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しなやかな会社づくりー企業家と経理

第73回 危機管理 社長が作る処方箋・・年代間ギャップとレジスタンスⅡ  (危機管理:中小企業経営)

2017年9月6日

 せっかく会社内をまとめようとしても社内でレジスタンスがあれば何事も進みません。

レジスタンスのもとは世代間のギャップのほか、中小企業で必ずあるのが創業家の家系の人と、他人との越えがたい壁です。

 

 これら二つの壁が立ちはだかります。いずれも表面には出ませんが根深いものです。後者の創業家家系に連なるかそうでないかということは、実は年代間のギャップに関係すると、考えます。

 

 前回のキーワードの中から「リーダーシップ」「フィードバック」「チームプレイ」「能力」「インセンテイブ」などを拾ってゆきますと、新しい世代は創業家家系であるとか、ないとかはあまり気にしないようです。

 

 能力とコミュニケーション力があって、フィードバックを適切にすることでリードしてゆけるような傾向を読み取れます。そこへ経済的待遇を適切にするとこです。給与に能力の差だけが反映することがポイントと思います。

 

 古い伝統的世代は階級と経験年数が支配の源泉でした。能力やコミュニケーション力がなくても、創業家の家系であれば経営者、管理者が務まりました。みながそれに従う気風の時代だったかもしれません。

 

 これが重要度の順番が変わってきました。能力があればレジスタンスなどの問題は生じない傾向です。その意味でも世代間ギャップの認識をされることは非常に重要ではないかと思います。

第74回 危機管理 社長が作る処方箋・・・・どこまで視点を広げれば良いのか (危機管理:中小企業経営)

2017年9月7日

 では具体的にわが社のどこを見れば処方箋が作れるのでしようか。

まずわが社の弱点を知ることが重要です。弱点を知って、そこを補強することで会社に勢いが出ます。例えますと住宅が2軒並んでいる場面を想像してください。どちらの住宅も経過年数は同じですが、1軒はよく手入れされ、損傷部分は見当たりません。片方は屋根、壁、塀、門などの痛みが激しく、手入れの様子もなく、よく見ますとゴミなどが散らかっています。このような景色はよく見ます。

 

 この2軒を比較されて皆さんはどちらのお家に「勢い」を感じられますでしょうか。常に手を入れている家からは勢いが出ています。屋根、壁、塀、門を会社の主力商品、装備、固定資産、無形資産、人材に置き換えますと会社の力の差が総合的な面で決まってくることが分かってきます。そして敗れない会社になるのです。孫子は「戦わずして勝つ」ためには平素からの備えを怠らず「まずは敗けない態勢を築け(形篇)と説いています。

 

 社長が処方箋を書かれるのはこのような「会社の総合力」で備えを十分にするためです。その際には一番重要な点を外さないようにしたいものです。なにが一番重要なのか、はすべての社内情報が社長のカラダに入っている場合には答えは簡単です。「一番気になること」が最優先されたら良いのです。カラダが発し、心が感応した場合の答えは非常に明確です。ブレもありません。しかしカラダから離れてアタマだけで考えると、ぐるぐる回りが始まります。

 

 このようなことを避けるため会計の数字を使います。できましたら会計数字のもとになる現場を社長さんは歩いて数字の生まれる現場を体感されることをお勧めします。社長室にこもることは有益ではありません。walk throughという言葉が監査にはあるように自分の体で数字を感じることを強くお勧めします。

 

 さて、では何から始めるか、ですがしたの1,2が挙げられると思います。

1、弱点を知る。弱点は①資金と借入、②粗利益の分析、③内部牽制制度と不正防止、④税務のチェック(税金の払いすぎチェック)

2、商品力を知ること。①マイナスの商品を切る、②マイナスの取引先を切る、③商品の評価ができる体制を構築する

第75回 危機管理 社長が作る処方箋・・・切り込む部分    (危機管理:中小企業経営)

2017年9月8日

 前回に引き続き、弱点の内の

①資金と借入を見るのはなぜでしょうか

 ここのキーワードはバランスです。資金量に比べて借入金の額が大きく上回っていて、その形が改まらないのはよくありません。いつも資金が洩れてゆく出血箇所があるのです。いずれは行き詰ります。行き詰まりが目の前になってからでは遅いのです。出血箇所を突き止めなければなりません。

