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わかりやすい相続税の話—ご心配いりません— 長いあいだ世の中に貢献してこられた貴方に

第26回 経営者の心配事-相続税・個人保証・後継者- 年の初めに

2016年1月11日
 新年になり1歳年を重ねました。いろいろな思いがあるなかで必ず準備しておかれる事柄につき解説します。
 
会社が成長すればするほど、経営者は3つの心配事が出てきます。会社が利益を出せないで資金繰りに困っておられる場合は相続税の心配がないかもしれませんが、代わりに資金調達の心配が浮上します。

 経営者が元気なうちはそのような心配もあまり気にしなくてもよいかもしれませんが、年齢が高くなりますと現実をみて手を打つ必要があります。
 では何から手を付ければいいのでしょうか。会社の財務状況は毎月の試算表で把握されておられると思いますので(これすらされておられない社長さんは、計器も前方も見ないで運転されておられるに等しいですので外させていただきます)利益が蓄積されてる会社を想定します。
 下の順序で進められたらよろしいです。理由を右端→に記します。

 1、持株割合→遠い親戚が弁護士を通じて所有株式を買い取ってほしいということがあり得ます。
       →株式が分散しておれば次期社長が経営しにくいです。
       →現社長の比率が高い場合、相続税も高くなります。
       →株式の「種類」(無議決権株式など)を変える方法もあります。
       →会社が自己株式を取得し、その株式を消却することで持株割合を変えることもできます。
       →定款に相続人等に対する売渡請求の定めを設ける道もあります。

 2、個人保証の総額→借入金やリース債務のうち社長の保証額が何億円か知りましょう。最悪の場合、保証を履行できますか。
          →あわせて銀行さんに頼まれて付き合いでされた借入金と保証がどれくらいあるかも知りましょう。それはい
           らないのではないですか。

 3、相続税の概算額と納税資金の「あて」→相続税の課税が昨年から拡大されました。その概算額を知るために、
                     おうちにCashがどれくらいあるかも知ることが大事です。
                    →相続税額<キャッシュの場合は問題ありません。
                    →相続税額>キャッシュなら、生命保険がどれくらいあるか確認しましょう。
                    →生命保険は個人で契約ではなく、会社契約でもOKです。死亡退職金として出せま
                     す。
                    →最悪の場合、不動産と自社株が大部分のばあい納税に困ります。遺産分割では誰もが
                     換金しやすいものが欲しいでしょう。換金できない財産を承継した相続人が納税でき
                     ない場合は、先般ご案内しました「連帯納付義務」がかかってきて共倒れになりま
                     す。「あて」の読みはとても大事です。

 4、後継者候補の有無→株式も持てないで、個人保証を引き受けて経営にあたってくれる人は世間では皆無です。
           →現社長が株式を次期社長に有償譲渡する場合は経営権ですから高くなります。そんなお金
            を次期社長はフツウは持っていません。
           →親族なら相続できますが、次期候補者以外に相続人(具体的には次期社長の兄弟・姉妹)
            がおられる場合は揉めやすいです。財産分割の話になります。
           →赤の他人の次期社長候補にあなたは贈与できますか。その場合は租税特別措置法「非上場株式等の贈与税
            の納税猶予の特例」が使えます。(平成27年から、親族である要件がなくなりました)
             相続税の特例も用意されていますが赤の他人への遺贈ですから遺言書の用意が要ります。覚悟がなくて
            はできないことです。

 5、自社の亊業価値をご存知ですか→事業の「相場」です。時価評価の貸借対照表純資産額+営業権評価額+質の増減係数=相場
              でしょう。
              →どのような対策をされるにも貴社の相場をしることが基本です。人間の相場はワカリニクイですが
               事業(会社)の相場は少しは把握しやすいかもしれません。

 上記の→はほんの一部分です。いつも税法の条文を読み、情報の収集をし、ナマナマしい実例を扱い、時には煮え湯を飲まされたりしていますから、工夫の種は事例に合わせて作り上げることができます。道はひらけるものです。

 上手くゆかないで会社を処分されたり、不本意な処分をされた実例集を読みますと、共通して1~5の認識が少ない場合が多いです。
 米国などは計画を書面にして数年がかりで実行されています。特にその計画に「会社の何を引き継ぐためにこの計画があるのか」の精神の部分を、経営を譲る現社長が自分の筆で書き込むのです。狩猟民族としての目的重視と生死をかけた競争を常にするゆえの知恵でしょう。
 お日様の陰で農耕に従事してきた農耕民族といわれる我々も、よその国の良いところは取り入れて「計画的に」進むことがいいかと思います。

第27回 28年以降の税制改正の方向

2016年2月17日

 

28年以降の税制改正の方向

 重要な項目をご紹介し、プラスになるのかマイナスになるのか、勝手ながら添え書きしました。プラスは○、マイナスは×です。

 

1<相続・譲渡所得>・・・○

 相続後に空家になった家屋を譲渡したら3000万円を特別控除できます。平成2841日以降、平成31年末までの間です。

・譲渡額が1億円を超える豪邸は対象外です。

・マンションは対象外です。

空き家の増加による生活環境への悪影響を回避するためです。

 

2<減価償却費>・・・・・・×

 平成2841日以降取得の建物付属設備と構築物の減価償却は定額法しか使えなくなります。初めに多額の償却費を計上できる定率法は、これからは使えません。この結果、建物は既に定額法に統一されており、大きな投資の資金回収は遠くなります。

 

