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しなやかな会社づくりー企業家と経理

第49回 危機管理     風林火山 PARTⅡ          (危機管理:孫子)

2017年8月4日

 なにごとも有名なことより、人から目立たないところに大事なものが隠れています。神は細部に宿るです。現代は目立てばよい、何事も要領が一番、と言われますが、よく知られた有名な物事が案外底が浅いことがあります。

 

 孫子の風林火山もあまりにも有名ですが実はその文節のすぐ後ろに非常に大事な一節があります。風林火山と同じ軍争篇第7に「三軍は気を奪うべく、将軍は心を奪うべし」のところです。

 

 戦いは困難・障害を克服し解決しながら勝利を得なければなりません。この時に気持ちで負けていたのでは話になりません。困難な障害を克服してこそ経営が安定するものです。「三軍は気を奪うべく」とは、従業員が気持ちで負けていては勢いはつかない。相手に「やりにくい」と思わせ、とても勝てそうにないと思わせる情報を流しながら、味方の部署がバラバラにならないように結束して相手の気持ちを奪うことが要点です。

 

 「将軍は心を奪うべし」とはどのような意味なのでしょうか。心とは闘志であると言われています。相手の心を奪って主導権を取るのがリーダーの役目であると。言い換えますとこの相手と闘っても勝ち目はないと思わせることです。したがって自己のネガテイブな考えを排しなければなりません。受け身になることもダメです。相手の心理的な迷いに乗じることが重要であり、乗じられないことです。TOPが「心」を相手に奪われては従業員がどんなに頑張っても勝てません。弱い(下手な)大将敵より怖いと言われる真理がここにあります。

 

 この後に書かれている「正正の旗に向かうなかれ。堂堂の陣を撃つなかれ」とは心を奪われない姿カタチを示すとともに、相手方にとっては、これをまともに撃とうとすれば、状況の変化に乗じられて一気に敗北につながることになり、自己の立場をますます悪くするもとであると、戒めています。

第50回 危機管理         会社の借入金と個人保証     (危機管理:連帯保証)

2017年8月5日

 会社が銀行借入をしている場合、以前より少なくなりましたが社長さんがその借入金につき連帯保証人になっておられる場合があります。

 

 連帯保証人は会社が借入金を返済できないようになった場合、債務者に代わって借入金を返さなければなりません。会社経営ではどうしても銀行借入が避けられない場合もあります。会社が順調な場合は何も問題はありませんが、行き詰った場合は私財を投じてでも弁済しなければなりません。

 

 最近は一人会社が多くなっています。一人で出資して株主になり、その方が取締役に就任します。すべて会社法の最低要件を満たすスタイルです。この会社の事業が軌道に乗って更に大きくするために、銀行借入をされた場合、通常は銀行は取締役である社長さんに対し、連帯保証を要求します。

 

 こうして数年が経過したあと、急にこの社長さんがお亡くなりになられたと想定します。ここで生じる危機がどのようなものかを見ましょう。

 

 会社の内容にもよりますが、借入金が5000万円あっても会社には現金が8000万円貯まっていれば銀行借入はすぐ返せます。完済すれば連帯保証人も降りることができます。

 

 しかしとても返済できない場合、連帯保証人された保証債務は相続されますから、亡くなられた社長さんの相続人である奥さんや子供さんが会社の借入金を返さなければなりません。銀行借入だけではなく、仕入れ代金や税金債務もあるでしょう。

 

 とても返済ができない場合は、お亡くなりになられてから3ケ月以内に相続放棄をされますと保証債務は免れることができます。しかし盲点があります。亡くなられた社長さんはその会社の株式をおひとりで持たれていました。相続放棄により会社の株式も放棄することになり株主がいない会社になってしまいます。

 

 こうなりますと、売り先もあり購買先も開拓されても会社は継続できません。すべてを失なうことになります。せめて生命保険にでも加入されておられたら継続できたかもしれません。一人会社の怖いところです。租税債務が残っている場合は、関係者に第2次納税義務が課される場合がありますから注意が必要です。

第51回 危機管理     カードローンの例が示す危機への道   (危機管理:金融)

2017年8月7日

 銀行のカードローンの貸出残高は消費者金融のそれを上回っています。消費者金融は7年前に総量規制がかけられました。しかし銀行のカードローンは総量規制の対象にはならないため、平成23年ころを境にして、このような逆転現象が生じています。しかも消費者金融が銀行から手数料を受け取るとともに、カードローンの保証も行うため、カードローンの借主が返済に窮した場合は銀行に代位弁済するとともに、ローンの借主に取り立てを行います。

 

 カードローンは金利も5%以上と高く、一旦返済が滞りますと別のカードローンから借りることになり、債務が急に膨れあがり金利も10%を超えてきます。そんな場合でも銀行は消費者金融が後ろ盾として保証人になっていますからカードローンを簡単に貸す場合が多いです。借手はとことん窮地に追い込まれます。

 

