仕舞い>
思い切って会社を閉じる決断をされる場合が増えてゆきます。多くは顧問税理士さんがついておられ決算・申告のさいに相談され計画的に不良資産の処分、債務整理に進まれ「解散」決議から「清算→結了」に行かれます。
問題は相談する税理士がおられない場合です。会社である以上、決算に際し資産と負債の比較などもされないまま債務超過になっており解散ができない、いわゆる手遅れの場合もあります。残る道は法律事務所に駆け込み、破産手続きに入ります。毎期、会社の会計を見ておられれば事前に回避する方法もあるところ最悪の結果になります。
<悪質M&A>
税理士をしていますと多くのM&A会社からの広告宣伝が来ます。中には質の良くないM&A会社もあります。
悪質M&A業者を排除するため、経済産業省は令和6年8月30日に「中小企業のM&Aに関する指針」を改訂しました。会社の売手は借金が多くて会社を手放したいところですが、金融機関からの借入の際に経営者として連帯保証をつけている場合があります。これを解除しないままM&A契約に進むケースがあるようです。売り手にはその後も連帯保証債務が残ります。注意しなければなりません。
<まとめ>
二宮尊徳翁は天候不順から凶作と大飢饉を予測し準備を進められ農村を救済されました。今は情報が行き届いていますから各自が情報の「真贋」を見定め自己の指針にできる時代です。
目配りが必要な点は
・国の借金は膨大なので今後も増税は続く。言い換えますと凶作と飢饉がこれからも続くので備えが大事です。見栄からの消費は不自由への道。
・資産があることとキャッシュが不足しないことは違う。自由になるキャッシュが大事。
・資産の中でキャッシュにつながらないものはないか?
・相続でも、会社仕舞でもテキは内にあり。相続人間の争いのタネや株主間の不調和は早めに解消の手を打ちましょう。
・固定資産は固定資産税のモト。固定資産税は市町村のメシのタネ。手を打たないと生き血を吸われ冗税を払い続けることになります。
はじめに:ここらで、このブログの目的を書いておきます。
このブログは投資・会社・株主・固定資産・税理士の5つの入り口から下り坂を転がり落ちる日本で損の道に巻き込まれない注意点を説明しようとしています。
これらの項目は実は相互に関連しています。どの項目から入っても、どの年代のかたでも、どんな仕事をされていても、あるいは現役を退かれていても誰にも必要な「生活のための投資」「消費者として、取引相手として、従業員として接する会社」「その会社の支配者である株主」「活動の拠り所である固定資産」「避けられない税金の相談をする税理士」の情報を得ておかれることは、国会議員をはじめとする貴族階級のメデイアでの広告宣伝に振り回されることなく、判断されるときに少しは役立かもしれないと思います。
<これからも借金は増えるばかり>
どうしてかと申しますと
・メデイアで膨らまされる欲望と見栄
・豊かな時代に育ち、辛抱とは無縁
・手っ取り早くお金が欲しい、待つ強さがない
・物価高で収入が伸びない
この結果、借入が借入を生むことになりがちで返済の当てもないまま「良くない借入金」が増えてゆきます。
<投資も借入とヒモ付けられる>
株に投資しているうちに現物ではなく信用取引に行く傾向がありがちです。これは証券会社から借入して株式に投資することです。
投資用マンションを購入する場合はローン付きが普通です。投資した株やマンションの時価が下がり始めると落ち着かなくなります。株式は買おうとする銘柄の日々の相場をチェックしていないと値動きについて行けません。売り買いのタイミングを外してしまいます。マンション投資はよほどの好立地でない限り良い材料はありません。自動車を買った翌日の中古車市場では購入価格より下がるのと同じです。すべて売ったもの勝ちです。
<進学するにも学資ローン>
