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これから起こること・・『税金が払えません』&『課税処分に?です』 the Final Stage

第9回 我が社が窮地に陥った場合は、どうなるのでしょう?

2018年5月17日

Q:先ほどとは逆に、我が社が窮地に陥った場合はどうなりますか?

 

A:二つの救済の道があります。

 

1、まだ差押がされていない場合:納税猶予の申請ができます。

 要件は「事業に係る著しい損失を受けた」こと、その他類する事情があれば、納税の猶予申請書を税務署に提出します。認められれば1年以内の猶予がされます。再申請 にてさらに1年の猶予期間の延長の道もあります。

 

2、既に差押がされている場合:換価の猶予の申請ができます。

 換価の猶予とは、既に差し押さえられている財産の換価(原則は公売で売り捌かれます)を待ってくれる内容の申請です。待ってもらう期間は原則1年ですが最長2年まで延長が可能です。

 

 要件は「一時に税金を納付することで事業の継続が困難」になるおそれがあり、納税について誠実な意思を有するときです。

この「事業の継続が困難になる」とは、資産の処分や費用の縮減、借入金返済額の減額、資金調達の努力をしても、国税を一時に納めると、事業を続けられないことを指します。自己努力を前提にした制度です。

 

 この場合に重要なことは、まず、収支の分析から始めて、事業の継続が困難になることや、自己努力をした経緯について計数的に説明できることです。顧問の会計事務所の支援が望ましいです。

 

3、1と2は併用できません。

1の納税の猶予が適用されている場合は換価の猶予は認められません。

 

4、必要なこと

1も2も、申請書の他に

 収支の明細、

 財産収支状況書(分割納付計画付)

 財産目録

等の提出が必要です。これらは法律で定められた最小限です。自社の資金状況を良く説明するために、補足資料を提出することが良い結果を導くためには必要です。これらの書類を記載する過程で、自社の資金の状況などを再検討します。

 

 平素から自社の資金状態を詳細にチェックされておられますと、この段階には至らない場合も多いです。

第10回 滞納により差押をされたので、銀行借入もできず資金が枯渇します、どうすれば、、

2018年5月18日

Q:滞納により差押をされたので、銀行借入もできず資金が枯渇します、どうすれば、、?

 

A:既に差押をされているのですから、これ以上、滞納処分が進まないようにしなければなりません。

 

 次に来る滞納処分は差押財産の公売による換価です。これが進まないように「換価の猶予申請書」を提出しましょう。

税務署の徴収部門でこれを審査します。その結果、換価の猶予が認められますと差押の解除がされることがあります。

 

勿論、鍵になるのは誠実な納税の意志です。このためその意思を示すために分割納付を考えましょう。これが実行されますと

 

  差押解除→担保への切り替え→根抵当が設定されていますとその範囲で借入ができる道が開けます。

 

ポイントは、まず分割納付がされることです。常に差押の解除が後になります。ですから、できる範囲での分割による納付がされなければなりません。

 

 

Q:このほかに生き残るために使える制度はありますか?

 

A:あります。

 動産が差押えられた場合、それを使って収益を上げることができるなら「差押動産の使用収益許可申請」をします。差押が船舶や航空機であれば「船舶、航空機の航行許可申請」をすることができます。

 

 使いたいものに差押がされている場合は「差押換え請求権」が認められますから、その申請をすることで、座して死を待つことから逃れることができる道があります。

 

 以上で、一息ついても猶予申請の期限が来てしまった場合には猶予の延長申請の制度があります。

「換価猶予の延長申請」をはじめとして、同じような制度には「納税の猶予の延長申請」「差押解除の申請」などがあります。

第11回 浮かれた人たち

2018年5月21日

<先週のあらすじ>

 消費税をはじめ税金の納付は現金で行いますから、資金繰りが厳しくなり、仕入の支払、借入金の返済などで資金が持って行かれて納税資金に支障をきたすことも出てきます。

 滞納になれば差押をされます。このことが銀行の姿勢に悪い影響をもたらし、さらに資金繰りがひっ迫することになりかねません。差押までの流れや、得意先が滞納処分を受けた場合の我が社への影響や、我が社が差押された場合に救済の道はあるのかについて説明してきました。

 

Q:差押は最悪の場合のことですが、今後の資金繰りの見込みを建てる前に、これからの景気の見通しはどのようになるかお聞きします。

 

A:残念ながら良い見通しは持てません。資金を大事にしないと困ることになりかねません。世間ではメディアを通じて、ファッションをはじめ、きらびやかな報道が流れ、街では浮かれた人が目立ちますが、手取り給与はあがらないまま、物価は徐々に高くなっています。皆さんは財布のひもをキツく締めるようになると思います。供給に対して需要が縮小してゆくのです。

 

Q:不景気になって行くキーワードがあれば教えてください。

 

