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第33回 納税者・国・税理士 3者間紛争 <税理士 対 国>5

2020年2月21日

裁判所の判断

 

1、国税不服審判所が審理する範囲は当事者の申立事項に限定しない。

 旧国税通則法は民事訴訟法246条とは異なる。申立てをしていない事項に関しても審理する。また審査請求人と税務署が対等である審理構造(対審構造)ではないから審判官は、必要がある場合には職権によって調査する権限が認められている。

 その対象は争点に関連するものに限定されないで総所得金額の当否を判断するに事項の全般に及ぶ。総額主義の観点から井上税理士の主張はみとめられない。

 

2、争点が税務署の答弁書と意見書で提起されていた。

 そのため、争点であるコンピュータの存否に関して審判官が調査することはその争点主義から見ても調査の範囲に違法、不当と言うべき点はない。審査請求人は答弁書の送付を受け廃棄されたコンピュータの型番が相違ないかを自から確認できた。

 

3、国税審判官が収集した資料を審査請求人に閲覧させる規定はない。

 

4、審査請求人は税務署に釈明を求めることはできない。

 審査請求人は申立てによって、審判官の職権によって、税務署へ質問ができるに留まる(旧国税通則法97条1項)。

 

5、審判官が収集した帳簿書類を審査請求人に閲覧させる義務はない。

 閲覧できる規定もない。旧法97条1項2号に定める帳簿書類は96条2項の「書類その他の物件」には含まれない。ゆえに審査請求人は旧法96条2項を用いてその書類その他の物件の閲覧を求めることはできない。

 

 このように国税不服審判所の主張に沿ったかのような裁判所の判断であるが、その後の国税通則法の改正で、どのように改まったか確認しておくことは、今後の税務署と納税者の争いにおいて国税不服審判所での問題解決に役立つことになる。

 

参考(TAINS Z261-11844)

 

<次回予告>

国税不服審判所が、どのように納税者にとって有用になるのかを具体的に見てゆく。

第34回 納税者・国・税理士 3者間紛争 <税理士 対 国>6

2020年2月25日

 前回の通り、裁判所での最終決着は国の主張を認め、井上税理士が求めた、不服審判官が職権で集めた資料の閲覧請求や未収入金にに関する税務署の資料開示や釈明を求めることは旧国税通則法(平成26年、28年改正前を指す)では許されていない、ゆえに審判所には開示義務はないと結論付けた。以下が要点である。

 

(不服審判所の機能の特徴)

 国税不服審判所の審判官は、訴えられた争点についてのみ審理する裁判所の裁判官と異なり、不服審判所への申立て外の事項であっても審理する。その範囲は、所得の総額を判断するために必要と認める全ての事項で、これらを職権で調査することができる。

 

 そのため、どのコンピュータが廃棄されたかの事実を確認することは正当である。その結果、別のコンピュータが廃棄されていた事実が判明した場合は、連動して減価償却費の必要経費への計上が誤りであることになるとともに、廃棄されたコンピュータの廃棄損を必要経費に算入することによって所得の総額を確定する。このような審判官の行為には何ら手続き上の瑕疵はない。

 

(閲覧請求権の範囲)

 審査請求人である井上税理士は旧国税通則法96条2項で審判官に対し、税務署から提出された書類その他の物件の閲覧を求めることができるに留まり審判官が自ら収集した帳簿書類その他の物件を審査請求人に閲覧させる規定はない。その義務もない。

 

(審判官による閲覧の原則的許可の範囲)

 井上税理士が閲覧を請求しても、旧国税通則法96条2項で審査請求人に閲覧が許される範囲は「税務署から不服審判所に提出された書類その他の物件」に限られる。審判所審判官が職権で収集した資料は許容の範囲外である。

 まして未収入金の貸倒に関しての税務書の資料を審判所が税務署に提出を要求し、審査請求人である井上税理士に閲覧させる義務は当然にありえない(志場他:旧国税通則法精解887ページにも同趣旨)。

 

(主張の機会について)

 井上税理士には旧国税通則法97条1項により、審判官に申立てることにより審判官を経由して質問し、主張する機会が与えられていた。

 

以上 (参考:TAINS Z261-11844)

 

(改正後の規定ではどうなったのか)

1、閲覧請求が認められただけでなく、写しや電磁的記録の記録事項された事項を記載した書面の交付を求めることができるようになり、書類の提出者の意見を聞かなければならないこととされた。