 

②では粗利益を見ます

 全社的な粗利益が右肩上がりか、右肩下がりかは過去数期の損益計算書を横に並べたらたちどころに「傾向は」分かります。問題は右肩上がりにしろ、右肩下がりにしろ社長がその原因を掴んでおられるかどうかです。この商品の値段を上げたから(下げたから)、大きな受注に成功したから<この場合は粗利益率は変わりません。質である率は変わらず、粗利益の額だけが増加(減少します)>、あるいは主力商品を戦略的に入れ替えたから、不良在庫を大量に処分したから、などが分かっておられる場合です。

 

 しかし社長がその原因が分からない場合は問題です。このままで終わっては何の意味もありません。処方箋などは書けません。どうすればいいのでしょうか。

 

 この場合は商品ごとのデータを取ります。いまは会計ソフトからエクセルへ書き出すことができます。そのうえでピボットテーブルなどで原因分析ができます。社長が自らエクセルなどが操作できない場合もあるでしょう。社内でそれができる人に協力してもらうことを躊躇しては前へ進めません。原因を掴むためには、良い恰好は不要です。社内に適当な人材が居られなければ、社外に費用を払ってでもこれをしましょう。ただし社外に依頼する場合は、情報が洩れないように簡単でも良いですから契約条項で制限しましょう。

 

 原因を掴むには何よりも「熱意」が必要です。良い会社にすることが熱意の素です。熱意が続かないのは結局のところ社長に辛抱、忍耐、我慢が足りないからです。会社を潰さないためには、原因究明に進みましょう。

第76回 危機管理  息抜きしましょう                      (番外:よもやま話)

2017年9月11日

兄丸出羽守(この名前の由来は既往の「よもやま話」をご覧くだされば説明がございます。以下兄):こんにちわ、久しぶりですね、お元気ですか。あれ、何を読んではりますの?えらい部厚い本ですね。

 

キ:「アキラとあきら」という小説です。池井戸潤さんの最新作でドラマにもなるようよ。

兄:どこが魅力ですか。

 

キ:下請け中小企業の弱い立場、製品に不良があった場合の損害賠償のしわ寄せ、銀行の融資態度、事業承継と相続があった場合に起こる様々な出来事が描かれていて一気に引き込まれるよ。

 

兄:ドラマになったら、みたいですね。

キ:但しね、時代が少し前の時代のことやで。丁度、製造業を中心にして日本の属人的資本主義が徐々に右肩下がりになってゆくときの話で、今とはかなり人の考え方も、事業のありかたも変わっているからね。

 

兄:結局、よくある親父さんが社長で、奥さんが経理をされてるようなパターンですか。いまはそのような経理から変わってきましたよね。

 

キ:フィンテックはまだなかった時代やね。銀行の描き方も、冷たい銀行と、意気に感じて徹夜で会社の担当者と一緒に再建計画を作る行員さんの話なども出てくる。いまはかなり違うね。倒産の時に粗っぽい男たちが乗り込んできたりや、第3者の連帯保証や担保など、融資の条件も今はそれほどではなく、会計データの占める要素が大きくなっているからね。

 

兄:相続の場合はどうですか?

キ:今と同じやね。揉めるとこはとことん揉める。会社の成績が良い場合も、悪い場合も両方がストーリーに出てくるわ。

 

兄:それならぜひドラマを見たいですね。

キ:私はTVはあまり見ないから、どうぞ。何か気づいたら教えてくれる。

 

兄:まかしといてください。

第77回 危機管理  社長が作る処方箋・・・社内のまとまり          (危機管理:中小企業経営)

2017年9月12日

 社内を今一度見直してみましょう。なかなか本音を言えないのが実情でしょう。社長にはいい話しか耳に入らないと思って、いくつかの点検をしてみましょう。

 

そのためには下記の2点が重要です。この2点が社内のまとまりをもたらします

1、行く先

2、フォロー

 

