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納税者と税理士の紛争事例から学ぶ

第43回 青色申告取消処分と税理士事務所の責任

2019年6月13日

(あらすじ・双方の主張)

現金売上の会社の顧問を打診された税理士は、その法人の売上明細書を確認したところ、連番ではなく複写でもないので連番にすることと経理担当者を採用することを条件に申し入れました。

 

会社は経理担当者を採用しましたが、連番の件は実行しないまま、代表者は「売上高と仕入については責任を持つ」と言いました。

その後、税務調査がありミスが指摘され、その2年後にも税務調査があり多額の修正申告することになりました。それどころか青色申告の承認も取り消されました。理由は売上除外、架空仕入れなどの仮装隠蔽行為でした。

 

争点は専門家としてするべきことをしたか、です。

会社は、以下のように主張しました。

・最初の調査で税務署から修正事項を指摘されていたにもかかわらず税理士はその対応策を取らず指導を怠った。

・売上除外の原因は税理士事務所の入力ミスであり、架空仕入れを指摘されたのは領収書を貼り付けたスクラップブックを税理士事

 務所に渡したのに紛失して入力できなかったのでこれをカバーするために架空仕入れを計上した。

・税務について事務処理一切を依頼したのに履行されなかった。熱心に仕事をしてくれないので別の税理士に変えようと考えてい

 た。

 

税理士は

・売上は依頼会社からのデータをそのまま入力した。

・領収書を預かったこともないし紛失したこともない、と主張しました。

 

(結 末)

・会社代表者は毎月税理士事務所を訪れ売上伝票等の会計資料を渡していたが税理士事務所で売上金を正確に入力しなかった。これ

 が原因で売上計上洩れになった。税理士事務所には売上資料が存在していたのであるから、売上データが依頼者から来ないとい

 う主張は通らない。仮にデータが来ない場合、何度も税理士として会社へ訪問しているのであるからその時にデータを持ち帰って

 でも入力するべきであった。

・仕入について総勘定元帳の記載は丸い数字なっている。現実的ではない。これは税理士が実体のない数字を入力していたと認める

 ことができる。青色取消処分を受けたのは税理士が原因である。

 

(ポイント)

税理士として、最初に売上伝票が連番でないことで改良を求めたまでは良かったがその後はイケナイ。杜撰な入力をしてしまって

 いる。「事務処理一切を受任」は不明確であり責任の所在もあいまいであり避けなければならない。

代表者が「売上高と仕入については責任を持つ」という言葉を受けてしまった点が問題である。「責任を持つ」という言葉ほど空

 虚な言葉はない。現金売上の事業では責任の所在が不明であるので争いになりやすい。

一連番号が入っていなければ会計事務所として確認のしようがない。仕事を受けないか、若しくは契約書に一連番号にすることを

 申し入れたことを残すとともにしばらく様子を見て改善されないなら決算前に辞任するべきであった。

・税理士は、それができなかったため追徴税額相当額を賠償することになってしまった。

 

参考:tainsZ999-0116

第44回 減価償却の計算方法についてあらかじめ誓約書を得ていて賠償義務を免れた例

2019年6月21日

(ストーリー)

 母親の所有するマンションの所得税確定申告において兄弟中で一番年下の本件依頼者は、障害者の兄に支払う専従者給与が確保できるためには定率法で計算した減価償却費を計上するよりも(届出は定率法のところ)定額法の限度額までに抑えた減価償却費を計上することを希望しました。

 それはかねてから母親が、独身で障害のある(本件依頼者から見て)兄の行く末を案じ、兄を診察していた医師から(単に生活費を渡すのではなく仕事をして収入を安定させることが重要)であると言われたことを受け、働いて給与を得て自信を付けさせたいと思っていたことを現実化したものでした。

 税理士はそれに応じて定額法で減価償却費を計上し申告しましたが、他の兄弟はそれによって母親の所得税負担が増加したので損害を蒙ったとして税理士を訴えました。

 

 兄弟のうち一番末の本件依頼者は、自分の兄弟から税理士に対し苦情や損害賠償の請求が出ることを予測して「誓約書」を税理士に交付していました。その内容は

・定額法による減価償却費の計上と青色専従者給与の計上は自分から税理士にお願いしたものであること。

・税理士にはこのことで一切の責任を負うことはないこと。

 

(双方の主張)

・依頼者の兄弟:減価償却費が少ない分だけ税額が増えて母親の財産上の損害を蒙った。

        国家資格の税理士が素人の本件依頼者から免責の誓約を受けることは税理士倫理に反し公序良俗違反である。

        税理士は、多く払った税額分を賠償すべきである。

・税理士:青色事業専従者給与を支給してもなお所得が出るようにするには低い目の定額法の計算によることが本件依頼者に意図に

     沿うものであった。

     本件依頼者には確定申告の都度、定額法採用により若干税金が増えることを説明し、依頼者から理解を得ていた。

 

(結末)

誓約書は損害賠償義務免除の意思表示として有効である。

・債務免除の意思表示は必ずしも債務の存在を確定的に認識していなくてもその可能性の認識があれば有効である。

・公序良俗に反する事情は認定できない。

・依頼者兄弟の税理士への主張は失当である。

 