A:(働き方改革で)残業手当は相対的に頭打ちになります。法定福利費は上がる一方です。このため会社も働く人も負担が増えます。そこへ来年は消費税率が上がる(予定)ですから、自由に処分できるお金が制限されてくると思います。上場企業は利益をまず第一に配当に回しますから、いくら大企業でも給与は上がりにくいと考えられます。中小企業では(例外を除いて)分配に限りがあります。

結局、消費需要が上がる要素はないと思います。このことが経済に悪循環をもたらすと思います。

 

特に、銀行借入がある中小企業は粗利益率が取りにくいのに、返済と納税で資金繰りが厳しくなると考えます。 

第12回 滞納国税と銀行の抵当権はどちらが優先するのか

2018年5月22日

Q:当社は多額の銀行借入金があり当社の不動産に抵当権が設定されています。もし滞納している税金を払えない場合、差押から公売になるとしますと、銀行の抵当権とどちらが優先されるのですか?

 

A:国税の「法定納期限」と銀行の「抵当権設定日」の比較で優劣が決まります。銀行の抵当権が税金の法定納期限以前に設定されていれば銀行債権が国税に優先します。

 

 これは抵当権の例ですが、登記できる質権も同じ基準です。先取特権はその設定に時期に関わらず常に租税に優先します。また留置権の場合はその目的となる財産が滞納処分で換価された場合においては、租税に優先して配当を受けます。

 

 

Q:抵当権との競合についてはわかりました。もしそれでも滞納税額に不足がある場合はどうなるのですか?

 

A:滞納している納税者と特定の関係がある第3者に対して納税義務を負わせることが国税徴収法という法律で定められています。

 

Q:それはどのような関係者ですか、うっかりしてはおられないのですね。

 

A:八つのパターンがあります。これらを第二次納税義務といいます。

 

Q:そうしますと「第2次納税義務」というものは保証人と同じなのですか?

 

A:少し違います。保証人が納税しなければならない時は、保証した納税者が納期限までに税金を完納しない時に「納付通知書」で通知されます。一方、第2次納税義務というのは、主たる納税者の国税につき滞納処分をしてもなお、徴収すべき税額に不足がある時です。共通するのは主たる納税者の財産を先に換価しなければならない点です。

 このことから民法の保証人に類似し、「連帯」保証人とは異なります。主たる納税者に対し、求償権が認められる点も第2次納税義務と保証人は共通しています。

第13回 第2次納税義務のいろいろ

2018年5月23日

Q:第2次納税義務には、具体的にどのようなものがあるのですか?

 

A:本来の納税者と、特定の関係にある者に網をかけるものです。滞納処分とは財産がターゲットです。主たる納税者に財産がない場合、第二次納税義務者に向かいます。保証人は契約で保証したのですが第二次納税義務は契約ではありません。

 

 では何ゆえに網がかけられるのか、が重要です。それは形式的には主たる納税者に財産がなく、第3者に形式的に財産が帰属している場合でも、実質上は、主たる納税者に財産が(附従的に)帰属していると認定しても良い場合です。つまり形式的な権利の帰属を認めないで、主たる納税者の代わりに(補充的に)納税の義務を負担させるものです。

 

 (主たる納税者)   (第二次納税義務者)

1、合名会社、合資会社→ 無限責任社員

2、解散法人     → 清算人

3、同族判定株主   → 同族会社

4、実質課税を受けた者→ 収益が帰属する者

5、共同事業者    → 滞納者と同じ生計の親族

6、親族に事業を譲渡した者→ 滞納者から事業を譲り受けた者

7、無償、又は低額で財産を譲受た者→ 譲受た者

8、第3者に財産が帰属する人格のない社団→ その第3者

 

Q:どのような手順で徴収されるのですか?

 

A:まず「納付通知書」で告知されます。あなたに納税義務があると。

 納期限までに納めないと「納付催告書」で督促されます。その日から10日以内に完納しない時には差押されます。

第14回 滞納した場合の差押

2018年5月24日

Q:滞納した場合には財産への差押がされるそうですが、どんな財産に対しても差押ができるのですか?

 

A:いいえ、そうではありません。

 

次の財産は差押を国税徴収法で禁止されています。

1、滞納した人やその家族の衣服、寝具、家具、台所用品などの生活用品

2、これ等に人の生活に必要な3月間の食糧、燃料

3、農業や漁業に必要な道具類

4、その他、業務に欠くことができないもの(商品を除きます)

5、実印、仏像、位牌、勲章

6、その人に必要な、日記などの書類、書籍

7、生活上に必要な備品、器具

 

これを読みますと、シリアスですが、基本的には以下の配慮がされています。
 ・滞納者の生活の維持を考えること

 ・第3者の権利を尊重すること

 ・効率性(無益な差押の禁止)

 

加えて、差押の制限措置が手当てされています。

具体的には、次の場合は差押が制限されています。

 ・納税の猶予がされている場合

 ・更正の請求がされた場合

 ・不服申立がされた場合

などです。

 

