税務会計 フォアユー パートナーズ Do-ing

しなやかな会社づくりー企業家と経理

第41回 危機管理   決算が終わったら問題点を洗い出しましょう②      (危機管理:会計)

2017年7月27日

 何事も一区切りついたらその結果を徹底的に視点を変えて見直すことが必要です。

国家間の戦争がそうです。なぜ国民の生命、財産を失なう悲惨な戦争に至ったのか、戦争をしなければならない理由は何であったか、だれが内側から門を開けたのか、だれが敵と内通していたのかから始まって、真実に近い事実を押さえる必要があります。しかしこの総括もできているとは言えないのではないでしょうか。

 

 目を転じてスポーツや選挙戦も同じことです。学生の試験も結果について深い分析をすることが次に役立ちます。今度は負けないぞとの決意は原因を正確に把握すればするほど不退転の決心に繋がります。

 

 ここで大事なことは、細かい分析をするあまり、大きい視野から離れて行って細かいことに意識が行くことに注意しなければなりません。特に扱われている商品や製品、顧客が大事なため、自然と守りの姿勢になりがちです。

 

 経営者はALL Resetしてゼロに戻ってから、再び立ち上げる思考を繰り返さなければなりません。そこで必要なのはヒト、モノ、カネです。目標に対して「余力がどれくらいあるか」が分からないと次にはゆけないのです。その意味でも貧乏な会社であるならば、そこから脱出しないとなにもできないのです。同じことの繰り返しをしないようにしましょう。

 

 決算検討会には顧問団のほか、心を許せる経営者仲間に入っていただくのが良いのです。そのために一株でも良いですから貴社の発行株式を持ってもらって、株主総会の場が有益な場になるように試みられるのも良いでしょう。見返りにあなたも友人の会社の一株を持たれるのも良いかもしれません

第42回 危機管理  決算が終わったら問題点を洗い出しましょう③    (危機管理:会計)

2017年7月28日

 自社の何が問題であり、足らないかを知るようになることは、未来に起こることに備えることができるようになります。ことが起こった場合、対応の方法が全社で周知されていますと連携プレーが取りやすくなり損害を回避または最小化できます。

 

そこへ行く前に自社の決算を見直しされて、まずしなければならないことは

 

1、マイナスを直すことです。マイナスの商品、製品があるはずです。これを突き止める必要があります。

この物差しは、製造個数、販売個数、商品別の回転率、粗利益率、両者をクロスさせた交叉比率が役立ちますが、なかなか商品別のデータは出てきません。一度、コンピュータシステムを見直す必要があります。

 

2、マイナスの得意先、仕入れ先を突き止めて是正ないし切離すことが必要でしょう。一旦は規模が小さくなりそうですが、スリム化してジャンプできるきっかけになります。

 

3、貸借対照表の資産の部を見直され処分したほうがいいものは処分しましょう。細かい話になりますが機械や器具にも固定資産税(償却資産税)がかかり、不要な自動車には自動車税(これも固定資産税の一種です)がかかってきます。利益を喰うのです。

 

4、負債の部も見直しましょう。特に借入金です。金利が安いとはいえ見直さなければロスの素です。その借入が資産の部のどこに繋がっているのかをチェックします。そうしますと借入金の意味が見えてきます。

 

 以上が整理できましたら、整理したことを実行された場合の資金と損益がどうなるかを会計事務所の協力で確認します。

そして月次の目標数字に落とし込みます。達成したら、具体的にいくらの余裕ができて前に行く惰力がつくのが見えてきます。

第43回 危機管理  社長は自社の弱点を即座に挙げることができますか   (危機管理:中小企業経営)

2017年7月29日

 経営には、攻めの姿勢が大事であるのは一貫した考え方です。しかし攻めの姿勢といいましても、どこをどのようにして行くかは実際は弱点を知り、そこを少しずつ改めながら進むことしか道はありません。

 

 その際に、弱点を頭で分かっていることと体の奥までしみ込んでいるのとは違います。後者でないと行動には結び付きません。しかも細部にわたって把握していないと行動することはできません。

 

 この問いをさせていただいた時に、しっかりとした答えを出せる社長は意外に少ないのです。体に弱点がしみ込むまでには「繰り返し」の思考が必要です。外部の人の考え方を自社に投影して、その時は、分かったような気持ちになる場合もあるでしょう。しかしそれは本当のことでしょうか。全く違う考え方をお聞きになられたら、すぐ言われることが違ってきませんか。そのような場合は、ぶれているのです。

 

 自社の弱点を知るための、ぶれない良い方法があります。イメージの中で一旦会社をバラバラにして、創業の時まで戻ります。そのうえで、この時はこうしたらよかったのではないか、と自問自答しながら問題点とその対応を再考されることをお勧めします。

 

