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しなやかな会社づくりー企業家と経理

第57回 危機管理   どんな兆候に注意すれば良いのですか    (危機管理:会計)

2017年8月16日

Q:どんな兆候に注意すれば良いのですか ?

A:何よりも一番は、資金不足です。今月の支払に手許金が足りない、ということが見えてきますとそれが一過性なのかこれからも繰り返すのかを読まなければなりません。

 

Q:一過性とは、どんなことですか?

A:多いのは年払いの生命保険の支払があったのに想定して準備していない場合です。また消費税の中間申告の支払があるなども結構多いです。

 

Q:なぜ一過性の場合はそれほど重大ではないのでしょうか?

A:資金不足の「体質」にまだ行っていないと考えられるからです。だから一過性なのですが。

 

Q:分かりました。では資金不足の体質になってしまっている場合はどのようなケースをいうのでしょうか。

A:売上不足がその一、二番目は売掛金の回収速度が、買掛金の支払よりも先になっていることです。この場合はお金が入る前に出てゆくのです。売上が上がれば上がるほど資金不足が深刻になります。

 

Q:他にありませんか?

A:固定費と銀行借入金が多すぎる場合です

 

Q:これらはどのような指標で見つけることができますか?

A:まず、損益分岐点売上高を使用します。このときには、粗利益率、原価率、固定費の額、借入返済元金などの数字を把握していなければ使えません。逆に申し上げますと、これらの数字を自社の試算表から拾ってくる方法さえ会得されますと、むつかしいものではありません。

 

 次にキャッシュサイクルです。米国ではこのサイクルを非常に重視します。どのセミナーでも出てきます。アメリカ人の経営者はこの分析が好きなようです。

 

まずこれらを使いこなせるようになってください。そしてその数字が導かれプロセスをよく考えることです、なぜこうなるのかと。

第58回 危機管理     縮小経済のもとの複眼         (危機管理:会計)

2017年8月17日

Q:兆候が出てきたら会計の指標で原因を把握する。そしてその意味合いを考えて処方箋を作れるようになることが必要であることは分かりました。

 もっと別の意味もあるようですね

A:といいますと。

 

Q:現状はそれほどうまくゆくものではないとの認識が必要な気がしますが

A:そうです。いまは縮小経済の時代です

利益が取りにくいなかで人手不足はまだひどくなるでしょう。そこへ社会保障費に必要ですから政府は増税をします。普通にやっておれば運営できた時代と違います。ですからこれまでと同じところに居れば停滞してしまうのです。時代が急速に変化していますから、現状の弱点を手当てするだけではなく、並行して大ナタを振るうことでこれまで居た場所から次のところへ行かなくてはなりません。同じところに居てはならないのです

 

Q:複眼ということですか

A:そうです。現状を改良することをしながら、これまでと違うところに行く行動も取らなくてはなりません。経営者はこのことを知って行動されようとしますが社内の統率が難しいのです。

 

Q:経営者の孤独ですね

A:孤独は当たり前のことです。今に始まったことではありません。そのような状況でも従業員さんと理解を深め合いながら良い業績を出し、新しい次元の商品を世に出す社長さんは結構おられます。ネガテイブな気持ちになってはいけません

 数字で勘所を押さえる意味は、感情的になって一時はうまくいったことでハイな気分になったり、逆に沈んだ気持ちになって周りに連鎖的に悪感情を撒いてしまうようなことがないようになるためです。数字で、何が足らないか、どの部分がうまくいったかをブレないで掴むことで「感情的」になることが防げるのです。

 

Q:改良すべき点と次に行く点の二つを知っておれば、気持ちの動揺がなくなるように思います。

A:そうです。そして大事なことは気持ちで負けないことです。弱気にならないで、強い気持ち前へ向かうことができるのも現状を数字で掴んでこそです。数字の認識を正しく持っていないと周りの人たち(取引先、銀行、従業員さんなど)に幻惑されて守りの姿勢になりがちです。そうなりますと勢いを失います。

 

 勢いを失うことで一番注意しなければならない点は、撤退できないほどの悪循環に陥ることです。これにハマらないためにも、補正する点と、進む点の二つを視野に入れる複眼思考が助けになります。

第59回 危機管理      ワカリヤスイ言葉で理解する     (危機管理:会計)