認められた手続きを行使している間は、それを踏み越えて差押はできないのです。

 

また、どの財産を差し押さえるかは徴収官の裁量によります。滞納した人から申し出がある場合は、その事情を十分に考慮することが基本の姿勢と定められています。

 

特に第3者の権利の目的になっている財産が差押えられた場合は、「差押換え」請求権が認められています

 

 徴収関係は、課税段階で決まった所得税や法人税、相続税、消費税などの税金の納付の話ですが、実情を徴収官に粘り強く誠意をもって伝えることが重要です。その際には会計帳簿が役に立ちます。根拠になりますから。

第15回 滞納処分を受けて、差押をされるようなことにならないために

2018年5月25日

Q:滞納処分を受けて、差押をされるようなことにならないために、平素からどのような点に注意すれば良いのでしょうか?

 

A:キャッシュフローに注意することです。

 

 このまま行くと、資金が幾ら余るのか、又は不足するのか、が常に頭の中で明確に描かれているかです。

こうすれば、こうなる、こうなれば、こうする、と先行きの資金の状態が頭に入っていることが重要です。

 

 ちょうど自分のカラダのなかで血液がグルリと回っていることを意識するだけで、その瞬間に、カラダはシャキッとします。

アタマの中で血液がグルグル巡っていると思うだけで、良い考えが浮かぶような気がするものです。「気がする」だけで、さほどのことは浮かんでいないかもしてませんが、少なくとも下を向くことなく前へと気持ちが進むのが自覚できます。

 

 事業の資金がいまどのような状態で、こうなっているから、資金が増加し、こうしたから資金がこれだけ流出する、ということをグルリと頭の中でシミュレーションできていないといけません。

 

 カラダはどんな構造になっていて血管がどこに巡っているかは、お分かりですね。でも事業の資金の巡りについて同じように頭に入っているかといいますと、そうではない人が案外多いのです。

 

 表面だけ見ていて、どこに、ほころびがあるかは、なおさら知りません。その原因がどこから来ているかも深く考えない場合が多いのです。

 

 大きな資金の束をイメージして、それがどの順序で入ったり出たりしているかを、紙やPCの画面を見なくても体に入っていることです。

 

 資金の問題が起こる引き金になるのは、突発的なことが多いので、そのようなことが連続して起きても、大丈夫な資金の備えをしておくには、平素の資金の出入りの骨格を知らないと、それはできません。

 

見落としやすい項目が3つあります。

  1、税金

  2、信用不安からくる貸倒

  3、事故などの不意の支出

 

 これらのうち、1は確実に予測できます。2もリスクとして想定できます。

これをしないから、資金不足になってゆきます。

第16回 手遅れにならないために、これから見直す点。

2018年5月28日

どの社長とお話ししても、しっかりと今後の傾向を掴んでおられますのには敬服します。

皆さんは、着々と手を打たれています。

 

<社長の、基本認識で共通すること>

・少子化で、日本の縮小経済は止めることは出来ない。

・すべて、供給過多であるから、自社の存続のためには拡大路線を戒めるべきである。

設備は拡大より質の改善を、旧式を新鋭機に取り換えるが、キャパシテイは増やさない。速度を上げる。

銀行借入は、徐々に縮減の方向へ。

従業員の質を大事にし、OJTで指導する。

消費税のUPで、消費は落ちる。

 

私が平素から申し上げていた点を、見事に理解していただいています。

 

<更に具体的に進めるべき手順>

1、マイナスの得意先を切る・・・何を以てマイナスかに真相をデータで突き詰めましょう。一言で言いますと相手に喰われるとこ

  ろです。

 

2、マイナスの商品を切る・・・古くからの商品でも利益を生まないものは、手仕舞いです。

 

3、払いの悪い得意先の登記簿を取り寄せ、乙区(抵当権)の記載を見ましょう。銀行以外の、よくわからない先からの融資はあり

  ませんか。

 

4、我が社の印鑑、通帳が同じ場所にありませんか。

 

5、在庫の出入りは記録されていますか。

 

6、社長が知らない滞納している税金はありませんか、これがあれば内部統制の見直しが必要です。滞納から延滞税が生じます。差

  押で信用は落ち、社内の空気は悪くなります。

 

組織が硬直していませんか、一人で3役こなせるように融通無碍になっていますか。「責任と権限」を分化すれば、自分の責

  任範囲外のlことには対応しなくなり、融通無碍の逆になります。

 

8、我が社の株主名簿を見直しましょう。経営の中枢にある人以外に、退職した従業員さんや、遠い親戚、旧商法時代に会社を設立

  した時の発起人で株を持ってもらった人たち、の名前があれば争いのもとです。買い取りを進めましょう。

 

9、体力以上の銀行借入(なれ合い借入)はありませんか。体力のはかり方を後述します。

 

以上は平凡ですが、重要です。

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