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木村栄昌

重加算税:知ると知らないで大違い!
—無知ほどコワイものはない—

これまでに掲載した「重加算税:知ると知らないで大違い! —無知ほどコワイものはない—」の記事一覧です。
上のものほど新しい記事となっています。

重加算税をかけると言われたら

そのような場合は次の事柄を調査官に確認しましょう。

1,「申告に漏れがあるとのことですが、洩れの点をご説明願いますか?」

説明:重加算税の前に申告洩れがあることが大前提です。申告洩れがなければ重加算税の出番はありません。税務署と納税者は立場は異なりますから、言い分やモノの見方も異なって当然です。解釈違いもあるかもしれません。

 納得行かない場合は修正申告に応じてはいけません。申告洩れがあればまず過少申告加算税が課されます。これら課税は税務署が決める賦課課税です。納税者が申告する性質のものではありません。

<二階建て構造>
 次に、申告洩れの金額のうちに、仮装・隠蔽された金額があるときは仮装隠蔽された金額には過少申告加算税は課税されず(代わりに)重加算税が課されます。過少申告加算税は10%ですが、重加算税は35%です。重いです。

2,次の質問「重加算税は仮装・隠蔽が要件ですが当方の申告のどこが仮装・隠蔽ですか?」

 ここも納得がゆくまで聞きましょう。この場面だけに税理士に依頼して解明に進む場合もあります。税理士は税法の条文、通達、裁決例、裁判例を知っていますから、これら先例に照らし本当に仮装隠蔽がされたのか事実と法令にに照らして確認します。

 その結果、仮装も隠蔽もしていないと結論が出たらそのように要求しましょう。一旦課税の決定がされますと「再調査の請求」や「審査請求」の場にて審査してもらうことになりますから、その前に十分な話が必要です。

 ポイントは仮装隠蔽した「事実」に関する争いが重点です。解釈の問題はあまりありません。この段階で仮装隠蔽がなければ過少申告加算税10%で収束します。

 疑いが掛からないように平素から事実を証するエビデンスを備えることが大事です。

3,不利益処分
 平成25年1月1日から重加算税の賦課決定に際して納税者に不利益処分を行なう場合「理由の付記」が税務署に要求されます。納税者・税務署の意見の相違は「理由の付記」にも反映します。


<質問応答記録書>について。
 簡単に言えば、自白調書の側面もある書類です。重要な事実関係を明確にするために作成される文書で、税務調査の証拠資料の一つとして、重加算税の適用に使用されます。

上記に関しては次回にご説明します。

国税不服審判所で重加算税が取り消された事例の紹介

 税務調査で税務署から重加算税が課された場合でも、国税不服審判所に不服申立てをして重加算税の課税取り消しになる場合があります。
そのような例をいくつかご紹介して、取消しを勝ち取った共通の要素を見てみます。
なお国税審判所に不服申立てする前に、処分した税務署に「再調査の請求」をして重加算税課税を取り消す道もあることは前回ご紹介した通りです。

例1:税務調査で預金500万円が相続税の申告洩れであると指摘され、意図的な隠蔽であると認定され重加算税が課されました。
  納税者はその預金があったことは知らなかったと主張し、その主張が審判所で認められ、隠蔽ではなかったとされ、重加算税は取り消されました。<令和7年9月7日裁決>

例2:現金が相続税の申告洩れであるとして税務署は重加算税を課しましたが、これらの現金は亡くなった者(被相続人)から生前贈与されたものであると納税者は主張し、意図的な隠蔽とまでは言えないとの結論になり、重加算税は取り消されました。<令和4年12月12日裁決>

例3:預金の申告洩れが見つかりました。税務署は意図して過少に申告しようとしたと重加算税を課しましたが、納税者は故意に隠すつもりはなかったと反論し、その主張が認められました。<令和4年5月10日裁決>

例4:調査で未成年の子供名義の預金が発見されました。税務署は意図ありとして重加算税を課しました。納税者は、この預金は子供の預金であり、亡くなった者の預金ではないと証拠を揃えて反論し、認められました。<令和3年9月17日裁決>

例5:自宅で妻が保管していた現金の原資は相続財産とは関係ない、との主張が認められ重加算税課税は取消しされました。<令和3年3月1日裁決>

例6:死亡により生命保険金が入りました。税務署は保険金は相続税の申告に加えられるべきで、それがされていない。意図的な隠蔽であると重加算税が課されましたが納税者は意図はないと主張し審判所では税務署の重加算税課税を取り消しました。<令和3年3月裁決>

まとめ

 太字の部分を読みますと簡単な遣り取りが見えます。
相続税調査で申告洩れの資産が見つかった税務署は故意に申告洩れ重加算税
納税者→その洩れは故意ではない→だから重加算税は取消しである→取消

