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納税者と税理士の紛争事例から学ぶ

第31回 人件費を外注費と誤認して消費税の過少申告をした原因はどこにあるのか。

2019年5月28日

(ストーリー)

人材を雇用し、派遣することで売上を得ているいわゆる人材派遣業者の雇用者への給与は「労務賃金」勘定に計上していましたが、消費税申告の際に課税仕入扱いをして消費税額を計算するミスを犯したため3課税期間で計4000万円が過少申告になっていたことが税務調査で発覚しました。依頼者は420万円の過少申告加算税と165万円の延滞税を負担させられる結果になりました。

 

 

(依頼者の言い分)

・自社の税務知識の不足を補うため税理士に帳簿等の資料を確認することを依頼したのに、自社の経理事務員が作成した集

 計表を確認しないで申告に及んだことは善管注意義務違反である。

・損害賠償金の支払いはもちろん、これを収入したことで課される法人税等と加算税延滞税を支払っても損金に算入されない税負担

 分も賠償すべきである。

・賠償金の内容は以下の通り。

 

1加算税420万円、延滞税165万円、2賠償金収入にかかる課税分475万円、3資金繰り相談のための会計士費用31万円、4追加納税のための借入金の利息435万円、5追加納税で資金不足になったため従業員に賞与支給を断念したことの士気低下と退職者が出た損害50万円、6事務負担増加の損害100万円。計1676万円を弁償してほしい。

 

(税理士の言い分)

・派遣される人数は年間4万5千人もおり、資料は膨大であるから税理士一人では確認は不可能であり、その上、依頼会社の経理事務

 員が作成した集計表の完成が著しく遅れたため、7日の短期間で税務申告を行わざるを得なかった。

・依頼者の経理事務員に「労務賃金」勘定の内容につき「賃金や給料か、それとも外注費か」と聞いたところ外注費との回答を得

 た。また賃金なら通勤費や法定福利費が記載されていなかったので事務員が言うように外注費と判断した。

・原資料の確認をしないで顧客の提出する集計表だけで申告する税理士は多数存在するから自分には善管注意義務違反はない。

・依頼者は財務諸表を取締役会での承認や監査役への提出をしないなどコンプライアンスに欠ける状態である。このような会社に対

 し善管注意義務違反を指摘されるいわれはない。

弁償請求額のうち加算税と延滞税のみ認める。その他は申告誤りとは無関係である。

・そもそも「労務賃金」などという紛らわしい勘定科目を使用したり経理事務員を酷使したの依頼者に原因があるから7割の過失相

 殺を認めるべきである。

 

(結 末)

・「労務賃金」が紛らわしくても源泉徴収がされているかを確認すれば本当のことが分かる。人件費か外注費かは明瞭であるとして

 税理士の反論を採用せず、十分な確認をしなかった税理士は善管注意義務に違反したと結論づけた。

・賠償の内容は1、3、4の一部280万円の合計896万円となった。2は損害賠償金に対する税金ではないから賠償になじまな

 い。5,6については損害との関係を否定し採用されなかった。

 

(教 訓)

・平素から顧問として関与しているのであれば、経理事務員の力量や事務量なども含めて環境の是正を

 依頼者に勧告する機会はあったと思われるから、申告に時間がないなどは理由としては通らないと考

 える。

・自分の眼で勘定分析などして内容の把握に努め適用する税法の条項を検討するのは普通の水準であると考える。十分なことをしな

 い税理士が世間にいることを引き合いに出して自分に義務違反はないとの主張は恥ずかしい。

・それにしても賠償収入を得ての増分法人税まで要求する点は疑問であり、この主張を退けたのは救われる。

 

この不況下、今後も顧問料や決算料を値切って、あれやこれやの無理難題を言う依頼者は増えることが予想される。上述の勧告をしても理解を示さない相手は思い切って付き合いをしないことが最良の道ではなかろうか。

 

参考:tainsZ999-0133

第32回 賃貸マンション建設による消費税還付金がそれまでの年の収入が有ったため否認されたケース

2019年5月29日

(ストーリー)

 依頼者は土地を購入して賃貸マンションを建設する際、建築会社から自動販売機をこの敷地に設置すれば自販機の僅かな収入より建築工事代金が圧倒的に多いから約639万円の消費税還付を受けることができると聞き、その手続きのために同社からこの税理士を紹介されました。

