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しなやかな会社づくりー企業家と経理

第1回 危機の時代には何が大事でしょうか・・・・(危機管理:資金)

2017年6月10日

今時の特徴:お店に客が来なくなっています。来られても長続きしません。事業の利益は右肩下がりです。規制は厳しくなるとともに変わり方が速いです。税法も増税の上、細かい点で改正が速くなっています。そのうえ人手不足で社内不正が横行しています。大会社では粉飾が、社会福祉法人では不正会計が報道されています。

 

まとめますと:合理性のもと機械を分解するように物事を突き詰めるこれまでの流れが壁に突き当たり、これ以上進まないところまできたようです。組織を分解して行き着く最後の単位である個人の責任が問われるため、人々は本当のことを言わなくなります。表面だけのコミュ二ケーションだけで、人間の助け合い、協力し合う面が急速になくなってきているのではないでしょうか。

 

これからも:この傾向は行き着くところまで行くでしょう。そして利益は回復することなく窮乏化が進んでゆくと思います。この流れを突き破って新しいことが始まる気配はありません。反面、物事の全体や勢い、生命力を大切にすることに見方が変わってきます。
 

基準になるもの:このような時には確かなものがあるかないかが大事です。それは資金です。行き詰まりの根源は資金不足です。その兆候を見逃さないことです。現象面が目の前に現れた時は、手遅れになる場合が多いです。そのためには本当のことを知ることと、兆候を察知することです。

 

今月から事業の危機管理を中心に始めたいと思います。一つのテーマでいくつもの項目に行ける手掛かりになるように今回から(危機管理:資金)と複式簿記のようにダブルエントリーにしました。この記号が縦横に張りめぐらされて関心の飛ぶにまかせて参照のために移れるようになります。気楽に読み流してください。なるべく専門用語は使わないで、以下を心がけます。

   ・短答式

   ・簡潔に答えに行ける

   ・たとえ話を入れる

   ・わかりやすいように

第2回 危機管理 兆候は資金に現れる (危機管理:資金)

2017年6月12日

経理では二つのキーワードがあります。

 

 利益(損をする場合もありますので今後は損益とさせていただきます)と資金です。損益は姿が見えないものです。それだけに会計基準があるものの計上額は基準の選択や意図によって幅があります。ドラッカーは操作しやすいという意味のことを述べています。

 

 資金はハッキリしています。あるか、ないかの世界です。非常にワカリヤスイです。私は損益は大企業・役所の性格を持ち、資金は中堅中小企業の顔をしていると思います。大企業は組織が大きく損益の源泉が多岐にわたりその中での判断は組織ありきですからいろいろなバランスを忖度します。場合によってはまともに正面から事実をとらえるのではなく斜めや陰からの視点も入り込みます。それに対して現金は影も斜めもなくあるないしかありません。組織で動く大会社や役所ではなく、その道のプロ、職人の世界が中堅中小企業で、しかも現場仕事ですから反応もストレートです。何事もある・ないしかありません。道具、知識、機械、人材そして資金もです。

 

 その上大会社や役所は資金に直ぐ困ることはありません。調達しやすいのです。中小は毎月毎日が勝負です。しかし共通するのは資金不足が徐々に進行しているのに、それを正面から見なかったり、知識不足ゆえに気づかない場合が多いのです。

 

 今月、来月、再来月の収支予測をされますと,そのことすぐ見えてきます。その時に損益計算書を見たら利益が出ているので気を緩めてはいけません。損益が順調でも資金がアブナイ場合が多いのです。

 それはウリの回収速度カイの支払速度、前渡金が多い、資産の購入の支払そして借入金の返済などで,利益が出ていても資金は流れ出てゆきます。このような複合的な原因が「兆候」のもとなのです

第3回 危機管理 大きな流れのなかでの自分(自社)の立ち位置   (危機管理:資金)

2017年6月13日

自社(自分)の資金から兆候を読取るとともに大事なことは今の経済の流れの中での立ち位置を知ることでしょう。

 

 資金の源泉は利益です。利益は確かに測定しにくいしろものですが、測定しにくいといいましても会計基準の採用の差ですから小さい差です。大きく見ますと損失続きでは資金は回りません。

 

