税務会計 フォアユー パートナーズ Do-ing

新技術がもたらす税務と会計の大変化 AI・RPAの先にあるもの

第57回 複雑⇒単純に、から見えてくるもの

2020年4月14日

ヒント:相続税対策の書物では、借入して不動産を購入し賃貸に出せば相続税は安くなる、孫を養子にすれば相続税が安くなる、絵画を買うと相続税が安くなる、遺言書を書きなさい、さもないと争族になりますよ、同族会社の株価を下げましょう、そのためには、、、

 

説明:これらはほんの一例です。借入して賃貸物件を購入すれば確かに暫くは負債が多いので相続税が安くなりますが、年月が経って借入金が減ってきたら相続税は増えます。その前に、空き家が増え、人口減でのなか賃貸物件に条件の良い借り手が付くのでしょうか。初めの数年は家賃保証をする業者さんもあるでしょう。先々不透明な今どき、このやり方は流行りません。利益を得るのは金融機関とデヴェロッパーです。

 

孫は相続人ではありません。相続税法では3000万円+相続人の数×600万円が基礎控除ですから相続人の数を増やすことができれば控除が増え税額が下がります。そこで孫をお爺さんの養子にするのです。このため孫にとっては親御さんと兄弟の関係になります。

このような提案をする税理士やコンサルタントもいます。ここまでして相続税を減らしたいためにその話に乗る人もあります。

 

孫が大きくなった時、自分の戸籍をみて何を思うでしょうか、、不自然さは否めません。当事務所は長い歴史がありますが一回もこの提案はしませんでした。不自然だからです。依頼された方からそのような相談もありませんでした。

 

絵画を買えば相続税を安くできると書かれた節税本を書店で見ました。要は絵画は不動産と違って隠しやすいという理由です。このたぐいの話は多くなっています。税務調査でびくびくしなければなりません。また絵画は売る時は値下がりします。預金も貨幣価値が下がるため目減りしてゆきますが絵画の下がり方はそれ以上です。利益を得るのは絵画ビジネスをするかたです。

 

遺言書は必要ないとの考えの税理士さんは多いです。まともな家庭では不要との意見です。私も同じです。一人一人が他者を配慮する普通の気持ちがあれば不要です。障がいの有る相続人がおられる場合や複雑な相続関係の場合はともかく、そのような事情がない場合、下手な遺言書があったために、そこに各相続人の気持ちを反映しないままの財産配分がアンバランスに書かれていたため相続人間の感情に亀裂が生じて「争族」になる場合の方が多いです。「遺言書サービス」と銘打った「商品」が出回っています。

 

「商売」のために近寄ってくる人たちの話を真に受けずに、自分の頭で仕組みを概観して、誰が利益を得るのかを知ることが重要です。

 

<次回予告>

あたりまえの道理や普遍的な流れから外れて「下手な手」や「小細工」をしたために却って物事を複雑にしてしまう原因は、あまりにも目の前の損得にこだわるからではないかと思います。「歴史は繰り返す」のですからそこから学ぶ必要があります。

第58回 想定できる範囲を広く

2020年4月15日

ヒント:「想定外」という言葉が阪神大震災以来普通に使われるようになりました。大地震、戦争、恐慌は長い歴史では繰返し起こってきました。この想定外には、身近なできごとで必ず起こる相続も含まれることがあります。相続が繰り返してきて現在に至っています。家系図まで作る必要はありませんが戸籍謄本の古いものを取寄せて読むことで自分の歴史を知ることにもなります。そこには顔も知らない先祖の名前と明治以前の時代が書かれています。文化、文政、嘉永、文久、慶応など。嘉永ならペリーが黒船できた時期です。文久は新選組ができた年、慶応は鳥羽伏見の戦いの年です。それらの時代の先祖の名前をみて、このころはどうしておられたのか、時代の激変のなかでどう生きられたのかを思うことから、相続を当たり前の、自然のこととして、今後の対処の道も見えてくるかもしれません。このことは「想定外」をなくすることに少しは役立つかもしれません。

