税務会計 フォアユー パートナーズ Do-ing

新技術がもたらす税務と会計の大変化 AI・RPAの先にあるもの

第1回 新しいブログを始めます<予告編>

2019年12月20日

新しいブログのタイトルは「新技術がもたらす税務と会計の大変化 ─AIRPAの先にあるもの

です。以下はアウトラインです。

 

技術の進化は会計や税務申告の部面でも例外ではなく、次々に新しい波が押し寄せ、そのために日常の実務に逆転現象が生じると考えられます。

 

世界の流れも同様な動きを見せています。技術の進化が行政の動きすらリードしている感があります。

法律が整えられ実務がそれについてゆくことで制度が確立してきましたが、流れが速いためまず技術が先行し、諸制度がそれについてゆく流れに見えます。

 

AI(Artificial Intelligence人工知能)とRPARobotic Process Automation)が先頭にいます。RPAは産業ロボットのように動くものではなくキーボードやマウス操作を自動化してくれますので磨いたり油をさす必要はありません。これらがもたらす現実が日々展開されています。

 

ではどのような点が変わるのでしょうか。

1、取引が人の手で会計帳簿に記載され、申告書にまとめられるプロセスの重点が変わります。証憑から会計ソフトに入力されて税務署に電子申告される流れでは申告書が完璧であるかが重点でしたが、取引記録が自動化されて会計記録に取り込まれるため、網羅的に取り込まれたかの検証が「重点」になります。モトが正しいことが分かれば川下の申告書は大きな洩れはない、との考えでしよう。経理部門や税理士事務所の仕事の重点は逆さになります。領収書を集めるのではなく「取引データそのものを、丸ごと」収集しその確実性を認証する流れになるでしょう。

 

2、そこへキャッシュレスの波が来ますから、1の流れが加速します。

 

3、申告書の調査も、インターネットバンキングの普及で現金取引の除外や水増しの発見より、取引口座自体を申告から除外していないかを確かめる傾向になり、口座間の資金移動のほころび発見が調査のポイントになるなど、税務調査手順にも変化が出てきたようです。国税通則法の改正と事務運営方針の公表で重加算税の適用が明確になったことも関連します。

 

4、行政機関が有する情報量が飛躍的に増え、行政機関同士が「横の連携」を取って、或る個人・法人の情報を検索できるようになっています。調査重点が現金から取引データに移行する一方、余力で現金取引業種に対する調査は増えると考えられます。

 

5、RPAを使って給与計算、社会保険の処理が人事系で進んでいますが会計系でも適用事例が報告されています。

 

6、世界の流<Tax Compliance by Design>に。<Compliance:法令順守>を納税者の平素のビジネスプロセスと一体的に確立するとの考え方です。2014年にOECDから出た考え方ですがAIの進歩とキャッシュレス化で電子データからの取込みが現実になってきました。

 

7、令和2年度の「税制改正大綱」15頁でも「取引から申告・納付に至るまでの電子化」のために「電子請求書や各種決済データの経理への活用が掲げられています。「電子帳簿保存法」も簡易化の方向で改正されます。

 

8、消費税が令和5年にインボイス方式(適格請求書保存方式)に変わればBIGデータで申告書の裏付けがされると考えられます。国税庁が今年6月に公表した<スマート税務行政の実現に向けて~などが参考になります。付随して銀行の審査もデータの元がしっかりしていることが証明できれば審査も早くなると考えられます。

 

 波及するのは仕事の仕方だけではなく、盤石と思われていた企業体や職種が大波を受けて存立が問われるほどに変化すると考えますので、先行きを予知して時代に取り残されないための見通しに少しでも役立てばと思っています。とりわけ、この変化が「税務調査」にどのような形で影響し、納税者としてどのように対応すれば良いかが核心の領域です。

 

昨日のブログにて下記の<お知らせ>をしております

平成31年(令和元年)に書かれたブログ4本がホームページに掲載されています

その内容は以下の通りです。

 

近いものから順に並べています。Top頁で題目にカーソルを合わせますと色が変わります。クリックしてお読みください。

 

*事業家Qが読み解く現状と先行き・・・・・・・・・・<10月17日~11月29日掲載>

*大廃業時代が始まる:個別企業についての予見と税制・・・・・<8月19日~10月16日掲載>

*納税者と税理士の紛争事例から学ぶ・・・・・・・・・・・<3月14日~8月13日掲載>

*腰高時代:事業の展開と縮小・・・・・・・・・・・・・<2月1日~2月25日掲載>

第2回 Q1:会社の日々の損益を知り、税負担の凡そを知りたいのですが何から手を付ければ良いですか?

