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納税者と税理士の紛争事例から学ぶ

第7回 相続税申告の争いから学ぶこと2

2019年3月25日

 前回にも書きましたが、契約して申告の仕事にとりかかる前に、事前の調べが必要な場合、その執務報酬をどうするかが問題です。

 

 依頼する側は、その気になっていますから事前調べの費用は念頭にないと思われます。しかし税理士側は、誰かの紹介であっても、以下のことが気になります。

 

1・必要な資料を適時に提供してくれるのか?

2・出された資料が「つまみ」資料で重要な部分が意図的に欠けていることが想定されるか?

3・税理士として責任をもって仕事ができないほどの複雑な内容であるのか?

4・業務量が膨大で復代理人の税理士を考えなければならないか?

5・物件数と登記の不備が多いため調査のために土地家屋調査士、司法書士などの応援が必要か?

6・税務の前に法律問題(戸籍が複雑、認知・相続人の廃除、境界争いその他)があり、弁護士への依頼か必須であるか?

7・直前に他の税理士を解約しているか、紛争がないか?該当すればその理由を依頼者に聞き、答えてくれない場合はその意味を考えなければならない。

8・他の税理士にも並行して依頼している様子がうかがえ、契約すれば税理士間で紛争になるおそれがある?

 

上記に一つでも該当する場合は契約を踏みとどまる必要があります。

 

 とくに最近は、メディアの報道に反し、経済の状況が年々悪化してきていますから外観だけでは依頼者の本当の姿には触れることが困難になってきています。高級車を乗り回して見かけはよくても実態は異なる場合もあります。不動産に付されている抵当権や仮登記をみれば「債務の筋」が見えてきます。

 

  数回懇談し、先方の自宅や物件を見てまわることは必要です。それでもそれまでの職業的経験から疑問符が消えない場合は、予備調査の段階を設け、登記事項証明書などを見ましょう。

 

 お断りすることもあることを依頼しようとする側に伝え「予備調査」の契約をする慎重さが必要です。

予備調査の場合も一定金額を示し、入金してもらい、本契約になった場合は入金額は本契約の前払いとすることを「予備調査契約」で謳っておくことです。

勿論、本契約に進まない場合もあることを明記しておきましょう。

 

 本契約に進んだ場合も上記の4、5,6に該当する場合は、依頼者の費用負担で他分野専門家に依頼することは契約書に明記しておくことです。

 業務進行過程で上記の1、2、8が明らかになった場合は税理士側から即時解約できる条項を設けておくことが必要でしょう。さもないと急な解約が依頼しようとする方から税理士への損害賠償のタネになります。

そして予備調査、本契約の契約書は草案の段階で弁護士さんに眼を通してもらうことが確実です。

第8回 紛争事例:消費税の課税選択を誤った原因は、依頼者にあるのか税理士にあるかの争いのケース

2019年3月26日

顧問税理士に消費税の課税選択の判断を依頼したと依頼者はいい、税理士は、そのような仕事は受けていないという、両者の争いです。

 

 

事業の内容:各地にホテルを運営する法人で、新規にホテルをオープンするつど、ホテル保有会社を設立した。これらホテル保有会社はホテルが完成するまでは収入はないので消費税の課税はないが、ホテル建設工事費用は課税仕入れとして控除できるので、ホテル完成時に課税事業者であれば建設工事費用につき仕入税額控除をすることで消費税の還付を受けることができた。

 

争いの点:適切に課税事業者の選択届出書を提出すれば上記の還付を受けられたのに税理士がそれを怠ったのは税理士の落ち度であるから還付金相当額を損害賠償として支払え。

 

問題の所在

1、(依頼者)月次顧問料に関する契約書以外にとくに契約書はないが「税理士には、包括的に決算申告業務以外にも消費税の適切な課税形態の選択につき判断する義務があるのにこれを怠った」と主張。

 

2、(税理士)消費税の課税形態の判断は翌期・翌々期の事業の見込みを視野に入れなければならず、決算・申告をしたことに関連してこれらの義務を負うものではない。この判断は事業をする依頼者がするものであるから特にこの件で依頼がない場合は原則として税理士に義務はない。

 

結 果

税理士の主張が認められた。

 

ポイント

1、税理士は別に会計代行会社を併設しており、依頼者は建設費の支払がある都度、会計帳簿に建設費用の記入をすることからホテルの完成時期もわかるはずである、と依頼者は主張する。記帳代行をすることが消費税の課税選択の判断義務につながるのか。

 

2、特に消費税判断の契約がなくても税理士には依頼者の納税額が最小になるように努める義務があるのか。

 

3、多い目の顧問料を払っておれば包括的にすべての義務が税理士に生じるのか。

 

                                          参考 Z999-0156

 

以上の例では依頼者側の気持ちや考え方も読み取ることができ、争いが生じないように学ぶ点が多い。次号以降にて検討します。

第9回 消費税の課税選択を誤った原因は、依頼者にあるのか税理士にあるのかの争い:2

2019年3月27日

(新たに明らかになった事実)

・ホテルがいつ完成しオープンするかについての情報の提供は税理士にはなかった。

・新設ホテルの計画ごとに法人を設立するものの、その依頼は各法人からではなく統括会社を経由して

 の依頼であった。

報酬は低く税理士としての善管注意義務は高度ではない。

他の会計事務所に移る話も出たのでこの税理士は関与関係を解消したい旨申出たが、他の会計事務 

 所は受けなかったので再度話合った・・・料金でモメたのか?

