税務会計 フォアユー パートナーズ Do-ing

わかりやすい相続税の話—ご心配いりません— 長いあいだ世の中に貢献してこられた貴方に

第11回 相続税申告の基本中の基本とは

2014年8月16日
 基本とはヒトとモノにつき、その正体を確かめることです。

何も確かなことはわかりません。あなたが事実を確認しなければなりません。

専門家に任せてよい部分と、そうではなく、自分で確かめる部分とに分かれます。

情緒や思い込みに捉われることなく、「これは事実かどうか?」懐疑的に見てゆきます。


ヒト:相続人が誰であるのかをはっきりさせます。あなたは本当に相続人ですか。それまで育ててくれて一緒に住んでいても、相続人でないかもしれません。


この際、自分はいったい誰なのか自問してみましょう。Who are you ?

あなたは誰なの、亡くなった方との間にどんな関係がありますか。本当の親子ですか、顔が似ていても亡くなられた方の、ご兄弟の子供かもしれません。簡単に思いこまず、戸籍を丹念に「読み」ましょう。

ご兄弟は本当の兄弟ですか。子供の時の写真があっても事実はわかりません。


法律上の「兄弟」はよくあります。親御さんは事実を話さない場合もあるのです。でも in law であれば、文字通り法律上の兄弟ですから相続人です。

あなたの知らないところから「兄弟」「姉妹」が現れることもあります。


モノ:それは本当に亡くなられた方の財産ですか。

そうそう、財産にはプラスの財産だけでなく、マイナスの財産、そうです借金などもあります。

プラスの財産は本当に亡くなられた方のものでしょうか。預かっておられただけかもしれません。

 最近では亡くなられる直前に預金から出金された支出金についても国税不服審判所での争いの事例が報告されています。そのお金は、どこに何のため引き出されたのか、紛争になっています。

 借金は本当に亡くなられた方の負債でしょうか、借用書の借主の名前は確認しましたか?他人の借金かもしれません。

 亡くなられた方が、保証人になられていたものかもしれません。これを保証債務といいますが、相続税では債務とは扱いません。どうしても肩代わりしなければならない場合には「債務」になります。


 これらの事柄を整理して「事実」を突き止めるため基礎資料を収集されることは、相続人である、あなたがた(相続人が協力して進められるのが理想です)以外にこれをする人はいません。このときに協力しないで後から文句を言う人が必ず出てきます。



裁判では裁判官は何も信用しません。事実と証拠の積み重ねでのみ判断します。

 相続人になられたのですから、ヒトモノについてもこのような態度で一から見直すことが重要です。懐疑的な態度であればあるほど、たとえは不適切かもしれませんが、推理小説を読むより多くのモノを感じます、得ます。

 協力してと書きましたが、よく話し合って中心になっていただく人を決めましょう。いきさつによりますが、協力というより「蚊帳の外」の立場になる人が出ないことが、遺産分割などの段階に良い影響が出ます。

 専門家に「丸投げ」して不十分な資料しか渡さないで、税金だけはなるべく安く!、手数料もなるべく安くというケースも世間ではあります。気持ちは分かりますがが、野菜を買うのではありませんから、安ければよいというものでもなく、それなりの費用は必要です。当所では最初の段階で、この点につきハッキリお話しさせていただきます。

 日本人は一般的にはコミュニケーション能力が劣ってきています。その分、人間関係が希薄になり、ヒトを阻外して小グループに分かれて、いがみ合います。その果ては泥沼の争族と外部へのクレーマー化です。

専門家は、自助努力を、どれだけされる方々であるかが、協力させていただくか否か、の基準です。

ヒトモノの「事実」が確定するまでは専門家は協力しますが中心は相続人さんです。

そのあとの相続税法の条項を適用して相続税が節減できるための努力こそ、専門家の仕事です。

 でも最後に申告書ができて税額が出た段階でも、「自分(たち)の申告であるから最終判断は自分(たち)で得心して」という心掛けが大切です。

第12回 相続税の申告までの道のり・・・数字が意味するもの

2014年9月9日
 相続税の申告までの道のり・・・数字が意味するもの

 相続発生から申告まで300日あります。遺産が未分割でしたらそれから3年間に遺産の分割がされることが望まれます。それができないで更に延長という場合もあります。


「数字で読む道のり」と、「数字が意味する相続税の節目」の二つの面からみてゆきましょう。

①まず、「道しるべとしての数字」のいみを考えてみましょう。

 日時がとても速く流れるいまどき、いつまでに何が必要かがわかることは、どう行動すればいいのか、の答えを与えてくれます。そのことで行動の優先順位が見えてきます。

②「数字が意味する相続税の節目」
これも基礎控除3600万円+600万円×法定相続人数(27年から)や、配偶者の取得する一定額は(分割ができておれば)相続税がかからないなどは、どのように遺産を承継すればいいのかにつき、大きなヒントを示してくれています。