 逆に言いますと、兆候を知るとは、損失が出る理由をしっかり掴むことになります。私は利益が出ない理由は以下が原因と考えます。

 ・働く人が少なくなってきている→付加価値の一部分である労働力から引き出される剰余価値が取れなくなっている

 ・人が採用できないから自動化、機械化、外注化に拍車がかかり商品の原価は上がるが競争が激しいので価格は上がらない

 ・利益が出ないから、働く人の給料は上がらない。

 ・給料が上がらないから結婚できない、できても少子化になり益々、働く人は減ってゆくさらに剰余価値は取れない

 ・供給過多で販売価格は更に抑えられる

 ・仕入れたものを高い値段で売ることができないため付加価値は多くは望めない

 ・長時間労働では剰余価値は生まれるがブラック企業になってしまう

  から限界がある。外注化でかろうじて利益が出るが2次下請け以下はマイナスに陥りやすい

このようにマイナスの連鎖の中いるのです。

 

 これは大会社(組織で動く会社)の場合にあてはまる「傾向」です。中堅・中小は職人、プロフェッシヨンの集まりですから、上記の傾向は必ずしも当てはまりません。

 

 独自のものをもつ会社や個人は,サイズが小さいこともあり、このような流れの中でも潤沢な資金を得ることは、やり方次第で道が開けます。

第4回 危機管理  集中こそが戦略の基本  (危機管理:孫子)

2017年6月14日

 専分衆寡 これは孫子の虚実篇(第6)に書かれている言葉です。「我は専(あつ)まりて一となり、敵は分かれて十となれば、これ十をもって其の一を攻むるなり。すなわち我は衆多く敵は寡なり、よく衆をもって寡を撃てば我の相手は弱小である。」

 現代文にしますと「われは一団となってなって動き、敵は10か所に分散するので、われは10分の一の敵を攻めることになる。つまりこちらは大勢で敵は小勢である。大勢で小勢の敵を攻められるなら、相手はいつも弱小だ」(武岡淳彦 新釈 孫子 PHP 209頁)

 

 紀元前500年ころに書かれた古典の中の古典である孫子の、この部分を2500年後の現代にあてはめますと、手を広げ過ぎると勝てる競争にも負けてしまうことを意味します。いまはマスメディアが発達していますから色々目移りします。しなくても良いことをしがちです。そのうえ銀行から融資を受けても低金利ですから、企業も個人も、あれやこれやをすることになり、結局、集中した相手と市場で競争する場合には衆寡敵せずで、弱くなってしまいます。情報社会でしかも金融に恵まれているいことがあだになって「集中」できなくなっています。この弊害が顕著に出て資金不足になります。

 

 

 そのうえ現在ではコンサルタント会社に経営方針・経営目標を外注する大会社社長が後を絶たず、魂の入った経営方針でない他人が作った方針を組織に命令されますから現場はその方針では「放心」状態に陥り、結局うまくゆかないといわれています。人も設備にも恵まれているのにです。これも大企業の官僚化と考えられます。

 

 片や中堅・中小企業は、資金も不足がちで、しかも借入の保証もしなくてはなりませんから命がけです。同じ方針・目標を立てるにしても自分が現場を知っているゆえにブレは少ないのです。但し側近や顧問に人を得なければ勉強不足の社長ほど他人に振り回されます。

 

 孫子の同じ虚実篇の初めに「ゆえによく戦うものは、人を致して人に致されず(敵を思いのままにして、敵に思い通りさせられることはない)」とあります。この場合、敵(テキ)とは自分以外を差します。自分と真正面から対しなければ答えはなかなか出てきません。真偽が分からない情報の渦に巻き込まれてゆきます。しかも忙しい中をあれやこれやのセミナーや会合に時間を分散し、じっくり自分の考えを整理する時間も持てない場合、さらに人に致されることになります。

 

 資金に問題がある場合はこのパターンが多いのです。

また衆寡を、孫子は人数の多寡としていますが、ここでは資金の多寡の意味にも使うことができます。

第5回 危機管理  外注経営が問題   (危機管理:人・従業員)