 しかし、審判官が自ら収集した帳簿書類その他の物件を審査請求人に閲覧させることはできないことは変わらない。(新国税通則法97条の3第1項)

 

2、口頭意見陳述条項の創設:審査請求人等が審判官に申立てをすることにより、意見を述べる機会が与えられるようになった。(新国税通則法95条の2)

 

3、意見聴取義務条項の創設:審判官は、閲覧させ、または書面交付をするときには、これらの書面等の提出人の意見を聴かなければならないことになった。(新国税通則法97条の3第2項)

 

<次回予告>

 改正され使い勝手がよくなった国税通則法であるが、現実の国税不服審判所への審査請求の数は多くはない。改正後の国税通則法並びに不服審査制度の問題点について触れ、税理士 対 国 間の紛争については終了したい。

第35回 納税者・国・税理士 3者間紛争 <税理士 対 国>7

2020年2月26日

 これまで国税不服審判所の役割に関して見てきた。

特に平成28年の国税通則法改正後には「閲覧請求権」や「口頭意見陳述権」が設けられ審判官には「意見を聴取する義務」などが新たに課された。

 

 これだけを見ると使い勝手が良くなったように見えるが、現実の不服申し立て件数の推移を見てみると未だ変化にはほど遠いのが実際である。

 

改正後の平成29年度の申立件数・・・・・A:308件

    課税処分取消件数(一部取消を含む)・・・ B:55件

    取消率 B/A・・・・17.8%

 

改正前、平成25年度~28年度の4年間の申立件数・・・・A:1,482件(年平均 370件)

    この間の課税処分取消件数(一部取消を含む)・・B:114件(年平均 28件)

    取消率   B/A・・・・7.6%

 <国税庁統計 19不服審査より木村作成>

 

 たしかに「取消率」は倍以上に良くなっているものの「申立件数」は改正前の各年平均件数よりも減少している。敬遠されているように見える。

 

 ここには不服申立制度以前の納税者の気風が影響しているのではないだろうか。巨大法人などは別として個人納税者や中小零細企業の本音は以下ではないだろうか、、

 

・税金は少なくしたいが、税務署との紛争はしたくない。

・「お上」と争いたくない。

・事業を営み生活してゆくためには「税金どころではない」もっと大事なことがたくさんある。

・たかがゼイキンで「国税不服審判所」などに行きたくもない。穏便に丸く収まるなら、そうしたい。

裁判所にも行きたくないが「不服審判所」も似たような所だろう。行きたくない。

 

 このような気風のもと、不服申立の手続きも、税務署に備え付けの用紙に必要な事項を書き込んで提出すれば良いとはいえ、この後の税務署からの答弁書、それへの反論書の作成などは納税者一人では非常に困難であると思われる。

 

 要するに「違法な更正等の処分を受けた納税者が税務署長等を相手にこれを争うというのは、一般国民にとって重大な決心を要することである」(税法学574号217水野先生稿)から、できることなら避けたいのが現実であると思う。  

 

 加えて、参考人(いわゆる証人のようなもの)の供述録取書等は閲覧できない。審判官が「いわゆる証人」から聞き取った内容が文書にされても、その内容が審査請求人に見せられないのでは、審査請求人(納税者)は、その内容に対して反論することもできないことになるから片手落ちである。

 

 また「対審構造」になって納税者と税務署が対等の構えのように見えても、その目的は、審判官が動きやすいようにすることで迅速に結果が出せるためであると言われている。

 

 結局のところ、敷居が高い上に、分かりにくいところ、では普通の人々からは距離がありすぎることになる。

 

<次回予告>

 不服審査制度に関してはこれにて終了し、次回は最終ラウンドの<税理士 対 納税者>間の紛争例に入ってゆく。

第36回 納税者・国・税理士 3者間紛争 <納税者 対 税理士>1

2020年2月27日

(あらすじ) 

 ある会社が別件の訴訟を起こして裁判所で争っているさなか、その裁判の結果に大きく影響する事実を確認するため、その会社の訴訟代理人弁護士が、同社の顧問税理士法人に対し弁護士法23条の2に定める照会(以下、23条照会という)をしたところ、税理士法人は、問い合わせ対象である「本人」の承諾を得ないでこの照会に回答した。このことで損害を蒙ったとして「本人」が、税理士法人の代表社員を訴えたケースである<以下、この訴えを本件訴訟という>。ここでは「税理士の守秘義務」が弁護士法23条照会に優越するのか否かが争いの焦点になった。税理士の守秘義務が弁護士の23条照会に優越するなら、税理士は損害賠償をしなければならない。