 同じように(分割できればですが)小規模宅地の80%評価減の優遇も27年からは330㎡ですが、住居の適正サイズを示してくれているようにも考えられます。

 国土の狭い日本で100坪の住居を承継できることは意味のあることです。アメリカに行けば驚くような豪邸が連なっていますが、ここは国柄の違いです。巨大な住宅を所有することにさほどの意味を持たないのが我が国の特徴かもしれません。

生命保険の500万円×法定相続人数までは非課税なのも、その意味を考えてみましょう。

これらの数字を追ってゆきますと、制度の別な面が見えてくるように思います。

第13回 相続税・・数字の意味するものー申告までの道のり

2014年10月11日
4ヶ月、10ヶ月、3年

4ヶ月:亡くなられた方の所得税の準確定申告までの期限です。一番最初に税務署に接触する時期です。所得税は1年ごとに12月31日までに所得を計算します。通常は前年1月1日から12月31日までの所得計算をして3月15日までに申告します。
 相続があった場合は、亡くなられた日から4ヶ月までに、所得を計算して申告書を税務署に提出します。仮に5月15日に亡くなられた場合は9月15日が期限です。納付税額がある場合は、同じ日に納税もしなければなりません。遅れると延滞税がかかります。

10ヶ月:相続税の申告書の提出期限です。納税も同じ時期です。注意しなければならないことは、納税がなくても申告書の提出が必要な場合です。納税がない場合は、申告書の提出は不要と考えがちですが、相続税の場合は申告をすることを条件にして課税される財産の評価を減額できる特例があります。
 小規模宅地の評価減です。今の法律で相続人が2人の場合は5000万円+1000万円×2=7000万円までは申告不要のところ、課税財産が8000万円あり、この特例を適用した結果2000万円の評価が下がることになった場合は6000万円が課税財産の合計です。
 7000万円を下回りますから、納税額はありません。しかしこの2000万円の評価減は相続税の申告書を提出するから認められるのです。したがって小規模宅地の評価減をする旨を記した申告書を出さなければ8000万円に対して相続税がかかることになります。注意すべき点です。

3年:相続税法では遺産が分割されていることを条件にして適用される項目があります。①配偶者の相続税額の軽減と②上述の小規模宅地の評価減が大きなものです。しかし10ヶ月の申告期限までに分割ができない場合が多々あります。分割の話し合いがつかないことなどが原因です。このような場合にには「申告期限後3年以内」(相続が開始した日ではありません)に分割すれば、相続税の申告書に分割後に適用する旨を記載しますと、①②の適用ができます。

第14回 事業をするかたの相続税

2014年10月11日
 長い間、我が国はいい時代が続きました。このためか、自ら事業を立ち上げる人は少なくなる一方です。ワークライフバランスなどという言葉が若者の間で、はやっています。
 何かを成し遂げた人が若いときにワークライフバランスなどを考えていたでしょうか。そのようなことを気にもしないで、Go for broke(あたって砕けろ!)の気迫で目的に取り組んだのではないでしょうか。
 教育の違いもあるようですが、自己の安定と利益のみを求める世相からは事業家といわれる人は減少の一途をたどっています。
昭和の時代に事業を立ち上げた人々の相続の時期に合わせたように、相続税法が課税強化になりました。

 このシリーズでは今後の対象を事業にかかわってこられた方々の特別の諸問題に焦点を絞って説明させていただくことに重点を置きながら、一般的な相続の場合にも応用できるようにしたいと考えます。