 後日税理士事務所を訪問した依頼者は給与以外に収入があるかとの質問を税理士からされた際、給与と株式売却収入以外に収入はないと回答しました。

 依頼者の妻が代表者である法人から収入金はあったのですが、依頼者は、この収入は立替金の回収と認識していたのでこの収入のことは口に出しませんでした。このため税理士は依頼者にはこれまで課税売上がないと認識し、課税事業者選択届出書を提出しました。

 

 実は、初めて自販機を設置して課税売上が生じる場合はその年に課税事業者選択届出書を出せば良かったのですが、それ以前の年に(この例の家賃収入のような)課税売上がある場合は課税事業者選択届を提出した翌年からしか課税事業者になれません。このため家賃収入があるということが事実なら課税事業者選択届を前年までに提出していなければ還付は受けられないことになります。

(これまでに家賃収入があったかなかったかが非常に重要でした)

 

 ところで、この機会に税理士は同社の法人税の申告・決算も行う契約を結び、会社の書類や会計データを預かっています。その後、税理士は消費税の還付を求める申告書を税務署に提出し、法人の決算書も作成し申告しました。

 

 消費税の税務調査があり(課税事業者にならないため)還付申告は否認され、加算税や延滞税まで負担をする結果になり税理士と依頼者の間で争いが起こりました。

 

 

(依頼者の言い分)

・税理士は給与以外に収入はあるかと聞いただけで(法人の資料も含め)十分な資料調査を怠った。このため法人から賃料を収入し

 ていた事実を見過ごした。

・課税事業者選択届出書の適切な提出を税理士がしなかったことが損害の原因である。

 

(税理士の言い分)

・依頼者に課税売上がないという前提で委任を受けたから他に課税売上があるか否かの確認は依頼されていないしする義務もない。

・依頼者の妻が代表を務め、依頼者に家賃を支払っている法人の決算書は依頼者の消費税申告に関係する資料ではないからこれらの

 資料を精査する義務は税理士にはない。

・仮に精査しても法人が支払った賃料を立替えたと言っていたので消費税申告の結果は変わらない。

 

(結 末)

・税理士には専門家としての高度の注意義務がある。

消費税の申告依頼だけでも家賃の授受につき確認する義務があるところ、まして決算資料作成まで行った過程で賃料の支払いが分

 かるのに、依頼者の(立替金の回収との)誤った説明を軽信した過失は免れない。税理士は依頼者の誤認を正すべきであった。

還付されるべき消費税額はもとより、延滞税・加算税などを賠償するべきである、との結果になった。

 

(教 訓)

 消費税申告の背後には依頼者だけでなく、関係する法人との資金の動きが申告のステイタスに影響する。税理士は依頼者の関係法人の仕事も同時に受けて資料も受領しているから、それらを精査して「実態」の把握をするともに給与や株の売却以外に収入はないという依頼者の回答と資料が物語る内容との矛盾を突き詰めるのが業務の核心である。

 「税理士の言い分」の3点とも注意義務を極めて狭く考えており消費税申告と関連法人の税や会計の関係を切断して抗弁しているがやはり退けられた。申告の底の資金の流れを把握しないと躓くことになる。

 

参考:tainsZ999-0141

第33回 経理担当者の横領疑惑と税理士責任の有無

2019年5月30日

(ストーリー)

 建設会社の事務担当者は急に金使いが粗くなったうえ、現金のつじつまが合わないため社長が同人を追及したところ退職して行方をくらましました。税理士事務所の担当者は毎月訪問してコンピュータに入力する仕事をしていたから自社の経理担当者と共謀していたと社長は考えています。

 依頼先の財産が著しく減少している事実に気づくべきであり、このような事実を所長である税理士は社長に行う義務があるところそれを怠ったため、社長は自社内での横領を知る機会を失ったことによって損害を受けたと思っています。

 

 更に源泉所得税と消費税の滞納があることが税務調査で分かったうえ、決算書の預り金勘定の内訳書も杜撰であったことで横領された金額と源泉税や消費税の滞納による加算税、延滞税の弁償を要求し、役に立たなかっという理由で税理士に支払った顧問料決算料を上乗せして賠償を税理士に求めました。

 

(依頼者の言い分)

・顧問契約を結んでいるのに横領に気づかず是正もしないうえ元帳への不実記載、架空出金を是正なし。計上すべき源泉税が計上

 されなかった。別に粉飾もしている。

善管注意義務があるのにその義務を怠り、報告すらなかった。

 