 

説明:友人の書いたものに「古典と歴史をちゃんと学んでいる人には想定外はない」と。その通りと思いました。先人たちが乗り越えて生きてきた道理がそこにあるからです。

 

「日本とアメリアがむかし戦争したんだって!」「マジかよ、それって」と言っていないで事実を知ることが重要です。そこを知ることから日本とアメリカ、日本と中国の間がどうなっていて、今後どうなるかが少しは読めるでしょう。その上で、景気や財政の行く末を自分でニュースなどメディアの記事も「参考にして」見通すことです。その影響の中に相続もあります。

 

相続の話に戻ります。自分の身の回りにあるお金=小口の資産はあなたが働いて勝ち取ったものです。生活の必要費用を払ってゼロになるのが普通のところ、剰余金として残高が残る点が立派です。それらを何年も何年も積み上げた資産=あなたの「命」です。或いは先代が残してくれた部分もあるでしょう。旧家では昔に遡れば遠い先祖が刀や槍を振るって闘って勝ち取った土地を継承している場合もあります。いずれにしても「働いて(闘って)」「消費し尽くさないで」「借金を作らないで」残ったものです。座して何もしなくて得たものは1円もありません。すべて努力と闘いの賜物です。

 

この流れで相続を見た場合、「あとに残すものは無くて良い」とか、先代から「引き継いだもののみ残し」自分が稼いだ部分は全部使い切る、逆に、もっと増やしたいとかいろいろ考え方があります。ここは人さまざまですがこうして世界の流れの中での自分の考えを整理しますと相続に対する腰が座ります。ここが曖昧な場合は相続や相続税を儲け話として「商売」にする話に振り回されかねません。

 

それと税金の見方も見えてくるかもしれません。喰い合い、潰し合い、騙し合いの世界の中で国があるから「働く」ことができ資産も得られました。国がなくて、流浪の民になってしまったり他国の奴隷であれば、税もないかわり資産もありません。現実に税もないが一般の国民には資産もない国は今も存在します。

 

自分の資産と国の関係も歴史の流れで見えてきます。国税徴収法という滞納処分について定めた税の基幹法があります。ここには国税の「一般的優先の原則」が書かれています。国があるから経済活動ができたので、税金を滞納するハメになって行き詰まり、倒産処理で残余財産を債権者に分配する場合には、その前に国が先に戴くという定めです。国があってこその民間の私債権であることを明確に謳っています。

 

国家が第一、その次の税金の位置づけ、その下でのビジネス活動、そこで勝ち取った自分の資産、自分の命の源流とこれから必ず来る自然の定めとしての相続を「想定外」にしないように、しかも複雑にしないで「問題が問題でなくなる」ように「流れ去る」ものと見れることに意味があります。「法」という文字は二つに分けますと「流れ去る」になります。

 

<次回予告>

実際の税法の規定を例にとって私見を書きます。繰り返しますが、相続についてや税法の定めについての見方は人さまざまであることをご理解ください。考え方が異なる場合には、参考意見として読み流してください。

第59回 財産にはプラスのものと、マイナスのモノがある・・・貸付金債権の場合

2020年4月16日

ヒント:プラスの財産とは資産をいいます。ほとんどの場合、財産=資産としてこの言葉を使用します。逆にマイナスの財産とは負債のことです。資産の中には現預金や固定資産、株式などがありますが、気を付けなければならないものが一つあります。

 

説明:それは自分や親族が経営する会社への貸付金です。銀行からの借入金とは異なり会社の運営上資金の不足が生じた際に利息なしでその都度個人の資金を会社に入れたものの残高です。

 

ケースバイケースですが業績の悪い会社ほど「身内からの借入金」は大きな金額になっています。なぜかと言いますと資金に余裕がある会社はこのような借入はしません。金融機関から借入して利息を払いながらきちんと返済することができます。それほど業績が良くない会社でも時機を見て金融機関から借入してでも「身内からの借入金」を一掃することは望ましいことですから、できる範囲で返済してしまいます。金融機関が貸してくれないなどで、それができないまま経営者の年齢が高くなって会社の体力が落ちた結果、このような借入金が貸借対照表の負債の部に残ることになります。この手の借入金が残っているのは、会社の業績がヨロシクない場合が殆どと言っていいでしょう。

