税務会計 フォアユー パートナーズ Do-ing

会計と税の見かた、考え方ーむつかしい時代を乗切るために

第25回 鈍重な決算書を最速に変えるための・・・・2要素・2ポイント

2018年3月28日

1、目標と位置づけ

それほど意識しないで漫然と人件費と税金(所得税、法人税、消費税)を支払っているかもしれません。いくつかのチェックをして、その結果を見ましょう。

 

2、チェックする項目

・人件費(役員報酬、給与、賞与)+間接人件費(法定福利費、福利厚生費、通勤費)=総人件費を把握します。

・総人件費/稼働日数=1稼働日当たりの総人件費を出します。

 

・支払う税金を予測します。利益×35%+(課税売上ー課税仕入)×8%=概算税負担額を把握します。

 

・ある期間の粗利益額を把握します。損益計算書からは出しません。在庫調べを毎月正確にされておられる場合は損益計算書の売上

 総利益の金額を用いて下さって結構です。

  そうでない会社では、PCなどの取引データの売上データとその売上の仕入原価を対比する作業をします。根気が要りますがここ

 は乗り越えてください。販売管理のソフトを使用されておられる場合はEXCELに書き出して加工できます。

 

これらの計数が手許に集まりましたら、ここから思考をめぐらせてこれらのデータが発する物語を汲み取ります。

 

なるべく「例え話」や仮想事例を使って、数字の関係や意味を知るように進めます。

大事なことは、

 急がないこと、

 思考の段階を飛ばさないこと、

 少ない事柄を理解することで深く応用できるようになれば良いのです。

 決して、知識を増やすことを考えないで、少ない材料で深く理解することが大事です。

第26回 鈍重な決算書を最速の内容に変えるための・・・2要素、2ポイント

2018年3月29日

1、総人件費と粗利益を較べてみる。

 

粗利益に占める総人件費の比率は何を意味するのでしょうか。

 

粗利益は、その期間に創り上げた付加価値です。別の言い方をしますと全社で稼いだ金額です。この金額は業績によって、上下に大きく変動します。その変動の要因はいろいろあり、販売の好不調や輸出の場合は為替の変動によっても大きく変わります。

 

 

分子の総人件費は固定額です。業績によっては賞与などが増減されることが考えられますので、まったくの固定額ではありませんが増減の幅は分母の粗利益より少ないです。

 

総人件費を仮に100とします。粗利益が150の場合①と、200の場合②、300の場合③を較べてみますと、

①は人件費に押しつぶされる寸前のように見えます。

②は少しは余裕がありますが、200の粗利益から総人件費を控除した残りの100で販売費や管理費を負担しなければなりません。このことを考えますとそれらの費用を払えても利益はさほど見込めないことが見えてきます。

 

<これからの傾向>

企業は分子をできるだけ少なくするために総人件費を弾力的なものに変えようとします。このことが非正規雇用の増大になってきます。

 

非正規雇用でなければ外注にすることも一つの傾向です。極端な場合従業員の全員を外注にすると分子は役員報酬だけになります。

分母は売上ー原価でしたが、外注化しますと、売上ー(原価+外注費)になり粗利益は外注分だけ減少します。しかし分子が極端に少なくなり利益の余地が見えてきます。

 

正規雇用→非正規雇用→外注化の流れになってきます。雇用の不安定や移民を受け入れるかどうかの問題の根本が子の点でしょう。

一つ言えることは、わが国の粗利益率が諸外国に比べて低いという事実が指摘されています。

 

<問題の鍵>

粗利益率を上げることが最優先の課題です。このためには質を上げる諸方策(改善、研究、開発)に資金をどれだけ投入できるか、がポイントです。

借入金が多い会社は、手許の資金はあるように見えますが、将来の見通しは、競争激化により粗利がさらに下がる状況を乗り越えられないで、借入金の返済が経営課題の第一番目であることから抜け出せないようです。

 

<例え話>

鳥が飛び立って新境地へ羽ばたいても、羽根が濡れて飛べない状態でしょう。

 

鳥の羽を乾かして軽くするにはどうしたら良いか、の答がヒントでしょう。羽が濡れるのは借金と税金のほか浪費や硬直した人事考課や給与システムかもしれません。見直さないと、羽ばたこうとするほど鳥の体力が失われてゆきます。この時が「手遅れ」状態です。

第27回 鈍重な決算書を最速の内容に変える ために・・・総人件費と粗利益

2018年3月30日

この傾向はありませんか?