(税理士の言い分)

・顧問契約書はなく業務内容の特定はしていないが中身は税務申告書の作成、記帳代行にすぎず機械的なものであり判断業務は含ま

 れていない。税理士事務所に会計資料を提出するのは会社の義務であり、その内容に責任を持つのも会社である。

・このような業務の範囲には依頼会社の現金を管理する権限も義務もないし、従業員の横領を発見し未然に防ぐ義務もない。これら

 はほかでもない会社の社長自身に責任があると言える。

・税理士は監査役でも会計監査人でもなく事実としての会社財産の変動を税務処理するのみが仕事であるから横領発見義務はない。

・不正発見を期待するのであれば特別な契約が必要であるが、そのような契約はしていない。

納付書を渡してあるのに納税を怠ったのは当方の責任ではないから加算税等の責任を負わされる理由はない。

 

(結 末)

・会社の経理担当者が社長名義のクレジットカードを作成して自分の物品を買ったり、飲食いの領収書を会社に提出して現金を引き

 出したのは事実であるがその他には横領は認められないし、税理士事務所担当者との共謀を認めるに足る証拠はない。

・その他の横領に関しても社長の推測にすぎず証拠もない。

・税理士事務所員には会計監査のように領収書の内容を調査する義務はない。

・加算税が課された原因は税理士事務所員に預金通帳を示さなかった依頼者側にある。

・よって税理士事務所には債務不履行はない。

 

 

(教 訓)

 多くもない顧問料しか払わないで、あれやこれやの無理難題を持ってくるのが傾向である。

「オマエが悪いと税理士を指さす人差し指の下の3本の指は己自身を指さしている」との例えが完全に当てはまるケースである。

社長であれば最低限の経理知識を持つことは経営には必須である。

 体験であるが、自社の経理の実態もよく分からない、分かろうともしない人々には税理士として深いレベルの説明をする気が失せる場合が多々ある。

 

参考:tainsZ999-0095

第34回 杜撰な現金管理で青色承認取消により追徴税額負担を余儀なくされた原因は依頼者、税理士どちらに

2019年5月31日

(ストーリー)

 依頼者は医院を営む個人納税者で青色申告の認定を受けていましたが、医業のため経理に関しては手薄で、看護師もされている奥さんが年に1回2月頃に1年分の領収書等を会計事務所に持込まれ、税理士事務所ではそれらをコンピュータにデータ入力していました。

 但し人件費の計算は奥さんから電話で従業員別の支給額と源泉所得税額を算出し、各月の納付額を医院に電話で伝える遣り取りをしていました。そして源泉分の納税のため税理士事務所に(納税予定額より多い目に)現金書留で送金して源泉の納付に宛てるように運営されていました。送金された金額と納付税額との差が出る部分は税理士事務所にてロッカーに保管されました。

 源泉税の計算は税理士事務所の担当事務員がしていたようですが、税理士はそのような事務を受任していたことは知らなかったと言います。従って余剰金の存在についても医院側は着服といいますが税理士は知らないと主張します。

 

 税務調査では現金出納帳の有無を調査官から質問されましたが「現金出納帳・給与台帳は作成していない」と回答しました。総勘定元帳はコンピュータで作成した時、金銭の出入りに関するアウトプットは、ある年度は日々、相手科目、摘要、金額が明確に記載されていましたが他の年分では現金の記載が全くない場合もありました。

 給与手当」に関しては一年分を一括して計上されていました。青色取消の原因になりました。総勘定元帳の経費と領収書を調査官が突合した結果、領収書がないものがありました。経費の否認ひいては青白申告の取消に繋がりました。

 

(依頼者の言い分)

・領収書がない経費は税理士が勝手に計上した。

・領収書は税理士事務所が紛失した。これが原因で経費が認められなかった。税理士の責任である。

・人件費を12月31日付けでまとめて記入したのは事実に沿わない。税理士の責任である。

 

(税理士の言い分)

資料を預かった際に領収書が無い経費があり、そのことを指摘すると奥さんは後日持参しますと言わ

  れたが実行されなかった。

・預かった領収書を失ったことはない。

依頼者との契約内容は税務書類の作成業務と税務代理のみで記帳は受任していない。そのような契約

  もしていないから元帳作成の義務はない。

ある年度において総勘定元帳の現金の記載がないのは、依頼者がデータを出さなかったゆえである。

 