 自社の弱点の裏側には強みに転化する要素が潜んでいます。これらをしっかりと認識され、その次に従業員と共有できなければなりません。社長一人で改めることはできません。社長が従業員さんに説得力をもってお話しされませんと、従業員さんは社長の中の考えのブレにスグ気づきます。これでは前へ進むことはできません。

第44回 危機管理     社長が作るわが社の処方箋            (危機管理:中小企業経営)

2017年7月31日

 自社の問題点を洗い出し、弱点が見えてきたら、そこからあらたなスタートが始まります。社長の手で会社を良くして行くスタートです。この心構えを持たない社長さんが意外に多いのです。そのようなかたほどコンサルタントに頼りがちです。高い報酬を払っておられます。

 

 しかも問題点の洗い出しをされないまま、社外の人に依頼されますから、手順は多くなり費用も半端ではありません。中小企業こそ社長が会社を良くする名医のはずです。他の誰が代われるのでしょうか。自社の細部まで詳細に把握されておられることが前提ですが、この認識が危ういのです。

 

 数字が苦手な社長はおられます。しかしその部分は会計事務所がサポートしてくれます。それぞれの部署ごとに詳しい知識と経験をもった人たちが支援してくれますが、これらを統合して改良のパワーにすることは社長でなくてはできません

 

 この中に危機管理の考え方を取り入れて処方箋を考えます。危機の種類にはいろいろありますが致命的な危機が顕在化した場合の想定が必要です。各社によって致命的な危機は異なります。事業の中身が異なることもあるでしょう。それ以上に人間によって「危機」のとらえ方が違うのです。外部の人に指導を依頼されて、その人が捉える「危機」は本当に社長にとって危機なのでしょうか。ぶれないようにしなければなりません。

第45回 危機管理   行き詰まるのが普通の時代の考え方・複眼が大事     (危機管理:会計)

2017年8月1日

Q:どうもお聞きしていて思うのは、単に会計の数字のことではなくて、もっと別のというか、奥のことを言われているように感じましたが。

 

A:そうですね、考えを詰めて行かれますとそうなるかもしれません。がんばっていたら良くなる、と思ってる方が多いようですが、ここはそうではないと思います。人口が縮小して経済も縮小する、ここへ政府は社会保障のためなどで必要ですから増税になります。

 

 パイが小さくなる所へ多くの参入がありますからなおさらパイの取り合いになります。そこへ消費税、相続税、所得税をはじめ増税がこれからも続きます。事業するのがしんどいと思われる場合も多くなります。怖いのは止めようと思っても止めるにやめられない状態に陥ることです。

 

Q:損益分岐点とキャッシュサイクルですね。

A:もっと簡単に考えましょう。言葉はむつかしいもので、むつかしい言葉を使うほど分かったつもりになりますが、本当は分かっていないし活用もできないことが多いのです。

 

Q:なるほど。

A:ですから私は極力むつかしい表現をしないようにしていますがなかなかうまくゆきません。損益分岐点売上高もむつかしい印象を持ってしまい、苦手意識が出てしまいがちです。

 では損益分岐点は<売上げ不足警告ランプ>なら少しは親しみやすいですか?

 キャッシュサイクルが<資金の不足警告ランプ>ですね。

 

Q:親しめる気がします。

 

A:そうですか。それは良かった。要するに数字は経営者に警告を与え、意思決定の変更を促すものなのです変更とは、今までと同じ処に居ることが危険な時代なのです。兆候を感じたら、つぎへ移ることを考えなければなりません。というか常に次の選択肢を持っていなければなりません。

 

Q:その次が処方箋ですね。

A:そうです。処方箋ということで欠点や弱点を直しながら、次の行動をしてゆくのです複眼で、並行してしてゆかないといけません。

 もっと人が採用できなくなります。採用できても、いつまで居てくれるか分かりません。内心を隠して面従腹背ですからどんな場合でもやって行ける青写真を作ることです。経営者は孤独ですが、このことは今に始まったことではなく当たり前のことです。しかし良い従業員さんと共に成果を上げる経営者は多いです。気持ちで負けたらイケマセン。 

第46回 危機管理     敵を知り己を知れば百戦して危うからず       (危機管理:孫子)

2017年8月1日

 自社のことを良く知り、しかも処方箋まで作れることに加えて、その処方箋を書くほどにその改訂版が(自然に)生まれてきます。このようにして、精度の高いものができます

 この背景にある考えは「自己を知る」ことです。しかし、これだけでは全く不十分であり、相手を知ることも更に重要です。よく知られている孫子の言葉があります。

 

 謀攻篇第三「敵を知り己を知れば百戦して危うからず。敵を知らずして己を知れば一勝一敗す。敵を知らず己を知らざれば、戦うごとに必ず危うし」とあります。このことから、負けないためには自己も、相手も共に知る必要があります。

 