 

(具体的な内容)

 税理士を訴えた「本人」である宇野さんは、建築会社に勤務している。建築会社は、江田税理士が代表社員を務める税理士法人を顧問として、これまで継続的に確定申告書の作成などを依頼してきた。

 

 建築会社は、前社長(宇野さんの母親)を相手取って、勤務実態がない宇野さんに前社長が給与を支払ったため、赤字を出したとして前社長に損害賠償を求める別件の訴えを起こしていた。

 弁護士は、23条照会の手順を踏んで地域の弁護士会に照会の申出を行い、それを受けて地域弁護士会は江田税理士が主宰する税理士法人に照会を実施した。

 

(23条照会の内容)

・いつころ税理法人は宇野さんの確定申告をしたか

・申告をした場合は確定申告書と総勘定元帳の写しを回答書につけていただきたい。

 

(参考:TAINS Z999-0151)

 

 

<次回予告>

上記照会への回答がどうして問題になるかなどと、本件訴訟の流れを追ってゆく。

第37回 納税者・国・税理士 3者間紛争 <納税者 対 税理士>2

2020年2月28日

(何が問題か)

 照会とは辞書によれば「問合せ」である。弁護士は受任事件について、所属弁護士会に対し諸団体に照会して必要な事項の報告を求める申出をすることができる、ことになっている。照会を受けた側は「弁護士会」からの「問い合わせ」であるから普通の神経では「誠実に回答しなければならない」との心理的な圧力を受けるであろう。それが日常的なものではないゆえに普通の人間であればそのように受け止めると思う。

 

 案の定、この照会を受けた税理士法人は問い合わせに応じて

  ・宇野さんの確定申告をしたたことは事実であること。

  ・その時期も正確に回答した。 

  ・その期間の確定申告書及び総勘定元帳の写しをCD-Rで提供した。

 

 税理士法38条「税理士は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知りえた秘密を他人に洩らし、又は窃用してはならない。税理士でなくなった後においてもまた同様とする」と定め、違反した場合は同法59条にて2年以下の懲役または100万円以下の罰金刑に処せられる。税理士会綱紀規則においても税理士法38条の趣旨に照応した規則を設けている。

 

 税理士は「弁護士会からの問い合わせ」と「税理士法の義務の縛りや義務違反の処罰」との狭間に居る。23条照会に応じ、プライバシーや職業上の秘密保持(医師や薬剤師が問合せを受けた例で考えれば分かり易い)をすることなく回答すれば、当事者である宇野さんの立場に良くない影響があることに気付くことは常識であるのか、或いは「日常的に扱う税務」であることから照会に回答することは軽微な事柄と判断できるのかが一つのポイントではある。

 

(宇野さんの主張)

 税理士業務においては依頼者が個人であれ法人その他の団体であれ、相談で知った内容を他所に口外されることは依頼者との信頼関係をこわすことになる。

 しかも所得税 青色申告決算書3ページの「本年中における特殊事情」欄に記載された事柄があり、確定申告書や決算書は「極めて秘匿性の高い個人情報の集積である」から漫然と問い合わせに回答することはプライバシー権への侵害であり過失である、と主張した。

 

(江田税理士の主張)

 23条照会には法律上、報告(回答義務)があると考える。税理士法38条は「正当な理由」がある場合は守秘義務は解除されるものであり、正当な理由とは法令に基づく義務を指す。23条照会は弁護士法で定められているからこれへの回答は法令に基づく要請への回答であるので「正当な理由」に当たる。違法ではない。

 

(参考:TAINS Z999-0151)

 

<次回予告>

争いのアウトラインは以上であるが、もう少し背景や流れを追い、微妙な争点を整理してみたい

第38回 納税者・国・税理士 3者間紛争 <納税者 対 税理士>3

2020年3月2日

(争いの発端)

 江田税理士の主宰する税理法人が弁護士の照会要請に応じて提出した確定申告書の決算書の「本年中における特殊事情」欄には「体調不良(腰痛)のため就労することができなかった」との記載があり、弁護士はこの写しを書証として法廷に提出した。

 

 このため、別件訴訟で、地裁は「稼働実態がないとは認められない(要するに稼働実態はある)」(それゆえ給与等を支払うことは妥当との結果になる)と認定し訴えを棄却したものの、その後の、高裁では稼働実態はない、との結果に反転し、高裁は被告に損害賠償金を支払うように命じた。

 

