Try for you

木村栄昌

矛盾と勢い:孫子で打つ手が見えてくる—2500年の智恵を生かす不敗の道—

用間篇第13は日常にも役立つ

 もとは孫子の時代に戦争をする場合の情報の重要さを強調したのが用間を説いた13篇ですが、テンポの速い現代では見方によっては毎日が戦争でもあります。国対国、企業対企業から始まって身の回りに起こる個人のことも結果がはっきり出るものはその裏には「戦争」に似た面が隠れています。

・取引を始める場合
・損害を与えた(与えられた)場合
・仕事上の問題を解決し上司に報告しなければならない場合
・親族間で利害が対立した場合

上記のような場合、共通するのは相手が人または組織であることです。その相手の情報を深く詳しく知ることで問題の所在がハッキリします。思考の焦点が合うのです。

<ポイントの例>

1,先に早く相手の事情を知る。そのためにカネを惜しまない、知ってる人に費用を払って収集する。
2,情報収集していることは誰にも悟られないこと。
3,相手方の人間、特に役職者を動かせて情報を得る、偽情報をばら撒く人間や組織をはじめ相手方と当方の間を往来する人物(二重スパイを泳がせる)は有用。
4,相手方が当方の動きを調べていることが分かった場合、超優遇して転ばせ、味方につける。

<具体例1 報道から>
 日常のニュースを見ていて<ポイントの具体例>が使われているのではないかと思い当たることは多々あります。
 近隣国のなかには認知戦、心理戦を標榜する国々もあり、起こっている現象の背後も読むようにすればニュースの理解が進みます。

<具体例2 隣家から建築工事をするとの通知>
 違法工事が実施される懸念の有無をまず調べなくてはなりません。やったが勝ち、と考える業界の傾向があります。図面などを見させてもらい、自ら土地、建築法規に当たって不審な点がないか確認することから始め、市役所の建築課に問合せることはアタリマエニに必要です。その答えが納得できない場合は上級庁である府や県の建築部門に出向いて確かめましょう。ケースによっては市会議員、府・県会議員に相談することもあり得ますが、私の体験では議員さんは行政サイドへの配慮に傾く場合が見られました。過度にあてにしないことです。

<具体例3 遺産継承の問題で話が進まない>
 まず相続法や相続税の知識を補完しましょう。無知ほど怖いものはありません。向こうは既に専門家に相談してしっかりした知識の上に立って話を組立ているかもしれません。知識レベルで差がついたままではヤラレます。
 相続人同士では利害の対立がありますから相続権のない少し遠い親戚に問題の背景や人物の人となりを教えてもらうことも有効でしょう。案外、過去に言ったことなどが引っかかって原因になっている場合もあります。ソコを知ると知らないでは面談になってからの進み方が違ってきます。先方が弁護士を立ててきた場合は、応じて弁護士さんに依頼したほうが解決に進みますが、できる限り、やりあうことは避けるべきです。孫子は「戦わずして勝つ」を最上といいます。そのためにも情報が大事なのです。