 特徴は、事業には
  1、事業財産があること
  2、得意先、仕入先、外注先があること
  3、従業員が雇用されていること
  4、会社形態の場合には株主がいること
  5、「事業」は生き物であるから、相続の影響がまともに来るので、非常に注意を要する点が多いこと
  6、相続を契機にして事業を継続するのか、閉じるのか、の決断が必要であること
  7、継続するにしろ、閉じるにしろ、その事業体の、本当の価値ないし収益力が正しく把握されていない場合があること
  8、財務諸表に現れない要素を見逃さないようにするにはどうすればいいのか
  9、少し改良すればよい会社になる寸前の中小企業が多いこと
  10、少し改良する点が経営者に見えにくいので手を打てない場合が多いこと

これらの事柄が、てのひらに整理して乗る状態になって初めて、相続に関連する諸々の条項の適用が可能になります。

相続が始まってからでは、せっかく育った事業が継続することは、手遅れになりがちです。

第15回 会社の事業継続のためのチェック項目

2014年10月18日
 景気は不透明なうえ、天災も心配です。そのなかでスムースに代変わりをすることもお考えと思います。
必要なことが案外出来てない場合があります。一度、会社の仕組みなどを再チェックしましょう。
 
今時のキーワードは「まず壊して捨てる」です。そんな時代に入りました。
 
会社の仕組みの再チェック:定款を見直しましょう。
□取締役会の設置や、監査役の設置は必ずしも必要ではありません。
□取締役は、一人でもいいのですが、貴社は何人おられますか。
□役員の任期は何年ですか、今は最長10年です。2年ごとに役員改選する必要はありません。
□株主総会に代理人の出席が出来るようになっていますか。その場合、争いになれば危険です。
 
株主構成の再チェック:株主名簿を見なおしましょう。
□定款で、株券発行になっていませんか。
□その場合、株券は何処にありますか。手形と同じで、保有している人が権利者です。株券だけではなく会社ごと持って行かれます。
□このように危険な株券は定款を変更して、不発行にしましょう。
□株主名簿を確認しましょう。昔の役員や従業員さんなどのほか、遠い親戚や、知人で亡くなられた人が株主になっていませんか。
□それら知らない人の相続人が株主総会の開催を要求してくることもあります。
□できる限り早く、知らない株主を整理しましょう。
□会社の性格に応じ、株主構成を単純化しましょう。
□これからは中小企業の存続が厳しい時代、昔と違い従業員持株会は再考の余地があります。
 
 
株価と買取:万が一の場合に争いが生じないように手当は出来ていますか。
□財産を前にしたら、「兄弟は他人の始まり」は事実です。
□争いの前に株を買取ることも考えましょう。代償財産を準備していますか。
□会社の株価を知っていますか。
□高すぎる株価を下げる方法があります。
□株価は買手によって値段が異なることはご存知ですか。
□遺言で自分の全株を(例えば長男)に相続させても、他の相続人(兄弟姉妹など)が遺留分を請求したら二分の一を、兄弟姉妹と配偶者なら四分の一が取り分になり、単独で議決権を行使できず、長男は動きが取れないこととなります。
□経営承継円滑化法による民法特例を使うことを考えてみましたか。
 
株価の中味を決めるもの:決算書を見直しましょう。
□会社の資産に不良資産(不良債権、デッドストック、稼働しないままの固定資産、バブル期の不動産など)が上がっていませんか。
□不良資産をイッキに整理しましょう。
□貸借対照表の投資等の部に、銀行や証券会社、生保会社との付き合い上の投資等がありませんか。それらの今の実際価値は幾らか知っていますか。
 
相続税の概算を知りましょう:今の立ち位置が分かります。
□相続税額を知ることだけでなく、納税方法も視野に入れていますか。金銭納付が原則です。
□相続税・贈与税の納税猶予制度はご存知ですか。
□ヘンな相続対策はケガのもと、時間をおいてよく考え、第3者にもセカンオピニオンを取りましょう。
□相続「税」が怖いからM&Aを考えるのは、逆の考えです。何事もブームには裏がある場合が多いです。
 
会社契約の生命保険・損害保険の中味を見直しましょう。
□保障は何歳までですか。
□目的を定めないで、漫然と保険料を払っていませんか。
□生命保険の目的を今一度見直しましょう。
□万が一のことが起こった場合、払われた保険金は会社の収益に半分(保険の種類によっては100%)が計上されます。これを何に使いますか。
□借入金返済にも役員退職金にも使えない保険契約はありませんか。
□そもそも、その「保険金」は貴社に必要ですか。多すぎる保険金を掛けていても目減りします。
 
最後までお読みいただき有難うございました。
« 前のページ  1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 次のページ »