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事業家Qが読み解く現状と先行き

第29回 事業家Qシリーズ 最終篇 顧問税理士のこと

2019年11月27日

 事業家Qがした一部分の債権放棄1700万円でQ社の社長借入金残高が1300万円にまで減少した。同時に債務免除益1700万円に繰越欠損金1700万円が充当された結果、繰越欠損金は消え去り、再スタートにふさわしいリニューアルされた貸借対照表になった。

 

 自分の役員報酬を最小限の金額まで引き下げたことが、期せずして経理事務員の口から社内に流れたことで社内にもワンチームの空気が少しづつではあるが定着してきた。

 

 ここでQは、これまで曖昧にしてきた顧問税理士の件を決めなければならないと思った。やがて税務調査も来るであろう。業績が回復してきたら尚更である。

 

 この前の税務調査では重加算税は免れたので「税歴」に大きな傷を負わなかつたとしても、在庫の修正申告をしているから無傷ではない。循環的な税務調査は覚悟している。しかし税理士が税務署員になったかと思われるような顧問税理士の姿勢にはどうしても納得がゆかないと思った。交渉力もない。戦略性もない。

 

 そのうえ相続税はしていないし知識もないという。これからの人生の最終期に入ってゆくのに相続関係のことができない税理士では困る。

 

 顧問税理士の得意分野は領収書からパソコンソフトを使って会計帳簿を「制作」することであるという。しかも月次での試算表の説明はない。「制作」された会計帳簿の中味は水増しであった。経営に役立つ情報として機能しない代物である。

 

 事業家Qが使っている会計ソフトでは、銀行取引が自動的に会計データとして取り込まれるだけでなく、キャッシュレス時代を反映してカードで支払った経費なども取り込める。銀行取引はインターネットバンキングに全口座がなっているから銀行の店頭に行く必要もない。3ケ月ごとに銀行取引パスワードを変更しなければならないため、そのつど会計ソフトの取引取込の設定も変更を余儀なくされるが、この点さえ処理すれば、ほぼ自動的に取引データが会計帳簿に反映される。しかも自動仕訳である。残るは全体の齟齬がないかのチェックと税法との整合性であるから(会計データ作成分野に限って言えば)専門家の手を煩わせる部分は少なくなった。

 

逆に会計データ作成分野以外では相談することは今後も増えていくことはハッキリしている。

 

 ここまで考えて、AI時代がきて「会計事務が軽くなる」いまどき、会計帳簿の製造が得手であるという顧問税理士はその存在意義をなくすのではないかと他人のことながら感じ、顧問料を支払うのが惜しくなってきた。

 

<次回予告>

講師税理士に相談し、最後は自分で考えよと突き放される。

第30回 事業家Qシリーズ 最終篇 まとめに代えて1

2019年11月28日

事業家Qの考えを聞いた講師税理士は次のように言った。

 

1、自分の立場からは同業者の選択案件に口を差し挟むことは控えたいが、顧問税理士を替えたいなら自由に断ったらよい。前にも言ったがルールでは、すぐ断れる(逆に税理士からも顧問先をスグ断れる)。予告は要らない。ただし順序がある。まず断る先に通知する。そうでないと次の税理士は前の顧問契約が有るのに迂闊に契約したら2重になり税理士同士の紛争になってしまうのでYESと言えない。

 

2、顧問税理士はQ社長より年齢が若い人が好い。意味わかるか?若死にということもあるけれど年齢の順に死んでゆくと考えると、Q社長の死後、あとに残って会社の行く末、事業の承継か廃業かや、相続のことなどをケアしてくれないと周りが困る。死んでゆく本人も心残りだろう。逆に税理士が先に亡くなったら、社長は本当に困る。これまでの会社の細かいことを知った人がいなくなり、引継ぎもできない。

 

3、年齢行った経験豊富な税理士に教わることも多くあることは皆さん分かっているが生き死にのことを考えたら、それから先のことのほうが大事である。

 

4、自分はあなたより年長であるから顧問税理士は辞退したい。自分であっちこっち「苦労して探すことや」。税理士の入り口は大きく分けて3つあることは話した。それと本音の話が出来る「人柄」が何よりも大事。

 

5、苦労して探すプロセスでいろいろなことが分かってくる。税理士が出す「広告のような情報」も多いが、一番は、人の紹介が良いと思う。なぜなら「類は友を呼ぶ」との例えの通り、紹介してくれた人物を見ればどんな税理士か、性格や誠実さの有無などは、ある程度はわかるであろうから。

 

 Qは講師税理士の考えに成る程と思ったが実際に「苦労して探す」手立てがない。このことを講師税理士に話すと、自分と同じ考えを持つ複数の税理士に当たって先方の了解を取ることができると言った。その上で、複数の人に当たって面談してから決めたら良いではないか。

 

 さらに今後は税務も分野が細分化されるから推薦した複数の税理士とのつながりを大切にして得意分野でチームを作って対処することもできる。

 

 自分は、これまで事業家Qに相談事を受けてきた経緯から、これからもコーディネーターくらいはできる。候補の複数の税理士とは協調できるから問題はない、と付け加えた。

 

Qは講師税理士に相談して良かったと思った。

 

<次回予告>

次回は最終回です。

第31回 事業家Qシリーズ 最終篇 まとめに代えて2

2019年11月29日

 講師税理士とこうして話す機会はこれからは少なくなると思った事業家Qは、このさい聞いておきたい点について質問した。講師税理士は快く応じて話してくれた。

 

 顧問税理士と違って仮面をかむって愛想だけ良いのではないだけに、言われることは一つ一つが事業家Qにとっては疑問の余地を差し挟むことなくスーッと受け入れることができた。

 

 特に印象に残った点は

税務署に提出する申告書は「どこからでもかかってこい」という気構えを持てるような内容であること。会社であれ個人事業であれ申告書を出す大部分の人々は「申告した内容に内心で怯えている」。怯える原因は経営者としての勉強不足、選択する税理士の人選誤りがある。もともと日本人は極端に国や権威に弱い、そこへ申告内容に自信がない、だから内心の怯えになる。

 

申告前に問題点を税理士と詰めておけば例え修正しろと税務署に指摘されても、その個所について議論・検討済みであるから、堂々と自己の言うことを言ったら良い。しかし案外ここができないでスグ長いものに巻かれる。

 

今後、本格的な大廃業時代になって事業はどんどん整理されると思うが、生き残ってほしい。店でも会社でも巨大企業や外国企業のFCでは面白くもない。利益吸い上げられるだけ。たとえば同じ喫茶店でも自分のポリシーでやってる店に入りたい。そこには店の主張があるからオモシロイ。料理屋さんならなおさら。パッケージ化された味ではつまらない。

 

事業家は、どんなコンセプトで事業して、いつまで働くかも自分で決められる。雇用される場合は給料の額も、いつまで働くかも相手次第であるのに比べてなんと「自由」か、これからが玩張りどころであると言った後、彼が好きな九条武子作の気概溢れる短歌を教えてくれた。

 

「見ずや君 明日は散りなむ花だにも 命を懸けて このときを咲く」

 

                     完

 

お知らせ:「事業家Qシリーズ」を最後までお読みいただき、ありがとうございました。次の準備ができ次第、新しい内容でお送りさせていただきます。

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