 このように、提出された確定申告書が決定的な証拠となり別件訴訟の結果が左右されることになった。

 

(問題の焦点)

 結局、税理士法人が宇野さんの同意を得ることをしないで照会請求に応じた点が争いの焦点である。

 

(裁判所の判断)

 「確定申告書が開示されることによる宇野さんの不利益」が、「本件照会に応じないことによる不利益」を上回るとしたうえ、江田税理士が確定申告書を開示したことは守秘義務にも違反すると結論付けた。

 加えて江田税理士が確定申告書を宇野さんに返却すべきであるのにそれをしなかった点も税理士には不利に働いた。(返却しておれば、本件照会に応じることはできなかったともいえる)。税理士会綱紀規則では11条3項で、やむを得ない場合を除き返還義務を課している。

 

(参考:TAINS Z999-0151)

 

<次回予告>

 以上で<納税者 対 税理士>の項は終了します。しばらく情報整理のため、お休みをいただきます。最後まで、お読みいただき、ありがとうございました。

第39回 予告編:ブログを再開します。中味をご紹介します。

2020年3月18日

 項目とそこに含まれるヒントによって、どのような内容になるかを、あらかじめ見通せるようにしました。但し、下に書いた順番でブログに出てくるとは限りませんのでご理解のほどお願いします。

 

 形式はまず「問」から始まり、次に鍵になる用語を「ヒント」として括ったあとに「説明」がきます。

「問」を読まれたら皆さんは、答えである「説明」を読まれなくても、すぐにでもご自分で答えを出されると思います。その答えを大事にされながら私の「説明」と比べてください。アホなことを言っているヮ、と仰ることは多いと思います。それで良いのです。ご自分の「答え」を確認されるために少しはお役に立てたのかもしれません。

 あるいは私の「説明」がお役に立つこともあるかもしれません。大事なことはご自分の答と私の説明の「違い」を見付けられることと思います。 

 

前置きはこれくらいにして「問」のモトになる項目とヒントを並べます。

 

*新型コロナウイルスの影響

景気が落ち込んだその先は、好況になっっている事業もある、やがて本当の姿が見えてくる

 

*資産の中味の断捨離

法人は貸借対照表を、個人は資産負債調べを、時価を当てはめると本当の姿が浮かび上がる、借入金退治に何年かかるの、表に出ていない連帯保証に注意

 

*奇抜な節税法は用いないこと

オーソドックスな運営こそ王道、税法の特例には金融機関サービスとも取れる条項もある、耐用年数の実質延長で不動産に投資してもキャッシュフローは悪くなる

 

*歴史は繰り返す、歴史から学ぶ

昭和末期から平成初めのバブル期における資産運用の大失敗を忘れないこと、年寄りの体験を聞くことが一番の勉強、価格は下がるのでヘンな不動産を買わないこと、

 

*会社は(やり方次第で)寿命は尽きないが、、人間は

人生90年時代とは言うものの、生き残った者が地獄を見ないためにすることとは、経営する会社へ貸し込んだ貸付金は返済不能状態でも相続税の課税対象、落とし穴:亡くなったお父さんが他人の連帯保証人を何口もしていた、お葬式に金融機関が来る裏の意味、相続放棄か限定承認か、限定承認と値上がり益課税、事業承継は最低5年かかるもの

 

*<純>資産1億6千万円までは相続対策は不要の意味

「相続対策しましょう」と近づいてくる人物の、真贋の見抜きかた優良な中小企業の株価評価の伏兵「営業権」にご注意、自然体で行くことが結局は正解、

 

*M&Aに振り回されないために

「資産・負債調整勘定」が起こる場合、そうでない場合、DESで生じた債務消滅益への課税は、

 

*国税庁のBIG Dataであなたの課税対象は税務署からはお見通し

海外資産・上場株式・GOLD・外貨預金をはじめAI進化で神社・お寺・保育園・幼稚園、学校等その他社会福祉法人の課税洩れ摘発、相続税の無申告1232件=総額1148億円摘発アルゴリズムは進化する、令和2年「税制改正大綱」で国は第5世代移動通信システム」(5Gシステム)に前倒し取組と言明、

 

*相続税調査したら83%で

申告漏れ発見、そのうち約15%が重加算税対象576億円、国財産の相続税・贈与税隠し重視し摘発

 

*組織内横領の増加懸念

ヤリ手社長:経理軽視のツケが廻って来る、時代は変わり人心も様変わりして「国際水準:ズル、悪いことしてアタリマエ」に、

 