2019年12月23日

A:ご質問をありがとうございます。おこたえをさせていただく前に、いくつかの点を明らかにするためお聞きします。

 

1、税負担の凡そを知りたいとのことですが、税にもいろいろあります。利益に課税される法人税と地方税(法人住民税と事業税)だけでしょうか、それとも消費税も含まれますか?

 

2、在庫の把握ができるシステムになっていますか?それも日々の在庫ですよ。

 

3、現在は試算表は毎日作成できていますか、それとも毎月ですか、あるいは年一回ですか?

 

4、この試算表はだれが作成しますか、経理専担者ですか、専担者ではない併任者ですか、または社長さんですか、会計事務所はどの段階で関与してくれますか?

 

これらをお聞きするのはなぜかを説明します。

 

・法人税や地方税などの所得に課税される税負担を知るには損益計算ができていないと不可能です。むしろ消費税の負担を知ることの方がやや容易です。仕訳帳ができておれば消費税負担の概要は把握できますが、損益の把握をしなければならない法人税・住民税の算定には在庫や仕掛品の算定が必須です。

 

・それ以前のこととして、毎日の試算表が出るためにはそれなりの準備と少しの知識、経験がいります。社長がいくら号令をかけてもハイ分かりましたと言って対応できるものではありません。スタッフはおられますか?

 

・社長が経理に携わっておられるなら進めやすいですが、社長は号令とチェックだけという会社が多いのです。もっと多いのは号令だけでチエックはしない、ワカラナイからできない、もっと多いのは経理無関心です。これらの場合はウマくゆきません。経理仕事の手順を知ることと実際にすることは違います。する人の実情が分かっていることが必要です。

 

<反射鏡>

毎日の損益と税負担を知ることは、税務調査の際にも、このようにして日々の状態を把握していることを調査官に示し、データをどうして収集しているかを説明することは、場当たり的ではない経理をしてその積み重ねが申告に来ていることを調査官にしめすことになり、非常に有効です。日常のしっかりした経理が実践されていることを示すことこそ調査官の印象を良くします。我々税理士はこのことを調査の初めに示して調査官から良い認識を得るようにしています。

 

<次回予告>

税理士からの質問につき回答がきました。ここから解決へのいとぐちを見出してゆきます。

第3回 Q2:税理士の質問への回答・・・我が社の実態はこんな状態ですがこれで良いですか?

2019年12月24日

<あらすじ>質問者は税理士に、税負担を日々知りたいのでどうすれば良いかを相談しました。それに対し税理士は質問者の経理レベルを知るために4つの質問をしました。その答えがかえってきました。

 

<質問者>4つの質問をいただきましたので率直にお答えします。

1、知りたい税負担

法人税はもとより住民税、事業税、消費税もです。このところ重税感をひしひしと感じますので。

 

2、在庫の把握

日々の在庫は把握していません。月次でも掴んでいません。年一回決算の時に調べます。それもアバウトです。

 

3、試算表

年2回くらいの間隔で会計事務所から出てきます。

 

4、試算表の作成

会計事務所が作成してくれます。金銭出納帳のコピーと銀行から来る当座勘定帳のほか経費の領収書を会計事務所の担当者に渡しますと半年に一回試算表が会計事務所から送られてきます。説明は文書でも口頭でも一切ありませんから送られた試算表は社長の机上に「積んどく」です。やがてゴミ箱へ入ります。試算表の意味は分かりません。損益の欄は見ますが資金繰りと異なる数字ですので意味が分からず本気で見る気はしません。

 