 

問題はこのような状態でお金を貸してくれた身内の人が死んだ場合に、この借入金(借りた会社では借入金ですが、貸した人物からは貸付金です)に相続税が課税されることです。

 

経済的実態からは、借りた会社に体力がなく、返済ができないにもかかわらず、何も手を打たなければ相続税が課税されるのです。仮に貸した残高が1億円であればこの1億円に相続税がかかります。相続税の税率は累進になっています。或る人の相続財産が5000万円超~1億円以下なら税率は30%です。貸したお金は還ってくるあてもないうえ30%の相続税を払うのですから過酷です。

 

どんな場合でも課税されるのかと言いますと、そうではありません。「手形交換所の取引停止処分」、「倒産(要するに破産、民事再生、会社更生、特別清算になった時をいいます)」、「事業の不振や重大な損失のため事業廃止または6ケ月以上休業した場合」には回収不可能な部分は課税対象から除かれます。

 

結局のところ貸付先の会社が事業不振であろうが債務超過であろうが「手形取引停止処分」、「倒産」や「休業」ではなく、営業をしている限り貸付債権額で課税されます。

 

唯一の方法は相手に返済資力がないことを理由に債権放棄の通知を書面で行っておくことです。但しこの場合でも実態が真に債権放棄をすることが道理であると税務署に説明できる証拠を整えることが必要です。

 

<次回予告>

他人の連帯保証をしていた人が亡くなられた場合は、その連帯保証は相続税の課税対象から控除されません。ではどのような場合に相続税の課税から外されるのでしょうか

第60回 マイナスの財産・・・保証債務の場合

2020年4月17日

ヒント:前回は死に体の会社への貸付金で財産価値の実態がないものでも積極的な手続きをしなければ「ある筈の財産がお金にならないまま税金がかかる」話でしたが、今回は「ないはずのものがお金で返済しなければならないことになった」時しか税の対象から除かれない、という話です。

 実態を失った貸付金(借り手の会社からは借入金)も保証債務も会計数字を丁寧に追うことで見えてくるものです。

 コロナ以降、世の中は急変します。これまでは私が口を酸っぱくして言っていた会計数字を生かした経営には無関心で、経理軽視でも金融機関が協力的であったため、やってこれましたが、これからは各企業は積み重なった負債で困難な日々になるでしょう。

 金融機関もしばらくのタイムラグのあと金利は上昇し、国はコロナ補償への財源確保で国債を発行すると考えますが債券金利は上昇すると見ています。事業の継続もできないところが増えます。会社への連帯保証で個人が責任を負わなければならないケースも多くなります。

 

 

説明:例でお話しします。お父さんの友人が事業をしていて銀行から借金をすることになりました。お父さんは友人の連帯保証人になりました。連帯保証人とは友人が銀行へ借入金を約束通り返済できない場合に、友人に代わって銀行へ返済しなければならない立場です。銀行は借主である友人から先に取り立てしなくても、お父さんから先に取り立てできます。

 

この場合、お父さんは一種の立替払い(代位弁済といいいます)をした後、友人に対して「立替えた金額を自分に返せ」と請求することができます(求償権といいます)。

 

求償権を行使して立替えたお金がお父さんに友人から返済されれば何も問題は起きません。しかし世の中では求償しても立替えたお金が還ってこない場合の方が多いと思います。ですから昔から「保証人にはなるな」と言われるのです。

 

不幸にして、友人の事業が傾く前にお父さんが亡くなられた場合は、連帯保証した金額はお父さんの相続税の計算ではないものと扱われます。相続対象からは控除されません。

 