 相手とは何を指すのでしょうか。市場ないし競合する相手会社、或いは競合する他社商品などが考えられます。ケースバイケースで敵は変わります。

 とともにこの有名な文章の前にある部分も案外知られていません。重要ですので書かせていただきます。(以下 木村意訳)

 

勝つことを確信するためには5つの要件がある。

1、今は戦うべきか、戦うべき時ではないかを知ること

2、敵と兵力を比べて、その数の多い少ないを認識した上で(劣勢でも)勝てる戦略を持っていること

3、マネージャー(部門長)と従業員が同じ目的を持っていること

4、相手の油断を、周到な準備で待ち受けることができること

5、マネージャーに能力があり、TOPが頭越しにコントロールしないでマネージヤーに任せられること

第47回 危機管理       風林火山                 (危機管理:孫子)

2017年8月2日

 この言葉はよく知られています。武田信玄がこの旗印を用いたため映画やTVの題名にもなりました。

風林火山は略で、原文は「疾(はや)いこと風のようで、静かな状態は林のようであり、攻める時は火のように攻め、動かないときは山のようである」です。

 

 自然を背景にして集団の攻撃、移動、防御などの運動に例えています。実はもっと大事なのは「孫子 軍争篇第七」に書かれているこの有名な文の一つ前の文章です。戦略・戦術の大原則と言われています。

 「作戦は敵をあざむくことが行動の基本であり、味方の利益になるように、状況の変化を(わざと)作り出して、兵力を集中したり分散したりして敵に全貌を知られないことである」

 

 このあとに先にご紹介しました風林火山の文章が続きます。また風林火山の4文字なので「四如」と言われていますが、孫子原文では六如なのです。

 

 あとの二つは

「知り難きこと、陰の如く、動くこと雷の如く」です。意味は、暗闇のように敵にさとられず、雷鳴のように激しく動く、になります。

 

 会社の運営に応用する視点で考えますと、「敵」に知られることを防ぎ、力をため、ここという時には全力で一気に勝ちを奪い取ることになります。いわば状況対応力こそが大事であると理解できます。

 

 このためには敵を知り己を知ることはもちろん、情報の重要さは、戦力や装備以上に重要であると認識しなければなりません。社長は外部情報と共に内部情報も集め、掌握し、キモの点は実行寸前まで秘匿しなければなりません。ここが甘いために裏をかかれた例は歴史上でも多いのです。

第48回 危機管理     敵を知り己を知れば百戦して危うからず PARTⅡ   (危機管理:孫子)

2017年8月3日

 勝つことを確かにする5要件のうちの5番目は意訳しすぎたきらいがありますので、原文(読み下し文)をお示ししておきましょう。ここは大事です。 

 原文は書籍によって少しずつ異なりますが樋口 透先生の「孫子問答」(文芸社刊)20頁によりますと「将能にして君御せざる者は勝つ」とあります。ついでながら同書の白文では「将能而君不御者勝」です。

 

 現代の経営にあてはめますと将とは部門長に当たりますが、ここはマネージャーとしました。君とは君主に当たるかもしれませんが、経営の場ではその組織のTOPを言います。社長でもよし、CEOでも良いかもしれません。但し米国のCEOと日本の社長とは少し異なります。米国ではCEOの上にBoard of Directorsがいます。ボードのメンバーとこのDIRECTORが実際の最高権力者です。

ともあれ現実には、君とは最高責任者を指します。

 

 このエッセンスは「御さない」、コントロールしないことです。指揮系統を単線にして、TOPが干渉をしないことを言っています。2頭支配などは論外です。

 

 そしてもう一つのポイントは将に能力があることが前提です。能力があるのに認めないのはいけませんが、それよりも危なっかしい将がいます。良い将=マネージャーが中小企業には育ちにくいため、一定以上に組織が伸びないのです。

 

 組織のため黙々と任務をこなす人物が、かってはいたものですが、今は要領と「はしかさ」に加え、目立ちたがり屋さんが多いため、TOPは惑わされがちです。そして有能な人材を社外に去らせるのです。目立たないところでしっかり仕事している人を特に注意して観察しましょう。その意味でも現場に出て現場に精通しなければTOPが失うものは大きいのです。

 

 TOPに「ご注進」をする人物がどんな組織にも必ずいます。そのような人からの情報は片目で見、片耳で聞くにとどめ、裏付けをとりましょう。その情報は都合の良いように脚色されているでしょう。

 

 全社的に勉強しない、自分の頭で考えることをしない傾向が普通になってきました。勉強し、自分で考える人ほどいじめられ疎外される傾向です。一旦質が下がりますと戻れません。この意味では日本の会社は先行きは良くないと考えています。

 

 普通にしていますと中小企業には自壊が待っています。そう認識して組織の質を懸命に向上させようとされるTOPの会社だけが生き残れるのです。

« 前のページ  1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 次のページ »