<税理士の説明>

 率直におこたえいただきましたので貴社の現状がわかりました。日々の税負担を知ることが富士山の8合目としますと貴方の会社の経理レベルは1合目です。距離があります。我国の中小企業の平均の位置でしょう。しかし事務の仕組みを改良する意欲さえあれば必ず目標に行けます。

 なによりも素晴らしいのは、自社の状態がヨチヨチ歩きなのに一気に富士山の8合目に行きたいという非常識な、まるでドン・キホーテのような目標を持たれたところです。このような枠にとらわれない思いが大事です。思いがあれば実現します。危険なのはそのような奇抜ともいえる思いを持たれないで現状の位置に何の疑問も持たないでおられますと、時代にとり残されかねません。

 あなたは、経理にうとい方だと思いますが、今回はそれが却って良かったと思います。知らないからこそ自分の心が命じる核心に行きたいと純粋に思われたようです。そのことを大事にしましょう。

 会計教科書のように序論から始まって理念を論じたりして論理的に進むことはしないでイキナリ方法を述べますからそれを実行してください。周りが引き止めても気にしないで前へ進みましょう。その意味では暴君になってください。閉塞状況を破るにはそれしかありません。さもないと貴社は海図もロラン計もなしで航海を続けてやがて難破します。多くの中小企業がこれからそうなるように、、、

 

<次回予告>

税理士は先に行動への手順を述べます。その後で行動の意味がカラダでわかる「最小限」の説明を加えます。理念重視、理屈重視の頭でっかちが多くて実行しない世の中の逆をあえて進みます。

第4回 Q3:では行動の順序を教えて下さい

2019年12月25日

<あらすじ>

自社の経理が未熟であるけれど最速で財務内容と税負担を知りたい社長のために、理屈より実行が第一として行く道を示します。考えてから走る人と、走りながら考える人、走ることも考えもしないで同じところにいる人、走ってから考えるタイプがありますが、ここはスペイン人のように「走ってから考える」ことが有効でしょう。さもないと、できない理由ばかりが浮かんできて躊躇しかねません。まず飛び込みましょう。

 

<すること>

1、在庫が把握できるようになること

1-1、担当者在庫管理ソフトを決めます。

1-2、在庫管理ソフトは担当者の感覚に合うものを選びます。ソフトとの反りが悪いと後々たたりま

    す。ここで注意しなければならない点はソフトにお金をケチらないこと、担当者が反りの合う

    ソフトに出会うまで待ってあげることです。拙速はいけません。

1-3、在庫管理ソフトには

     あ・在庫管理だけを精緻にするタイプ。ハンディターミナルを使うことができます。

     い・会計ソフト制作会社の会計ソフトに連動する販売管理ソフトに在庫管理が付いている

       の。商品ごとの在庫管理だけではなく構成部品と連動した生産管理まで出来るものもあ

       ります。

     う・小規模事業に特化し金融機関のデータ取り込みをウリにしたソフトで自社には在庫管理

       ソフトはないが他のソフトハウスの作った在庫管理システムと連携できるタイプ。

 

 あ・を選びますと立上げには苦労されても在庫はしっかり日々分かりますが、あなたの目的は日々の在庫を知りたいのではなく税負担を知ることですから在庫を知るだけでは目的に行きません。

 日々の在庫を知る→日々の損益を知る→日々の税負担を知るのが目標です。今のように会計事務所に資料を渡して年2回意味不明の試算表を手にしていては目標から外れます。

 どうしても自社で会計ソフトを導入されてそこへ在庫管理を繋げる必要があります。会計ソフトを選んでからRPA(ロボット)で在庫管理のみのソフトと連動させる実例の情報もあります。

 

ということで在庫管理ソフトはあ・い・うどれであっても会計ソフトの選択は避けられません。

 

2、会計ソフトを選択する

2-1会計ソフトには小規模事業が経理に時間をとられないように領収書などをスマホで撮影してスキ

   ャンで取込むとともに銀行取引も取り込むタイプから、銀行取引を毎日一定時間に自動取込設定

   しておき自動仕訳できるタイプや電子帳簿保存法に適合したものまで様々です。

2-2ここで大事なことは自社の会計仕訳数をよくみて「帯に短しタスキに長し」にならないように先

   行きの事業規模まで見通して決めることです。またデータをEXCELに落としてCSVテンプレート

   からロボットでアップロードしている実例も報告されています。

 