状況を少し先に進めて、お父さんが友人の代わりに立替払いをしなければならないことが確定した直後にお父さんが亡くなられた場合はどうなるでしょうか。この場合も連帯保証をする金額はまだ支出されていないうえ、友人に「返せ」と求償できる余地があるので、お父さんの相続税の計算上控除されません。(この後、連帯保証人の地位を継承した相続人はエライ目に遭います。お父さんの友人の借金を肩代わりしなければなりません。これを免れるためには「相続の開始を知った時から3ケ月以内に」家庭裁判所に申し出なければなりません)

 

では相続税の場合どの段階で保証債務を控除できるのでしょうか。それはお父さんの生前に友人が破綻して銀行の借金を有人に代わって立替払いして、その後友人に求償しても返済を受ける見込みがない状態でお父さんが亡くなられた場合にのみ控除されます。連帯保証を5000万円して、友人が500万円をお父さんに返し、もうこれ以上は返せない、勘弁してくださいという結果になった場合には4500万円がお父さんの相続税の課税財産から控除されます。

 

<次回予告>

 コロナの影響をきっかけに企業を取り巻く情勢がこれからどのように変わってゆくのかを探ってゆきます。AIとIOTの進化は加速する一方、会計には無関心で、相変わらず金融機関の融資が頼りでやってこれた時代が過ぎ去ってゆきます経理軽視の旧態依然の経営者は自ら引くことで自社を延命できるかもしれません。古い葉が落ちないと新芽は出ません。資産を譲渡して銀行借入を一掃し保証債務の特例を使って会社を清算された例などは、自社の会計を理解されていたからこその決断でした。

 世代交代を視野に入れて金融機関は新しい仕組みを発足しています。人の生き死には自然のことですが相続を待たずに経営者の交代を余儀なくされる時代になりそうです。

 勝てば官軍の世の中、受験戦争や就職戦争に勝って高学歴や日の当たる場所にいる人ではなく、失敗を重ねてもめげずに地味な現場で地道に仕事してきた人の中に人材がいる場合があります。M&Aブームで外部のエリートばかり見ないで、ついてきてくれた従業員の中に人材がいるのを見忘れていませんか。初めからコイツはだめと決めつけていませんか、チャンスも与えないで。

 事業承継税制では後継者に「親族しかなれない」大前提は既に撤廃され赤の他人にも経営を継承させられる制度に変わっています。製造現場や販売の第一線で成果を上げた人に、それまで学ぶ機会がなかった会計や経営法制の基本を習得させ経営の任務につけるとOJTの効果で見違えるように会社全体のことが分かるようになります。自社のことを良く知る会計事務所にコーチ役をしてもらいましょう。先進会計事務所にはPC、ファイナンス、会計、税務のノウハウが蓄積されています。

 税理士会では「事業承継サイト・担い手探しナビ」を発足し、税理士同士が関与先企業の承諾を得て後継者探しを推進するプラットフォームがスタートしています。枠におさまらない元気な若い世代にはチャンスが来ているように思います。以上を中心に説明させていただきます。

第61回 受注減少・売上減少・借入金増加・3重苦をどうしのぐか

2020年4月20日

ヒントキャッシュを手許に少しでも多く置くことです。どこからの現金かは今は非常時なので関係なし。目の前に現金がなくては失血死です。持続化給付金、世帯当たり給付金、政策公庫からの借入金、雇用調整助成金、都府県の支援金など相次いで報道されています。少し整理してみましょう。

  世帯当たり30万円の給付金は取りやめ(4月16日現在)で補正予算組み替えて一律10万円になるようです。これまでもクルクル変わってきました。4月末に補正予算が成立するのが前提です。

上記の〇〇金の太字部分の違いに注意しましょう。

 

説明:詳しい要件はさておき、概略を書きます。

1、持続化給付金給付金ですから、何に使っても良いものです。借入金は返済しなければなりません。(支援金は給付金と同じ意味でしょう)

 持続化給付金は前年の売上より50%減少した月が2020年1月から12月の間にあれば法人200万円、個人事業100万円が出ます。

 

要件の売上50%減は今年のどの月でも良いのです。

給付額の算定は下記の算式を用います。「売上を12倍する」のは給付額の枠を算定するためです。

 