年々の決算書で粗利益に占める総人件費の比率が上昇している。これは問題です。

 

分子が小さくなっているかもしれません。その原因を考えましょう。考えられるのは

・大幅な値引きが前線で行われている。

・仕入原価が徐々に上がってきている。気づかれないように値上げがされたのか、為替の変動などの他律的な事情によるのか調べましょう。

・もっと初歩的な場合は在庫の計算間違いであったなどです。

 

上記の傾向は、ビジネスでの負け戦(いくさ)につながります。

 

<ポイント>

勝敗を分ける境目において、一旦負け戦になってしまたら流れは変えることは非常に困難になります。負けていることに気づかないで同じ調子で進みますと、命取りになります。

 

最初の段階で、勝敗がどちらに傾くのかを機先においてハッキリさせることです。

一旦、態勢が崩れますと加速度がついてきます。

そうなると、社内の空気が変わり、悪循環が始まります。すること、なすことみんな外れになります。

 

教訓

第2次大戦の日本軍の昭和18年末から終戦までのありさまが物語っています。崩れたら止まらないのです。

孫子が言うように、勝てなくても負けないようにしなければなりません。

 

対策は動きを小さくして縮小に向かうことです。一旦力を溜めるのです。

第28回 鈍重な決算書を最速の内容に変えるには・・・分岐点にいることの自覚

2018年4月2日

 会計数字は問題を発見し、その問題の「底」を見るために使います。上辺ではなく。

なぜなら上辺や表面的な認識では、決心がつかないで、結局のところ行動に結びつかないのです。

 

 人間の場合も言ったことと、したこと(行動)を見ることによって底が分かります。正面からの言葉より、気を緩めた何気ない言の葉から本音が見えます。面接試験などで構えた状態で「タバコは吸いません」と答えても、面接会場を一歩出たらすぐタバコを吸い始めることは良く聞くことです。それがその人の「底」なのです。

 

 国の「底」は議会を見ればわかるように思います。いまの国際情勢の中で、あんな議論しかできない議員しかもてないのが日本の現実と思います。

 

 貴社の「底」は、見えていますか。粗利益に占める総人件費の比率を是正することが勝負時であり、今まさに分岐点に居るのです。

この比率が上昇したうえに、税金/粗利益、借入返済額/粗利益 の比率が上がってくると貴社の成長の見込みは薄くなります。

 

 また人件費の対局としての外注費の比もチェックしましょう。総人件費/粗利益が上昇したうえに、粗利益に占める外注費の割合が増えるのは黄信号がともっていることです。何が社内で起こっているのか考えてみましょう。

 

ここには現代日本の外注文化の広がりがあります。芯になる人材が居なくなり、先行き困ることになります。

第29回 鈍重な決算書を最速の内容に変える・・・・外注費の比率が上昇するとき

2018年4月3日

 粗利益に占める総人件費が増えた上に外注費も増えている場合は、社長は数字と実際の業務をすり合わせてどのような部分が外注に出されているのかを確認しましょう

 

 ワカリヤスイ例は、売上高が増加した自社内で対応できないから外注に依頼した・・・これはよくわかります。

運送業を例にとりますと、自社のトラック台数では対応できないので、傭車(ほかの運送会社に外注を頼む)を依頼した場合です。

 

 しかし製造業の場合で、材料は自社が支給して手間賃のみ外注先に払う形態の場合は、材料仕入高と外注費が両方とも増加します。

このような場合に、材料仕入高が増加しないで、外注費だけが増加している場合は、不自然です。

 

数字で見てみましょう。

 

外注に頼む前:材料仕入高100、総人件費200→総原価300

受注が倍になったので外注に頼んだ場合:材料仕入高200(受注が倍になったので材料も倍に)、総人件費200、外注費100

                   →総原価500 200増えた内訳:材料100、外注費100・・・自然です

 

不自然なケース:材料仕入100 総人件費200 外注費100→総原価400 増えたのは外注費のみ100

材料は自社が支給しますから外注費が増える場合には、必ず連動して材料仕入も増加しなければならないのです。その材料費が増えない点が不自然です。

 

社長は、外注費の発注業務を見直さなければなりません。材料が増えないで、手間の部分だけの外注費が増加することはありえないのです。自社の総人件費で十分回るのに、屋上屋を重ねる外注費が生じることは総人件費の業務に空洞の部分が生じているかもしれません。

第30回 鈍重な決算書を最速の内容に変える・・・・外注費の比率が上昇するとき2

2018年4月4日

  細かい点もだいじですが、大きな視点から数字を見ることも大事です。森も木も見ましょう。今回の外注費の例は森の部類です。

別の見方をしますと、コスト・コントロールです。とても重要です。

 

 この考え方の背景にあるのは、売上高の水準と変動費の関係が同じ方向に向かなくてはならないのに、売上の水準が横ばいなのに、外注費だけが増額されている点です。あり得ない動きなのです。

 

この動きが出たら、経営者は外注管理を短期的に現担当者と交代して、自分の目で工程の流れを辿ってゆくことです。

 