2017年6月15日

 資金が欠乏するのは利益が出にくい(ペーパー上の利益ではなく資金に繋がる利益)からだと書きましたが、日本の会社のタテの流れから来る構造も影響しています。

 それは外注する企業文化です。タテの仕組みができていますから、はなれることはその会社の死を意味します。ついてゆくしかないのが実際でしょう。そこに既得権が生じ、引き継ぎが行われます。新しいものを社内で立ち上げようにも身動きが取れません。このような仕組みがガラパゴス化して残ってゆきます。巨大企業から役所まで外部戦力依存です。

 新しいことをしようとしても社内で反対意見があるばあい、外注に逃げることで波風は立ちません。結局、前例に従って運ばれてゆきます。新しいノウハウも蓄積できません。

 このような流れがあれもこれもと外注に依存しながら手を出してしまうことになります。結局規模だけ膨張し、筋肉質の体質ではなくなります。そして粉飾と内部不正です。資金が上から下へ流れれてゆくだけでタメができません。積水を千仞の谷から切って落とす集中効果(孫子 形篇第4)*を望むことはできません。

      

 * <名将が、自軍の主力を決勝点において、あたかも満々たるダムの水を深い谷に切って落とすような威力をもって戦わす:武 

   岡 前掲書176頁>

 

 外注先も賢いですから相手の足もとを見て、価格の後ろに自社に有利な条件をひぞやかに埋め込んできます。このようにしてコスト高になり資金は流出してゆきます。

 中堅・中小企業はこれをしてはなりません。プロと職人が質の高い仕事ができる強みを生かしたうえ,キャッシュフローで常に資金が先に入ってくる仕組みができれば資金の危機は少なくなります。

 固定費アップで行き詰まる他社を尻目に、資金力の「タメ」をバネにして、攻撃は最大の防御で仕掛けをしてゆきましょう。他社は、マスメディアなどに振り回されてあれもこれもと力を分散してゆきますからチャンスが来ているのです。 

第6回 息抜きしましょう        (番外:大阪弁)

2017年6月16日

訪問者(アニマルさん):こんにちわ、お久しぶりです。

  <*なぜこの人がアニマルかといいますと、この人はマニュアル人間で、なんでもマニュアルでは、マニュアルの表現では

  が口癖で、しかもマニュアルをアニマルと言ってしまったために、木村からアニマル出羽守とあだ名されました>

 

キ(木村):ほんま、久しぶりやなー、よう来たのう、生きとったん?

ア:ハイ、おかげさまで元気です。最近はどうですか?

キ:あんたな、人にどうですかと聞くんやったらその前に自分のことを喋べらんかい、それが筋道やろ!

ア:すんません、それもそうですね。どこもいい話ありませんワ。先生とこはどうですか。

キ:センセーはやめてや、センセーといわれる馬鹿でなし、と昔ワタシの師匠が口癖みたいにゆうたはったわ。センセーは議員、学校の先生の意味になる。私らとは違う世界やからな、木村でええよ。

 

ア:キムラ節 聞かせてください。

キ:オット 私は、人さんのお話をよう聞いてから、その話の表、裏、裏のオモテが或る程度分かってからしかモノ言わんようにしてる。もっと喋れや、アカンかったらそこで逆立ちしててもいいよ。

 

ア:昔は帰れ、シッ、シッといわれましたね。

キ:あんたが値打ちのない話ばかりするからや。

ア:まあそうおっしゃらずにどうですか、最近?

キ:この頃、いろんな頼まれごとでお客さんが来はる、決算書持って、人さんの紹介でな。うちは一見さんお断わりやさかい。

 

<こうして客のペースに引き込まれてゆく。いつものパターン>

 

キ:お客さんの雰囲気と人相で、決算書見んでも、その人のしてはる会社の貸借対照表はイメージできるねん。さかな―(魚)いうのは最近見んね。

ア:何ですか、その「魚―」は。

キ:魚は音読みでギョいうやろ、そやから「さかな―」イコール「ギヨッ」とするほど優秀なという意味や。

How is your business?(儲かりまっか?)と聞いたら昔はNot so good!(ボチボチでんな)やったけど今は、グリコや。

 

<時々、急に英語になる。それもクセのある巻き舌の、、本人はスペイン語なまりいうけれど、ようわからん>

 

ア:グリコとは何のことですか?