(結 末)

・総勘定元帳での給与費払いの記録が12月31日に一括支給した記載になっている部分を、各月に支払

 われた正確な内容に訂正することは税理士において容易に行えたはずである。

・この点については税務書類の作成を受任しているから税理士の債務不履行責任は免れない。

人件費についても税理士の記載不備は免れない。

・事情から見て50%の過失相殺を認めた。

 

(教 訓)

・事務員任せではないのかとの印象が残る。税理士事務所従業員は記帳代行、領収書整理、人件費整理、源泉税の計算と納付額の受領と保管など依頼者の事務担当のような仕事をしているのに税理士は知らなかった。

・実態と契約が乖離していて税理士事務所従業員の働きは税理士からも依頼者からも評価されていないのではないだろうか。報酬額も税込みで年間50万4000円である。仕事量から考えると安すぎる。これでは十分な仕事はできにくいと経験からではあるが思われる。

・税理士は依頼者にしている業務内容を正しく認識し、まっとうな価格まで引上げる交渉の努力が必要であったと思う。

 

参考:tainsZ999-0085

第35回 弁護士からの照会に応じたことが税理士法38条(守秘義務)違反になったケース

2019年6月1日

(ストーリー)

 同族会社の内紛がこじれて前社長に対する裁判(以下内紛裁判)が争われているとき、内紛裁判の被告の息子で同社の現役員の所得税確定申告について、申告書を作成した税理士(のち法人)に対し弁護士会から照会(以下23条照会)がありました。

 税理士法人はこの現役員(元顧問先)の同意を得ることなく、この役員の確定申告書や総勘定元帳を添えて回答しました。回答内容は内紛裁判において書証として法廷に提出され、現役員はプライバシーも守られなかったと争いになりました。

 なお税理士は学生時代から前社長の家に下宿し、税理士になってから顧問に就いていて、同族会社の実印も預かるほどこの会社とは近い関係でした。

 また内紛裁判の高裁での結果は被告が敗訴し、判決では税理士の回答を有利な証拠と評価していました。このような背景も影響して税理士が訴えられたのではないかと考えます。

 

(元顧問先の言い分)

・所得税確定申告書に付属の決算書中「本年中における特殊事情」欄に体調不良で就労できなかったとの記載がありこの記載が内紛

 裁判に悪影響を与えた。

税理士法38条で「正当な理由」がある場合以外は守秘義務を定めているのに、これに違反した。正当な理由である「本人の許諾」

 を得ることもなく「法令で定められた(開示)義務」にも該当しないので、違法な情報開示である。個人プライバシ-の侵害でも

   ある。

・税理士は確定申告書を依頼者に返す規則があるのに返還していなかった。

 

(税理士の言い分)

・税理士法38条の守秘義務は「正当な理由」や「法令に基づく義務」にあたる場合は解除されており絶対的な禁止ではない。

23条照会に応じる義務は税理士法38条の守秘義務に優先する。

・23条照会は事前に弁護士会にて照会申出の適正性を審査して許可しているのであるから、回答を避ける余地はなくむしろ23条

 照会には法律上報告しなければならない義務がある。このように「正当な理由」があるので、これに回答しても税理士法38条違反

 ではない。

照会書には「本人(元顧問先)の同意を得る必要はない」と記載されていたので回答に際し元顧問先に意見を求める必要はないと

 考えた。

・元顧問先は法廷で(照会に対する回答と同様の)勤務実態などを証言しており、回答は同じことの裏付けにすぎない。

 

(結 末)

・23条照会の回答は公的な義務であるから原則的には回答しなければならないが、どのような場合でも報告義務があるのではなく回

 答を拒絶できる性質のものである。無回答でも罰則はない。

・税理法38条違反には懲戒処分に加え、懲役または罰金に処せられる。

・23条照会に回答する義務は「法令に基づく義務」に当たるが、これは絶対的なものではなく「正当理由」があれば回答を拒絶でき

 る。正当理由があるのに拒絶しないで回答をした場合は税理士法38条違反である。

 

・健康状態の悪化を立証したければ医療機関へ照会するのが筋道であり、この照会は「迂遠」である。平成22年3月以降の元顧問先

 の健康状態・体調不良を立証するには同年とそれ以前の確定申告書を比較しなければ意味はない。ところが税理士が確定申告を担

 当したのは平成21年までであり、22年は担当していないから比較のしようがない。そこへ21年以前10年間の申告書送付を求める

 照会事項は不適切なものである。

 