2017年8月18日

 実際に使えるためには、意味がしっかり理解できてないと、肝心の時に使いこなすことができません。普通の言葉で説明したものがあまりに少ないのが実情です。

 

今回は、重要な指標を普通の言葉に置き換えてご案内します。

 

損益分岐点⇒「売上不足赤ランプ」がわかりやすいでしょう。必要なレベルの売上高に届いていない場合は赤ランプが点灯しているとご理解ください。

 

ROI(総資本利益率)⇒事業に投下した資本の運用利回りを示すとお考えになりますとわかりやすいです。赤字の場合はマイナスで表示されますから、単に赤字であるという認識ではなくて、どれくらいの損をしたのか、その損はいつになったら取り戻せるのか、などが分かります。「運用星取表」と考え、四半期などの期間を区切って星取表を比べてみますと、経営者にはいい動機付けになるでしょう。

 

キャッシュサイクル⇒事業はお金の獲得競争の一面があります。その速さが速いのか、遅いのかが分かりますから「資金競争赤ランプ」としますと、赤ランプが点灯しないようにするにはどうすれば良いのか、を考えるきっかけになるでしょう。

 

労働分配率:会社が勝ち取った付加価値を人件費と会社への留保にどんな割合で分けたか、を示しますので共生バランスとシンプルにお考えになればいいと思います。ヒトも会社も共に成長し継続してゆくには、このバランスが崩れないようにしたいものです。

 

これら4つの推移を経営者が会社の会計を示す試算表からご自分の手で拾って

    売上不足赤ランプがついていないか

    運用星取表はどうなっているか

    資金競争には後れを取っていないか、赤ランプの点灯はないか、赤ランプが青ランプになるには、どうするか

    共生バランスは乱れていないか

等を経営者がご自分でチェックされますと、偏らないで自社の状態を見ることができます。

第60回 危機管理  相続税節税が目的の養子でも有効      (危機管理:相続)

2017年8月18日

 今年1月31日の最高裁判所で表記の判決が出ました。相続税法の定めでは、養子縁組が認められますと基礎控除が増えて相続税額は減少しますが、養子が認められない場合は基礎控除額が少なくなり、その結果、相続税額が増えることになります。

 

 今回の事例は、お父さんの法定相続人である長女と次女が、弟の1歳1ケ月になる子供さん(お父さんからは孫、長女、次女からは甥)がお父さんの養子になったことから、姉たちと弟の関係がこじれ争いになりました。

 

 高裁までは、この養子縁組は税理士が進めた相続税対策であり、親子関係になる意志がないとして無効とされました。しかし最高裁では「相続税の節税の動機と縁組をする意思とは、併存しうる」として養子縁組を有効としました。

 

 この背景には遺産争いがあると私は考えています。甥であっても一人の法定相続人が増えることは、分配が減ることを意味しますから。

 

また相続税法では

  基礎控除額=3000万円+(600万円×法定相続人の数)で計算されますから、どんどん養子が増えますと税額に大きく影響しますので歯止めがかけられています。

 

 実子がある場合は養子は1人まで、実子がない場合は二人まで相続税法上は認められます。相続税法上での話であり、民法上の養子の数とは関係しません

第61回 危機管理     役員退職金       (危機管理:税務リスク)

2017年8月21日

中小企業の代替りで注意しなければならない点は役員退職金です。

 

  退職金を支払うということは先代には「退職」していただかなくてはなりません。でも実際は「退職」されない場合が多いのです。退職されないとはどういうことかと申しますと、退職金を受け取られても経営に携わることを言います。

 

 会社には来ないことが原則です。決裁の印を押したりしてはいけません。会長などになられる場合があります。この場合も基本は同じです。何千万円、何億の退職金を払われても勤務関係が終了して退職した事実がないところへ払われた部分は法人の損金に算入されません。法人税がかかります。臨時的な報酬を払ったことになりますから。

 

受給した側の先代の所得税の扱いは給与所得になります。退職金に該当すれば税率が有利な退職所得になるのですが、、、。

 

 引退後、会長や最高顧問、監査役になられた場合ですが、次のような実態があって退職したと同じと認められる場合はその退職金は損金に算入されます。

  ・代表権がないこと(代表権が形式上なくなっても経営上主要な地位に居座って経営に従事していないこと)

  ・非常勤役員になること

  ・報酬が激減(50以上の減少が必須です)すること

 