 

(ポイント)

事前の「誓約書」は道理が立てば有効であるから、事理次第では無用な争いを避けることができるようである。

 

参考:tainsz999-0105

第45回 定額法の採用が不適切とはいえないとされた事例

2019年6月22日

(ストーリー)

 歯科医院の開業に際し有利な定率法を採用すべきところ定額法によったため減価償却費の計上が少なくなり、途中で定率法に変更することもしなかったため、税負担が不当に増加する結果になったとして税理士を訴えました。

 依頼者は、特に設備を早期に更新することを重要視していたから、これを受けて税理士は「設備投資額を早期に費用化し、税負担の軽減を図って次期の設備投資を行えるように定率法を採用する義務を負っている」と強調しました。

 

 

(双方の主張)

依頼者:税理士は税法の範囲内で依頼者にために税務上有利になるように指導助言すべき義務があるの

    にこれを怠った。

 

税理士:税務処理に当たり必要な説明をしてきた。義務違反を指摘される理由はない。また定額法、定

    率法の何れを採用しても償却期間終了時には減価償却費の総額は同じになる。個人事業者の場

    合は定額法が原則である。

 

(結 末)

・いずれの方法でも償却期間終了時には減価償却費の総額は同じになるのであるから、一概にいずれの

 方法が適切であるかの判断は困難である。歯科医であり依頼者が設備を更新したのは取得から7年後

 であり、この事実から「早期の設備更新」を考えていたと は認め難い。

・実際に償却方法の違いによって税負担がどれだけ相違したかの証拠は提出されていないから「損害」

 額は認定できない。

 

(ポイント)

医療機器の償却期間は7年前後である。そのほとんどを経過してから設備を入替えているのに、定率

 法を採用しなかったから不利になったとの訴えは退けられた。どちらの方法を採用しても減価償却費

 の額に変わりはないから「損害」は発生していない。

・それゆえ依頼者側は、計算根拠を証拠として提出もできていない。

・このように会計の基本である減価償却の仕組みから考えても、言いがかりとも思える訴えもあるので

 注意しなければならない。

 

参考:tainsZ999-0106

第46回 減価償却方法の選定ミスが税負担に影響する訴えを退け、立証責任は依頼者にあるとした例

2019年6月24日

(ストーリー)

 設備投資が多額であるため依頼者は税理士に対して定率法で確定申告することを依頼しました。税理士は確定申告に際して減価償却の計算は定率法で行ったものの、肝心の定率法による「減価償却資産の償却法の届出書」の提出を忘れていました。このため定額法で計算した金額までしか必要経費に算入できず定率法による申告額と定額法の償却限度額との差を修正申告することを余儀なくされることになり、差額分に係る所得税、住民税、延滞税、過少申告加算税の合計額約3800万円の損害賠償を税理士に対して求めました。

 

(双方の主張)

依頼者:定額法・定率法の違いで償却額に差はなくても税金の額には差額はある。税理士は、定額法を続けていれば先には減価償却費の額は定率法より定額法が多くなると反論するがそれは利益があってのことである。先の利益は見込めない。現に競合店の出現で利益は下がっている。不利に払った税負担額を弁償してほしい。

 

税理士:償却期間全体を見れば定額法と定率法に差はないので修正申告しても損害は発生していない。

 

(結 末)

・加算税は損害に該当する。減価償却費は償却期間の全体を比較すれば、初めのうちは定率法の償却費

 が多く、その後は逆に定額法

 のほうが多くなり、期間全体で見ればいずれの方法であっても税負担への影響はない。

・依頼者は「利益が異なれば定率法と定額法で税金額に差が生じる」と主張するが「償却期間を通じて

 納税総額に差異が出るかどう

 かは損害を主張する依頼者が立証すべきである。依頼者の主張は立証責任を税理士に転換するもので

 あり採用できない」として本税の賠償請求を棄却した。

 

(ポイント)

・税理士のウッカリによる定率法の届出書失念は議論以前のことである。注意しなければならない。

・利益があってこそ減価償却費が税額に影響するとの依頼者の主張は、青色申告で損失を繰越すこと

 ができることも視野に入れると

 表面的であり一概に言い切れない。まして利益や損失は読めないので減価償却の方法次第で税負担に

 どのように影響するのか説明は困難である。

・依頼者の主張は支払う税金の多寡が核心になっているが「利益」という不安定なものを土台にしての

 立証は困難であると思われる。

その立証責任は依頼者にありとした点は重要である。

 

参考:tainsZ999-0102

第47回 過少申告を指示したのは依頼者か、会計事務所の独断か

2019年6月26日

(ストーリー)

 顧問の会計士・税理士が無断で架空経費を計上して申告をしたため税務調査で重加算税を課されたことをもって依頼者は、重加算税、延滞税部分の賠償を会計士・税理士に求めました。

 