・このころ会計事務所勤務経験者が入社していたので消費税の助言の余地はなかった。

・再度の話合いの結果、消費税の課税形態の選択・届出は依頼者側で決め、税理士は提出の指示があ

 った時だけそれを行うことになった。

 

 以上から明らかなように、依頼者は消費税問題を軽視している。税理士への情報開示は限られており、自社の経理スタッフが消費税判断を行う取決めがあったにもかかわらず、税務署から課税事業者でないゆえに建築費用の消費税還付を受けられないことを知った途端このような訴えを起こしている。

 

 

(学ぶべき点)

 税務顧問契約を締結しても「包括」的な受任を認定されるリスクを避けなければならない。

今日、税法は非常に複雑化しており「何でもします」は「何でも責任を負います」に繋がりかねない。

 

 このケースでは、税理士は税理士法人であったので税理法人並びに会計代行会社と代表の税理士、ほかの税理士に、それぞれ約13億円の損害賠償を求めている。敗訴すれば税理士は(余程の資産家でない限り)破産になるしかないと想定される。

 

 顧問契約と決算契約以外の下記事項に関しては別の契約を結ぶことが必要である。顧問契約決算契約にはそれらは含まないと明記したい。

 

・消費税判断

・事業承継税制(法人も、個人事業も)の判断と手続き・・・取消リスクが付いてくる・・・

・株価評価

・役員の相続税相談は軽微なものは顧問料の範囲のばあいもあるようだが、…社長の相続税の申告料も

 法人に請求してほしいとの筋違いの要求が出る場合がある。これに応じると個人費用の付替えにな

 り法人税の役員賞与の認定に繋がりダブル責任問題が生じる。

・収用、特定資産の買替特例など

第10回 消費税の課税選択を誤った原因は依頼者にあるのか、税理士にあるのか:3 会計ソフトや報酬額が争点?

2019年3月28日

両者の争点の一つに会計ソフトが争いの中に介在しています。

 

 地味な問題ですが、税理士事務所では会計ソフトを関与先に推奨することが多くあります。中小企業ではERPなどは手が届かないうえに事業のサイズにも合わないので、市販の会計ソフトを使用することが多いです。その時にどのソフトが関与先に合うのかが関与先もわかりにくいため税理士にお任せなのが実態でしょう。

 

 今回の場合は、依頼者側から会計ソフト導入の経緯があげられ、会計ソフトの購入を税理士が依頼したことをもって消費税の判断の誤りの原因として責任追及がされています。

 

依頼者の言い分

 会計ソフトは税理士の依頼により我が社の負担で税理士事務所に設置した。この経緯から経理入力作業の際に確認する義務のレベルも高くなる。確認する義務を履行できていない。

 

 

税理士の言い分

 会計ソフトの目的は決算の仕事を順調に進めることにある。会計ソフトで過去の元帳と試算表を作成して検討するが、ここにはホテルの完成時期などの情報は入力されず消費税の課税形態を選択するために会計ソフトが直接関係することはない。

 

 

裁判所の事実認定と判断

 会計ソフトからは「土地建物の取得に要する予定金額について認識しうるにとどまり、将来におけるホテルの完成時期やホテルのオープン時期が示されているわけではない上、データ領域に入力された項目は頻繁に修正、変更されていることが認められるのであるから、一定時期における入力項目が正確なものであると認識することも困難である。」として課税選択の判断と会計データの関連性を否定しました。

 

たしかに

 会計ソフトの導入のきっかけが課税選択の判断に結び付くとの訴えには、税理士として首をかしげざるを得ない。過去を示す、決算や決算書の機能と将来の事業の展開をもとに課税形態を選択することが直接関係するものではありません。

 

報酬の額の多寡が義務の範囲を拡大し注意義務レベルを上げるのか

 よく似た依頼者の主張に顧問料や報酬が多額であるから義務の範囲も拡張されるべきとの主張があります。

 報酬が多額か、少額かは主観によるものであり、そのうえ本人が多額と感じたことをもって裁判所は「報酬の額が多額であったからといって、契約上負うこととされていない義務を負うものとはいえないし、注意義務の程度がより高度になるともいえない」と判決で退けました。