 また重要なキーワードはActions speak louder than mouths(行動は口より雄弁である)です。

よく従業員と対話をして、いろいろ話を聞こうとする社長さんがおられます。時間をおかけになっても効果は少ないと思います。

しかしその話には本音の部分がなかなか見えません。

でも行動を注意深く見ているだけでいろいろなことが見えてきます。

 

行動に注目するという前提で、

1、行く先とは

 全社でチャレンジする目標が定まっていることです。しかも底に信頼関係がなくては絵に描いた餅です。

売上目標にしても達成可能な目標と最大極限目標の二つを設けることが社内にバネを生み出します。

 

2、フォローとは

 行動を追跡して達成まで共に走ることです。行き詰まっている従業員には社長が横について励ましたり助言をします。

例えば研修に行っても、行きっ放しでは学んだことは身につきません。身についていませんからココという時に使えません。使えないということはその研修は、その従業員さんにとっても会社にとっても、コストをかけたけれども意味はなかったことになります。要するに「復習」ができてないのです。

 

数字の話のまえに以上の事柄が重要です。

第78回 危機管理    社長が作る処方箋・・・気をつけるべき基本の数点  (危機管理:中小企業経営)

2017年9月13日

気を付ける基本の点とは次のことです。

 

1、売上の30%以上が特定の会社に占められていないか

2、そこへ製品であれサービスであれ、納品価格は貴社の原価からみてどれくらいの利益が上がるのか

3、製品に瑕疵があったり、サービスに問題がある場合は、損害賠償を受けることを視野に入れてデフェンスの対策ができているか

 

理由を説明します。

 

1、大きな受注を受けた場合、そのままずるすると取引を拡大しますと、気が付いた時には、相手の要請で工場を拡張したり、人員を増やしたりして固定費がかさむとともに、借入金で資金調達していますと、急に受注が取れなくなった時には、撤退不可能になっています。相手はその窮地を見逃さないで値引きや短納期の圧力をかけてきます。こうして追い込まれます。

 

2、値引きを受け入れますと、そこへ受注量が増大したばあい、利益率が大きく下がります。利益率が下がっても固定費をカバーするために無理をして生産を継続しなければ、一旦切られたらわが社は危機に瀕しますから更に無理を続けざるを得ません。

 

3、短納期などが原因になって製品に不具合が出ますと、ここぞとばかり償いを求められます。この段階では、人、モノが肥大し、借入金の返済も多額になり、余裕が全くなくなっていますから、賠償などが生じますと完全に事業の息の根を止められます。

 

根本の原因は1です。自社独自の広がった顧客がない欠点が出てしまいます。

第79回 危機管理   社長が作るわが社の処方箋・・・・原因が分かること  (危機管理:中小企業経営)

2017年9月14日

 社長が、その会社を良くする最高のお医者さんです。しかし会社の状態がよくわかっておられてこそ、名医として腕を振るえます。

そのための視点としまして「原因分析」が重要です。

 

 何が原因なのか、事業の決算書という全体をいくら見ていましても趨勢や傾向は見えますが、原因までは見えません。また決算書の貸借対照表も「原因分析」をする場合には入り口としまして疑問です。

 

 なぜかなら貸借対照表は経営実践の結果を示すものです。では原因は何で見れば良いのでしょうか。それは損益計算書です。しかし損益計算書には普通は「事業全体の売上高」や「事業全体の粗利益」を見ることは出来ますが、これを一日中ご覧になられても「原因」にはたどり着けません。

 

 原因分析をされるには、損益計算書をカミソリで細く縦に切り下げるイメージです。どういうことかと申しますと会社で扱っておられる製品や商品は多くの種類がありますが、これらの商品ごとに原価があり、人件費がかかり、荷扱費がかかっています。幅いっぱいの損益計算書ではなく縦に細く切り分けられた損益計算書をイメージしてください。

 

 それができますと何が見えるでしょうか。そうです、その商品や製品が貴社の利益に貢献しているのか、又は赤字を作っているのかがハッキリします。そうしますと、次にはその商品・製品が最終赤字であるならば黒字にするにはどこを直せばいいのか、材料なのか、物流コストなのか、人手をかけ過ぎなのか、などが「見えてきます」。この見えない部分を見ることにより、たとえ一つの商品・製品でもわが社に占める値打ちが見えてきます。

 