3、会計事務所と話し合う

3-1これまでの会計事務所の役割が大きく変わらざるを得ないことは1と2でご理解いただけたと思

   います。今後は領収書の束を渡して月遅れの試算表を作ってもらうことから以下のように役割が

   変わります。

3-2データが自動取込されても網羅性が保たれているかの検証、仕訳が自動化されても税法上または

   会計基準に違反した仕訳になっていないかの検証、消費税では課税・非課税・免税・不課税の区

   分がありその上「軽減税率適用」か否かの判断も要しますので、これ等が間違っていれば消費税

   の税負担は正しいものが出ません。消費税の負担額が間違っていれば損益も違ってきますので法

   人税等の課税所得も間違った結果になりますから合法性の検証が必要です。この点は税理士に頼

   まないと素人では危険です。

3-3これ以外にも在庫ソフトや会計ソフトの選択のアドバイスをもらうことが重要です。これができ

   ない会計事務所であるか判断しなければなりません。3-2はできても3-3は苦手という会計事務

   所は多いと思います。この場合は3-3をできる専門会社を会計事務所に紹介してもらうことで

   す。適当な紹介先がない場合は会計事務所とは別のルートで探すことになりますが今後

   も会計事務所との協調が必須ですので貴社+会計事務所+ソフト指導者(社)の重なる打ち合わ

   せが必要です。

3-4会計事務所の変更が必要になる場合、他を探すことになります。

 

4、日次試算表を出す

4-1減価償却費なども1年間の減価償却予定額を知り12で割り、更に営業日数で割って1営業費当た

   りの償却費を計上します。土曜日も営業される会社は25で割ります。

4-2これまでの説明の通り日々の在庫はしっかり計上されています。

 

5、日々の税負担額を知る

5-1日次試算表の利益に実効税率を乗じます。法人税率はフラット税率とはいえ年所得800万円を境

   に2段階税率になっています。事業税も年400万円超ごとに3段階税率になっていますがここは

   大枠で良いですから仕訳トータルで30%の税率を用います。なお法人税法で益金・損金不算入

   になる科目がありますのであらかじめ税理士にチェックを受けられるこが必要です。

 

5-2仮受消費税ー仮払消費税ー中間申告分消費税=納税額(負数なら還付額)ですから、試算表の貸

   借対照表のこれら勘定科目から引き算します。消費税の課税、非課税などの区分につき税理士の

   チェックを受けます。

 

以上で目的が達成できました。1と2が重要で且つ困難です。

 

<次回予告>

在庫を知り、日々の損益を知ることの重要性に触れます。在庫も損益も知らない、理解できないことにより、これからの会社経営で失うものが多いことを説明します

第5回 Q4:在庫や日々の損益を知らないことで失うものはどのようなことですか

2019年12月26日

<あらすじ>

走ってから考える例えのように前回の行動への指標の通り実行した後にふりかえって、仮にこれをしなければ、どうなっていたかを知っておくことは重要です。後付けでも行動した意味を押さえておくことは大切です。

 

<実行しなかったら失ったもの>

1、<弱点商品を特定できない>在庫の商品群ごとの回転率と利益率の測定ができません。もちろんその交叉比率も把握できません。一番利益に貢献している商品(群)を示すのが交叉比率です。これが見えないと夜道を灯かりなしで行くようなもので、貢献度TOPの商品が分からないだけでなく足を引っ張る商品(マイナスの商品)も特定できないのです。商品の改廃も決められませんから、当然にその後の新商品への開発のスタートもきることはできません。

 

2、<在庫のコントロールができません>適正在庫量が読めないため発注のタイミングが見えません。相場の有利な時に思い切って安値で大量発注することもできませんから、手持ち在庫が少なくなった時に慌てて仕入先の言い値で数量を調達することにもなりかねません。その結果は材料高による粗利益の低落です。

 

