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しなやかな会社づくりー企業家と経理

第153回 危機は向こうからやってくる         売上と時給④

2018年1月12日

 勝海舟の氷川清話にもありますが。学者は実務にうとし、とハッキリ言われています。決算書の損益計算書は、学者の先生がたが外国から導入、翻訳されたものが原型です。

 

 掲記の順序は下の通りで、カッコ部分は差引された数字です。

       売上高

       売上原価(仕入のうち売れていったもの。残りは在庫です)

     (売上総利益)

       販売費一般管理費

      (営業利益)

       雑収入や受取利息

       支払利息

      (経常利益)

       特別損益

       法人税等

      (当期利益)

 

 実際は、仕入→売上が一番大事です。売上を得るのに苦労します。これがなければ、何も始まりません。しかし日常は「売上高」は意識しません。結果として〆て集計して初めてこの数字を見ます。

 

 したがってまず仕入に目が行くので良いのです。損益計算書で、その下に期末棚卸高という科目があります。これが売れ残り部分を示します。売上原価とは仕入れた全体から売れ残りの部分を差引いたものです。ですから売れていったものの金額です。

 

 次に、目線を上に上げて売上高を見ましょう。一定期間の売上の結果が示されています。この売上高と売れていった売上原価の関係をよく見ましょう。まさかマイナスではないですね。マイナスなら貴社は損をして売っていることになります。事業としてあり得ません。しかしマイナスの場合もあるかもしれませんから売れ残りの在庫と比べてみましょう。在庫の計算を誤って少なく計算しますと売上原価が過大になり、マイナスの粗損失になります。こんな時には、在庫が本当なのか、計算違いなのか確認しなければなりません。ここで利益を取れてないなら一大事です。

 

 実際にも、その後に給与などの支払があり、年末に税金の支払いがありますが、粗利益が出ていないなら給与をはじめ諸経費を支払う体力がない、ことを示しています。

 

 粗利益を在庫との関係で正しく把握することはとても重要です。しかも「売上原価」は売れていったものですから、売上と違って後を追って計測することは出来ません。

 唯一計測できるのは在庫として残った金額を仕入れ総額から差し引くことでしか計算できないのです。粗利益の実態を知るには在庫の把握が大事です。ですから期末の(月末も)在庫調べは重要です。これをしないと損益計算書は意味をなさなくなります。

 

 売上と自分の時給を較べて文句を言ってきた学生さんの視野には、在庫も売上原価も入っていません。だからあの理屈が出るのです。しかし社長はここがお分かりになれます。

第154回 危機は向こうからやってくる         売上と時給⑤

2018年1月15日

 損益計算書は学者の先生が海外から取り入れられて現在の形になりましたが、その形式に振り回されないようにしなければなりません。

 日常の実務に当たっておられる人の方が「生きた損益計算書」を体得されておられます。特に売上、仕入などは日常の反復ですから、カラダに入っています。売り、買いの駆け引きやご苦労は、学者の先生のご体験にはないものです。しかし、売上総利益から下の欄は毎日毎日意識されてないかもしれません。

 

 学生さんに突っ込まれて、少し混乱されたかと思いますが、学生さんの視野には、損益計算書のフレームのなかの売上原価、販売費管理費、支払利息は入っていません。このことに気づかれますと、学生さんは学生ゆえの考え違いをしていることに気づかれると思います。

 

 更に付け加えますと、借入金があるばあいの借入返済額は損益計算書には記載がありません。ここも学生さんには見えない部分と思います。社長であるあなたには切実なことですが、、

 

 なぜ損益計算書にないかと申しますと、借りた金額を返済することは、売上金を積立預金にすることと同じことなのです。売上で手にされたお金を預金にするか借入を返すかは、表と裏の関係です。共通しているのは「損益の計算」には関係しません。

 

 それらは資産や負債の動きを示す貸借対照表の世界です。資産や負債の量をお風呂の湯の量に例えますと、損益計算書は湯の出入り口につけられたメーター計の位置にあります。売上てお風呂に入った資金を、預金にするか、借入返済に回すかは風呂の湯の扱いのことになります。

 

 損益計算書が利益であれば風呂の湯は増えます。損失であれば風呂の湯が減ってゆき、やがて風邪をひくことになるのに似ています。

 

 この部分は、一定の資金を、借入の返済と、前へ向かっての投資へ割く資金の量を決める時など、経営の一番の要点です。いずれ他の事例でご説明させていただきます。これ以上この点に触れますと題目と違う方向に行きますので。ここまでにします。

 