キ:バンザイということや。ところで悪いけど急なお客さんが来るので直ぐ帰ってんか、きょうはせっかく来てくれたのに水も出さんかったな、悪かったな、今度はコブ茶でも出すワ。

ア:向こうにデロンギのコーヒメーカー見えますがな、こんどはあれで作ったコオヒイ飲みたいですね。

キ:アホ、コーヒーはうちの顧問先だけや、出すのは。お客さんと顧問先は違うのやで。わかってるか。あんたにはこんど酢のハイボールだしてコオヒイちごてヒイヒイいわしたるワ。

 

ア:(沈黙)  急にきてすみませんでした。また来ます。なんでグリコになるのか、グリコにならないにはどうしたらいいのか教えてください。それと今度はコーヒーね。

キ:アホ、はよ帰れ! 気イつけてな。この辺は自転車がコワいからな。

第7回 危機管理   収支の見通しを立ててみましょう       (危機管理:資金)

2017年6月17日

<先を見通すことは簡単ではありません>

 先は見えにくいものです。だから不安もあるでしょう。何から何まで不確定要素を取り入れてしまいがちです。その結果、枝葉のことに気を取られて、大事な点を見落とすことになりかねません。

 大事なこととは次のようなことです。

  ・繰り返し日常的に起こること

  ・時間が経てばそのようになるもの、例えば3年経てば年齢が加わり、定年の人は退職になります。機械装置は耐用年数が経過

   して劣化も始まるでしょう。借入金の残高は3年経てば確実に減ります。

 

 その逆に、大事ではないけれども視野に入れておくものは、以下のことです。

  ・重要な得意先の倒産

  ・他人の連帯保証をしていて代わりに支払わなければならない(代位弁済といいます)ことになった。

  ・損害賠償が発生した。

  ・社長や幹部その他キーマンの事故など

 

<何に重点を置いて収支予測を立てればいいのでしょうか>

 上記の日常的なことの中に問題の鍵がありますからそこから考えます。

 

チェックしていただくことは次の点です。

1、これまで資金が、月末には余るのか、不足するのか、どうでしたか。

2、その原因を考えます。特に売りの締め日と支払日の日数を数えましょう。

  支払の締め日と支払い日が何日経ってからなのか数えましょう。

  給与と借入金の額を確かめます。給与には法定福利費になっている間接人件費も足しておきましょう。

  借入金の支払には利息も加えましょう。

3、ご自分の行動パターンと時間の使い方を今一度チェックしましょう。あれやこれやに顔をお出しになっていませんか。

4、社内でできるのに、これまでの習慣で外注化しているものはありませんか。

 

これらを書き出されますと、いろいろ見えてきます。

第8回 危機管理 不安のなかで実行すること    (危機管理:資金)

2017年6月19日

 現代は情報が多く、その情報の中味はモノを売らんがために人の不安や心配につけ込むようなモノが多いです。

これらに振り回されてはいけません。孫子で言えば「人に致される」ことになります。これこそ敗者への道です。それも繰り返し押し寄せてきますから、刷り込まれることになります。

 

 情報のなかで圧倒的に多いのは、広告と新聞・雑誌の記事です。事実も根拠も薄弱な中で「不安と心配」をこれでもかと、煽ります。病気・健康、貧乏・富裕層、天災・安全、これらのセットの前の2文字で不安を煽り、後ろの2文字でそこからの脱却をほのめかします。コウナレバイイヨねえ-と。これらは自己の心が不安を取り込むから乗せられるのです。問題なんかないのに、それを心に問題として取り込もから捉われてしまいます。 

 

 タレント、スポーツ選手、お笑い有名人、学者や専門家がお金をもらって煽動に加わります。日本人は有名人や権威に弱いですから乗せられてゆきます。自分の中に確信がないから、いつもきょろきょろ他人の目を気にしながら周りを見ています。やはり不安なのです。

 

 甘い言葉で人を釣る広告は大会社では可能ですが中堅・中小企業はそうはゆきません。同じことはしてはならないのです。現地、現場、現物に裏付けられた実際の値打ちでしか勝負できないのですから。

 

 中堅・中小企業はどのようにして前へ進めばいいのでしょうか。頼りになる資金を引き寄せる考えかたのポイントは何でしょうか。

当たり前のようにわれわれの頭に刷り込まれている考え方の逆から始めることです。

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