3、<マイナスの得意先を切れない>マイナスを生む商品を買ってくれる先は「良い得意先」ではありません。そこを見つけることもできません。マイナスの商品を購入する(そのため自社の粗利益が喰われています)得意先であるだけでなく、そこからの回収日数が長い相手先は資金面でも貴社の足を引っ張ります。もはや得意先とは言えません。

 

4、<部門の改廃ができない>その商品群を製造したり販売する主軸になっている部門が稼いだ付加価値が分からないまま進みますから、事業規模を維持しながら事業部門の組替え、組織替えも実現しません。こうして組織は肥大化しお役所経営になってゆき、いたずらに固定費ばかりが増加して行きます。当然に損益分岐点も高くなり「いくら売っても利益が出ない病」になってゆきます。

 事業部門の採算が見えないので、仮にその事業部門が大赤字を出していても手を打つことはできません。その赤字事業を売却するとか別会社化して縮小するとかM&Aに出すこともままなりません。会社は各部門の集積ですから各部門損益が見えないことは致命的です。

 

5、<会社全体のマイナス部分を摘出して処置することができない>弱点の改良ができず宿痾を抱えた病人の状態が続きます。手術ができないので飛躍的な成長はできないでしょう。当然、ヴィジョンを従業員に示すことはできないため士気は上がりません。重要な指標であるROI(Return On Investment:総資産利益率)は下落する一方です。

 

 

6、<銀行借入での資金充足のタイミング>が見えず、銀行サイドの言うままの借入ズブズブ体質が定着し、いつも銀行さんの顔色を見ながらの経営になります。

 

7、<税負担がスピーデイに見えない>このため「こんなに税金を払っているのか」との認識が事業年度の進行に沿って認識できないため、租税特別措置法に定められ事前に申請が必要優遇税制の検討をすることもできないまま期末を迎えることになります。貸倒懸念先への売掛債権のタイミングを外さない催促や、見切って損金算入できるための債権放棄の通知のほか、評価の格下げや在庫品の処分などを充分な証拠を残して税務上有利に処置することができにくくなります。そして税金で損します。

 

経営は人・モノ・カネを用いての「投資」です。核心を外さないで投資リターンである稼得利益(ROI)を得るための行動を連続しなければならないのにキモの商品が見えないでは闇夜に鉄砲です。

 

経営計画を立てるにしても商品・製品のデータが無ければ立案もできません。計画が「経営という作品」のデザインであるなら切れ味のある作品には程遠いでしょう。彫刻家は大理石の中に造形する形を見抜いてそれを引き出すという話を聞きました。造形のように結晶化された計画を立てるには核心の商品群のデータは不可欠です。

 

<次回予告>

在庫や日々の損益を知らないことが、税務面において失うものがどのようなものかを次回に説明します

第6回 Q5:在庫や損益を常時知らないことが税務面でも失うものがあるのでしょうか、それはどのようなことですか

2019年12月27日

<過去と現在そして未来>

四季が一巡して元に戻ることを繰り返して決算をして申告します。この中には一年間の日々の営みが集積されています。それだけではなくその前の1年間の四季の動きが土台の上の方に残っています。

 

ということは現在の中に過去があるのです。やがてこれからの四季が変わってゆき次の決算の時期になります。そしてまた1年という日々の層が決算に重なってゆきます。

 

こうみますと1日ごとにその底にはその日までの過去の層で支えられた歴史があります。ですから決算が来たから税務の申告をするというよりも日々の営みのなかに税務の適用のタネがあります。

 

<兆候から準備する>

この場合のタネ=兆候です。例えば、売上が増えて新規の得意先が得られてもその背後には貸倒のリスクがあり滞留しないように目配りが必要で、ある線を超えたら不良債権化しますからそれまでに回収を急がなければなりません。

 

税法には貸倒引当金の規定がありますが、できることなら貸倒にならないように準備することです。資産の評価損も同じです。準備と予見が大事です。

新製品を企画するには資金が必要です。その場合には試験研究費の支出額が前年を上回るなどの条件をクリアーすれば納税額から一定額を控除できます。雇用者給与の引き上げや設備投資も同じです。税額控除の特典があります。こうすればこうなると先読みができます。