キーワード:アメリカの監査論からきた言葉です。「システムズ ウオークスル―」といいますが自分がシステムの中を自分の足で歩くようにして確認するのです。わたしは、歩くというより、もっと腰を低くして地を這うように進んでみることをお勧めします。立って見ますとどうしても上からの目線になります。作業着を着て地べたを這うことです。いろいろなものが見えてくるでしょう。工場のなのかの空気も感じてください。

 

外注依存の兆候が見えたら注意すること:人材が育っていないで、核心の人に何か病気などがあった場合、サブの人が育っていないとチ―ムとして動きが取れません。今を凌ぐためといっても、外注に依存することは危険なのです。逆に人が育たなくて良いとの気風がはびこればアウトです。

 

 そんな会社には人は来ません。

日本は年金事務所が中国企業にデータ入力を外注していたことが、最近報道されています。安易な外注化は衰退のあかしです。中小企業は敢えて、この傾向と逆に行かないといけません。

第31回 鈍重な決算書を最速の内容に変える・・・税金支払額と粗利益の比率

2018年4月5日

 総人件費の次に税金の支払額と粗利益額の比率を見てみましょう。

この場合の「税金の支払額」とは法人税+事業税+法人住民税+消費税を指します。利益にかかる税金と付加価値にかかる税金の合計です。<ここでは第2法人税である消費税は説明を簡略にするため外します>

 

 総人件費と違う大きな点があります。

総人件費は粗利益を生み出す源泉ですが、税金は生み出すものはありません。持ってゆくだけです。総人件費は企業の中で循環し,

新たな価値を生みます。

 

 例えますと企業体=人体と見ますと、総人件費は循環して、また人体にその働きで役立ってくれます。それと違って税金は総人件費のように直接役立ってくれません。社会の共益費としての機能はありますが「直接」の役には立ちません。

 

 税金の支払額/粗利益額の比がどんどん上昇してゆく傾向が会社の会計数字から出てきたら、あなたはそこから何を読み取りますか?

ヒントと結論は以下です。

 

1、分子と分母の関係を見ましょう。

2、分子の額が決まるのは「課税所得」です。

3、分母の粗利益額は、課税所得とは関係しません。課税所得は純利益にやや近いものですが、販売費、一般管理費の額の影響も受けます。一般管理費の最たるものは総人件費です。仮に総人件費を大きく減少させますと課税所得が増えることがあります。逆の相関関係なのです。

、総人件費が増加する場合は課税所得が減少し、総人件費が減少する場合は課税所得は増加する性質があります(他の要因は除いています)

結局、粗利益額を極大にする努力をしても、総人件費を少なくすれば税金の支払額として持って行かれるか、総人件費を多くすれば税金の支払額は(傾向として)減少する方向に行きます。

7、粗利益額は総人件費として失われるか、税金支払額として放出されてゆくかです。

 

結局、申告時期になって粗利益に占める税金の額が傾向として増加してゆくのは、総人件費への分配が十分に出来ていないのかも知れません。

第32回 鈍重な決算書を最速の内容に変える・・・税金支払額・総人件費と粗利益の比率

2018年4月6日

 相払われる税金の額が粗利益額に占める比率が上昇してゆく傾向の場合に注意しなければならないことは、粗利益額に占める人件費が減少したため、その反動で税金が増えたのか、そうでないのかです。

 

 人件費が減少したら必ず税金の額が上がるものではありませんが、そこに相関関係があれば大問題なのです。

外注費のところでも触れましたが、核心の人材を大切にしないで、安易に外注に逃げることをしていますと、いい人材が育たないし、会社に応募してくることはありません

 

 こうして「みかけの業績はいいけれど、人がいない会社」になってゆきます。その一方で税金に大事な資金を放出しています。

人は会社に新しい価値をもたらしてくれるのに、そこへ資金を使わないで税金として垂れ流しています。していることが逆であることに気がついてほしいものです。

人一人は尊いのです。長い目で育てる姿勢を企業の方から示さないと、これからの困難な時代には困ることになります。

 

 もう一つの見かたは、総人件費には十分に分配しているが、それでも粗利益額に占める税金が増加してゆくのは総人件費が増えてもなお利益が増えていることを示します。短期的には、良い傾向ですが次の点をチェックしましょう。

 

チェック1:総人件費の前期以前との伸びと粗利益額の伸びがともに同じカーブで伸びるのではなく、粗利益額の伸びが下回っているか。

チェック2:税金支払額の前期以前の伸びと粗利益額の伸びが同じカーブを描かないで、粗利益額の伸びが下回っている。

 

上記のチェック1と2がともにYesであれば、粗利益が不足している可能性を示しています。見かけは良くても「勢い」がなくなってきているかもしれません。

 

この視点からは次回に解説します。

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