行く学校で何を学ぶか決めていないのに周りが行くから進学することは要注意です。偏差値や合格率に目が行き、肝心の目的は見失われています。今や大学は商売です。日本の大学は半分が定員に満たないのが現実で電車のつり革広告などで受験者集めに必死です。やがてM&Aで半数になるでしょう。大学職員と教授の先行きは暗いでしょう。職を失うのです。すでに供給過多なのです。
そんな場所へ目的も定まらずにローン(借金)で入学すると後悔します。受験産業のエサになるだけです。ネットでは大学のキャンパスの綺麗さや人気比較ばかりです。教学の中身と関係ありません。
社会に出てから後悔しないためにも、立ち止まって、大学のブランドより実力を付けられる学校を探すことです。もちろん何を学ぶかが決まっていないと始まりませんが。
前回は年率12%で100万円借りて、返済は月々1万円の場合、元金は永久に返せないという話でした。
では年率6%で借りた場合でほかの条件は同じなら返済額はどうなるのでしょうか。支払う利息は100万円×6%=6万円です。月額5千円の利息です。毎月1万円返済してゆく条件ですから元金は5千円返すことができます。もっと現実に近づいて年率1.2%ならどうなるでしょうか。
この場合は100万円×1.2%=12,000円が年間の利息で1月あたり1000円です。毎月1万円を返済しますからその内訳は元金9000円、利息1000円です。利息計算は単純化していますが、これくらいなら先行き完済の見通しも立ちます。
今後は、この金利が徐々に上がってゆくことが確実視されています。我が国の国債発行高は異常に多額であり資金調達のためには金利を上げないと国債が捌けないからです。1.2%で元金9000円返済できても、やがて4%くらいに上がると思います。当然、元金返済額は減少します。または条件変更して月額1万円の枠を増やす道もあります。こうなると自由にできるお金は減ってゆきます。
国債の異常な増加に対して貴族階級(国会議員)は対応するそぶりもありません。増加する一方です。ツケは人々に回されます。
<良い借金・良くない借金>
良い・良くないの境目は返済余力の範囲内での借金か、返済できるめどの立たない借金かだけです。
返済の見込みの有無はどうして判断するのでしょうか。二宮金治郎はそれを分度又は分限と言われています。収支を図り、元本を減らさないようにとの表現が「二宮翁 夜話」(福住正兄著 日本経営合理化協会刊)に何度も出てきます。
現代風に表現すれば損益計算書で収支をチェックし、貸借対照表で財政状態を見つつ、必要な場合は借入を積極的に行うことも説かれています。借入を頭から否定していません。
問題は返済の目途もない中での借入を漫然とすることです。欲望があふれかえる今時、返せるあても考えないで借入は後々たたります。
<今回のまとめ>
・見栄と欲望を掻き立てる世の中で冷静に財政を堅実にすることが大事です。
・コロナ融資を借りて、そこへ補助金助成金を足して目的外の高級外車を買うことは分度を超えた行いです。事業の長続きはできないでしょう。
<5つのポイント 一言反復チェック>
投資:中古不動産投資は問題だらけ
会社:いつまで社長と言われたいのですか
株主:先代先々代の親戚が同族株主で残っていると買戻しはお金がかかります
固定資産:無駄な税金のモトかも、まして借入金付きなら尚更
税理士:質問をして得手不得手を知っておきましょう
今回はタイトルに関する例題をご紹介します。
参考書籍で、はじめにご紹介しましたなかの木暮太一先生の「カイジ 命より重い!お金の話」サンマーク出版 2014年1月25日 第28刷 17頁【問題】を引用します。
<以下引用>
あなたは、銀行から年率12%で100万円借りました。銀行から「返済が大変でしょうから、返済は月々1万円でいいですよ」と言われます。毎月の返済額が減るのは、あなたにとっても嬉しいことであり、さっそくその条件で契約しました。さて、あなたが借金を返済し終わるのは、何年後のことでしょうか?