 これまでの説明で、売上金と時給を較べてクレームをつけてきたことへの対処はできるのではないでしょうか。

教訓としては、常に全体を見ることです。全体を見ないでモノをいう人が多いですから、落ち着いて相手の言うことを理解すれば「部分しか見ていないナ」と分かります。対処法も見えてきます。答えはあなたのカラダが出してくれるのです。自分を信じましょう。

第155回 危機は向こうからやってくる         売上から仕入を差引いたら 1

2018年1月16日

事例:2

 

 先日1ケ月の集計が出きました。売上高から仕入高を差引いたらマイナスになりました。

経理を担当している家内はエライコトや、、赤字ならウチは倒産するのやろうか、と浮足立っています。夫婦仲も悪くなりそうです。

どうしたらいいでしょうか。

 

ヒント:

・仕入れたものから売れ残った部分は「在庫」でしたね。この金額をしっかり確かめましょう。金額とは数量×単価です。

どんなものが、どれだけの数量が残ったのでしょうか。残ったものは明日からすぐ売れてゆきます。今すぐ数量を確認しましょう。単価は仕入れた金額を後から記入したらよろしいです。

 

・そして奥さんに売上と仕入れの差がマイナスであることと、決算の結果が赤字であることは別のことであることを説明しましょう。あなたでしたらこれまでの復習で奥さんに十分に説明できます。

 

また最終決算の結果が赤字でも倒産しません。ここを説明するには、損益と資金の関係が理解される必要がありますから、これからですね。

 

では次回にご説明しましょう。

第156回 危機は向こうからやってくる         売上から仕入を差引いたら 2

2018年1月17日

 売上から仕入れを差引いたらマイナスになることはよくあります。たとえば薬店で初夏のころには蚊取り線香を何か月分も仕入れます。1ケ月の売上が100としますと300位仕入れます。シーズンですからこのようなことは普通です。

 

 この場合にマイナス200であるからといって業績不振と思って、困ることはありません。300仕入れても売れていったものが100ならば月末には在庫が200残りますね。この場合の売上原価はいくらでしょうか。復習です。

 

 売上原価は300-200=100です。そして200の部分は資産になります。流動資産の部に棚卸資産という項目がありますが、ここに属します。このようにして「棚卸資産」の部にはいろいろな商品が集められます。なかには何年もそのまま繰越されて、賞味期限どころか使用期限が過ぎたものも含まれる場合もあります。

 

 在庫は宝石類などは別として時間の経過とともに劣化してゆきますから、早く回転させるのが良いのです。古いものは「資産」に値しません。

 

 売上原価が正確に把握できましたら、粗利益率にも注目しましょう。この率は概ね業種によって標準的な数値が統計的に出ています。

例えば、卸売り業:10%前後

    小売業:30%くらい

    製造業:おおむね50%前後

    飲食業:70~80%くらい

以上ですが、これは統計のようなものです。標準という言葉に捕らわれてはいけません。標準という、これらの枠を超えて粗利益率95%を得ている製造業や飲食業の会社はざらにあります。サービス業はユニークな事業内容のところほど高いです。

 

競争が激しくなっていきました。安売りは滅びへの道です。価値を高め、粗利益率にこだわりましょう。

第157回 危機は向こうからやってくる        在庫の累増が命取りに

2018年1月18日

事例3

 

 引き続いてお聞きします。売れ残ったものは「在庫」になり、貸借対照表の流動資産の部にあげられることは分かりました。

その数量を数えたうえ、仕入単価を乗じたら結構な金額になりました。この金額は月毎に増えてゆきます。

 

 レストランを経営する友人は、売れ残ったものである。在庫には価値はない、と言い切ります。そうしますと我が社の在庫も「無価値」であるなら結局は赤字ではないのでしょうか。

 

 

ヒント:

・レストランの残り物には価値は殆どないでしょう。しかしそのレストランが仕入れられた調味料や酒類などのほか、長持ちする食材までもが無価値でしようか。このことからお分かりのように、在庫にはすぐ転売できるモノ、時間が経てば値引きして売れるもの、ほとんど価値がないものに分類できます。

・不動産会社の在庫である販売用土地などは、値上がりする性格もあります。

将来の収益を生んでくれる在庫なのか、価値が減少する一方のモノなのか、ここがポイントです。

・鮮度という感覚でゆけば、早く回転させるに越したことはありません。段々数量が増えることは価値のないものを抱えてしまい、しかも「資産」と錯覚しかねません。

第158回 危機は向こうからやってくる         累増する在庫は何をもたらすか②

2018年1月19日

1、在庫を正しく捉えることが損益計算のポイントです。

 

 在庫を正しく捉えないとどれくらい粗利益が出ているかがハッキリしません。世間の多くの中小企業の社長は、ハッキリしないまま給与を増額したり、賞与を払ったりしています。これでは夜道を行くようなもので、粗利益から販売費などを引いたら結果は損失(赤字)になってしまった話はよくあります。