 以上は職務分掌の変更ですが、必ず経営からの引退をしなくてはなりません。もう一つ大事なことは経営からの引退ではありますが、本当の退職のように会社とは縁が切れないまま会社に残っておられますから、役員退職金をいつまでも未払のままではケジメがつかないことになりかねません。よほどの資金繰り上の事情がある場合のほかは未払金で置いておいてはイケマセン。スパッと支払うことです。

 未払いのまま残さざるをえない財政事情であっても翌期には払ってしまいましょう。財政事情もないのに未払金のまま置いておくことは税務上問題になり禍根を残します。

第62回 危機管理    事業承継優遇税制適用が取消されても救済の道が   (危機管理:税務リスク)

2017年8月22日

 事業承継優遇税制は正式には「非上場株式についての贈与税・相続税の納税猶予」といいます。要するに一定の要件に該当する場合は、わが社の株式を後継者に贈与しても税金は猶予します。というものです。猶予ですが最終的には免税になります。

 

しかし、なかなかこの条件がウルサイのです。

 

・将来相続が起こった場合には従業員数が20%以上減少したらNO!

・先代は代表権を返上しないとNO!

・後継者を一人決めて、そのかたが一定の株式をキープしていないとNO!

・上場会社になったり、資産管理会社になることはNO!

・都道府県(以前は経産局)の認定を受けなければNO!

など厳しい条件があり、もしこれらの条件を満たせないで認定を取り消された場合、多額の贈与税を納めなければなりませんでした

 

 平成29年からはこのような場合でも相続時精算課税を併用しますとある試算では1億300万円の贈与税の支払いをしなければならないのが、4,800万円で済むことになります。

 

 事業承継優遇税制は条件が厳しく、手続きも複雑なた利用が少なかったのを促進するためと言われています。

但し、税金がなくなるのではないことと、相続時精算課税の持つリスクにも注しておきましょう。相続時精算課税は贈与時の評価額にて課税されます。その後、相続までに株価が上昇した場合は低い株価で課税されて有利ですが、逆の場合は贈与税が高くなってしまいます。注意したい点です。

第63回 危機管理     昔から言われている基本の基本   (危機管理:会計)

2017年8月23日

 事業を始めたら自分で金銭の出入りを記録しなさい。これができないと事業は行き詰まる。

 

 これが基本です。ここから学ぶことは多いです。一つは自分の手でナマの現金を数えることで実感が違います。それだけではなくてそれを記録することでカラダで現金の動きが身に入るのです。 

 

 しかしこれをある程度の規模になって会計係を採用できるまで継続するのはガッツが要ります。続かないのです、日常の超多忙に押されて。実際に通貨を触ることの実感や預金の残高を確認することで、体の中から次にしなければならないことが湧いてきます。

 

 しんどくても継続してください。世の中の会計の本はそのような体験をしたこともない先生が机上で書かれたものが多いので、実際の感覚とは異なる場合があります。そこはご自分で会得されるしかないと思います。

 

  今は自動的に帳簿が作れるフィンテックが話題になりつつありますが、これは集計と分類をアプリケーションにさせることですから、ナマの現金の管理と異なる領域です。ナマの現金を数えることは(今のところ)貨幣計算機を使い場合を除いて人間がします。

 

 クラウド会計という言葉も普通になってきました。これは雲の上にデータを保管するためですから、記録の段階のもっと先のことです。

 

テクノロジーに依存できない部分に案外重要なことがあるものです。

第64回 危機管理     毎年100万円を娘さんに贈与している場合のリスク  (危機管理:税務リスク)

2017年8月24日

 先日同窓会があり友人に表記のことを聞かれました。毎年贈与税の基礎控除である110万円以内であるから、自分のしていることは問題はないね、と。娘さんも、これからも毎年100万円を贈与されるので喜んでくれていると。

 

 いいえ問題はあります。結論から言いますと税務署に「定期金の贈与」と認定されることです。

どういうことかといいますと、

  仮に2010年に、毎年100万円を10年間贈与する約束をしたとします。この約束は定期金給付契約になり初年度に贈与税が課されます。

 

 対策は定期金にならないために贈与の金額に変化をつけ、贈与時期も不定期にすることが必要です。キーワードは「連年贈与」です。これに当たらないように、ある年贈与をしないことも必要です。

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