【給付額】 =前年の総売上(事業収入) (前年同月比▲50%月の売上×12ヶ月)

 

(例)前年売上げ1億円で「或る月:今年の1月から12月までの間で一番売り上げが悪い月」の売上高が前年同月に比べて50%低い400万円である場合

1億円―(400万円×12)=5200万円です。これが給付額の上限です。5200万円と200万円の低い方が給付額になります。

 

2、政策公庫からの借入金は3000万円までで「実質 無利子」です。実質とは一旦は返済時に利息を公庫へ支払いますが特別利子補給として返されますので「実質無利子」になります。無利子の要件は個人事業者にはありませんが、法人には従業員数に応じて売上減15%か20%の減少でなければなりません。3000万円を超える部分の借入は有利子です。利率は0.21%ですから、無担保でもあるのでこの際更に3000万円借入しておく事業者も多いです。先行き不透明なのでやむをえないですが、返済時に資金が枯渇しないように注意が必要です。この制度は民間金融機関を通じても出せるようになります。なお最長5年間は元本返済不要です

注意点:既往債務の返済資金にこの借入金を充てること(旧債振替)はできません。<別に公庫から「資金繰り支援」として無利子・無担保で既往債務借換資金の提供制度があります。

 

政策金融公庫ではなく商工会議所(商工会)関係ではマル経融資で1.2%が0.9%に利率が下げられます。

 

助成金である雇用調整助成金は休業手当の助成で解雇を防ぐのが目的です。休業手当が支出されるのが大前提で、この財源補助のための「助成金」です。助成金をもらう前に支出が必須です。売上減少3ケ月間で10%以上であったものが(変更され)1ケ月で5%とハードルが下がりました。中小企業は従業員に支払われた休業手当の4/5が出ます。但し一人も解雇がなければ支給休業手当の9/10が出ます。従業員一人当たりの上限が8,330円との規制があります。

 

4、支援金給付金と同じ性質で使用先に限定はありません。大阪府の例ですが個人事業50万円、中小法人100万円が出ますが、府は財政難ということで市町村と折半で拠出とのことす。率直で分かりやすいです。

 

以上を組合せて1、持続化給付金と3、雇用調整助成金、4、支援金をまず得ておき、あとは財政状態によって2、政策公庫の借入金を考えるかたが多いと思います。

 

その他に「助成金」として「テレワークの新規導入中小企業支援助成金」があります。テレワーク用通信機器(Web会議用機器VPN機器、クラウドサービス導入費の助成ですが、PC、タブレットなどの購入費は除かれます)の導入・運用費用に充てるため5月末まで実施されています。50%助成され上限100万円です。

 

<次回予告>

 インターネットを見ていますとロイター通信(4月16日報道)として米国のピッツバーグ大学の研究でコロナワクチンの開発に見通しが立った記事や米国のModerna社が今秋にも医療従事者にワクチンを提供できるらしいです。悲観的にならないで注意を怠らないで次の段階に対処したいものです。

 資金の手当てができ大砲の玉が蓄えられたら、売上回復が最重要です。同時に資金の循環をこの際劇的に改良する工夫も必要です。

第62回 当面のキャッシュの手当の次は財務体質改善の大ナタを

2020年4月21日

ヒント:今ほどこれまでの流れを変えるチャンスはありません。まず資金の流れが潤沢になる手を考えます。手始めに不要なモノを処分しましょう。在庫、固定資産など。もちろん換金できるものはお金に換えましょう。記念品としてずいぶん昔に取引先から戴いたまましまっていた金杯や金製の置物などがゾロゾロ出てきてその金杯の一皿だけを金プラショップで見てもらったら何十万円もすることが分かったハナシもつい最近ありました。これなどは例外で今後もGoldは上がると思いますから相場をにらみながらいつでもお宝を戦線に投入できるように手許に置くべきです。

 しかし殆んどのものはガラクタで場所を取るだけでなく思考と行動の妨げです。不要な口座などサッサと解約したり処分しましょう。

 