*なお、金利は「単利」とする。
A 5年
B 8.3年
C 10年
さて、いかがでしょう?電卓を使わなくても、暗算で解ける問題です。
では正解をお伝えします。答えはA,B,Cのいずれでもなく、「返済は、永遠に終わらない」です。この契約通りに返済をしていると。一生返済が終わりません。
一体どういうことでしようか?まず、この契約内容を整理してみます。
・あなたが借りたお金:100万円
・金利(年率):12%
です。このとき、あなたが払う利息は毎年12万円になります(100万円×12%)
ここで毎月1万円返済していくということは、「あなたの返済額は、毎年12万円」になります。つまり、あなたが返済している「毎月1万円」はすべて金利部分であり、元本の返済はしていないことになりますね。
<引用終わり>
この本は10年前に28刷ですからその後も多くの人々に読まれていることでしょう。私はこの著者の「超入門 資本論」「ミクロ経済学の本」「ミクロ経済学の楽論」など読みましたが日常生活を例に難しいことを圧倒的にわかりやすく書かれる実務家として高評あるかたです。
著者は続けて言われます「元本が減っていないため、翌年も借りている金額は100万円です。そして同じように金利が発生します。しかし、翌年、12万円<返済>しても、元本は減らず、翌々年また同じことの繰り返しになります。
ということは、あなたは永遠に毎月1万円返済し続けなければいけないということになるのです。10年後も、20年後も、30年後も。」
銀行は、特に間接金融が主流のわが国ではできるだけ借入金を返済させないようにする傾向があります。金利が徐々に上がる時代です。上の例題は12%の高率で現実ではありえない利率かもしれませんが私が実務についたころは月1%の金利が払える財務体質になるよう顧問先を指導しなさいと師匠から教わりました。
住宅ローンにせよカードローンにせよ利息だけ払うのではなく元本部分を返してゆくには会社なら利益が、個人なら所得がなければできないことです。
目の前の豪華な、セレブのような消費生活にひかれて借金に支配されることは避けるように注意したいものです。銀行もローン会社もタレントを使ってあの手この手でメデイアで迫ってきます。
<今回のまとめ>
・銀行の言うことを単に聞くだけでなく自分の手で電卓片手に計算して確認を。
・支払回数を自分で設定できるリボ払いでは、残債を後へ回すため、完済が遠くなりがちです。
・金利はこれからも上がります。油断できません。
・その買い物は必要なものか、見栄からのものかチョット考え直すと良いかも
<反復チェック:冬に備えて見直す5つのポイント>
投資:勘違いで損していませんか
会社:どうしても会社の形が要りますか
株主:争いの火種です
固定資産:不良資産化していませんか
税理士:資格取得ルートを知れば特徴が分かります
<二つの階級に分けて考えてみる>
わかりやすくするために2種類の階級に分けてみてゆきます。
有閑階級とは昔の貴族です。現代では貴族とは国会議員をはじめとする議員がイメージできます。ほかの大多数は働く人々です。議員も働いておられるともいえますが、国などの舵取りの仕事と「生活のために給料・収入を得ることが目的」の働きとは異なるものです。
生きる糧を得るためには辛抱、忍耐、忖度、理不尽に耐えることも必要です。貴族階級と違って、働く階級は能力、運、手腕で稼ぎには大きな差が生じます。その結果、裕福な人、そうでない人の格差は生じますが、その格差は、働いた結果であって自然なものです。次には逆転もありえます。これらの「働き」言い換えれば「労働(家事労働も含む)」と議員の働きとは違います。議員さんの働きは労働の部分はありません。労働して資本の生み出す利益の分配を受ける存在ではないからです。
貴族階級のことはお話の外に置きます。現代にも貴族というものがある、ということを認識の隅に置きましょう。
前回に上げました5つの柱、投資、会社、株主、固定資産、税理士は働く私達を取りまくよりよく生きる手段であり道具です。貴族のかたは直接関係しません。5つの柱をうまく使いこなすことが貴族階級に振り回されないで生きてゆく基本なのです。
<マスメデイアと広告宣伝の影響>
影響は新聞、雑誌、TVにはじまりSNSにまで拡張しています。大きな影響をもたらします。 豊かな時代が続き、財産の相続が何世代も続くと自分が貴族=有閑階級であると錯覚する傾向が出ます。