第11回 アメリカ国籍の相続人が会計士に相続税の申告を依頼して、財産評価などの誤りがあった場合

2019年3月29日

アメリカ国籍の相続人が会計士に相続税の申告を依頼して、財産評価などの誤りがあった事例をもとに検討します。

 

財産評価その他の誤りとは以下です。

・土地の評価に際し間口距離の表示が「間」であるのを「メートル」と誤認したことで2億円の過大評

 価額になった。

・小規模宅地の評価の誤りに連動し8574万円の過大申告になった。

・会社の株価評価に際し、2要素ゼロと勘違いし1株392円を1037円と誤った。

・外国籍の場合は制限納税義務者であるから債務控除できないところを債務控除をしたので15億円も

 の過大債務控除をしてしまった。

 

依頼者の主張

 ・最小の税額になるように、且つ正しい申告をすべきを怠った

 ・これらの誤りによって財産の承継や負債の負担に関し相続人間での合意にずれが生じることになっ

  た。

 

会計士の主張

 ・財産評価の誤りは税務調査後の修正申告において治癒されている。実害は与えていない。

 ・日本の国籍を喪失したことは依頼者から聞いていない。

 ・実際に事務処理をしたのは補助者と事務員である。

 ・法人が多額の退職金を払うという話であったが実行されていないので前提が覆る。

 

請求された賠償額の内訳・・・延滞税、加算税だけでなく相続税額が賠償金の要素になっている点が特徴です。

 依頼者 甲 相続税額+延滞税+過少申告加算税+弁護士費用

     乙 相続税額+延滞税+過少申告加算税+弁護士費用

     丙会社 相続関連費用+弁護士費用

 

次回以降少し詳しく検討します。

参考 Tains Z999-0145

第12回 アメリカ国籍の相続人が会計士に相続税の申告を依頼して、財産評価などの誤りがあったケース(その2)

2019年4月1日

相続人が訴えた賠償額

会計士と補助者2名の3名に対し総額2億7000万円を支払えと主張した。この内容は前回の「請求された賠償額の内訳」の通りである。

 

裁判の結果

会計士と補助者2名の計3名に対し2286万円の支払いを命じた。

 

2億7000万円の請求が2286万円になった経緯

 

1、遺言書の存在

依頼者は相続開始前の相続税の試算の段階で財産の評価誤りなどがあり、これが原因で適切な相続対策対策ができなかったと主張したうえ、相続開始後の報告の段階でも誤った評価で算出された報告によって相続財産の承継や債務継承についても判断を正しくできないゆえに迷惑をこうむった。債務が控除できないなら債務を引き継ぐことはしなかったし、財産の額が過大に評価されなければ他の相続人に多い目の財産を与えることはしなかった、などと主張。

 

判示:すでに遺言があるからこれに沿って財産の承継がされ申告もされるので、評価誤りと損害には相当の因果関係はないと退けた。

 

2、米国籍であり日本国籍でないことについて

税務調査の際、依頼人は調査官に「アメリカ国籍を取得しているが日本国籍は喪失しておらず日本のパスポートを現在も取得できる」と述べた事実がある。依頼者から会計事務所に与えられた戸籍謄本には日本国籍喪失の記載はないところ、会計事務所は国税庁のホームページで二重国籍の場合を確認し無制限納税義務者(平成25年改正前の規定による)と判断したから義務を果たしている。外国籍の相続人の国籍に関する法令を調べる義務は(会計事務所には)ない、と主張した。

 

判示:国税庁のホームページは一般的な内容であり、それだけではなく、日本国籍と外国国籍を併有するばあいの相続税基本通達はもとより、米国に帰化すれば日本国籍を失うとの国籍法の規定(11条)確認すべきで、会計事務所はその義務を果たしていないと結論づけ債務控除過大による加算税・延滞税相当額の賠償義務があるとされた。

 

3、財産の評価を過大にしたことと加算税等を課せられたこととの関連

判示:過大評価自体は誤りではあるが、(このことが税負担の減少による)過少申告加算税や延滞税の原因ではないので相当の因果関係は認められないとされ損害賠償義務はないとされた。(2のとおり債務控除過大に原因する過少申告加算税・延滞税部分の賠償は課された)

 

4、相続税試算段階で誤りがあったが、このことが依頼者に損害を生じたか

その指導助言料は依頼者から会計事務所位への報酬の支払いに含まれていないと認定して損害との関係はないとした。

 

判示:試算やアドバイスに誤りがあってもその費用は相続税申告の報酬には含まれていないので、(無償であるから)助言の誤り(財産の過大評価)は債務不履行にはならない。

 

5、弁護士費用が賠償額に加算されていることについて

判示:一定の限度で会計事務所側は払うべきである。

 

次号へ

参考 Tains Z999-0145

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