 

イロイロな税法の規定に関係することが起こっている中でスグ準備して動いたら有利になるのに事業年度が終わってから申告の際に税法の優遇規定を調べても「遅かりし」になることが多いのです。

 

また消費税は戦略的な税法で、設備投資や在庫投資の時期が的確であれば税金の還付を受けることも可能です。

 

<税務調査関連>

在庫をスフトで管理しますと仕入=在庫増、売上=在庫減とロジックで誤りなく自動計算されます。このことが税務調査では良い評価になります。製造業では原価計算の仕組みを組み込んで仕掛在庫の評価にも一貫した計算構造を示すことができ紛争になりにくいです。

 

売上の計上時期は企業によって引渡、出荷、船積、検収のどの時点でするかは異なりますが、この点だけ一貫性を保持できれば計算構造での問題は少なくなり調査官の印象も違うと思います。

 

<会社全体の収益状況で判断する場合>

以上は個別の税法規定に関してですが、その会社全体の収益状況次第で手を打つ場合もあります。成績が良いので工場を建て替える、M&Aで競合企業を買収する、逆に不採算部門を閉じる、役員が勇退するので退職慰労金を支払う、従業員賞与の総枠をこの際引き上げる、など攻めの経営には会社全体の収益状況が早めに分かることが税法の規定に触れて躓くことなく進むために必要です。

 

バタバタしていては十分な準備もできません。やがて税務調査になっても契約書・議事録・見積書などの証拠が整然と出せる点が強みです。調査官と意見が異なっても、解釈で負けないように、あらかじめ判例や裁決例を検討して直接間接の証拠で主張する余裕もできます。

 

税法の規定にはファジーなところが多いのでこれらの点について整理検討しておくことは交渉では有効です

それにもかかわらず試算表を年2回程度、しかも在庫も不正確なモノでは備えもできません。それは経営者の自覚が足りないのです。

 

<<おしらせ>>

今年もお読みいただきありがとうございました。12月28日(土から1月13日(月・祝)まで充電と情報収集のための休暇を戴きます。来年もよろしくお願いします。

第7回 新年特別版 兄丸出羽守久しぶりに登場

2020年1月14日

<兄丸出羽守の名前の由来:いつも「マニュアルでは」が口癖のところ、間違って「アニマルでは」と言ったことから兄丸出羽守と名乗ることになりました。愛すべきキャラクターです>

 

兄丸(以下 ):こんちわ、お元気ですか。

木村(以下 ):ハイ元気ョ、よく来たね。何か用ですか?

 

兄:あいかわらず不愛想ですね。年も改まったのでこれから世の中どうなってゆくのかお聞きしようと思いました。

木:良いタイミングね。いろいろ正月休みに情報を取り入れてアタマを整理していたところなので話し相手になってくれますか。

 

兄:わかりました。お正月もアンテナ張ってたのですね。

木:世界がどうの、日本がどうのという話ではなく、このブログのタイトルに関係した話に限って考えていることを話しますね。

 

兄:このタイトル「新技術がもたらす税務と会計の大変化」のようなハナシは中々ありません。期待しています。

木:大したことは話せんかもしれないが正月に気になった幾つかの事柄を初めに話して、それらの項目が実はつながっているので、少し掘り下げてゆこうと思う。

 

兄:気になったこととは何ですか?

木:ざっと挙げたらこのようになります。

 1、グーグルの発表:乳がんの発見率でAIが人間を超えたこと。

 2、生体認証になったら入院している老齢者は預金が引き出せずネット口座を開設しないと手許金に困ること。

 3、アメリカの大学院人気はMBAやロースクールが凋落し、コンピュータサイエンス学科に優秀な学生が殺到していること。

 4、東京の友人の年賀状:彼はNPOで貧困家庭の中高生に数学を教えているが、生徒がお腹を空かしているのが分かると、、

 5、別の友人は大阪のNPOで塾に行けない母子家庭の小学生に補習をしている。学校の授業についてゆけないのが補習で生まれ変わったように教科内容がわかりはじめると。学校は何を教えてるの。