 根拠がなければ終わりのない言い争いに終始してしまいます。決め手は「事実と証拠」と「税法の趣旨を踏まえた論理」です。

 申告で、洩れたら意図ありとみなされかねませんので誤解されないように立証できることが重要です。

重加算税の絵巻物で考える

絵巻物で物語のように解説しましょう。

物語には、初めがあり、終わりがあります。

初まりから終わりまでの3ステップ

ステップ1,前に述べました仮装・隠ぺいをした事実があったということです。その事実に基づき納税申告書を税務署に提出した。

ステップ2,提出された申告書に対し税務調査があって誤りが指摘され、税金をごまかす意図があったと判断された。

<ここで税金をごまかす気持ちはなかった。従って仮装・隠ぺいはしていない、との反論があるかもしれません。反論は一旦脇に置いて、流れを進みます>

ステップ3,重加算税の賦課決定通知書が来ますので、これに従い、その税額を納付して終了します。前科などの扱いはありませんが税歴には残ります。次の調査までの期間は早くなると思われます。

 この流れの中でステップ1と2でいう仮装隠蔽をした、していないの反論など意見の相違はある場合が考えられます。

絵巻物が続く場合

 私は仮装も隠蔽もしていない、との主張をできる場が二つあります。どちらにするかは、あなたの選択です。
1,再調査の請求
2,審査請求(1を省いてすぐに審査請求ができる道もあります)

 統計では件数は7割がいきなり2を選択されます。その理由は「再調査の請求」の名前が良くないからではないかと考えます。あの嫌な調査を再びされるのはこりごりではないでしょうか。

 私はⅠからスタートされることをお勧めします。その理由は認定事実を見直されて救済が早いし、過去のデータでは救済率も高いです。

 もし救済されない結果になっても「再調査決定書」には争点に対する考え方が詳しく書かれているため、それを検討して、それから2の審査請求に進むか否か、考慮できます。いきなり2に進むよりワンステップ多いことが課税側からの情報が多いだけ有利と考えられます。

次回:更正の請求と重加算税の関係を解説します。

重加算税 最近の傾向 反面調査など

犬小屋の例

 この場合も会社の会計帳簿では修繕費として計上されていました。修繕した工務店の領収書もあれば証拠は完璧です。

 しかし調査では修繕個所を聞いたところ明確に答えられなかったため?に感じ工事会社が反面調査され実際は犬小屋の改修であったことが分かりました。仮装ですね。

 同じ例ではよくあるのが社長やその家族の衣服をオーダーメイドしているのに従業員の作業服代と領収書を書かせ会社の経費にしている例もあります。仕立て屋さんへの反面調査があればイチコロです。

 報道されているほかの事例では陸運局で新規登録のクルマの名義をチェックしてデーラーに確認すれば、年が若いのに高級車の登録がある場合などは書面でのお尋ねで贈与税が課税されます。デパートや宝石商のチェックで売上伝票を容易に確認することができます。

反面調査の事前通知は法で規定されていません。

 反面調査先へ事前通知が必要とは国税通則法で規定されていません(国税通則法74条の9)。事前通知する相手方は、納税義務者と代理人税理士のみです。その納税義務者の「取引先」は通知の対象外」です。実際には反面調査先へは事前に連絡をする運用もされていますが予告すれば、その取引先とターゲットの納税義務者が連絡し合って調査の実効がなくなる場合は無予告で調査がされます。

 こんな場合は取引先は突然の訪問を受けることになり困ることが想定されます。またターゲットの納税義務者の信用にも影響があります。重加算税の適用がされる事例に繋がることが多いです。

重加算税がかかる行為とはどのようなことを言いますか?

国税通則法68条に書かれていますがワカリヤスク言いますと

税金をごまかすことです。これを仮装、隠ぺいと言います。

 ですから単なる申告洩れではありません。ごまかすという行為には意志が働きます。ついうっかり(過失)と違いますね。ですから過失による仮装隠ぺいは日本語してはオカシイのです。矛盾しています。

 ポイントは意図があり、故意でやった、との認定があれば重加算税がかけられます。

 税法の決めたとおりに申告したら100の税金であったのが80で申告していますと20足りません。この20は追徴されます。そして過少申告加算税がかけられます。  

 そうでなければ誰でも初めは80で申告します。税務調査で指摘され「ああそうですか」で差額の20を納めたらオシマイではないのです。ぺナルテイが待っています。それが過少申告加算税です。

 過少申告加算税がかけられるもののうち「ごまかし」によるものは「過少申告加算税に代えて」重加算税がかけられます。

 ごまかす実例はキリがありません。一々挙げていたも仕方ありませんので一つ挙げます。

<犬小屋の修繕費を会社の修繕費として計上した例>が有名です。しかもわかりやすいです。

次回はもう少しこの例を掘り下げましょう。

重加算税がかかるとどうなるのですか?

 重加算税がかかれば今後の税務調査が早く来ると思ってください。税務署は不正行為をする者には強い姿勢です。前科のようにずっと祟るものではなく一定期間は税務署からキビシク見られます。

 重加算税がかけられる前に税務署内で署長、副署長、幹部職員が参加する「重要事案審議会」での決済を経ます。過少申告加算税と違い文字通り重い処分です。

追徴税額は35%です。5年内に不正行為を繰り返しますと45%になります。

次回は、どのような行為が該当するのか見てゆきます。