 なお顧問契約では依頼者側が帳簿を作成するとなっていたが、依頼者の経理担当者が作成したものは帳簿とは言えない不完全なモノであり税理士側で整理してコンピュータで総勘定元帳を作成していました。決算書申告書と共に依頼者に届けていたとのことですから、期中に試算表にもとにしてどの程度の説明を依頼者にしていたかは不明です。いわゆる「丸投げ」の関与形態から発生したケースです。

 

(双方の主張)

依頼者:(経理のことは分からないから)全て任せていた。違法不当な申告をして依頼者が損害を蒙らないようにする義務がある。

    こちらの要求が適正でない時は専門家として不適正の理由を説明し、諭すべきであるところ勝手に架空経費を計上して申告し

    た。そもそも「利益が2000万円で税金は500万円~600万円ですが社長出せますか」と税理士会計士が言ってきたので役所

    の査定ランクを上げたかったこともあり異存なく「出せます」と答えた。

 

税理士・会計士:申告前に試算表を示し納税額が多くなる旨を説明したところ「出てきた数字でそのまま税金をはじき出すならだれ

    でもできる。任せるからウマくやってほしい。但し経審のため黒字にしろ」と述べた。知り合いに頼んで外注工事費を増や

    す方法を考え依頼者に確認を求めたら「これで行う」との回答を得たので過少申告を実行した。

    このように、主導したのは依頼者である。

 

(結 末)

依頼者は、尋問では「何で2000万円も(利益が)出たんだ、仕事も大してやっていないのにとブツブツ言いました」と陳述しているが、過少申告で一番利益を受けるのは依頼者であるからこのことから税理士会計士が勝手に過少申告をしたことは考えられないことその他から、過少申告は依頼者の指示であると認定されました。

 

(ポイント)

 顧問契約で依頼者側が元帳を作成することになっていたのに、ずるずると依頼者のすべき仕事を会計事務所が引き受けてしまっている。不完全な会計帳簿のもとで、任せた、任せられていないの争いになっている。決算時の説明も会計事務所が十分に説明したとは思われない。最大のミスは、会計事務所が知り合いに頼んで架空外注費を計上する段取りをした点である。依頼者は会計に無知であるから、自分を守るためにはどのような言い方をされるか油断は禁物である。

 今後、人手不足で良い経理事務員は採用が困難になる傾向のもと、しわ寄せは会計事務所に来ると考えなければならない。

書面で責任の所在を明確にすることが重要である。

 

 

参考:tainsZ999-0096

第48回 経理を軽視し日常業務まで税理士事務所にさせた会社に追徴税の責任はどこまであるのか

2019年6月27日

( ストーリー)

 事前通知なしの税務調査により数千万円の追徴税のほか重加算税、過少申告加算税、延滞税を負担させられたのは、税理士が誤った申告をしたためであるとして依頼社はこれらの追徴税額と加算税のほか慰謝料を税理士に請求しました。

 税務調査で税務署に指摘された誤りは以下の点でした。

・架空仕入れの計上

・仕入の二重計上

・受領家賃の計上洩れ

 

(双方の主張)

依頼社の主張:

・税務事務は所員に任せきりであり監督不行き届きである。税理士は杜撰な経理の責任を負うべきであ

 る。

総勘定元帳がないため仮装隠蔽を疑われた。税理士は顧問契約をしているのであるから総勘定元帳を

 作成する義務が(自動的に)ある。

・事前通知なく税務調査がされたことにつき税務署へ抗議しなかった。

 

税理士の反論

・依頼社に経理事務員は不在であり仕入帳や金銭出納帳を作成しなかった。経理担当を置くように要求

 しても応じるどころか日常業務まで押し付けてきたので所員の負担は過大になった。外部者である所

 員が原始資料から取引を推測することは困難である。

仕入の二重計上は上記の状況下で所員が誤ってしてしまったものであり、自社で経理担当者を置けば

 生じない誤りである。使用者責任を負う筋合いはない。

・総勘定元帳はD会計情報センターに作成を委託していた。依頼社に総勘定元帳がなかったのは自社内

 で紛失したためである。この責任を負う筋合いもない。

 

(結 末)

・税理士には明らかな計算誤りがあり、このことは日常業務まで押し付けられたことと関係なく税理士

 の過失である。

・税理士が計算センターに外注して総勘定元帳を作成していた事実は認められる。総勘定元帳が依頼者

 に交付されていなかった証拠はないから税務調査で総勘定元帳を提示できなかった責任は税理士には

 ない。

・追加の税金のうち本税は依頼者が納める義務を負うものであるが加算税等は損害であるから税理士が

 負担すべきである

・税理士には高度の注意義務がある。所員に責任はなく税理士が注意義務違反により損害賠償義務を負

 う。

 

(ポイント)

 貧しい日本の中小企業の経理軽視傾向のもと、契約で業務を明確にしなかった依頼社・税理士の争いである。

 依頼社が、経理担当を置かなかったら解約するか別途に有料で期限を決めて業務を請け負うべきであるのをダラダラと所員に苦渋の仕事をさせる税理士も問題である。

 総勘定元帳を依頼社・税理士どちらの側が行うかは契約で明確にすることが重要である。依頼社は経理軽視、税理士は契約軽視で結局責任のなすり合いになっている。

 

参考:tainsZ999-0100

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