説明:世界同時不況が確実になってきました。長い変化の時代の始まりと思います。この機会にこれまでとは違った体質、行き方を見出しましょう。その意味ではチャンスです。

 

1は、マイナスの得意先を切ることです。回収の困難な売掛金も思い切って見切ることでマイナスの得意先との悪縁が切れます。手許に資金がある今こそチャンスです。悪縁はあとあとまでたたります。売掛金の回収がスムースになって自社内に好転反応が出始めます。

 

2には、自動振替で出てゆく支払いを見直しましょう。公共料金も含め、いらない会費や動かない機器のリース料、自動引落しされる税金、購読料など資金が自動的に、漫然と出てゆく総額を把握しましょう。払わないのではなく自動的に出てゆくのをSTOPするのです。期限前ギリギリに銀行で払うことで相当の金額が浮いてきます。これからの冬の時代には手許の資金量の多い少ないが運命の分かれ目です。戦争で大砲の玉がなくなったら攻め込まれてしまいます。攻め込まれて小銃で応戦しても手遅れです。やがて全滅です。守りを固めて準備しつつ攻める機会が来るのを待ちましょう。

 

、必要なら社会保険や税金の支払いについても延期を考えます。延滞金は支払わなければなりませんが社会保険事務所、労基、税務署の徴収部門に相談します。事情によっては延ばせることがあります。直ぐ差押されることはありません。しかしやがては支払わなければならないものであることはしっかりと認識しましょう。

 

4、仕入れ先の支払延期は節目なく実行しないことです。するのは節目を越えてからです。さもないと信用問題になり噂になります。支払い延期のお願いは3のように役所にしても構いません。しかし仕入先にはこれから述べる節目である「選択と集中」に成功しますと購買量が増加しますからその時にはこちらが優位になります。支払い条件の変更のハナシを持ち掛けるチャンスです。量が増加しますからそれと引き換えに〆日、支払日を後ろへずらすことは自然です。

 

 

<次回予告>

 この機会に選択と集中の実行から、商品とサービスの幅を狭め奥行きを深くする核心の手術をしなければ災い転じて福となすことにはなりません。

第63回 当面のキャッシュの手当の次は財務体質改善を・・・2・・・

2020年4月22日

には商品やサービスの徹底的な見直しです。そのための全社内での意見交換がもう一つのチャンスなのです。どのようなチャンスかと言いますと「埋もれていた、目立たなかった意外な人材・人物」が出てくることがあります。平素ではなく非常時ほどこの傾向があります。落ち着いて状況に対応できる地力が現れます。MBOで継承したいなら、この際得られる最大の値打ちです。

 

5は負債の中でも厄介な銀行借入金ですが、よく考えることです。仕入代金もそうですが借入金も共に負債であり相手との力関係を測る必要があります。どうしてもという時には条件変更の申入れができますが、これをしてしまいますと同じ金融機関とはその後の融資は苦労します。リスケジュールは最後の手段です。

 

6、給与に関しては従業員の生活の心配がないようにすることが最低条件です。従業員に生活の心配をさせることは「経営者の恥」です。仕事量の減少や閉店に応じて可動日数を減らして、休業補償をした上、雇用調整助成金の申請で手当てすることができます。

 

流れが変わることが動き始めると次の言葉を銘記します。言い古された言葉ですが私が言う意味は少し違います。

  「売上無くて利益なし、利益なければ、事業なし」

  「1に売上、2に売上、3,4が無くて5に売上」

このことばの上辺を追ってはいけません。ここで追うのは売上げの「量」ではなく「質」です。

 商品やサービスの幅を狭めて内容をシンプルに整理し質を上げるために集中させます。利益を稼ぐ出す率である粗利益率が低すぎることがこれまでの諸悪の根源でした。商品やサービスの品ぞろえが多い中に粗利益を満足に稼ぐことができない商品やサービスを切り捨てることができていないのです。体質的に事なかれ、前例踏襲、和を以て貴しでは水が低い方に流れるばかりです。この結果、薄利多売になっています。