 このようにして他の特定の商品・製品についてもEXCELに書き出して、時にはピボットテーブルなどのソフトを使うことは前に触れました。この際に重要な点は細かい商品・製品に時間をかけないことです。主要なものの分析を優先させないと手間がかかるだけで有効ではありません。

 

 同じ考え方で、特定の得意先の筋を辿ることでその得意先への売上高、原価、販管費を貼り付けますと真相が見えます。経営の鉄則にマイナスの商品を切る、と共にマイナスの得意先を切る、ことも重要な項目なのです。

 

 また特定の従業員さんの得た営業利益とその人への人件費と間接人件費を見ることで、どうすればそのかたを伸ばせるかの資料になるでしょう。人に対しては切るという発想ではなく、良いところを発見して熱意をもたせ、伸びて行ってもらうためです。人は大切なのです。

第80回 危機管理   社長が作る我が社の処方箋・・・専門性の有無が分かれ目 (危機管理:中小企業経営)

2017年9月15日

 以下は木村の独断と偏見です。私は日本の大企業のある範囲の会社は、この先の運命はよろしくない、とみています。

その前に大企業とは何を指すかですが、ここは簡単に株式公開をされている会社とそれと同等の会社というくらいの意味とお考え下さい。

 

 一番の原因は、わが国にはびこる「外注文化」です。役所もそうですが、税金で喰って行ける組織体は一旦は話の外に置きましょう。(実は、税金を使って組織を維持する役所などの外注文化のほうが、国の財政窮乏化から考えますと根深いのですが「中小企業経営」の観点からは外します)

 

 大きな会社が自社の職人を大事にしないで、外注することが危険であると思っています。職人さんの中には技術者をはじめ、その仕事のプロ、クロウトを言います。

 

 現代は複雑な分業化です。アダムスミスのころから分業化はテーマでしたが、それが進化してどの仕事にも「専門性」が必須です。職人という言葉がわかりやすいから使っていますが、職人は製造業だけではなく、商業でも、デザインでも、勿論コンピュータ関係も専門性の塊です。

 

 周りを見渡しますと衣、食、住のどの分野でも専門の「職人さん」がいなくては動きません。医の世界などは専門性の最たるものといえます。

 

 ところが「専門性を極めた職人」の逆に位置する人たちもいます。その人たちは大きな組織の中で一つのことよりもいろんな部署をかなり短期間で移動された人たちです。「職人」ではなく「組織人」と言えましょうか。組織運営に長けた人材育成の一つの道ですが中小企業経営には疑問符が付きます。

 

 実際に中小企業で仕事をお願いしても、大所高所からの評論家的意見は言われても、具体的に仕事を成し遂げるスキルが不足することがままあります。

 

 スキルを身に着けるには、最初は教えてもらい、この次に実戦で苦い思いをしながら会得してゆくプロセスが必須ですが、大きな組織の場合は個人よりも集団のため、このプロセスでカラダを張って乗り越えることや、行きずまって途方に暮れるような孤独な修羅場の経験が少ない場合は、体にしみ込んだスキルが不足していたり、頭ではなく臨機応変にしかも自在に使える域にまで、スキルが達してない可能性があります。そこへ、組織体質で「苦手な部分だから外注する」ことが普通になりますと、会社内にスキルを持った芯になる人材が居ないことになります。

 

 極端な場合は大企業の経営陣が、経営計画や事業目標などを外部のコンサルタント会社に外注する話も聞いたことがあります。結局自分で何もできない、自分の頭で考えないようになってゆきます。その先にあるのは、うまくゆかない場合や問題が起きた時の責任転嫁と責任の回避です。問題に対処することはしません。しかしプライドだけは高いです。

 

 中小企業の経営者は、普通の日本人よりも権威や名前に弱いことはないようですが、大企業に居られた方を自社に招かれたり、一般採用の場合に期待が大きすぎる嫌いがあります。水が合わない人材を採用されて社内が混乱することに気をつけなければならないと思います。

 

 中小企業は大会社と違い、100%「職人」の集団でなければ、競争に勝てないのです。英米系は完全な専門職です。外注文化にどっぷりつかったわが国の大企業の先行きはよろしくない、という見方が当たらなければいいのですが。

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