・それより回答によって元顧問先のプライバシーがみだりに開示されたことによる不利益は看過しがたい。プライバシーが開示され

 たことによる元関与先の不利益は、回答を拒否して開示しないことによる不利益を上回るので、税理士が回答したことは守秘義務

 違反に相当する。

・23条照会・注意書に「本人の同意を得る必要がない」と書かれているのは個人情報保法令の適用が除外されることを示したのにす

 ぎず、23条照会に応じることの適否について本人の意向を確認することが常に不要であるということではない。それゆえこの注意

 書は税理士の過失を否定するものではない。

・確定申告書は返すべきである。

・以上より、税理士法人代表社員として税理士法人に回答させたことは税理士の元関与先への不法行為が成立する。

 

(教 訓)

・弁護士法、税理士法、個人情報保護法が入会地のように関連しているなか、最終的にはプライバシー保護をキーワードとして利益

 衡量の結果、税理士の守秘義務違反との結果になった。

・地裁では元関与先の言い分は退けられ(全部棄却)税理士が勝訴したが、高裁では50万円の慰謝料の支払いを税理士に命じた。

・このケースの税理士の立場は同族間のどちらにも関与していたのでこちらを立てれば他方が立たずの微妙な立場である。

・23条照会に応じることが税理士法38条に優先するとは限らず、逆もあることを認識して対応する必要がある。

 

参考:tainsZ999-0151

第36回 税務相談での不祥事の弁償に税賠保険が適用されるか、の事例

2019年6月3日

(ストーリー)

税理士事務所の事務員が担当法人について、

 ・この法人の税負担の軽減

 ・事業承継

 ・資産の同族への移転方法

などの相談を受けた際、生命保険に加入して損金に算入して税負担を軽くするとともに適当な時期に保険を解約する提案をしたまでは良かったのですが、この保険の一時払いの掛金を自分の口座に振り込ませて保険加入手続きをしなかったことから所長である税理士は担当法人から損害賠償を受ける結果になりました。

 

 和解が成立し、税理士は税理士職業賠償責任保険の加入をしていたので、保険会社に保険金請求をしました。ところが保険会社は

約款の定めに基づき、

  ・この事例は税賠保険で補填される「業務」の範囲である税務相談に該当しない。

  ・その業務は保険コンサルテイングないし相続対策コンサルテイングである。

と主張して保険金は支払えないと回答しましたので争いになりました。

 

税賠保険の具体的な対象・範囲が争点です。特に「税務相談」がポイントです。税務相談に該当すれば保険金は降ります。

 

(税理士の言い分)

・生保を検討することは担当法人の課税標準に関係するから税務申告に影響し、税務相談に該当する。

・和解であるので条件が明確でなく、事前承認をできなかった。

 

(損保会社の言い分)

・税務相談は税理士の独占業務であり厳格に解するべきである。

・保険を勧めたことは課税標準を算定する過程でのものではないから税務相談ではない。

・事業承継や財産の移転の件は税務申告と直接的な関係はないから税務相談ではない。

・税理士が、税賠保険を使用するには事前に保険会社の承認を得る必要があるところこれをしていない。

 

(結 末)

・税理士の付随業務のうち税賠保険の対象にならない業務が保険のパンフレットに記載されているように保険コンサルテイングも該

 当する。

・コンサルテイングにおいて仮定の例に関して税の計算をしたり税法の解説をすることは税務相談には含まれない。税務相談は申

 告や税務官署への主張、意見表明を言うのであるから、本例は税務相談には当たらない。

・まだ保険契約をしていなかったから仮定の例に該当し。この意味からも税務相談とは言えない。

節税提案は各種コンサルテイングであるから税務相談ではない。

 

(教 訓)

・税賠保険に該当する範囲は狭く解されているので「関連業務」である各種コンサルテイングには厳密な区分が必須である。

・税務「相談」は税務代理や税務書類の作成と異なり広く解釈しがちである。

・確かに税負担に関係する相談事であっても「税務当局と<申告、申立>などで接点を持つ相談」に限られると考えなければならな

 い。この境界はワカリニクイので注意しなければならない。

 

参考:tainsZ999-0144

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