一定以上の階級であることを世間に見せつける手段として、贅沢な消費が連鎖してゆきます。これでもかこれでもか、わかったか、というように。ファッション、自動車、住宅から身の回りの品や、使うホテル、レストラン、子供を行かせる大学をはじめとする学校などキリがありません。中身の乏しいブランドの氾濫です。
この見せつけ消費が資産の損耗を招き、過大なローンを生み働いても手許にお金が残らない原因になります。
広告の氾濫は貴族階級でもないのにそのような立場であると錯覚させる援軍になります。
広告宣伝の目的は「消費者のサイフをカラにするまで支出させること」です。
こうして広告に支配され経済的自由から遠ざかってゆきます。やがてすべての自由も失うかもしれません。
<今回のまとめ>
・二宮翁の時代は凶作が貧乏の原因であったが、現代は見栄の消費が貧乏の元
・手遅れにならないうちに、自由を失わないために5つの柱で「資本」の蓄積を
・税や社会保険料などで蓄積は阻害されるから失うものの多さに注意
世界的に通貨の過剰発行と各国の財政に占める負債が大きくなっています。とりわけ我が国はその額が半端ではありません。私は金利の上昇とコスト高による利益確保の困難が現実化してくると思います。過剰供給から付加価値のある売上は得にくくなり中小企業の倒産も既に増え始めています。借金を返す体力がないところから倒れてゆきます。
良い従業員の確保には思い切った賃上げが必要ですが、それができない場合は人手不足から行きずまります。
見直す項目を列挙します。理由も付します。
1,投資の内容は的に沿っていますか・・・やたら広告(現状は広告宣伝とニュースが一緒になっています。事実か宣伝か分かりにくいです)振り回されないようにしたいものです。損をしないように。
2,会社形態は必要ですか?・・・いまは不要な会社を解散して整理する時代です。2社も3社もグループ化して却って間口を広げすぎ複雑にしていませんか。よく考える人は会社の解散・清算の依頼をされます。シンプルがベストです。
3,会社の株主構成を見直しましょう・・・親族が保有していると争いの種になります。
4,固定資産を見直しましょう・・・不要な固定資産がありませんか?固定資産税も見直しましょう。市町村による固定資産税の過剰徴収が全国的に起きています。鉄筋造りで、鉄筋コンクリートでもないのに誤って高い税を課される例が問題になっています。空家で損耗が激しい場合の評価は適正でしょうか。相続税にも波及します。
5,税理士先生への相談で不満はありませんか・・・税理士資格の入口は大きく分けて3つあります。得手不得手と資格取得のルートを知っておくことは重要になってきます。
拙著「危機管理ー会計・税務の使い方ー」のAmazonでの紹介文:要約では「危機が迫った時に、笑い飛ばしながらパワーが出る人は、危機の兆候を見逃さないで察知して備えた人である」と書きました。
このシリーズは現代の兆候と考えられる事柄を題材にして、私なりに咀嚼し、整理してご参考に供することで少しでも準備のためにお役に立つことが目的です。
<参考書籍・参考情報>
あらかじめリストを掲示しておきます。今後、必要に応じ随時補足させていただきます。ご興味のある方にご参考になれば幸いです。
<書籍>
・本間峰一「コストダウンが会社をダメにする スループット向上で全体最適」
日刊工業新聞社
・中野雅至「没落官僚ー国家公務員志願者がゼロになる日」中公新書ラクレ
・是川銀蔵「相場師一代」小学館文庫
・植村 尚「会社を蝕むバタバタ貧乏症候群」双葉社
・木暮太一「カイジ 勝つべくして勝つ!働き方の話」サンマーク出版
・木暮太一「カイジ 命より重い!お金の話」同上
・明石順平「データが語る日本財政の未来」インターナショナル新書
・明石順平「ツーカとゼーキン 知りたくなかった日本の未来」同上
・ソースタイン・ヴェブレン「有閑階級の理論」講談社学術文庫
・宇沢弘文「ヴエブレン」岩波書店
<情報:HP他>
・吉田繁治「ビジネス情報源無料版」
・CSIS Report:The US-Japan Alliance in 2024
・Project2025 Mandate for Leadership-The Conservative Promise
・在日米国大使館HP
・ACCJ 在日米国商工会議所HP
A. 新しい内容を企画中です。次のことを考えています。準備ができ次第始めます。
このページともう一つの「クイズ:経済天気予報」をまとめて一本にします。
そのうえで大きく動く経済や税制などの動きをとらえて<世代交代>に焦点を絞って読みやすいようにご紹介します。
・相続前にしておくべき言わば「相続前整理手続き」とはどのようのものか?