 事業をされておられる会社の場合はカードローンに比べ、低金利ですが、うっかりしています多重に債務が乗っかってくることになります。仮に2000万円を10年で返済、金利1.2%の借入金を返済されておられる会社の場合はざっとした計算で毎月は元金が166千円に金利が2万円程度ですから、ひと月当りの元利合計の返済額は18万円程度です。が、資金不足のため更に1000万円10年間返済で金利1.2%であらたに借入された場合、元金83,000円に金利を加えますと9万円ほどの月額返済になります。

 

 借入した資金を投入しても利益を生まない場合、これまでは18万円のキャッシュが出てゆくだけであったのが、27万円になってしまいます。それでも資金が不足するとまた1000万円借入をすることになって固定支出が膨らんでゆきます。

 

 銀行も決算書や勘定科目内訳書を分析しますから、やがて融資にSTOPがかかります。この状態になりますと、後は社長や親せきがカードローンを借りて会社の資金に回すところにまで陥ってしまいます。こうなれば末期状態です。その前にどのような手を打てばいいのでしょうか。

 

 このような場合だけでなく、借入金は増えないが、減らないという場合も見直しが必要と思います。借入金が減らないなら、いずれ金利が上がったら利益は喰われてしまいます。借入金が減少していくのが本当であり、減少してゆかないのがオカシイのです。

第52回 危機管理   税務申告した金額が誤っていた場合       (危機管理:税務手続)

2017年8月8日

 申告書を提出されてから税金が多すぎた場合や、少なすぎたことが分かった場合にはどうすれば良いのでしょうか。

1、多すぎた場合は「更正の請求」をします。期限は申告期限から5年以内です。(但し税目によって5年より長い場合があります。例外です)

2、少ない場合は「修正申告」をします。この場合税務調査があることを予知してされた場合には過少申告加算税がかかりますが、そうではなく自発的な場合は過少申告加算税はかかりません。

 

 

 修正申告をしてから「しまった多く修正してしまった!」ということが修正申告書の提出後に分かった場合は「更正の請求」をすることで多い税金を取り戻すことができます。しかし不服申立てをして税金を取り戻すことは出来ません。この理由は「修正申告」は納税者の自発的な行為であり国がした課税処分ではないからです。不服申立ては課税処分がされた場合にのみすることができます。

 

 税理士さんが申告書提出時に税理士法で定められた書面(代理権限証書とは別のものです)を添付しておられた場合は少し事情が変わってきます。

 書面添付は税理士だけが申告書につけることができます。これが添付されている申告書に関しては税務署は税務調査を行う前に税理士に意見を聴かなくてはならないことになっています。この意見聴取は税務調査ではありません。行政指導です意見を聴いた後、税務調査がなくなる場合もあるでしょうし、本格的な調査が開始される場合もあります。

 

 意見を聴かれた結果、当所の申告の納税額が少ないことが分かった場合には、その段階で修正申告した場合は自は自発的な提出になり過少申告加算税は課されません。なぜならば意見聴取の段階はまだ調査が開始されていないのですから、調査があってからの修正申告と区別されます。  

第53回 危機管理   相続と海外資産                (危機管理:税務リスク)

2017年8月9日

 5000万円を超える国外財産を有する場合は、翌年の3月15日までに「国外財産調書」を税務署に提出しなければならなくなっています。平成28年から財産債務明細書(財明と略称されていました)が財産債務調書に改められ、やはり翌年の3月15日までに税務署に提出します。国外財産調書を提出した場合は、国外財産の部分は財産債務調書には記載しなくてよいと共に、財産債務調書の提出があれば税務調査があった場合に申告洩れがあった際の過少申告加算税が5%軽減され、財産債務調書の提出がない場合には過少申告加算税が5%加重されます。

 

 このような手続きよりも、もっと大事なことがあります。

海外に資産を持つたり投資する場合に注意しなければならない点は、その方が亡くなられ相続が起こった場合です。

 ・為替の変動で資産価値が上下動した。そのため相続税の申告の際に手間がかかった。

 ・海外資産の名義変更などの相続手続きが必要であり、言葉の問題などのほか遺産分割協議書や相続関係を示す戸籍などを提出する

  にしても法制の違いから、現地の法律家に頼んだりして多額の費用が掛かってしまった。

 

 ご自分が元気な場合までは良いのですが、終活段階が始まる頃には見直しをされませんと、残された相続人さんに大きな負担がかかります。

 

 節税のための投資では次のような動きがありました

平成27年7月は米国デラウエア州のリミテッドパート-ナーシップへの節税投資が否認され、最高裁で納税者敗訴の結論が出ました。しかし同じパートナーシップへの投資でも、ケイマンや英国領バーミューダ等のパートナーシップ投資では納税者が勝訴しています。このように海の向こうの投資国の法律の規定次第で日本では、課税されたり、されなかったりして不安定な面があります。

第54回 危機管理    税を無視して会社経営をして大丈夫ですか?      (危機管理:税務リスク)

