第89回 会社が税金を払い過ぎた場合・・・7
(わが国の特徴:間接金融)
わが国では銀行がメインの間接金融方式で企業は資金を調達してきました。間接金融の反対は直接金融です。直接金融とは証券市場から直接に資金を調達することですが上場している会社でも銀行から多額の融資を仰いでいます。
銀行は戦前から会社の規模に関係なく広く融資して利息収入を得てきました。そして慣習として期限が来て完済しても、そこで終わることなく新たに貸し付けをして、できるなら関りを継続するのが望ましい姿勢のようでした。
戦後もこの流れで現在に至っています。
融資を受けた会社が、完済した場合に一旦区切りをつけないで継続するのは理由があります。会社の営業成績がもうひとつで、キャッシュフローが宜しくない現実があるからです。最近はこの流れが普通になってきたうえ無理して利益を出す、このため無理して多い目の税金を払うことになります。これこそ無理に無理を重ねています。
完済したら一旦は距離を置き、次の計画のもとで資金が必要になった場合に借入計画を立て、それに沿った資金を調達する昔のスタイルを取る余裕もなくなりました。
世界同時進行で低金利時代が続いています。しかも預金してもほとんど無利子です。預金金利と貸出金利の両方がトコトン下がりきった現在、このままでは銀行は収益を得られなくなるため貸出金利を引上げたり、貸出先の選別をする時点(リバーサル)が近づいていると言われています。このような考え方をリバーサル・レート理論と言い、最近注目を集めています。<リバーサル・レートに関しては小栗 太著「円相場の終わり」日経プレミアシリーズを参考にしました>
文字通り金利が反転(リバース)するリバーサル・レートが現実のことになり貸出金利が上げられることと並行して、銀行は預かっている預金から預金口座管理料を徴収する計画をしていることも昨年12月に報道されました。これまでの銀行と様子が違ってくると想定しておかなくてはなりません。
要するに漫然と金融機関にもたれるような会社は選別融資と金利高のため、急速に資金に行き詰まることになります。今からでも遅くはないですから「考え方」を改め、徐々に借入金依存体質から脱出するスタートを切ることです。無借金になりなさいと言っているのではありません。節のない借入を続けなくても良い企業体質に変える必要があるのです。
<次回予告>
どこから改めると良いのか、このことと税金払い過ぎを改めることがどうつながるのかをご説明します。