・これからの世相はどう変わってゆくか、変わる人心、世代間の思いの違い
・所有資産の資産別 整理・処分の要点とは
・まだまだあります、、、、
以上の中にはこれまで触れてきました「資金対策」や「経済天気予報」で書きました事柄がつぎつぎと最新情報になって随所に出てきます。
ということで暫く時間を戴きます。
よろしくお願いします。
A. 解説
<財務数字の奥を見る>資金がいつも不安定の原因を知るには、財務数字ばかりを見ておられても得心の行く答えにはたどり着けません。
<デスクでなく現場で>問題は財務の数字よりもっと奥にあることが多いです。商品やサービスの一つ一つがどれだけ利益が得られているのか、損失になっているのかのレベルでの、いわば現場での地べたを這うような確認作業が必要です。
<生成AIなど便利な道具を使う>そのうえでその結果がデータ化されたものを資金の流れに沿って分析します。生成AIを使用したりして集積されたデータに的を得た質問をすることで可能性選択肢がアウトプットされます。そこから現実に合った行動を絞り込むのです。
今後の予報
天気予報と同じですから詳しい説明は省きます。
・円安のもと株安に
・徐々に金利高
・Goldは堅調
1、会社の規模を考え直す
2、銀行にこれからを相談する
3、M&Aの相手を探す
4、会社組織を停止し解散・清算をする準備に入る
正解 4
これからはますます経営がムツカシイ時代になります。後継者不在であれば会社に見切りをつけ、良くやった!と自分を褒めてあげましょう。時期を逸すると止めるに止められなくなります。取引先も銀行もそんな意見は口にしません。現状維持が好ましいからです。モノには順序があり直ぐ解散はできませんが方向は決めておかれ道を切り開いて下さい。思い切ったゴールを決めないと勝手に理屈をつけて自己修正という中途半端な状態に陥ります。
A:<考え方>
基軸通貨のドルと反対の動きをするのがGoldですから円対ドルの上がり下がりのリスクヘッジになるのではないでしょうか。
注意する点はドルでGoldが下がっても円安ならば円で評価されるためGold価格は上がります。為替の動きが噛んでいる点に注意がいります。
<税務>
購入額と売却額の差額(譲渡益)が総合課税となり譲渡益から50万円が特別控除されます。ポイントは5年を境にして短期譲渡と長期譲渡に区分され扱いが異なる点です。
取得から5年以内に譲渡した場合(短期譲渡)はその金額が他の所得と合算されます。
一方、5年を超えて保有されていたGold(長期譲渡)の譲渡益は50万円控除後、二分の一が課税されます。二分の一される意味は保有期間が長いため累進税率の適用を緩和する趣旨です。
購入額は平均取得価額により計算します。この価額はGold売買会社で確認することができます。
1,直ぐに銀行に行き、外貨預金(ドル)をする。
2,金利の差が大きすぎる。よくその理由を知ってから行動する。
3,最近、円高になってきている。円安が続かないと思うから円預金を続ける。
4,外貨預金の利息が良くても円安になれば為替差益の税金が面倒だ。
正解 2
理由を知ってから行動しないと後悔しかねません。9%もの利息が付くのはア,イ二つの条件に合った場合だけです。
1,ア:円を外貨に換えて預金にした場合に限られる優遇金利が9%です、イ:初めの3ケ月だけ高金利であとは店頭金利0.01%程度になります。
ですから直ぐに円からドル預金されてもその後継続されても外貨が続きますから優遇金利は適用されません。
3,円高円安はいろんな要素で変わります。日銀の政策、日本国債の相場などです。極端な場合ホルムズ海峡が通れなくなれば資源が入らない日本の円は安くなるでしょう。ニュースをよく調べて自分で判断する姿勢が必要です。
4,個人の場合、1ドル100が140円になれば40円の差益が生じますがこの差額は持ってるだけの未実現利益ですから課税されません。しかし円に換えた場合は課税されます。所得税法上の雑所得になり申告が必要です。ドルで利益が出たがユーロを円に換えた場合40円の損が出たときは雑所得の中でドルの利益とユーロの損失を通算できますから結果的には課税なしです。
1.生命保険を解約して相続税の納税資金に充てようとおもう。
2.遺言の本を買って遺言によって相続税が安くなるかを知りたい。
3,相続税がいくらくらいになるのか資料を集めて専門家に相談する。
4,銀行のゴルフコンペに参加してカオを繋いでおく。
正解:3です
専門家の税理士でも得手不得手があります。知識の差や当たった実例の多寡、ウマが合うなどもあります。良い相談相手を見つけるにはあなたも相続税について初歩的な知識を得られて目の前の税理士さんにカンタンな質問をされることで適否が分かるでしょう。
1,生命保険は掛金の何十倍何百倍以上の保険金を相続が起こった場合に得られるところを解約するのは逆の行動です。
2,遺産争いを防止するのが遺言ですから相続税額と遺言の要否は必ずしも関係しません。
4は意味がありません。相続税額がどれくらいになるか、その税額に見合う納税資金が手許にあるのかないのかを知ることが先でしょう。