2017年8月10日

 税への対応が誤っていたために税引前利益から想定外の税を徴収され税引後利益が大きく減った話はよくあります。病気に罹らないように平素から注意するのと同様に、税のトラブルや想定外の納税でガタが来ないようにしたいものです。

 

 ではどのような点に注意すればいいのでしょうか。

それは①金額が大きい取引、②税法のルールと経営者の常識との間に差がある場合、③きわめて細かい規定のため専門家しかわからない場合、④文字一つで結果が変わる場合、⑤事前申告をしておかなければならない場合、⑥申告の際に特別の手続きが必要な場合

等です。

 

簡単に列挙します。細かいことは省かれて良いのですが、勘所は押さえておかれると何が重要か、ピンときます。

 

①金額が大きい取引 

役員退職金、在庫の評価、寄付金

 

②税法のルールと経営者の常識との間に差がある場合

資産の低額又は無償譲渡、みなし配当、DES(債権の現物出資による負債の資本化:Debt equity swap)

 

③きわめて細かい規定のため専門家に任せたほうが良い場合

会社組織再編税制、グループ法人税制、控除対象外消費税

 

④文字一つで結果が変わる場合

資本金の額と資本金等の額

 

⑤事前申告をしておかなければならない場合

事前確定届出給与(いわゆる役員賞与)

 

⑥申告の際に特別の手続きが必要な場合

租税特別措置法の定める特別償却や収用の場合

第55回 危機管理   会計を無視して会社経営をして大丈夫ですか?    (危機管理:会計)

2017年8月12日

  いいえ大丈夫なことはありませんね。前回の税務のことを無視した結果、急な課税がされたりして、一気に財政状態が悪くなるようなことは会計の場合はありませんが、会計を無視されますと少しずつ貴社の置かれている状態が悪くなっても気づかないまま過ごしてしまわれることが多く、この結果、数字に基づいて経営すればよかった、と後悔されることはあるかもしれません。

 

Q:では具体的にどのような事柄を視野に入れておけば良いでしょうか。

A:次の事柄が重要だと思います。

 

 1、損益分岐点・・・必要売上型を知る

 2、ROI(総資本利益率)・・・投下資本と収益の関係を知る

 3、キャッシュサイクル・・・資金の循環と資金回収の速度を知る

 4、収支分岐点・・・・資金必要高を知る

 5、労働分配率・・・・付加価値に占める人件費の割合を知り、今後の採用計画を読む

 6、税引前利益と税引後利益・・・税負担額の影響を知る

 

 こんなところでしょうか。大事なことは単に知るのではなく、それらを使って縦横無尽に自社のために用いて、自社がシロアリにくわれるようにならないことです。

第56回 危機管理   どんな会計指標を用いれば良いのか   (危機管理:会計)

2017年8月14日

Q:ではお聞きします。経営者としてどんな指標を用いたら良いのでしょうか?

 

A:失礼ですが、そのご質問が少しおかしいと言わせていただきます

 と言いますのは、経営がうまくいっていますと、どのような会計指標を用いたら良いのか、などは気になさらず、事業に邁進されれば良いのです。

 

 勢いに乗っておられるときにさらに勢いに乗って良い商品・製品の開発、新しいサービスの試みなどに全力で向かわれたら良いのです。会計指標を気になさる時ではありません。スイスイ行かれたらよろしい。

 ちょうど、元気な時に血液検査の値がどうのとか、健康の関する本や雑誌を読み過ぎて肝心のお仕事がおろそかになることは本末転倒でしょう。

 

 なにも健康を無視してよいと申しあげていません。年に一回くらい健康診断をされるのは良いのです。それを気にしすぎますとネガテイブになってしまいますから良くないのです。

 

 会計事務所が年に一回は決算報告会をしてくれますね。それだけでいいのです。ただ気にされることと、?の点を正しく理解することとは別のことです。正しく理解してください。そうすればこの指標をどんな時に使って自社の経営を考えたら良いのかが、カラダで分かるようになります。ほとんどの方はそこまで行かれませんけれど。

 

 お金回りも、損益計算の利益もはかばかしくない、という状態なら何が原因かをわかるように取り組まれる時です。

それと申しあげておきますが、体の場合は、データを気にされなくてもいい健康な人が圧倒的です。まして若い人は気にされなくても構いません。しかし経営の場合はオカシイ会社が多いのです。真逆です。若い会社ほど注意しなければならない点も逆です。

 

 人間は食べ過ぎ飲み過ぎが過度にならない限り健康になるようになっているようです。しかし会社は潰れるようになっています。ここが違います。

 

Q:ではどこまで知ればいいのでしょうか?

A:社長として処方箋を書けるようになるまでです

 

Q:処方箋はコンサルタント会社や会計事務所が出すのではないのですか?

A:そこも間違いです。会社の医者は経営者なのです。周りは助言できても社長の代わりはできません。この意味でも社長の役割は重要です。

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