 6、東京商工リサーチ:倒産会社の粉飾が前年の2倍になったこと。

 7、ファーウエイCEO曰く:日本企業は改革と脱皮が遅れ、もはや競争の圏外へ。

 8、「パソコン、ネット、スマホに長時間没頭することは対面コミュニケーションの機会を奪い、偏った神経回路ばかりを酷使することで、脳機能の低下のみならず社会性・共感性の低下を引き起こす」(カッコ部分は精神科医である岡田尊司先生のご著書「回避型人類の登場 ネオサピエンス」<文芸春秋 2019.11.20>からの引用ですが、最近の奇妙な出来事がなぜ起こるのか、これからどうなるのかが少しわかったこと。  

 

兄:なるほど、要するにAIをはじめとしてコンピュータがますます進化する一方で格差が拡がり企業の行き詰まりが表面に出てきているということですね。8番についてもう少し説明してください。

 

木:わかりました。岡田先生は、情緒的な交流や共感、絆を大切にする共感型人間と、逆に人との関わりを最小限にしたい回避型人間があり、先進国共通で後者は増え、日本の大学生は59%が回避型と書かれています。子供の時からスマホなどで遊ぶことで脳神経回路の組替えにより無限ともいえる情報ネットワークにのめり込んでゆく結果、集団より単独、セックスレス、ヒトよりモノや情報を好み、ルールと統制を重視、親の世話を期待しない。集団を嫌悪するから民主主義や民意はあてにならないものと考える。

 織田信長は回避型の人物であった。母親に愛されなかった信長は、周囲の感情にも無頓着で、常識外れのことをしでかし(中略)情実や先例にとらわれず家臣の意見など一蹴し、独自の戦法や改革を迅速に実行することができた。」「恐れられはしたが、愛されることはなかった。人を人とも思わない所業は、恨みを買い、最後には敗北を喫することになった」とあります。

 「人を人とも思わない」との指摘には?です。信長が戦陣から配下の武将の家族にあてた直筆の手紙が資料として残っていますが細やかな配慮に満ちた内容であり、少し違うように思いますが情実や先例にとらわれず独自性を出した点はうなずけます。今のわが国に必要な気質とも思います。

 

 私はこれからAIが情実や先例にとらわれないで先を切り開くように思います。「時代が生ぬるい温情よりも、切れ味のいい冷徹さ」を求めているようにも思います。

 

 回避型の人が多くを占めるのと並行して商業主義の限界が出ています。SNSにはまってもTVは人気がなくなる一方です。私や友人達も民間放送のCMばかりが出てくるバカ番組は見ません。1ChかEテレまたはBS放送です。ニュースと広告の違いが見えなくなり、結局、信用できないモノになります。

 

 学校も質が落ち大学などは完全に商売になって学生の取り合いをしています。キレイな校舎がウリでしょうか。底辺の生徒さんはNPOで救われなければ将来を諦めることになります。お腹を空かせても数学を学ぶ姿勢に感動します。やがて学校は空洞化してゆくのではないでしょうか。オリンピックも商売です。友人たちは「オリンピックしてる場合やない、、」と言います。皆分かっているのです。

 

 最近理解に苦しむ事件への司法の対処に?を感じたが、AIの進化で司法がどうなるかこの本で書かれています。

 

 次号でご紹介します。このことは国税庁が発表している今後の税務調査の方向や重加算税の強化措置ともつながってゆくように思いますから。

第8回 新年特別版 兄丸出羽守 久しぶりに登場 その2

2020年1月15日

:では前号の続きをお願いします。私も気になります。

:少し長くなりますが正確を期するため、なるべく端折らずにご紹介します。太字は木村が付けました。下記は2020年代にこうなるだろうとの近々未来のことです。(前掲書 第6章「回避型人類の社会と病理」225頁~227頁より)

 

 「契約や法律でいくら人々の行動を縛ろうとしても限界がある。法律は現実の変化についてゆけず、一方で契約を履行させるためには、最終的には法的手続きが必要だ。だが、それには時間がかかりすぎる。