 

2、名目利益が計上されてしまいます。

 

 累増する在庫をそのまま積み上げてゆきますと、必ず劣化した在庫も増えてきます。劣化した在庫は減算しなければなりません。そのまま決算をしますと「名目利益」が出てしまいます。名目利益とは資金化できない利益です。名目利益でも課税されます。名目利益から配当を支払う経営者もいます。

 

このようにして資金は税金や配当金として社外に出てゆき、その会社の体力は落ちてゆくばかりです。

 

3、在庫の評価損、処分損を積極的に計上しましょう。

 

 名目利益を排除するためには、在庫の正しい評価が必要です。小売りや卸の場合は「販売可能額」という物差しを当てはめます。しかし製造業の製品在庫の評価はむつかしいです。中味には材料費、工場の人件費、工場の諸経費も積算されます。いわゆる原価計算をしたうえで在庫の金額が決まります。ビルを建てている建設業の場合は、進行に応じて「未成工事支出金」が計上されます。中味は製造の場合と似ています。

 

 このように原価を積算して評価をします。製造業や建設業に比べて小売業の在庫計算は分かり易いですからしっかりした計算をしてみましょう。

 

4、税務署も在庫には注目します。

 

 在庫次第で利益が変わるのですから、税務調査では重要な争点になります。数量×単価でしたが、このうち単価を低くつけたから修正(追徴)する場合と、数量が実際より少ない場合とでは扱いは異なります。単価が原因の場合は過少申告加算税で済みますが、数量減の場合は、通常は重加算税というお叱りを受けることになります。

第159回 危機は向こうからやってくる         事例の前提にある認識

2018年1月22日

 これまで事例を三つほど挙げて回答を書きましたが、基本の認識は、次に箇条書きをしました。在庫を中心に粗利益や名目利益などで説明させていただきました。流れが速い時代ですから、在庫管理に後れを取ることが足を引っ張ると認識するので、在庫を重点的に書いています。

 

しかし全体へ広がる考え方や認識を、この辺で明らかにしておくことは重要と思いますので簡記します。

 

1、すべてにおいて「過大」な会社が窮地に陥る。

2、供給過多のため過大になりやすい。在庫、負債など貸借対照表のすべての項目を見直すこと。

3、新商品の開発サイクルが早くなり、現状の資産の劣化が進む。処分、修理、買換が速くなる。

4.人件費、採用費、法定福利費をはじめ固定費が上がり、当然に損益分岐点は上昇する。

5、反面、採用は困難になるだけではなく、人材の質の劣化現象が出てくる。

6、税金の増税路線は変わらない。気がついたらこんなに税金を払うのか、と慨嘆する前に対策が大事。

7、設備の改良や投資で租税特別措置が使える。

8、エネルギーコスト(電力量など)が更に上昇してゆく。

、金利は上昇基調に入るかもしれないので、借入金の一定額以内を守らないと破綻の恐れが生じる。

10、価値観が異なる世代が多くなり社内不正に備えが必要。

11、消費税の軽減税率により事務の煩雑化が負担になる。

 

非常に困難なことばなりですが強気で乗り切りましょう。

第160回 危機は向こうからやってくる     兆候、から生じる現象、対応するタイミング

2018年1月23日

 経営者が一番気づかない兆候は在庫の動きです。異常に増えている、異常に意減少している、保有している商品が遅れたものバカリになっている、などです。

 

 次が、売掛金の回転速度が遅くなっていることに気づきません。必ず回転を遅らせる原因得意先があるのです。担当者任せにしないで原因究明に乗り出さなければなりません。

 

 固定資産の中味は、能力的に時代遅れのものが主流になっていませんか、逆にまだ修理を加えたら十分使えるのに、メーカーの営業トークに乗って買換えを早くしていませんか。

 

 銀行は資金余りと貸出先の減少で困っておられます。安易に物件を購入して手放すタイミングを逸しますと、マイナスの遺産にあります。やがて金利がじりじり上がってきたときには自縄自縛になってしまって動きが取れません。

 

 貸借対照表の投資等の部の生命保険掛金に不要な契約がありませんか、終身保険は問題です。定期保険でも返戻率がピークを過ぎてしまって「掛け損」状態で、大切な資金を流出させていませんか。

 

 租税特別措置法で税金が少なくなる施策が設けられています。特別措置法ですから期限が決められています。タイミングを外すと大きな損失になります。情報系の投資にはソフトウエアも含めて租税特別措置法が適用できるものがあります。

 

以上が兆候です。放置すると資金の循環が遅くなり「資金不足」が目の前の現象になってきます。

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