*RPA(Robotic Process Automation:事務用システムロボット)の普及

データ入力や給与計算などオフイスの単純作業はなくなる、工数削減で人海戦術は不要になり少数精鋭に、

 

*ヌルイ時代はもう来ない

ウマくゆかなかった人たちの怨みが吹きあがる時代へ、浮かれた人たちズルする人たちの終わりの始まり

 

*全てを使い切る思想

複雑にするほど「あとの人」が困る、残った人にとってゼイキン問題は有難迷惑、親の心と子の心の見事なすれ違い、「親の心、子は知らず」は不変の真理、問題は子の心を親は読み違い迷惑をかけずに死んでゆくには

 

*オット、デジタル遺品も大迷惑

スマホにヘンな写真が、、ボイスレコードから怪しげな声が、お父さんは国際諜報員なの、ネット銀行があるらしい、でもPWがワカラナイ住所録がPCに、開けないと連絡もできない、SNSアカウントはどうする、××ペイの残高は定額サービスの停止はどうするの

 

<次回予告>

「新型コロナウイルスが流行っていて不安です。どのような点に注意すれば良いでしょうか」この問いに答えます。急がずリズムを大切にゆっくり行きたいと思います。ではよろしくお願いします。

第40回 問:新型コロナウイルスが流行っていますどのような点に注意すれば良いですか?

2020年3月19日

<ヒント>

景気が落ち込むのは明らかです。好況の業種もあるようですが、やがて本当の姿が見えてくるのではないでしょうか。

 

<説明>

悪循環が始まっています。臨時雇用の人は収入が減少しますので支出も控えることになります。このため消費者に商品やサービスを提供する事業では軒並み売り上げ減になります。このためさらに利益が出にくくなり給与等は規模の大小を問わず上がるどころか右肩下がりでしょう。

 

同業の友人税理士からのメールでは例外的に10年前に中国の会社に丸ごと仕事を取られた会社は、中国があの状態のため丸ごと仕事が戻ってきた部品メーカーのほか、殺菌灯や消毒液の製造会社は特需で、増産の準備に入ったと聞きました。

 

ココから読み取れることは特需は一部であるということです。大きな流れは、働く人、特に中小で働く人は不景気が直撃します。一方、事業(会社)サイドは資金に余裕があれば時期を待つこともできると思います。

 

新型コロナが流行る前から資金に余裕がない会社はもう後ろがありません。売上減が事業の生命力を大きく削ぎ、大鉈を振るうことが必要になります。支店や工場の閉鎖、非正規雇用の人のリストラから始まって正規雇用の従業員の希望退職に進むことになると考えます。

 

当然に収入減になります。支えきれない会社は破産するでしょう。インターネットの破産情報では挙げられる会社が増加しているのがわかります。

 

政府は政策金融公庫などから緊急融資をするとのことですが、もともとゾンビであった死に体の会社が緊急融資を受けることができても死に体がよみがえることは困難であると考えます。事業の大ナタは相当の決意で断行しなければできません。経営者が無知か放漫経営、リスク管理もしていない、それができないからゾンビなのです。

 

今日の報道では商品購買券を配布するとか消費減税するとか書かれていますが実際はどうなるか、多分実行されないでしょう。

 

以上は短期的に見た場合です。

 

長期で見れば腰高なこの国の悪い面がどんどん出てくるでしょう。大きな企業の統廃合が加速されることで余剰人員があふれ、どんな仕事でもあれば、との切迫感が暗い影を街に落とすでしょう。

 

一番気の毒なのは40代後半の人達です。リストラが襲い掛かります。住宅ローンを抱えていれば手放すことができれば良い方で、住宅の相場が下がっている場合は手放すこともできない人が集団的に発生します。

 

やがて大学をはじめ諸学校も供給過多は避けられません。学校の先生もリストラされかねません。

 

これらの大波の後ろに衣替えした新時代の始まり、古い体質のまま温存されてきた階級が新しい流れと入れ替わるように思います。その階級の姿はまだ見えません。

 

ポイント3月の売上減少の影響が資金面で現れるのが4月~5月です。ここが最初のヤマです。回収を待ってあげても良い相手と、急がなければならない相手の見極めが重要です。担当者のもたらす情報の真贋を見極めるためにも、任せないで経営責任者が対処したいものです。

 税務上貸倒とすることができて課税されない要件があります。ここを外さないことが今後の税負担を回避するために必要です。

 

<次回予告>

「資産の断捨離はどこから手を付ければいいのでしょうか」に答えます。

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