 現実の変化に即応して法が定められ、かつ、瞬時に法が適用されることが、完璧な秩序の維持には必要である。法案を通し終えたころには、新たな抜け道が作られ、契約を実行させようと裁判で勝訴を得ても、相手の手元には一文も残っていない。素早く変化する現実を、スローモーションで動く法律が追いかけているようなありさまでは、正義など、六法全書の中にしかない絵空事になってしまう。

 だが、AIは、それを変えた。完全に公正で平等な法を、人間がそれを出し抜くのと同じくらいのスピードで改正し続け、瞬時に施行し、数秒とかからずに裁判を終えることができる。AIの裁判官が、AIの検事や弁護士とやり合い、記録されたすべてのデータを証拠として、完璧に合理的な結論を導き出す。やろうと思えば、半日とかからずに数回の公判準備と証拠調べ、数回の公判と最終弁論、判決までをこなしてしまうだろう。誰も(生身の人間はという意味だが)読むことはないだろうが、数千枚に及ぶ立派な判決文も書き終えられているかもしれない。その日のうちに差し押さえが終わり、契約を強制的に履行させるだろう。

 だれも、もう法律に逆らおうという気を起こす者はいなくなる。AIはすべてを知っていて、それに逆らうことは無駄だからだ。欺くに長けた者も、もはやお陀仏だ。膨大なデータが、嘘だということを簡単に暴いてしまう。人間の知性を生み出し、その本質的特性とも言われる社会的知性は、嘘を吐くために進化したが、もはや時代遅れの代物となる。AIからすれば、人間の嘘を吐く能力など、つまみぐいをして口の周りが汚れている子どものようなレベルだからだ。

 AIと交渉するには、AIでなければ、とても太刀打ちできない。心や感情をもつことが、それを見抜かれるという弱点になる。何を扱うにしろ、心や感情をもたないことが、交渉を担う者の最低条件となる。

 公正なルールが誰にでも平等に課されるためには、私見や感情が入る人間が、人間を裁くことは不合理である。それができるのはAIしかいない。司法も政治も行政も、情報処理と判断は、すべてAIが行うというのが、回避型人類の社会では常識となろう。

 回避型人類は、際限のない堂々巡りに終止符を打とうとしている。感情に操られ、同じ過ちを繰り返し続ける民意ではなく過去の過ちや教訓を決して忘れないAIのシステムに処理を委ねることで、最大限の公平と公正さが担保される。

 人間に残された重要な役割は、そのシステムを管理することである。<中略>誰もが国会の決議よりも、AIの決定の方を信頼する。(AIは)かっての貴族院や枢密院のように、衆議院よりも優越した存在として君臨するようになるだろう。

 

 

:ということは、AIが権力構造のTOPにくるので法律や経営はAIのしもべに過ぎなくなるから、昨日の話のアメリカのロースクールやMBAコースよりAIを「管理」できる能力を身につける勉強に若者は進んでゆくのですか?

 

:よくわからないが少なくともグーグル発表のように医学分野にはAIが感情抜きの優位性で凄まじい進歩があると思う。司法や行政の処理が早くなることは喜ばしいが、すべてが感情抜きで完結するとは思えない。

 わかりやすい例では、病気になれば(人間の)お医者さんに相談する段階と臨床検査データが集積されて結論に行く段階の二つに分かれるように思う。「医学概論(川喜田愛郎 ちくま学芸文庫)」という本では病人という人間の痛み、苦しみ、悩みから死への恐れに対処しつつ病歴を含む情報を聞き出すことが必須とあります。この段階までもがAIでできるようには思わないね。

 

 税務も同じで誰もが嫌がる納税に関してAIが取引データを分析して、「コレガアナタノ税額デス」とPC言語を喋りながら納付書を出してきても、ハイそうですかと支払う気は起らないように思う。得心して納税するには感情の同意が要ると思うがね。

 

 しかしAIがビッグデータを解析して怪しい税務取引をピックアップすると大きな証拠力になるが、それは半面でしかない。納税者から不服申立されても揺るがない裏づけの証拠がなければ課税できないだから申告してから税理士にはAIの課税決定に誤りがないかを確認する重要な役目があります。税務署との相互チェックになると思います。詳しくは後々に説明します。

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