3<企業版ふるさと納税制度の創設>・・・・・・×

 法人にも寄付額の損金算入30%、税額控除30%が認められます。 個人版ふるさと納税は、寄付した人に自治体が農産物などを寄付を増やすために返礼が過度になっているとして、総務省が注意を促したように問題視されています。

 寄付してトクはしません。見返りに人参などを送られますが、寄付金額の何分の一です。トクしたと錯覚する人は多いです。ただ個人は寄付の意味を理解してそれぞれの考え方でその行為をされます。赤十字への寄付など典型です。

 法人の場合、寄付分は60%は税負担が減少します。100万円寄付したら税金は60万円軽減されます。しかし40万円の支出は戻りません。企業は個人と違います。利益を上げるのが目的であるのに60万円のニンジンに引かれて100万円支出し、差引40万円を損することは?です。「こんなものいらない」の典型でしよう。

 

4、<消費税>・・・・・×

 294月から、10%税率への移行とともに将来のインボイス方式の前段階として「区分記載請求書保存」方式が導入されます。帳簿や請求書に「軽減税率対象品目」について課税売上・課税仕入れにつき記入が必要になります。

 そして平成3341日から「インボイス」方式になります。税務署に「登録した課税事業者(適格登録課税事業者といいます)」は登録番号を付けられます。この番号を請求書・納品書に記載します。

 問題は免税事業者は除かれている点です。免税事業者である限り「適格登録課税事業者」にはなれませんから、免税事業者が大手企業に商品を売ろうとしても大手企業は仕入税額控除ができませんからその免税事業者から購入しないでしょう。免税の家主の倉庫を借りないことは考えられます。免税事業者は商流から排除されかねません。

 これを避けるには、免税事業者でも「消費税課税事業者選択届」を提出して、本来は払わなくても良い消費税を払って流れに加わるか、排除されても小さく固く商いを継続されるかの選択になるでしょう。

 

5、<マイナンバー>・・・・

記載対象が少なくなりました。個人が出す申請書や届出書にはマイナンバーの記載が不要となりました。今後もユルくなる傾向です。

第28回 3月15日までに特定の人は「財産債務調書」の提出が必要です

2016年3月9日
1、(特定の人とはどんな人ですか)
 今年27年分の所得金額が2000万円を超え且つ財産が3億円以上または有価証券1億円以上(申告不要を選択した特定口座やNISA内の有価証券も含みます)を有する人(特定の人)財産債務調書を税務署に提出しなければなりません。
 
2、(国外財産はどうなりますか)
 国外財産も国内財産に含めて判断します。例えば国内財産が2億5千万円、国外財産が6000万円ある人の場合は合計で3億円を超えますから財産債務調書の提出が必要です。
 
3、(国外財産調書の提出も必要ですか)
 国外財産が5000万円以下の場合は国外財産調書は提出不要ですが5000万円を超えますと財産債務調書と国外財産調書の両方の提出が必要です。
 
4、(提出しないとどうなりますか)
 財産債務調書の不提出には罰則はありません。しかし国外財産調書の不提出や虚偽記載1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
 
5、(なぜ国外財産調書だけ罰則があるのですか)
 国内の場合は税務調査などで内容の確認ができますが、国内の場合は税務当局の調査権限が及ばないため内容が確認する手段が限られますので厳しくなっています。
 
6、(これらの制度が設けられた趣旨は何ですか)
 所得税・相続税の課税のためです。加えて27年度税制から「国外転出時課税」(いわゆる出国税)の課税洩れを把握するためのようです。
 「財産債務調書」「国外財産調書」「出国税」を一体に見る必要があるでしょう。外国に移住すれば相続税のない国などもあります。税率が低い国もありますので日本から出ればパラダイス!いうことにならないための政策でしょうね。
 
7、(財産の価額3億円ということですがいつの、何を基に算定しますか。借入金などの債務は引きますか)
 12月31日の時価です。時価が分かりにくい場合は見積価額でもよろしいと言われています。また債務は差引かないでプラスの財産の総額で3億円です。プラス財産31000万円で借金が3億円あっても「特定の人」になります。
 
8、(自分が経営している会社に貸した金額はどうなりますか)
貸付金として算定されます。洩れやすい点なので注意が要ります。
 
9、(手間がかかりシンドイだけですね。何か良いことはありませんか)
 良いことはありません。ただ税務調査があって所得の申告もれや、相続税の申告不足があった時には、洩れた財産が財産債務調書に記載されていた場合は、過少申告加算税や無申告加算税が5%軽減されます。
 
10、(逆に財産債務調書に記載してないで、税務調査で見つかった時はどうなりますか)
 加算税が5%加重されてしまいます。ただし生前の所得税に対してのみで、相続税や死亡後の所得税である準確定申告に対しては加重されません。
 
11、(315日に提出ということは、この財産債務調書は申告書なのですか)
いいえ、申告書ではなく法定調書です。そのため先述のように不提出でも罰則がありません。
 
12、(今年315日までに提出する財産債務調書にはマイナンバーを記載しなければなりませんか)
不要です。29年提出から記入です。

第29回 ご案内

2016年5月21日
わかりやすい相続税の話ーご心配いりませんー
長いあいだ世の中に貢献してこられた貴方に  


は一段落しましたので、完結とさせていただきます。
2年2ヶ月にわたってお読みいただき、ありがとうございました。


6月からは、新しい内容でスタートします。

取り急ぎ、お礼のご挨拶とさせていただきます。

               木村 栄昌
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