 粗利益を高くとることで給与水準も上がり、いい人材も採用できるのに、いつまでも同じ枠の中にいます。負け組の枠から出られないのです。ここを直すのがキモです。不退転の決意でやらなければなりません。

 

 この結果、自社の強みが出るまでになれば(そこへ行くまでは、脱皮するまでは死ぬほどの苦労があるでしょう)その節目を乗り越えますと、財務体質の改良の成果が見えてきます。

 どういうことかと言いますとキャッシュサイクルが変わってくるのです。売れて入金してから仕入れの代金を払うことが可能になります。また入金してから出荷しますから貸倒も、不良在庫も生じないのです。

 

<次回予告>

もう少しキャッシュサイクルに触れた上、体質の改善の先にあるものが何であるかを見てゆきます。ここができないとやがて来る世代交代のステージで敗者になります。世間から相手にされないことになります。

第64回 当面のキャッシュの手当の次は財務体質改善を・・・3・・・

2020年4月23日

(キャッシュサイクル)

ウリの回収までの日数と、カイの支払いまでの日数の差をキャッシュサイクルと言います。非常に重要です。

 

(過去の例で示します

講演などでここへ話が及んだ時に数字をホワイトボードに書いて説明を始めますと、身を乗り出して聞く人が3割、腰を引いて聞くふりだけする人が7割です。経営者は数字を作る(数字で物語を創る)人なのにこの傾向です、数字が苦手なのでしよう。

 

身を乗り出した3割の人たちは納得され、つぎにこう言われます「ウチの税理士さんはこんなこと何も教えてくれない」と。それならさっさと税理士を替えんカイ!と内心思うのですが、これも実行はできません。頭でわかっているけど(今の状態を)止められん!ということです。この35年変わりません。

 

講演を聞いたその時だけです。税理士を替えようとする前に、どうしてその税理士がキャッシュサイクルについて説明してくれないのか、なぜか、を考えれば凡その見当がつくものです。

・知識として知っているけれど、その時は、貴社には説明する必要がないと税理士が判断したか?

・知らなかったから。税理士が不勉強であったから?

 

(例え話をさせていただきます)

知行合一を旨とする陽明学に詳しい知人が言うには「実行できた分だけ分かっているのだ」と。ピアノが弾けた分だけピアノがわかったということでしょうか泳げた分だけ泳ぐことが分かった、ということになります。

その表現を使いますと、キャッシュサイクルを説明しない税理士に不満があると言いながら替えられないのは結局、それらの経営者にはキャッシュサイクルも会計も、その重要さが分かっていなかったのだ、というところでしょう。

 

それでもやってこれたのです。これまでは。銀行が理解あって「寄り添って」くれたからです。やさしい国なのです。しかしこれからはそれもできなくなるでしょう。

 

ウリの回収日数60日、カイの支払日数40日あたりが日本の中小会社の平均的な姿です。差は+20です。この指標は+はよろしくなく、マイナスが多ければ多いほど良いのです。

 

この差の20の部分は売った代金が入金するまで60日掛ることを示しています。その20日前に仕入代金を支払わなければなりません。資金は手許にありません、銀行から借入れする。この繰り返しで金融機関と持ちつ持たれつの関係が出来上がります。

 

この状態で仮にですが、売上が10倍になればどうなるでしょうか?喜んではいけません。20の資金不足が10倍になるのです。会社が成長するほどに借金体質が深くなり社長の自宅まで抵当に入れさせられ、がんじがらめになってゆきます。

 

(時間がどんどん経って行く)

やがて社長が年老いた時、借金が災いして事業を止めるにやめられない事態になります。そのような会社を継ぐ人はいません。こうして折角世の中に役立ってきた事業体はハゲタカに良いところだけを、足もとを見られて安値で買い取られて消えてゆきます。

 

<次回予告>

では自社の優位な部分に特化して節目を乗り越えられた場合のキャッシュサイクルはどうなるでしょうか。 

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